ISO 19125-1:2004 Geographic information/Geomatics — Simple feature access - Part:1 Common architecture
現行
履歴
なし
対応OGC標準:OpenGIS Implementation Specification for Geographic information – Simple feature access – Part 1: Common architecture 1.2.1 06-103r4
対応JIS規格:なし
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:40114:en
このISO 19125-1では、単純地物の幾何の共通アーキテクチャを示す。単純地物の幾何オブジェクトモデルは、分散コンピューティングプラットフォームに依存せず、UMLで表記する。基礎となるGeometry クラスには、Point、Curve、Surface及びGeometryCollectionの下位クラスがある。各幾何オブジェクトは、幾何オブジェクトが定義される座標空間を示す空間参照系に関連付けられる。
拡張幾何モデルには、それぞれ点、折れ線、多角形の集まり(correction)に対応する幾何をモデル化するための、MultiPoint、MultiLineString、MultiPolygonという特別な0、1、2 次元のコレクション クラスがある。また、曲線と表面を処理するコレクション インタフェースを汎化する抽象上位クラスとして、MultiCurve及びMultiSurfaceが導入されている。
各Geometryクラスの属性、メソッド、制約事項(assertion)については、6.1.1の図1に示す。メソッドの説明は、メソッドの受信者(メッセージが送信される対象)が参照するために使用される。
SFA COM 関数の「シグネチャ」では、SFA SQLとは異なる表記法が使用される場合がある。COMプログラマーにとっては、COM表記法の方が馴染み深いであろう。ただし、このISO 19125-1では、UML表記法が使用される。この国際規格では、部ごとに異なる方法が使用される場合もある。その場合は、その部の中で違いが示される。
備考1)"SFA"はSimple Features Accessの略語である。
備考2)"COM"はComponent Object Modelの略語である。COMは、アプリケーションソフトウェア間の通信や、オペレーティングシステムとアプリケーションソフトウェアとのインターフェイス(API)に用いられる、プラットフォーム非依存・分散型・オブジェクト指向のシステムである。COM APIはC++やVisual Basicのような言語から用いられる。
https://learn.microsoft.com/en-us/windows/win32/com/component-object-model--com--portal
備考3)"SQL"はStructured Query Languageの略語である。SQLは関係データベース管理システム(RDBMS)において、データの定義や操作を行うための言語であり、ISO/IEC 9075 "Information technology - Database languages - SQL"として国際規格になっている。
このISO 19125-1は、ISO 19107:2003「地理情報 - 空間スキーマ」で説明されている空間スキーマのプロファイルを実装する。付録Aには、このISO 19125-1のスキーマと ISO 19107:2003 で示されているスキーマとの詳細な関係(mapping)が示されている。
このISO 19125-1では共通アーキテクチャを確立し、アーキテクチャ内で使用する用語を定義する。
このISO 19125-1は、次に示すような、型の追加及び維持するメカニズムのどの部分にも依存せず、標準化を試みるものでもない:
a) 型を定義するための構文と機能。
b) 関数を定義するための構文と機能。
c) データベース内の型インスタンスの物理的な保存。
d) ユーザー定義型 (UDT など) を参照するために使用される特定の用語。
このISO 19125-1は、幾何型の名前と幾何学的定義を規定する。
このISO 19125-1では、内部スキーマでGeometry Typeを定義する方法についての要件は何も定めない。また、Geometry Typeをいつ、どのように、誰が定義するかについても何も要件を定めない。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 19107:2003, Geographic information — Spatial schema
ISO 19111:2003, Geographic information — Spatial referencing by coordinates
この規格の目的に応じて、次の用語及び定義が適用される。
4.1
boundary
境界
実体の広がりの限界を示す集合
注記1:境界が最もよく使用されるのは、集合が点の集まり又はこれらの点を表すオブジェクトの集まりであるような幾何に関する記述においてである。他の分野では、この用語を、実体とその論議領域での余事象との遷移領域を比ゆ(喩)的に記述するために使用する。
[ISO 19107を引用][翻訳はJIS X 7107:2003 4.4を引用]
備考1)定義の原文は次のとおりであり、「広がりの」は含まれていない。"set that represents the limit of an entity"
備考2)2024年時点で、この用語の定義及び注記の最新版はISO 19107:2019 3.6に示されている。
4.2
buffer
バッファ
指定された幾何オブジェクト(4.14)から与えられた距離以内のすべての直接位置(4.8)を含む幾何オブジェクト
[ISO 19107を引用][翻訳はJIS X 7107:2003 4.5を引用]
備考1)直接位置の箇条は4.8でなければいけないが、原文では4.7になっている。
4.3
coordinate
座標
n次元空間内の点の位置を示すためのn個の数値の列
注記1:座標参照系では、座標値には単位が付加される。
[ISO 19111を参照] [翻訳はJIS X 7111:2014 4.5を引用]
