ISO 19165-2:2020 Preservation of digital data and metadata Part 2: Content specifications for Earth observation data and derived digital products
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対応OGC標準:なし
対応JIS規格:なし
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:iso:19165:-2:ed-1:v1:en
世界中の多くの機関が、現場や航空機、宇宙船に搭載した機器から地球規模で継続的に測定データを収集し、重要なデータ集合を生成している。こうした測定から得られるデータ及びそこから得られるデジタル製品は、将来の世代のために保存する必要がある貴重な資源である。これらの観測は地球環境の主要な記録であり、したがって、将来の状況が現在の状況とどのように比較されるかを理解するための鍵となる。地球観測データ、派生製品、モデルは、「地球全体のシステムはどのように変化しているのか?」「地球システムの変化の源は何であり、その規模と傾向はどうか?」「地球システムは将来どのように変化するのか?」「地球システム科学は地球規模の変化の緩和と適応性をどうすれば向上できるか?」などの主要な質問に答えるために使用される。
短期的には、地球観測のミッションで得られるデータが研究や応用に積極的に利用されている限り、最新の情報技術に対応したデータとサービスへの容易なアクセスを提供することが継続的に重要である。長期的には、研究コミュニティの焦点が新たなミッションや観測へと移行する際に、以前のミッションデータと関連情報を保存することが不可欠になる。これにより、将来、新しいユーザーはデータがどのように情報、知識、政策提言の導出に使用されたかを理解し、「実験を繰り返す」ことで過去に達した結論の妥当性と限界を確認し、複数のミッションからのデータに依存する長期的な傾向に信頼性を与えることができるようになる。
今日、地球観測データを収集、処理、利用する組織は、自ら情報を収集・保存するか、他の組織に引き渡すことで、データと関連コンテンツが継続的に保存されるようにする責任を負っている。データ及びそこから得られるデジタル製品の理解と再利用に必要なすべてのコンテンツを確実に保存するためには、これらのコンテンツを規定する標準が必要である。アーカイブと保存全般を扱う標準は既に存在するが、どのようなコンテンツを保存すべきかを規定した国際標準や仕様は存在しない。
情報コンテンツの保存に関する仕様は、既存のアーカイブ標準を補完するものである。国際宇宙データシステム諮問委員会(CCSDS)に加盟する宇宙機関は、宇宙関連データコレクションの長期保存に用いる情報標準の策定の重要性を長年認識してきており、ボランティアによって、オープン・アーカイブ情報システム参照モデル(OAIS-RM)が開発された。その後、この活動は、関連する様々な関心事項を通じて拡大を続け、機関標準策定のためのより実践的な指針へと発展している。その一例としては、情報伝達とアーカイブ化を促進するためのデータとメタデータのパッケージ化に関する推奨標準(XFDU)がある[11]。OAIS-RMの最新の改訂版はISO 14721である。OAIS-RMは、デジタル情報のアーカイブ化の概念的枠組みを提供する。CCSDSはまた、OAIS-RMに基づいて信頼できるデジタルリポジトリーの認証要件を規定するISO 16363及び、アーカイブの要件への適合性を監査する方法を規定するISO 16919を開発した。
ISO 19115-1は、地理情報及びサービスを記述するためのメタデータモデルを提供する。ISO 19115-2は、地理画像及びグリッドデータの取得と処理を記述するための構造を追加することでISO 19115-1を補強している。ISO 19115-2は、データを取得する機器の特性(機器の形状や製造プロセスなど)を表現するために必要な構造を提示する。ISO 19115-2が提示する構造は、本規格(ISO 19165-2)で規定することを意図している保存内容を表現するのに有用である。
ISO 19165-1 は地理情報の保存全般を考慮しており、この規格 (ISO 19165-2) は地球観測データ及びその派生製品に対するその拡張である。
ISO 19165-1:2018 7.3.1 では、データ及び関連データの完全な来歴とコンテキストを保存するために必要な具体的なコンテンツ項目は、対象となるコミュニティの要求やデータ集合の種類(例:地図、衛星や航空機搭載機器からのリモートセンシングデータ、物理的サンプル)によって異なることが示されている。また、特定の分野に適したコンテンツ項目の詳細を提示するために、ISO 19165-1 のフォローアップ部分が開発される可能性があることも示されている。
この規格は、ISO 19165 シリーズの第2部として、宇宙及び航空機によるリモートセンシング、及び現場観測から得られる地球観測データと派生デジタル製品のより詳細な仕様を提示する。
この規格は、米国地球科学情報パートナー(ESIP)[5]、NASA[6]、ESA、CEOS WGISS[7]のデータ保存・管理委員会による作業の恩恵を受けている。これらのグループの文書は、前述のISO国際規格と統合され、ユーザーの便宜を図るために地球観測ミッションから保存されるべき特定のコンテンツ項目を提示している。この規格で指定されたコンテンツ項目が保存されれば、ユーザーは、データ製品の作成を担当した元のチームの支援なしに、データ製品を理解し、再利用し、そして理想的には再生成するのに十分な情報を得ることができると期待される。
この規格は、デジタル地理空間データの長期保存を拡張し、宇宙、航空機、又はその場の機器を使用して地球を観測するミッションのデータの来歴とコンテキストに固有の内容の詳細を提示することを目的とする。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 19115-1, Geographic information — Metadata — Part 1: Fundamentals
ISO 19115-2, Geographic information — Metadata — Part 2: Extensions for acquisition and processing
ISO 19115-3, Geographic information — Metadata — Part 3: XML schema implementation for fundamental concepts
ISO 19130-1, Geographic information — Imagery sensor models for geopositioning — Part 1: Fundamentals
