ISO 19115-1:2014 Geographic information/Geomatics
Metadata — Part 1: Fundamentals
現行
履歴
ISO 19115:2003 廃止
ISO 19115:2003/Cor 1:2006 廃止
対応OGC標準: なし
対応JIS規格:JIS X 7115:2005 地理情報−メタデータ
このJIS規格は、ISO 19115:2003/Cor 1:2006に基づいて、JIS X 7115:2013に改正された。
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:53798:en
データの管理と分析を目的とするコンピュータソフトウェアとハードウェアの最近の進歩、特に地理的な参照を伴う観測結果同士の融合によるデジタル情報ソリューションの使用が、世界中で大幅に増加している。その結果、地理学の重要性及び物事の空間的な関係についての認識が、社会のほぼすべての側面に影響を及ぼしている。地理情報科学や情報技術以外の幅広い分野の人々が、デジタル地理情報を作成、強化、変更することが増加している。地理情報資源の数、複雑さ、多様性が増大するにつれて、これらの資源のあらゆる側面を理解するための方法の重要性が増加している。
デジタル地理データ集合は、コンピューター分析や情報のグラフィック表示に使われる、世界のモデルの表現である。基礎となるモデルは、いくつかの側面の近似、単純化、省略が求められる抽象概念であり、常に多くの可能な「ビュー」の一つにすぎない。データが誤用されないようにするには、データの作成に影響を与える前提と制限を完全に文書化する必要がある。通常、データは作成者以外の多数の人々によって使用される。メタデータを使用すると、生産者は資源を説明できるため、ユーザーは前提条件と制限を理解し、意図した用途に対する資源の適用性を評価することができる。適切な文書化により、データに詳しくない人々がより深く理解し、データを適切に使用できるようになる。また、質の高いドキュメントは、データ作成者に自分の保有物に関するより深い知識を提供し、データの作成、保存、更新、再利用がより適切に管理できるようになる。
典型的な地理データ集合は、テーブル内の各行又はグリッド内のピクセルに関連付けられた、位置を含む構造化された表形式のデータであると考えられる。進化を続けるWebベースの情報クラウドの目的を満たすために、データ集合の概念は、範囲、作成者、および意図された目的によって定義される、一つの単位として扱われることを意図したパッケージ化された情報製品を含むように拡張することができる。この広い視野では、構造化されているか非構造化されているかに関係なく、地理的に位置付けられる観測や解釈を含むドキュメントはすべて地理データ集合とみなすことができる。
インターネットによって実現される分散情報システムの進化によって、Web サービスは情報源又は処理能力として重要になっている。そして、サービス指向アーキテクチャの開発が促進され、そのサービスの多くは位置ベースの情報または機能を提供している。これらのサービスの説明は発見と利用のためにあり、メタデータの重要な機能となっている。
地理的参照を含む重要な情報が、デジタル形式ではない資源に含まれていることが多い。これらの資源には、さまざまな種類の地図や文書のほか、地球の物理的、生物学的、文化的側面を特徴づけるために収集された標本やその他の人工物が含まれる。ISO 19115-1で示されるメタデータスキーマは、そのような資源にも適用できる。
ISO 19115-1の目的は、地理的範囲を持つ可能性のある情報または資源を説明するためのモデルを示すことである。ISO 19115-1は、情報システムアナリスト、プログラム・プランナー、情報システムの開発者などが、情報資源の標準化された記述の基本原則と要件を定義するために使用することを目的としている。ISO 19115-1では、メタデータ要素、その特性及び要素間の関係を定義し、メタデータの用語、定義及び拡張手順の共通セットを確立する。
ISO 19115-1の主な目的は、地理的範囲を持つデジタル情報を説明することであるが、テキスト、文書、先導的活動の説明、ソフトウェア、非地理的情報、製品仕様、リポジトリーなど、あらゆる種類の資源を説明するために使用できる。つまり、地理的範囲を持たない情報資源を説明するためにも使用できる。他の応用分野として、図書館の索引情報用の Dublin Core など、独自のメタデータ標準がある。必要に応じて、このような標準と ISO 19115-1をプロファイルして、コミュニティスキーマを作成することもできるであろう。
ISO 19115-1を資源提供者が実装すると、次のことが可能になる。
1) 情報資源提供者は資源を効果的かつ完全に特徴付けることができるようになる。
2) 情報資源のメタデータの編成と管理が容易になる。
3) 情報資源の特徴を正確に理解することで、情報資源を適切に使用できるようになる。
4) 資源の検出、アクセス、取得、再利用が容易になる。
5) ユーザー自身にとって情報資源が有用かどうかを判断できるようにする。
ISO 19115-1では、汎用メタデータを定義する。品質、データ構造、画像など、資源記述のいくつかの側面に関するより詳細なモデルは、他のISO地理情報規格で定義されている。ここで示すメタデータモデルにより、共通パターンに基づいて応用分野固有のユーザー拡張機能を実装できるようになり、それらの拡張機能を使用するソフトウェアの実装が容易になる。
ISO 19115-1は、ISO 19115:2003 および ISO 19115:2003/Cor 1:2006 の改訂版である。この改訂版は、情報技術の進歩、メタデータのアクセス、使用、管理にインターネットを使用する方向へのシフト、および参照文書の改訂及び8 年間の使用経験に基づく個々のユーザーからの提案によって推進されたものである。
