ISO 19157-1:2023 Geographic information — Data quality — Part 1: General requirements
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ISO 19157:2013
ISO 19157:2013/Amd 1:2018
対応OGC標準:なし
対応JIS規格:なし
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:iso:19157:-1:ed-1:v1:en
作成者の意図とは異なる目的で地理データを共有、交換、利用することが増加している。データの価値は品質に直接関係するため、利用可能な地理データの品質に関する情報は、データ集合を選択するプロセスにおいて不可欠となる。地理データのユーザーは、複数のデータ集合から選択することができる。したがって、どのデータ集合がユーザーの要求事項を最も満たすかを判断するには、データ集合の品質を比較する必要がある。
地理データの品質を記述する目的は、応用システムのニーズや要求事項に最適なデータ集合の比較及び選択を容易にすることである。データ集合の品質を完全に記述することによって、適切なデータ集合の共有、交換、利用が促進される。地理データの品質に関する情報は、データ作成者が、データ集合が製品仕様に定められた基準をどの程度満たしているかを評価することを可能にするとともに、データ利用者が、製品が特定の応用システムの要求事項を満たす能力を評価するのに役立つ。この評価は、明確に定義された手順に従って、一貫した方法で実行される。
比較を容易にするためには、品質評価の結果が比較可能な方法で表現され、使用されたデータ品質測定値について共通の理解があることが不可欠である。これらのデータ品質測定値は、論議領域との比較を通じて、地理データの品質の記述指標を提示する。互換性のない指標を使用すると、データ品質の比較は不可能になる。本規格は、データ品質測定値の構成要素と構造を規格化し、一般的に使用されるデータ品質測定値を定義する。
この規格は、データ作成者及びデータ利用者が、データ品質を異なる視点から捉える可能性があることを認識し、適合品質水準は、データ作成者の製品仕様又はデータ利用者のデータ品質要求事項に基づいて設定できる。データ利用者が、データ作成者が提供する以上のデータ品質情報を必要とする場合、データ利用者はデータ作成者のデータ品質評価のプロセスフローに従って追加情報を取得することが可能である。この場合、データ利用者の要求事項は、データ作成者のプロセスフローを利用するための製品仕様とみなされる。
この規格の目的は、地理データの品質を定義するための枠組みを提供することである。これには、品質評価の原則、品質情報の取り扱いに関する概念モデル、データ品質測定値の構造と内容、及び品質評価の報告に関するガイドラインが含まれる。この枠組みは拡張可能であり、追加のデータ品質測定値を追加する方法に関する規則が定められている。また、データ品質の複雑な側面にも対応している。
この規格は、地理データの品質を記述するための原則として、つぎの事項を定める。
— データ品質を記述するために熟議された構成要素から成る品質体系を定義する。
— データ品質を記述するための、対象領域固有の構成要素を追加するプロセスを定義する。
— データ品質指標の構成要素及び内容構造を規定する。
— 地理データの品質を評価するための一般的な手順を提示する。
— データ品質を報告するための原則を確立する。
この規格は、データ集合が製品仕様にどの程度準拠しているかを説明及び評価するための品質情報を提供するデータ作成者と、特定の地理データが特定の応用システムに対して十分な品質であるかどうかを判断しようとしているデータ使用者に適用される。
この規格は、地理データの品質の最低限の許容レベルを定義するようなものではない。このような情報は通常、ISO 19131などに基づいて定義されたデータ製品仕様において、要求事項として提示される。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要求事項を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
• ISO 19103:2015, Geographic information — Conceptual schema language
• ISO 19109:2015, Geographic information — Rules for application schema
• ISO 19115-1:2014, Geographic information — Metadata — Part 1: Fundamentals
この規格の目的に応じて、次の用語及び定義が適用される。
ISOとIECは、規格化に使用する用語データベースを次のアドレスにおいて維持・公開している。
