ロービジョン」は目が不自由になった状態をいい、「視覚障害」より広い範囲を含む概念です(「視覚障害」の中で視機能を使えない「盲」に対し、十分ではないが使えるものを「ロービジョン」と呼ぶこともあります)。
「視覚障害」には身体障害者手帳がとれる程度の視機能という目安がありますが、それほどでなくても生活に支障をきたしていれば「 ロービジョン」 と言えます。 まぶしさが強いだけでも「 ロービジョン」です。
最近まで眼科ではロービジョンの患者さんたちに対して通常の診察と治療しかしてきませんでした。これでは「もっとよく見える方法」も「福祉の援助」も「便利な道具」についても知ることができず、「どう生きていくか」を考えるための情報を得られないか、得るまでに長い時間がかかります。こういったことを適宜アドバイスするシステムが社会全体にないからです。
このことに気づいた人たちが自分の立場でできることを探し、集い、勉強し合って「 視覚障害リハビリテーション」 とか「 ロービジョンケア」 と呼んで仕事に取り入れたり、ボランティアに取り組んだりしています。その機運が眼科に入ってきたのは十数年前からですが、長い時間をかけての診療に対し、いまだに健康保険からの診療報酬が認められていないこと、これらを实施するスタッフを揃えられないこと、この新しい分野を勉強する機会がほとんどないこと、などから、あまり普及していませんでした。
山梨県では甲府共立病院(診療所)眼科に平成15年から「 ロービジョン外来」ができました。
また、平成25年からは田辺眼科も加わりました。H27年ころから順次施設が増えて下記の施設でも対応できるようになっています。
平成24年度の診療報酬改定により「ロービジョン検査判断料」の項目が設けられました。これにより、今後にロービジョンケアを診療の一環として実施する眼科が増えることが予想されます。
(1)診療内容
1)拡大鏡・拡大読書器・遮光眼鏡などを合わせます
2)障害者手帳・障害年金など福祉制度の説明と必要書類の作成をします
3)ボランティア(団体)がしてくれることを紹介します
4)簡単な日常生活上の指導をし、生活訓練施設を案内します
5)就学・進学や職業に関する相談を受けます
(必要に応じて、盲学校や職業訓練施設などを紹介することがあります)
6)患者さんたちの団体や目の不自由な人たちの交流会などを紹介します
(2)主な対象者
1)読み書きなどに不自由を感じている人:「視力」では0.01∼0.4が目安
2)羞明(まぶしさ)に困っている人
3)福祉サービス、年金、ボランティアなどについて尋ねたい人
4)日常生活上の不自由さを軽減したい人
5)進路について相談したい人
6)目の不自由な人たちと話してみたい人
(3)診療日時:1人1時間の完全予約制
(曜日や時間帯は変更されることがありますので、下記へお尋ねください
初めての方はまず、一般外来を受診していただき、視機能評価をしてから、
ロービジョンクリニックを予約していただきます。)
(4)予約・問合せ電話番号
甲府共立診療所 055-221-1000
田辺眼科 055-278-0001
峡南医療センター 市川三郷病院 055 -272 -3000
いとう眼科クリニック 055-277-8600
上野原市立病院眼科 055-62-5121
山梨大学附属病院眼科 055-273-1111