ISO 19115-1には、新しい名前と発行日を付しており、以前の版からは完全に独立している。UMLパッケージ、クラス、および要素には、以前の版とは異なる識別子がある。ISO 19115:2003/Cor 1:2006 のUMLは、ISO/TC 211 調和モデル管理グループ(Harmonized Model Management Group)のリポジトリーを通じて引き続き利用できる。後方互換性の確保は、変換サービスを使用して行われる。過去のメタデータインスタンスは、引き続き以前のバージョンを参照/使用できる。
メタデータの目的は、資源を説明することである。この説明はデータとともに残り、変更されることはなく、データの解釈とデータの検索(発見)の両方に使用できる。ISO 19115:2003 に準拠した古いメタデータが大量に存在し、ISO 19115:2003 の国別または地域別プロファイルには新しいメタデータも存在する (現在も作成中である)。このメタデータは、現在定義されているとおりに残る。新しい製品仕様に対する新しいメタデータの作成は、拡張された説明機能を利用する ISO 19115 の改訂版に基づいて行われる。
備考1)「ISO19115:2003に準拠した」以降の二つの文の原文では、メタデータではなくデータと表記されている。しかし文脈を考慮すると、メタデータとした方がより正しい理解を得られるので、ここではメタデータとした。
ISO 19115 のこの改訂版の導入により、混合データ環境が存在することになる。ISO 19115 の改訂版に準拠したデータ検出を支援するシステムは、混合環境のすべてのデータを検出できるように、ISO 19115:2003 形式のメタデータも認識および解釈できる必要がある。ISO 19115 の改訂版に準拠したデータ解釈を支援するシステムは、すべてのデータを解釈できるように、ISO 19115:2003 形式のメタデータも認識および解釈できる必要がある。改訂された要素に個別の識別子を使用することと、メタデータ標準が改訂された方法により、これが容易になる。
後方互換性を確保し、メタデータインスタンスをこの改訂版の ISO 19115 に変換しやすくするために、次のことを行った
— 新しい必須要素は作成しなかった。
— メタデータ要素の定義を変更する必要がある場合は、その定義を削除して新しいメタデータ要素に置き換えた。メタデータ要素名は他の概念では再利用しなかった。
— 一部のメタデータ要素の定義を拡張した。
— メタデータ要素は、データ型が変更されても名前と定義は同じままで再利用した。
— 残りの属性は、置き換えられた標準と同じ順序で保持した。
— 削除された要素、新しい要素、および古い要素とそれらの置き換えの間のマッピングのリストは、付録 G に記載されている。
— UML の再構成は最小限に抑えた。
主な変更点の概要:
— 「コアメタデータ」の概念は削除した。
— ISO 19119:2005 および ISO 19119:2005/Amd 1:2008 から派生したサービス用のメタデータを追加した。
— データ品質をISO 19157 に移動した。
— サービス資源と非サービス 資源の検出用のメタデータを説明するために、付録 F を追加した。
— 多くのコードリストを拡張した。
— メタデータ要素とコードでそれぞれ「短縮名」と「ドメイン コード」の使用を廃止した。
変更点の完全な説明は、付録 G に示す。
ISO 19115-1は、メタデータを使用して地理情報とサービスを説明するために必要なスキーマを定義する。デジタル地理データとサービスの識別、範囲、品質、空間的および時間的側面、コンテンツ、空間参照、描写、配布、およびその他の特性に関する情報を提供する。
ISO 19115-1は、次のものに適用される。
— すべての種類の資源のカタログ作成、クリアリングハウスの活動、およびデータ集合とサービスの完全な説明。
— 地理サービス、地理データ集合、データ集合系列、および個々の地物及び地物の特性。
ISO 19115-1では、次のものを定義する。
— 必須及び条件付きメタデータ構成集合、メタデータ要素体及びメタデータ要素。
— ほとんどのメタデータ応用 (データ検出、データの使用適合性の判断、データ アクセス、データ転送、デジタルデータとサービスの使用) に必要な最小限のメタデータ集合。
— 必要に応じて、資源のより広範な標準説明を可能にするオプションのメタデータ要素。
— 特殊なニーズに合わせてメタデータを拡張する方法。
ISO 19115-1はデジタルデータとサービスに適用されるが、その原則は地図、グラフ、テキスト形式の文書、および非地理データなど、他の多くの種類の資源に拡張できる。特定の条件付きメタデータ要素は、これらの他の形式のデータには適用されない場合がある。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 639 (all parts), Codes for the representation of names of languages
ISO 3166 (all parts), Codes for the representation of names of countries and their subdivisions
ISO 4217:2008, Codes for the representation of currencies and funds
ISO 8601:2004, Data elements and interchange formats — Information interchange — Representation of dates and times
ISO/TS 19103:2005, Geographic information — Conceptual schema language
ISO 19106:2004, Geographic information — Profiles
ISO 19107:2003, Geographic information — Spatial schema