— IEC Electropedia: http://www.electropedia.org/
— ISO オンライン閲覧プラットフォーム: http://www.iso.org/obp
3.1
accuracy
正確度
試験結果又は測定結果と真の値との一致の程度
注記1: 測位サービスの場合、試験結果は測定値又は測定値の集合になる。
[ISO 3534‑2:2006 3.3.1 を参照 —注記1, 2, 3は削除し、新たな注記1を設けた。][翻訳はJIS Z 8101-2:2015 3.3.1を参照]
備考1)JIS Z 8101-2:2015ではaccuracyを「精確さ,総合精度」としているが、JIS X 7113:2004(ISO 19113:2002)において「正確度」とされた経緯があるとともに、さまざまな分野でもこのように訳されているので、ここでも正確度とした。
3.2
conformance
conformity
適合性
要求を満足すること
注記1:曖昧さがない場合は、修飾語「適合性」を省略してもよい。例えば、「試験報告書」は「適合性試験報告書」と同じである。
[ISO 19105:2022 3.4を引用]
備考1)conformityはconformanceの許容語 (admitted term) である。
備考2)注記1は3.8の注記であるべきである。
3.3
conformance quality level
適合品質水準
データ品質試験結果のしきい値又はしきい値の集合。データ集合がデータ製品仕様又はユーザー要求事項で規定された基準をどの程度満たしているかを判断するために使用される。
3.4
correctness
正しさ
論議領域との一致度
備考1)本文の用例を見る限り、定量的な正しさはaccuracy(正確度)であるが、correctness(正しさ)は定性的な意味で使われると見られる。
3.5
coverage
被覆
定義域内の任意の位置に対応する値域内の値を返す関数として働く地物
[ISO/FDIS 19123-1:—,1) 3.1.8を引用]
備考1)ISO 19123-1:2023 3.1.9では以下のように定義が改定されている。
「定義域内の任意の位置に対応する値域内の値を返す関数」
ただし、ISO 19123-1:2023には、その序文の中で「被覆は地物のサブタイプである」という記述も見られる。
Formally, a coverage itself is a subtype of feature as defined in ISO 19101. This feature is a set of features all sharing some key properties, such as the same attribute definition and coordinate reference system.
3.6
data product specification
データ製品仕様
データ製品の仕様並びに、それを他の当事者が作成、提供及び使用できるようにする追加情報
注記 1: データ製品仕様は、論議領域の説明及び、論議領域をデータ製品に写像するための仕様を提示する。これは、生産、販売、最終使用(end-use)、又はその他の目的に使用できる。
注記2:仕様とは、要求事項を規定した文書のことである(ISO 9000:2015 3.8.7参照)。
注記3:データ製品とは、提供されるデータ集合又はデータ集合シリーズのことである(ISO 19131:2022 3.8参照)。
[ISO 19131:2022 3.9を参照 — 注記2及び3を追加した。]
3.7
data quality
データ品質
データの固有の特徴の集合が要求事項を満たす程度
[ISO 8000-2:2022 3.8.1を参照 - 注記1は削除した。]
3.8
data quality measure
データ品質測定値
データ品質特性の測定の結果として、値が割り当てられる変数
[ISO/IEC 25012:2008 4.5を参照 - 注記1は削除した。][翻訳はJIS 25012:2013 4.5を参照]
3.9
data quality unit
データ品質ユニット
適用範囲と品質要素の組み合わせ
3.10
dataset
データ集合
他と識別可能なデータの集まり
注記1:空間範囲又は地物型のような制約によって区切るとしても、データ集合は、より大きいデータ集合の中に位置する、より小さいデータのグループであってもよい。理論的には,データ集合は、より大きなデータ集合に含まれる一つの地物又は地物属性のように小さくてもよい。ハードコピーの地図又は海図は、データ集合と考えてよい。
[ISO 19115‑1:2014 4.3を引用][JIS X 7115:2005 4.2を引用]
3.11
dataset series
データ集合系列
共通の特徴を共有するデータ集合の集まり
[ISO 19115‑1:2014 4.4を引用][翻訳はJIS X 7115:2005 4.3を引用]