ISO/TS 19130-2, Geographic information — Imagery sensor models for geopositioning — Part 2: SAR, InSAR, lidar and sonar
ISO 19157-1, Geographic information — Data quality — Part 1: General requirements
ISO 19157-2, Geographic information — Data quality — Part 2: XML schema implementation
ISO/TS 19159-1, Geographic information — Calibration and validation of remote sensing imagery sensors and data — Part 1: Optical sensors
ISO/TS 19159-2, Geographic information — Calibration and validation of remote sensing imagery sensors and data — Part 2: Lidar
ISO/TS 19159-3, Geographic information — Calibration and validation of remote sensing imagery sensors and data — Part 3: SAR/InSAR
ISO 19165-1, Geographic information — Preservation of digital data and metadata — Part 1: Fundamentals
この規格の目的に応じて、次の用語及び定義が適用される。
ISOとIECは、規格化に使用する用語データベースを次のアドレスにおいて維持・公開している。
— IEC Electropedia: http://www.electropedia.org/
— ISO オンライン閲覧プラットフォーム: http://www.iso.org/obp
3.1
analysis ready data
分析準備済みデータ
<earth observation> 最小限の要件に従って処理され、最小限の追加ユーザー作業で即時分析が可能で、時系列及び他のデータ集合との相互運用性を備えた形式に整理されたデータ
注記1:地球観測衛星委員会(CEOS)によるCEOS陸域分析準備済みデータ(CARD4L)の定義は、ここでは「衛星」という語を省略し、衛星データ以外のデータも含むように一般化されている。
注記2:参考文献[10]を改変。
備考1 )参考文献[10]とは、"Committee on Earth Observation Satellites. http://ceos.org/ard/"のことである。
3.2
ancillary data
補助データ
<earth observation> センサー自体から取得されないデータ(通常は科学的遠隔測定法 (science telemetry) で提供される)で、機器に関するデータ処理を主な目的とするデータ
注記1:補助データとは、純粋にデータ処理を支援するために存在するデータを指す。補助データ(3.3)は、処理を助けるが、一方で、それ自体がデータ集合でもある。
注記2:補助データは、計測プラットフォームの他の部分から取得される「エンジニアリングデータ」、「コアハウスキーピングデータ」、又は「サブシステムデータ」である場合がある。補助データには、位置と速度、姿勢とその変化範囲、時間、温度、圧力、内部で生成される磁場、その他の環境測定などのパラメータが含まれる場合がある。
注記3:一部のミッションでは、補助データを、それ自体データ集合として扱う場合があり、そのため、ここでの補助データと支援データ(3.3)の区別は曖昧になる。
注記4:オリジナルな情報源の定義は、宇宙搭載地球観測に合わせて調整される。ここでは、より一般的な表現となるよう若干修正されている。補助データとは、センサー自体によって収集されないデータであり、その主な目的は処理に用いられるという考え方である。これは、航空機搭載型及び現場観測型機器による地球観測データにも当てはまる。
注記5:参考文献[8]より改変。
備考1)コアハウスキーピングデータとは人工衛星の健全性を示す主要なデータを指す。
備考2)参考文献[8]とは、
"CEOS/WGISS, 2017: Long Term Preservation of Earth Observation Space Data, Glossary of Acronyms and Terms, Version 1.2. http://ceos.org/document_management/Working_Groups/WGISS/Interest_Groups/Data_Stewardship/White_Papers/EO-DataStewardshipGlossary_v1.2.pdf "
3.3
auxiliary data
支援データ
<earth observation> 地球観測機器データの処理および利用を促進するデータ
注記1:支援データは、機器データと同じデータ収集プロセスによって取得されるものではない。支援データには、他のプラットフォーム又はプロセスによって収集されたデータ(地理参照されたデジタル形式が望ましい)が含まれる。支援データはデータ処理に役立つが、それ自体がデータ集合でもある。
注記2:参考文献[8]より改変。
備考1)参考文献[8]とは、
"CEOS/WGISS, 2017: Long Term Preservation of Earth Observation Space Data, Glossary of Acronyms and Terms, Version 1.2. http://ceos.org/document_management/Working_Groups/WGISS/Interest_Groups/Data_Stewardship/White_Papers/EO-DataStewardshipGlossary_v1.2.pdf "
3.4
dataset
データ集合
他と識別可能なデータの集まり
[ISO 19115-1:2014 4.3を参照 — 注記1は削除されている]
3.5
dataset series
データ集合系列
共通の特徴を共有するデータ集合(4.3)の集まり
[ISO 19115-1:2014 4.4を引用]
3.6
granule
グラニュール、粒
独立して管理されるデータの最小集成体
注記1:グラニュールは、論理グラニュール又は物理グラニュールとして管理(記述、インベントリ化、検索可能化)される場合がある。
注記2:グラニュールは多くの場合、データ集合(3.4)と同義である。
3.7
mission
ミッション、任務
<earth observation> 宇宙搭載、航空機搭載、又は現場観測機器を用いた活動