ISO 19108:2002, Geographic information — Temporal schema
ISO 19109:2005, Geographic information — Rules for application schema
ISO 19110:2005, Geographic information — Methodology for feature cataloguing
ISO 19111:2007, Geographic information — Spatial referencing by coordinates
ISO 19111-2:2009, Geographic information — Spatial referencing by coordinates — Part 2: Extension for parametric values
ISO 19112:2003, Geographic information — Spatial referencing by geographic identifiers
ISO 19119, Geographic information — Services
ISO 19157:2013, Geographic information ― Data Quality
IETF RFC 3986:2005, Uniform Resource Identifier (URI): Generic Syntax
この規格では、ISO/TS 19103:2005及び以下に示す「用語及び定義」が適用される。
4.1
citation
引用
読者又はユーザーの注意をある資源(4.17)から別の資源に誘導する情報を含む情報オブジェクト
[ISO 24619:2011 3.1.16を引用]
4.2
data type
データ型
その定義域内の値に対して許可される、操作(4.15)を伴う、値の定義域の仕様
例:整数、実数、ブール値、文字列、日付及びGM_Point
注記1: データ型は、例えば「整数」のような言葉によって識別される。
[ISO/TS 19103:2005 4.1.5を引用]
4.3
dataset
データ集合
他と識別可能なデータの集まり
注記1:空間範囲又は地物型のような制約によって区切るとしても、データ集合は、より大きいデータ集合の中に位置する、より小さいデータのグループであってもよい。理論的には,データ集合は、より大きなデータ集合に含まれる一つの地物又は地物属性のように小さくてもよい。ハードコピーの地図又は海図は、データ集合と考えてよい。
[翻訳はJIS X 7115:2005 4.2を参照]
4.4
dataset series
データ集合系列
共通の特徴を共有するデータ集合(4.3)の集まり
[翻訳はJIS X 7115:2005 4.3を参照]
4.5
feature
地物
実世界の現象の抽象概念
[ISO 19101:2002 4.11を引用]
4.6
free text
フリーテキスト
一つ又は複数の言語によって表現される文字列情報
4.7
grid
グリッド
アルゴリズミックな方法によって、二つ以上の、互いに交差する曲線で構成されるネットワーク
[ISO 19123:2005 4.1.23を引用]
[+]
4.8
interface
インタフェース
実体の振る舞いを特徴付ける、名前の付いた操作の集まり
[ISO 19119:2005 4.2を引用]
4.9
lineage
典拠
資源(4.17)の生産に使われた情報の出所(4.16)、情報源及び製法
4.10
metadata
メタデータ
資源(4.17)についての情報
4.11
metadata element
メタデータ要素
メタデータ(4.10)の個々の構成単位
注記1:メタデータ要素はメタデータクラスの中で一意な要素である。
注記2:UMLの専門用語集における属性及び/又は関連と同等のものとする。
注記3:クラスの属性及び関係は総称してメタデータ要素と呼ばれる。
[翻訳はJIS X 7115:2005 4.6を参照]
4.12
metadata entity
メタデータ要素体
データの同じ側面を記述するメタデータ要素(4.11)の集合
注記1:一つ以上のメタデータ要素体を含んでもよい。
注記2:UMLの専門用語集におけるクラスと同等のものとする。
[翻訳はJIS X 7115:2005 4.7を参照]
4.13
metadata section
メタデータ構成集合
関係するメタデータ要素体及びメタデータ要素の集まりからなるメタデータの部分集合
注記1:UMLの専門用語集におけるパッケージと同等のものとする。
[翻訳はJIS X 7115:2005 4.8を参照]
4.14
model
モデル
実世界の幾つかの側面の抽象概念
[ISO 19109:2005 4.14を引用][翻訳はJIS X 7109:2009 4.14を引用]
4.15
operation
操作、演算
オブジェクトを呼び出して実行できる変換または問い合わせの仕様
注1:操作は名前とパラメータのリストをもつ。
[ISO 19119:2005 4.3を参照]
備考1)数学的な操作としてこの用語が使用されるときは、「演算」と訳す。
4.16
provenance
出所
記録を作成、蓄積、維持、使用した組織または個人
4.17
resource
資源
要求を満たすための手段又は資産
例:データ集合(4.3)、データ集合シリーズ(4.4)、サービス(4.18)、文書、先導的活動の説明、ソフトウェア、個人又は組織
[翻訳はJIS X 7115:2005 4.10を参照]
備考1)「資源(resource)」については、「JIS X 0001:1994 情報処理用語−基本用語」01.01.23においても「資源」と訳されている。
4.18
service
サービス
インタフェースを通じて、実体によって提供される機能の個別の部分
[ISO 19119:2005 4.1を引用]
記号及び略語
5.1 略語
OCL オブジェクト制約言語 Object Constraint Language
