第34回 ロービジョンケア講習会(教育)

第33回 ロービジョンケア講習会プログラム

(教育) 


主催:山梨県視覚障害を考える会 共催:公益社団法人日本眼科医会

後援:日本ロービジョン学会 山梨県眼科医会 山梨県教育委員会 保険医協会

日時:2023年5月14日(日曜) 9:00 開場 9:10開演 

会場:(zoomによるウェブ開催が基本ですが インターネット環境のない方は山梨県立図書館多目的ホールでパブリックビューイングできます。申し込みは田辺眼科まで)

対象:どなたでも、会費:無料

司会 原田亮(甲府共立診療所 視能訓練士) 酒井弘充(山梨県立盲学校教諭)

吉田朋子(山梨県立盲学校)

対象:視覚障害の当事者、ご家族、支援者、関係するどなたでも

無料                                  

プログラム

9:10~ 加茂会長 開会の辞 英国の子供のCVI証明書が視力視野でなく、疾患名で認められる話 

座長 田辺直彦 加茂純子

9:15~9:55 

白倉明美(山梨県立盲学校校長)薬袋愛(山梨県立盲学校教諭)

「山梨県立盲学校における乳幼児期の視覚支援の意義と支援の実際」

質疑応答(10分)

             休憩 5分

10:10~11:20

中野泰志(慶應義塾大学経済学部、日吉心理学教室、自然科学研究教育センター

教授) 「視覚障害のある乳幼児への早期介入とファミリーサポート」

 11:20-11:50

 質疑応答

11:50:閉会の辞 田辺副会長

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「山梨県立盲学校における乳幼児期の視覚支援の意義と支援の実際」

山梨県立盲学校 校長 白倉明美 教諭 薬袋 愛

ご略歴 

 

白倉 明美(しらくら あけみ)

1986年 山梨大学教育学部養護学校教員養成課程特殊教育学科卒業。

1986年より山梨県立盲学校の教諭として勤務。

1990年より山梨県立やまびこ養護学校(知的)に勤務。

1995年より山梨県立盲学校 校務分掌で、就学相談及び地域支援に関わり、

乳幼児の継続教育相談及び弱視学級支援にあたる。

2016年より山梨県立ふじざくら支援学校(知肢併置)に教頭として勤務。富士東部地区の地域支援に関わる。 

2019年より山梨県立盲学校に教頭として勤務。

2021年より山梨県立あけぼの支援学校(肢体 医療センター隣接)に教頭として勤務。

2022年より山梨県立盲学校に校長として勤務。

 

 

薬袋 愛(みない あい)

 2003年 筑波大学第二学群人間学類卒業。

2005年 筑波大学大学院教育研究科障害児教育専攻修了。

 2005年より山梨県立盲学校の教諭として勤務。

2012年よりEye愛ひとみ相談支援センター(地域支援)の主任を務め、乳幼児期からの教育相談、地域で学ぶ弱視児の支援、医療との連携等に携わっている。

《抄録》

 山梨県立盲学校では、在籍幼児児童生徒の教育と同時に、0歳の赤ちゃんか

ら成人まで、県内の視覚に障害のある方の支援を全校体制で行っています。

視力や視機能等、目を上手に使う力が伸びる時期は、乳幼児期に集中してお

り、できるようになった力を基にして次の視覚活用力が伸びていきます。見え

にくさをそのままにしてしまうと、発達や学習のつまずき・遅れに繋がってし

まいます。しかし、適切な支援があればすくすく伸びていくのが視覚障害児で

す。赤ちゃんの頃から、見えにくさを前提とした方法で、できる喜びや考える

楽しさを味わいながら、「見えにくいからこそ上手に視る」力をつけ、見えに

くさからくる困難を解決できる力を身につけられるよう、発達を促進していく

ことが大事です。

私たちは「見えにくさ」を「学びにくさ」にしないために、できるだけ早期

に視覚障害が発見され、赤ちゃんの頃から教育相談・支援につながることが大

切だと考え、乳幼児期からの教育相談に力を入れています。

教育相談開始までの流れや、実態把握から指導プログラムの立案、乳児期の

「見ることを楽しむ」相談から、就学を意識した「学習の基礎となる視る力を

伸ばす」指導、付けた力を学習に活かすための「地域の小学校に就学した弱視

児への支援」の実際等を、事例を交えてご紹介します。

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視覚障害のある乳幼児への早期介入とファミリーサポート

中野 泰志(慶應義塾大学)

<ご略歴>

1984年 東京国際大学 教養学部 卒業

1988年 慶應義塾大学大学院 社会学研究科 修士課程 修了

1988年 国立特殊教育総合研究所 研究員

1997年 慶應義塾大学 経済学部 助教授

2003年 東京大学先端科学技術研究センター 特任教授

2006年 慶應義塾大学 経済学部 教授  現在に至る

専門:知覚心理学、支援技術、

<抄録>

 乳幼児の場合、標準的な視力や視野等の眼科検査が実施出来ないため、成人と比較すると、視覚障害の早期発見が困難なこともあり、医療機関と教育・福祉機関と連携するためのシステムが十分には構築されていない。しかし、視覚障害があることがわかった時点で、保有視機能の活用だけでなく、心身機能の全体的な発達を支援するために、教育や福祉の専門家の早期介入による発達支援は必要不可欠である。特に、視覚障害のない乳幼児が無意識的に行っている模倣に基づく偶発学習は、児童の心身機能の発達に必要不可欠であるため、計画的・組織的に介入する必要がある。また、視覚障害のある乳幼児の生活の場は、家庭や学校(寄宿舎を含む)だけではなく、豊かな日常生活を送るためには日常生活用具、外出の際には同行援護等の福祉制度の活用が必要不可欠である。 本報告では、

1) 教育や福祉において行われてきた主として視覚障害乳幼児の早期発見のために開発・活用されてきた他覚的な視機能検査や行動を用いた視機能評価の手法、

2)視覚活用が可能な程度に応じた視機能の代替方法、

3)効果的に視覚を活用するための環境整備、

4)心身の発達に必要な各種の経験・体験の確保、

5)乳幼児にとって重要な環境となる

家族に対する支援(ファミリーサポート)の取り組みや課題等について事例も交えながら紹介する。