ISO 19136-1:2020 地理情報−地理マーク付け言語(GML) 第1部:基本
ISO 19136-1:2020 Geographic information — Geography Markup Language (GML) — Part 1: Fundamentals
現行
履歴
ISO 19136:2007(廃止)
対応OGC標準:10-129r1 OGC Geography Markup Language (GML) – Extended schemas and encoding rules (ISO 19136:2007に対応)
対応JIS規格:JIS X 7136:2012 地理情報–地理マーク付け言語(GML) (ISO 19136:2007に対応)
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:iso:19136:-1:ed-1:v1:en
地理マーク付け言語(GML)は、地理情報の伝送及び格納を行うとともに応用スキーマを記述するために、XML Schemaで書いたXML文法である。
備考1)この規格の規定部分は、適合するGMLデータインスタンスの文法を記述するために、W3C XML Schema言語(この規格ではXML Schemaと称する)を使用する。XML Schemaは、多くの可能性及び巧妙さをもつ高機能な言語である。XML Schemaに不慣れな読者は、一般的な方法によって記述された説明を理解できるかもしれないが、この規格では、XML Schemaの解説はしていない(本文5.5を参照)。
実世界をモデル化するためにGMLが使う主要な概念は、ISO 19100シリーズの国際規格及びOpenGIS 抽象仕様からとった。
地球上の場所と関連する“実世界の現象の抽象概念”(ISO 19101)を地物という。したがって、実世界のデジタルな表現は、地物の集まりと考えられる。地物の状態は、特性の集まりで定義する。ここでそれぞれの特性は、{名前、型、値}の組と考えられる。
地物がもつことのできる、名前及び型を伴う特性の数は、地物の型定義によって定まる。特性として幾何要素をもつ地物は、幾何要素の値をもつことができる。地物の集まりはそれ自体を地物として扱うので、地物の集まりは、地物型をもち、それゆえ、それに含まれる複数の地物に加えて、それ自体も、個別の特性をもつことができる。
ISO 19109に適合する応用システム又は応用分野における地物型は、通常応用スキーマの中に含まれる。GML応用スキーマは、XML Schemaに従って示し、次の二つの手段のいずれかによって構築する。
- ISO 19109が示すUMLで記述する応用スキーマのための規則を順守し、それらのスキーマに対する制約及びこの規格で示すGML応用スキーマへの写像のための規則に適合させる。
- XML Schemaで直接GML応用スキーマを作成するために、この規格で示すGML応用スキーマのための規則を順守する。
この規格では、これら二つの手段を利用可能にする。ISO 19100シリーズの規格の概念モデリングの枠組みの適切な使用を確実にするために、全ての応用スキーマを、ISO 19109が示す一般地物モデルに従ってモデル化することが求められる。ISO 19100シリーズでは、概念スキーマをモデル化する言語としてUMLを推奨している。
GMLは、 ISO 19100シリーズの規格及びOpenGIS抽象仕様が定義する概念クラスの多くに対して、ISO 19118に適合したXML符号化を規定する。規定された概念モデルは、次の規格文書で規定する概念モデルを含んでいる。
- ISO/TS 19103-概念スキーマ言語(計測単位、基本型)
- JIS X 7107-空間スキーマ(幾何及び位相オブジェクト)
- JIS X 7108-時間スキーマ(時間幾何及び位相オブジェクト、時間参照系)
- JIS X 7109-応用スキーマのための規則(地物)
- ISO 19111-座標による空間参照(座標参照系)
- ISO 19123-被覆の幾何及び関数のためのスキーマ
この規格の目的は、上記の規格が示す概念モデルに示す型の、標準的な符号化(すなわち、XMLに規格適合する実装)を行うことである。仮に、全ての応用スキーマを個別に符号化し、その符号化処理が、例えばISO 19108からとった型を含むとき、一義的で完全に固定化した符号化規則がなければ、XMLによる符号化は、異なるものになってしまう。また、全ての実装手段は、それぞれ長所短所をもつので、ISO 19100シリーズの規格の中でモデル化する、核となる地理情報概念の規格、及び応用スキーマで共通的に使用するXMLによる符号化の規格が役に立つ。
多くの場合、概念クラスからの写像は簡明なものだが、より複合的になる場合もある(写像の詳細記述は、この規格の一部である。)。
加えてGMLは、ISO 19100シリーズの規格又はOpenGIS抽象仕様でモデル化していない追加的な概念、例えば、動的地物、単純観測又は値オブジェクトなどのためのXMLによる符号化法を示す。
GMLで定義済みの地物型には、被覆及び単純観測が含まれる。
被覆は地物のサブタイプであり、時空間領域と、均質な1次元からn次元の組(タプル)の値集合の範囲を持つ被覆関数をもつ。被覆は、一つの地物又は地物の集まりを表し、「地球上の現象間の空間関係及び空間分布をモデル化して可視化する」(OGC 抽象仕様トピック 6[18])ので、被覆は「時空間領域内の任意の直接位置について、その範囲から値を返す関数として機能する」(ISO 19123)。
観測は、多くの場合カメラやその他の手段、人物又は何らかの形の器具を使用して観察する行為をモデル化する (Merriam-Webster 辞書: 「器具による測定を伴うことが多い事実または出来事を認識し、記録する行為」)。観測は、それが行われた時刻及び観測値を持つGML 地物であると見なされる。
参照系は、位置、時間、又はその他の記述的な量及び品質に値を割り当てるための測定尺度を提示する。
座標参照系は、地球の大きさと形状を定義する原子(datum)を通じて地球に関連付けられた一連の座標系軸から構成される。
時間参照系は、時間を測定して時間の長さや継続時間を記述するための標準単位を提示する。