OGC Open Geospatial Consortium
UML 統一モデリング言語 Unified Modelling Language
XML 拡張可能なマーク付け言語 Extensible Markup Language
5.2 略語 — パッケージ
クラスを含むパッケージを示すために、2文字の略語を使用する。略語はクラス名の前にあり、「_」で接続される。これらのクラスが含まれる国際標準は括弧内に示す。略語の一覧は次のとおりである。
CI Citation (ISO 19115-1)
DQ Data Quality (ISO 19157)
DS Dataset (ISO 19115-1)
EX Extent (ISO 19115-1)
FC Feature Catalogue (ISO 19110)
GF General Feature (ISO 19109)
GM Geometry (ISO 19107)
LI Lineage (ISO 19115-1)
LE Lineage extended (ISO 19115-2)
MD Metadata (ISO 19115-1)
PT Polylinguistic Text (ISO/TS 19103)
RS Reference System (ISO 19115-1)
SC Spatial Coordinates (ISO 19111)
SV Metadata for Services (ISO 19115-1)
TM Temporal (ISO 19108)
[1] ISO/IEC 646:1991, Information technology — ISO 7-bit coded character set for information interchange
[2] ISO 690:2010, Information and documentation — Guidelines for bibliographic references and citations to information resources
[3] ISO 5127:2001, Information and documentation — Vocabulary
[4] ISO/IEC 10646:2012, Information technology — Universal Coded Character Set (UCS)
[5] ISO/IEC 11179 (all parts), Information technology — Metadata registries (MDR)
[6] ISO 15489-1:2001, Information and documentation — Records management — Part 1: General
[7] ISO 15511:2011, Information and documentation — International standard identifier for libraries and related organizations (ISIL)
[8] ISO 15836:2009, Information and documentation — The Dublin Core metadata element set
[9] ISO 19101:2002, Geographic information — Reference model
[10] ISO/TS 19104:2008, Geographic information — Terminology
[11] ISO 19115-2, Geographic information — Metadata — Part 2: Extensions for imagery and gridded data
[12] ISO 19116:2004, Geographic information — Positioning services
[13] ISO 19117:2012, Geographic information — Portrayal
[14] ISO/TR 19121:2000, Geographic information — Imagery and gridded data
[15] ISO 19123:2005, Geographic information — Schema for coverage geometry and functions
[16] ISO 23081-1:2006, Information and documentation — Records management processes — Metadata for records — Part 1: Principles
[17] ISO 23950:1998, Information and documentation — Information retrieval (Z39.50) — Application service definition and protocol specification
[18] ISO 24619:2011, Language resource management — Persistent identification and sustainable access (PISA)
[19] ISO 82045-5:2005, Document management — Part 5: Application of metadata for the construction and facility management sector
[20] IETF RFC 1738, Uniform Resource Locators (URL)
[21] IETF RFC 2056, Uniform Resource Locators for Z39.50
1 To be published.
(2024-09-04)