7-2.外出支援

外出の支援*

(1)移動支援事業(個別支援型)

1)事業の内容

・主に余暇活動や社会参加のための外出について、ヘルパーが一対一で移動を支援する

・通所や通学などの定期的な外出や、政治活動、営業活動などには利用できない

・一般に、通院はこの事業ではなく「(2)居宅介護(ホームヘルプ)」で支給される

・具体的にどのような移動支援を行うかは、各市町村の判断により地域の特性や個々の利用者の状況やニーズに応じた柔軟な形態で実施することとされている(市町村地域生活支援事業)

2)費用:市町村で定める額

注:個別支援型とは別に、1人のヘルパーが複数(5人以内程度)の利用者を支援する「グループ支援型」もある

(2)居宅介護

1)事業の内容

余暇活動や社会参加ではなく、通院などの日常生活に欠かせない外出は、(1)の移動支援事業ではなく、居宅介護としての外出支援を利用する

2)対象者:在宅の、障害児または障害程度区分認定を受けた障害者

3)費用・1時間以上1時間30分未満:273単位(身体介護を伴わない場合)

・家計の負担能力その他の事情をしん酌して政令で定める額を自己負担

4)窓口:市町村障害福祉担当または相談支援事業者

〔付〕介護保険の訪問介護(ホームヘルプ)

65歳以上(または40歳以上で特定疾病)の人は、上の(1)と(2)ではなく、こちらの制度を利用することが優先されます(家事の支援と同じ)。この制度にない、あるいは足りない場合に、上の(1)(2)を利用が検討できます。

1)事業の内容:通院(院内の付き添いは基本的にはできない)、日常生活に欠かせない外出に使用できる

2)対象者:要介護1∼5の認定を受けた人

3)費用:・1割負担

・30分以上1時間未満1回につき402円(身体介護とみなされる)

・移送にかかる費用は別途自己負担となる

4)窓口:市町村の介護保険担当

(3)同行援護 (リンクに最新情報あります。)

1)「同行援護事業」と「移動支援事業」との違いは、移動支援事業は視覚障害者のための外出時の支援を『介護』ととらえられていましたが、「同行援護事業」では、『視覚情報の提供』とし、利用者への外出時の情報提供が主な用務内容となりました。

2)同行援護は情報提供が基本ですが、介護的援助の必要な人は、その援助内容も加えられます。

3)移動支援事業は、障害者自立支援法の地域生活支援事業に位置づけられており、それぞれの市町村において実施内容を決めて行なわれる事業でした

これに対して同行援護事業は、障害者自立支援法の『自立支援給付』に位置付けられますので、国の責任において全国的に同じルールで実施される事業となります。

ただし、自治体によっては、同行援護の事業所不足などによって、地域格差が生じることがありえます。

4)同行援護事業を利用の際に障害者手帳の取得は必要です。さらに視力・視野・夜盲等に関して、国が定める一定以上の障害程度に該当する人で、移動に困難をかかえている人は、身体障害者手帳の等級にかかわらず、対象となります。

また、障害者自立支援法で必要とされる障害程度区分調査が利用の条件ではありません。移動支援事業では手帳の等級などが基準になっていたと思われますが、同行援護事業ではその点は大きく変わりました。利用者の対象が広がったと言えるでしょう。

5)同行援護事業を利用するにあたって、「身体介護を伴う」と認定される場合があり、これに伴い障害程度区分調査を受けることもあります。障害程度区分調査で2以上、かつ、「歩行」「移乗」「移動」「排便」「排尿」の5項目のいずれかが、「できない」となると「身体介護を伴う」と判定されます。

6)同行援護事業で利用が認められるものは、「原則として1日の範囲内で用務を終えるものとされており、通勤、営業活動にかかわる外出、通年かつ長期にわたる外出、及び社会通念上適当でない外出を除く」とされています。

すなわち、通院や買い物などはもちろんのこと、社会参加や余暇活動についても認められます。また、布教活動や政治活動については対象外とされますが、日曜礼拝や集会への一員としての参加などは含まれます。年齢制限もありません。中には、選挙の際の投票行為が対象とならないといったことがありましたが、投票行為は国民の義務の1つになっています。このような制約はあってはならないものです。

7)介護保険制度を利用している人であっても同行援護は利用可能です。同行援護は視覚情報の提供が主な目的であるため、介護保険制度と同行援護事業との優先関係は対象とはなりません。

但し、要介護認定と障害程度区分認定の両方を受けている人が通院するために利用する場合、介護保険制度の通院等介助と同行援護の用務内容が同様になるケースもあるため、その際には、介護保険制度を利用して通院するように、市町村から指導を受けることが考えられます。

一部の自治体では、同行援護が視覚情報の提供であることを十分に理解しないまま、要介護1以上の介護保険利用者が通院する場合は、介護保険が一律に優先であると説明している所があるようです。あくまでも両者の用務内容が同様かどうかを確認し、異なる場合には、優先関係がないことを伝えましょう。

8)同行援護事業の用務内容のひとつである「代筆・代読」に関する内容として、外出先での会議出席中の時間や、通院などの待ち時間でも、周囲の状況や資料を呼んでもらうなど、「視覚情報の提供」として必要事項に含まれているので、対象となります。

ただし、代筆については、基本的にはどのような場合でも可能ですが、不動産売買や融資に関する契約などは対象外となっています。

9)自宅での代筆・代読は居宅介護サービスで可能とされているため、自宅においての代読・代筆はできません。

10)宿泊を伴う外出については、ガイドヘルパーの1日単位の稼働時間を明確に終了することにより可能となります。

11)ガイドヘルパーの自宅以外の利用開始と終了について、利用計画書等に記載の事業者と利用者の合意があれば、サービスの提供は可能です。移動支援事業では自宅発着以外の利用を認めないという自治体もあったようです。

12)利用時間の制限ついて、国は「利用者のニーズに基づいた時間」として、明確な利用時間を設けていません。基本的には利用者のニーズに基づいた時間が決定される。また、支給量については、自立支援給付の位置付けになるため、月単位となります。

13)同行援護事業では、1日の利用時間を特別に定めていないため、1日に複数回利用することができる事となります。

また、利用できる時間帯やエリアについては、事業所が都道府県等に届け出た内容によって異なるので、確認する必要性があります。

14)同行援護事業の支援を受けるにあたって、利用する方の家族状況等も含めて考慮されますが、基本的には本人の必要性によって決定されます。

※甲府市では、市民税課税世帯に属する(負担上限月額が0円でない)視覚障害者が同行援護を利用した場合、利用の目的にかかわらず、年間100時間までの利用者負担を助成します(詳しくは、甲府市障害福祉課にお問い合わせ下さい)。