備考1)この定義の原文は" one of a sequence of n-numbers designating the position of a point (4.17) in n-dimensional space"であるが、和訳では"one of"が翻訳されていないので、"coordinate"が座標の成分を示す点が、表現されていないと考えられる。ISO 19111:2019 3.1.5の定義及び備考を参照のこと。
4.4
coordinate dimension
座標次元
ある座標系における位置を記述するために必要な計測値又は座標軸の数
[ISO 19107を引用][翻訳はJIS X 7107:2003 4.20を引用]
4.5
coordinate reference system
座標参照系
原子によってオブジェクトに関連付けられた座標系
[ISO 19111を参照][翻訳はJIS X 7111:2014 4.8の定義を引用。ただし注記は省かれている]
4.6
coordinate system
座標系
点にどのように座標を割り当てるかを規定する数学的規則の集合。
[ISO 19111を引用][翻訳はJIS X 7111:2014 4.10を引用]
4.7
curve
曲線
直線の連続な像を表現する一次元の幾何プリミティブ
注記1:曲線の境界は、その両端の点の集合である。曲線が閉路の場合、二つの端は同一であり、その曲線は(位相的に閉じている場合は)、境界をもたないとみなす。最初の点を始点、最後のものを終点と呼ぶ。“直線の連続的な像”という定義文の語句によって、曲線の連結性が保証される。位相幾何学の定理は、連結している集合の連続な像は連結であることを規定している。
[ISO 19107を引用][翻訳はJIS X 7107:2003 4.23を引用]
4.8
direct position
直接位置
座標参照系(4.5)の中で一つの座標(4.3)によって記述された位置
[ISO 19107を引用][翻訳はJIS X 7107:2005 4.26を引用]
[+]
4.9
end point
終点
曲線の最後の点
[ISO 19107を引用][翻訳はJIS X 7107:2005 4.36を引用]
4.10
exterior
外部
全体集合とある集合の閉包との差集合
[ISO 19107を引用][翻訳はJIS X 7107:2005 4.37を引用]
4.11
feature
地物
実世界の現象の抽象概念
注記1:地物は型として、又はインスタンスとして現れる。型又はインスタンスの一方だけを意味するときには、地物型又は地物インスタンスという用語を使うのが望ましい。
[ISO 19101を参照]
4.12
feature attribute
地物属性
地物の特性
注記1:地物属性は、それに関連付けられた名前、データ型及び値の定義域をもつ。地物インスタンスの地物属性は、加えてその定義域から選ばれた属性値をもつ。
[ISO 19101を参照][翻訳はJIS X 7107:2005 4.40を引用]
備考1)ISO 19101-1:2014 4.1.12では定義中にある「特性」を「特徴」と訳している。これは、原文のcharacteristicを「特徴」とするためである。ちなみに「特性」はpropertyの訳語にしている。
4.13
geometric complex
幾何複体
互いに素な幾何プリミティブの集合で、各幾何プリミティブの境界を、その集合の中の、より低い次元の他の幾何プリミティブの和集合として表すことができるようなもの
注記1:集合の中の幾何プリミティブは、複数の幾何プリミティブの内部に自らの点が入らないという意味で互いに素である。集合は境界演算の元で閉じられる。これは、幾何複体の各要素について、その要素の境界を表す幾何プリミティブの集まり(これも幾何複体となる)が存在することを意味する。すでに述べたように、点(幾何要素の中で唯一の0Dプリミティブオブジェクト型)の境界は空集合である。したがって、最も高い次元の幾何プリミティブが立体(3D)の場合、この定義の境界演算子の合成は、高々3ステップ後には終結する。また、任意のオブジェクトの境界は輪体となる。
[ISO 19107を引用][翻訳はJIS X 7107:2005 4.45を引用]
4.14
geometric object
幾何オブジェクト
幾何集合を表す空間オブジェクト
注記1:幾何オブジェクトは、幾何プリミティブ、幾何プリミティブの集まり又は単一の実体として扱われる幾何複体からなる。幾何オブジェクトは、地物又は地物の重要な部分の空間表現に用いてよい。
[ISO 19107を引用][翻訳はJIS X 7107:2005 4.47を引用]
4.15
geometric primitive
幾何プリミティブ
単一の連結で均質な空間の要素を表す幾何オブジェクト(4.14)
注記1:幾何プリミティブは、幾何構成についての情報を表す不可分なオブジェクトである。点、曲線、曲面及び立体は幾何プリミティブである。
[ISO 19107を引用][翻訳はJIS X 7107:2005 4.48を引用]
4.16
interior
内部
幾何オブジェクト上にありその境界上にはないすべての直接位置(4.8)の集合
注記1:位相オブジェクトの内部は、その任意の幾何実現の内部の準同形の像である。これは、位相幾何学の定理から導かれるので、ここでの定義には含めない。
[ISO 19107を引用][翻訳はJIS X 7107:2005 4.54を引用]
[+]
4.17
point
点
位置を表現する零次元の幾何プリミティブ(4.15)
注記1:点の境界は空集合である。
[ISO 19107を引用][翻訳はJIS X 7107:2005 4.61を引用]
4.18
simple feature
単純地物
頂点間が線形補間される2次元幾何に制限される、空間及び非空間属性の両者をもつ地物(4.11)
4.19
start point
始点
曲線の最初の点
[ISO 19107を引用][翻訳はJIS X 7107:2005 4.72を引用]
4.20
surface
曲面
局所的に平面領域の連続な像を表す二次元の幾何プリミティブ(4.15)
注記1:曲面の境界は、曲面の限界の輪郭を描く向きをもつ閉曲線の集合である。
[ISO 19107を参照][翻訳はJIS X 7107:2005 4.75を参照]
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(2024-09-08)