注記1:一部の組織では、「ミッション」という用語を衛星観測活動に限定し、航空機搭載および現場観測活動をそれぞれ「調査」および「現地観測活動」と呼んでいる。
3.8
product level
製品レベル
< earth observation> 観測データに対して行われる処理の程度を示す番号
注記1:製品レベル0から4は、生データを、より有用なパラメータ及びフォーマットに変換するために行われる処理の程度を示す。地球観測衛星委員会(CEOS)は、製品レベルを次のように定義している。
— 生データ:衛星から受信した元のパケットのままのデータ。
— レベル0:フル時空間分解能で再構成された未処理の機器データ。後続の処理で使用するすべての補足情報(例:軌道情報 (ephemeris)、健全・安全情報)が付加されている。
— レベル1:解凍(unpack)されて、再フォーマットされたレベル0データ。後続の処理で使用するすべての補足情報が付加されている。物理単位でパラメータを生成するために、オプションで放射補正及び幾何補正が適用される。データは通常、フル時空間分解能で提供される。様々なサブレベルの製品が可能である。
— レベル2:レベル1の元データと同じ解像度及び位置で取得された環境変数(例:海洋波高、土壌水分、氷の密接度)。
— レベル3:空間的及び/又は時間的に再サンプリングされた(すなわち、レベル1又は
2の製品から得られた)データ又は取得された環境変数。このような再サンプリングには、平均化や合成が含まれる場合がある。
— レベル4:モデル出力又は下位レベルデータの解析結果(すなわち、機器によって直接測定されたのではなく、これらの測定から得られた変数)。
注記2:ここで定義される製品レベルは、衛星リモートセンシングの成果に由来する。航空機観測及び現場観測の場合、これらは必ずしも適用されるわけではないが、観測データに対して行われた処理の程度を示すために適宜使用される場合がある。
注記3:参考文献[9]を改変。
備考1)参考文献[9]とは、
"Committee on Earth Observation Satellites. Working Group on Information Systems and Services, Interoperability Handbook, February 2008, Issue 1.1, http://ceos.org/document_management/Working_Groups/WGISS/Documents/WGISS_CEOS-Interoperability-Handbook_Feb2008.pdf"
3.9
stage
ステージ、段階
<earth observation> ミッションのライフサイクル中の明確に定義された部分
[1] ISO 14721, Space data and information transfer systems — Open archival information system (OAIS) — Reference model
[2] ISO 16363, Space data and information transfer systems — Audit and certification of trustworthy digital repositories
[3] ISO 16919, Space data and information transfer systems — Requirements for bodies providing audit and certification of candidate trustworthy digital repositories
[4] ISO 19131, Geographic information — Data product specifications
[5] ESIP, 2011: Provenance and Context Content Standard (PCCS), http://wiki.esipfed.org/index.php/Provenance_and_Context_Content_Standard
[6] NASA, 2011: Earth Science Data Preservation Content Specification (PCS), https://earthdata.nasa.gov/files/NASA_ESD_Preservation_Spec.pdf
[7] ESA and CEOS/WGISS, 2015: Earth Observation Preserved Data Set Content (PDSC), http://ceos.org/document_management/Working_Groups/WGISS/Interest_Groups/Data_Stewardship/Recommendations/EO%20Preserved%20Data%20Set%20Content_v1.0.pdf
[8] CEOS/WGISS, 2017: Long Term Preservation of Earth Observation Space Data, Glossary of Acronyms and Terms, Version 1.2. http://ceos.org/document_management/Working_Groups/WGISS/Interest_Groups/Data_Stewardship/White_Papers/EO-DataStewardshipGlossary_v1.2.pdf
[9] Committee on Earth Observation Satellites. Working Group on Information Systems and Services, Interoperability Handbook, February 2008, Issue 1.1, http://ceos.org/document_management/Working_Groups/WGISS/Documents/WGISS_CEOS-Interoperability-Handbook_Feb2008.pdf
[10] Committee on Earth Observation Satellites. http://ceos.org/ard/
[11] CCSDS, 2008: XML Formatted Data Unit (XFDU) Structure and Construction Rules
[12] QA4EO, 2009: A Quality Assurance Framework for Earth Observation: Operational Guidelines, Version 3.0, July 1, 2009, http://qa4eo.org/docs/Guidelines_Framework_v3.0.pdf.
(2025-09-16)