3.12
feature
地物
実世界の現象の抽象概念
注記1:地物は型として、又はインスタンスとして現れる。型又はインスタンスの一方だけを意味するときには、地物型又は地物インスタンスという用語を使うのが望ましい。
[ISO 19101-1:2014 4.1.11][翻訳はJIS X 7109:2009 4.8を引用]
3.13
feature attribute
地物属性
地物の特徴
注記1:地物属性は名前、データ型及び地物属性に関連する値の定義域をもつ。地物インスタンスの地物属性にも、値の定義域から与えられた属性値がある。
[ISO 19101-1:2014 4.1.12 を参照 —例1,2及び注記2, 3は削除した。]
3.14
feature instance
地物インスタンス
地物属性の値が指定されている、地物型に従う個物
[ISO 19101-1:2014 4.1.14を引用]
3.15
feature operation
地物操作
地物型のすべてのインスタンスが実行できる操作
[ISO 19110:2016 3.7を参照 —例及び注記1は削除した。]
3.16
feature type
地物型
共通の特徴をもつ地物のクラス
[ISO 19156:2011 4.7を引用]
3.17
geographic data
地理データ
地球に関係した場所への暗示的又は明示的な参照をもったデータ
[ISO 19109:2015 4.13を参照 — 注記1は削除した。][翻訳はJIS X 7109:2009 4.12を参照]
3.18
item
項目、アイテム
個別に記述及び考えられるもの
注記1:項目とは、データ集合の任意の部分、例えば地物、地物関係、地物属性又はこれらの組み合わせなどを指す。
[ISO 2859‑5:2005 3.4を参照 — 例及び注記1は削除した。]
3.19
lineage
典拠
資源の生産に使われた情報の出所、情報源及び製法
[ISO 19115-1:2014 4.9を引用]
3.20
metadata
メタデータ
資源についての情報
[ISO 19115‑1:2014 4.10を引用]
3.21
metaquality
メタ品質
データ品質の品質を記述する情報
3.22
quality
品質
オブジェクトに本来備わっている特徴の集まりが、要求事項を満たす程度
[ISO 9000:2015 3.6.2を参照 - 注記1及び注記2は削除した。][翻訳はJIS Q 9000:2015 3.6.2を参照]
3.23
quality evaluation
品質評価
特定の要求事項を、実体がどの範囲で満たすことができるかを体系的に検査すること
[ISO/IEC/IEEE 24765:2017 3.3267を参照 - 注記1は削除した。]
3.24
register
レジスター
関連する項目の記述を含む、項目に割り当てられた識別子をもつ記録の集合
[ISO 19135-1:2015 4.1.9を引用]
3.25
requirement
要求事項、要件
明示されている,通常暗黙のうちに了解されている又は義務として要求されている,ニーズ又は期待
[ISO 9000:2015 3.6.4を参照 - 注記1~6は削除した。][翻訳はJIS Q 9000:2015 3.6.4を参照]
3.26
quality evaluation report
quality report
品質評価報告
品質報告
データ品質の評価、結果、使用された測定法に関する詳細な情報を提供する自由記述の文書
備考1)原文では許容語はquality reportであるが、MLGTではstandalone quality reportになっている。本文を参照する限り、"standalone"は削除すべきである。
3.27
uncertainty
measurement uncertainty
不確かさ
測定の不確かさ
測定対象に合理的に帰属する値のばらつきを特徴付ける、測定結果に関連付けられたパラメータ
注記1:測定の不確かさは、一般に多くの要素から構成される。これらの要素の中には、一連の測定結果の統計分布から評価できるものがあり、実験における標準偏差によって特徴付けられる。同様に標準偏差によって特徴付けられる他の要素は、経験又はその他の情報に基づいて仮定された確率分布から評価される。
[ISO 19116:2019 3.28を参照 - 注記1は削除され、ISO 19101-2:2018 3.40の注記2に置き換えられた。]
備考1)測定の不確かさ(measurement uncertainty)は許容語である。
備考2)注記1にある「実験における標準偏差」とは、実験データが平均値からどのくらい散らばっているかを示す指標である。具体的には以下の手順で求められる。
1. 平均値の計算:得られた実験データ全体の平均値を求める
2. 偏差の計算:各データ値と平均値の差(偏差)を求める
3. 偏差の二乗:各偏差を二乗する
4. 二乗偏差の平均:二乗された偏差の平均を求める(これは標本分散という).
5. 標準偏差の計算:標本分散の平方根を求める
備考3)標本分散の算出式にn/(n-1)をかけたものを不偏分散という。その期待値は母分散に一致する。標本平均及び不偏分散は不偏推定量といわれ、母集団の平均及び分散を推定する値として使われる。
https://hkawabata.github.io/technical-note/note/Math/statistics/estimation/unbiased-estimator.html
備考4)不確かさは、正確度 (accuracy) や精度 (precision) など、さまざまな品質指標を包括する言葉である。例えば位置測定の不確かさについてはISO 19116:2019 7.5.1を参考にするとよい。
3.28
universe of discourse
論議領域
関心あるものすべてを含んだ、実世界又は仮想世界のビュー
[ISO 19101-1:2014 4.1.38を引用]
[1] ISO 2859 (all parts), Sampling procedures for inspection by attributes
[2] ISO 3534-2:2006, Statistics — Vocabulary and symbols — Part 2: Applied statistics
[3] ISO 3951-1, Sampling procedures for inspection by variables — Part 1: Specification for single sampling plans indexed by acceptance quality limit (AQL) for lot-by-lot inspection for a single quality characteristic and a single AQL
[4] ISO 8000-2:2022, Data quality — Part 2: Vocabulary
[5] ISO 8601-1, Date and time — Representations for information interchange — Part 1: Basic rules
[6] ISO 9000:2015, Quality management systems — Fundamentals and vocabulary
[7] ISO 19101-1:2014, Geographic information — Reference model — Part 1: Fundamentals
[8] ISO 19103:2015, Geographic information — Conceptual schema language
[9] ISO 19104, Geographic information — Terminology
[10] ISO 19105:2022, Geographic information — Conformance and testing
[11] ISO 19108, Geographic information — Temporal schema
[12] ISO 19109:2015, Geographic information — Rules for application schema
[13] ISO 19110:2016, Geographic information — Methodology for feature cataloguing
[14] ISO 19115-1:2014, Geographic information — Metadata — Part 1: Fundamentals
[15] ISO 19116:2019, Geographic information — Positioning services
[16] ISO/FDIS 19123-1:—,3) Geographic information — Schema for coverage geometry and functions – Part 1: Fundamentals
[17] ISO 19131:2022, Geographic information — Data product specifications
[18] ISO 19135-1:2015, Geographic information — Procedures for item registration — Part 1: Fundamentals
[19] ISO 19156:2011, Geographic information — Observations and measurements
[20] ISO 19160-3:2020, Addressing — Part 3: Address data quality
[21] ISO/IEC 2382, Information technology — Vocabulary
[22] ISO/IEC Directives, Part 1, Procedures for the technical work
[23] ISO/IEC Guide 98-3, Uncertainty of measurement — Part 3: Guide to expression of uncertainty in measurement (GUM:1995)
[24] ISO/IEC Guide 99, International vocabulary of metrology — Basic and general concepts and associated terms (VIM)
[25] ISO/IEC 25012:2008, Software engineering — Software product Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE) — Data quality model
[26] ISO/IEC 25020, Systems and software engineering — Systems and software Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE) — Quality measurement framework
[27] ISO/IEC 25022, Systems and software engineering — Systems and software quality requirements and evaluation (SQuaRE) — Measurement of quality in use
[28] ISO/IEC 25023, Systems and software engineering — Systems and software Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE) — Measurement of system and software product quality
[29] ISO/IEC 25024, Systems and software engineering — Systems and software Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE) — Measurement of data quality
[30] ISO/IEC/IEEE 24765:2017, Systems and software engineering — Vocabulary
[31] ISO/TS 19115-3:2016, Geographic information — Metadata — Part 3: XML schema implementation for fundamental concepts
[32] ISO/TS 19139-1, Geographic information — XML schema implementation — Part 1: Encoding rules
[33] ISO/TS 19129, Geographic information — Imagery, gridded and coverage data framework
[34] Lantmäteriet, 2020), Quality description Laser data, version 1.3, [online] Available at: https://www.lantmateriet.se/globalassets/kartor-och-geografisk-information/hojddata/quality_description_lidar.pdf
[35] Lantmäteriet, 2019), Hydrography download service, product description version 1.1, [online] Available at: https://www.lantmateriet.se/globalassets/kartor-och-geografisk-information/geodatatjanster/e_pb_hydrografi_nedladdning_v1.1.pdf
[36] OGC® Geospatial User Feedback Standard: Conceptual Model, [online] Available at: http://docs.opengeospatial.org/is/15-097r1/15-097r1.html
[37] ISO 19157-3:—,4) Geographic information — Data quality — Part 3: Data quality measures register
1) 準備中。現段階はISO/FDIS 19123-1:2023
3) 準備中。現段階はISO/FDIS 19123-1:2023
4) 準備中。現段階はISO/AWI 19157-3:2023
(2025-04-22)