参照系辞書は、空間幾何又は時間幾何で使用される参照系の定義を提示する。
空間幾何は、空間地物特性値であり、測定が行われた座標参照系を指定する。幾何複体又は幾何集成の「親」幾何要素は、その構成幾何に対してこの指定を行う。
時間幾何は、時間的地物特性値である。空間幾何と同様に、時間幾何は、測定が行われた時間参照系を指定する。
空間位相又は時間位相は、地物間のさまざまな位相関係を表現するために使用される。
測定単位辞書は、長さ、温度、圧力などの物理量の数値測定の定義と、単位間の変換法を提示する。
注記: この規格では、ISO 19107:2003及びISO 19111:2007 (廃止された標準で、2019年版に置き換えられた) を参照している。これは、この版のISO 19136-1が、以前の版の ISO 19107 及びその他の標準の XML 実装のままであるためである。
地理マーク付け言語(GML)は、ISO 19100シリーズの国際規格で使用される概念モデリングの枠組みに従ってモデル化された地理情報の伝送及び格納を目的とする、ISO 19118 に準拠した XML符号化法であり、地物の空間的特性及び非空間的特性の両方を含む。
この規格は、次に示すXML Schemaの構文規則、仕組み及び仕様を定義する。
- XMLで地理情報の伝送及び格納を行うための地理空間応用スキーマの記述を行う、開放型の中立的な枠組みを提供する。
— GMLの枠組みの中での記述できる適切な部分集合を利用可能にするプロファイルを許す。
— 専門領域及び情報コミュニティのための地理空間応用スキーマの記述を可能とする。
-互いに関連する地理応用スキーマ及びデータ集合の生成及び維持を可能とする。
-応用スキーマ及びデータ集合の格納及び伝送を可能とする。
-地理応用スキーマ及びそれに従う情報を共用する組織の能力を増大させる。
実装を行う者は、GMLで地理応用スキーマ及び情報を格納することを決めることができ、又、要求に応じて別の格納形式から変換したり、スキーマ及びデータの伝送にGMLだけを使用したりすることを決めてもよい。
注記:UMLで記述するISO 19109に従う応用スキーマを地理情報の格納及び伝送のための基礎として使用するとき、この規格は、そのような応用スキーマをXML SchemaによるGML応用スキーマに写像し、ISO 19109適合の応用スキーマに応じる論理構造をもつデータをXML符号にするための規定を示す。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 8601-1 Date and time — Representations for information interchange — Part 1: Basic rules
ISO/IEC 11404:2007 Information technology — General-Purpose Datatypes (GPD)
ISO 19108:2002 Geographic information — Temporal schema
ISO 19123:2005 Geographic information — Schema for coverage geometry and functions
ISO/IEC 19757-3 Information technology — Document Schema Definition Languages (DSDL) — Part 3: Rule-based validation — Schematron
ISO 80000-3 Quantities and units — Part 3: Space and time
IETF RFC 2396 Uniform Resource Identifiers (URI): Generic Syntax (August 1998)
W3C XLink XML Linking Language (XLink) Version 1.1、 W3C Recommendation (6 May 2010)
W3C XML Extensible Markup Language (XML) 1.0 (Fith Edition)、 W3C Recommendation (26 November 2008)
W3C XML Namespaces Namespaces in XML 1.0 (Third Edition)、 W3C Recommendation (8 December 2009)
W3C XML Schema Part 1 XML Schema Part 1: Structures、 W3C Recommendation (28 October 2004)
W3C XML Schema Part 2 XML Schema Part 2: Datatypes、 W3C Recommendation (28 October 2004)
3.1 用語及び定義
この規格では、次に示す用語と定義が適用される。ISOとIECは、規格化に使用する用語データベースを次のアドレスにおいて維持・公開している。
— IEC Electropedia: http://www.electropedia.org/
— ISO オンライン閲覧プラットフォーム: http://www.iso.org/obp
3.1.1
application schema
応用スキーマ
一つ以上の応用システムによって要求されるデータのための概念スキーマ(3.1.52)
[ISO 19101-1:2014 4.1.2を引用][翻訳はJIS X 7109:2009 4.2を引用]
3.1.2
association
関連
<UML> 型付けされたインスタンス間で発生する可能性があるセマンティックな関係
[ISO 19103:2015 4.4を参照 —注記1は削除されている]
3.1.3
attribute
属性
<XML> 名前と値の対であって、要素(3.1.23)に含まれるもの
注記 1:この規格では、特に示さないときは、属性はXML 属性を指す。XML 属性の構文は、「Attribute::= Name = AttValue」である。属性は、主にXML 要素修飾子 (例: <Road gml:id = “r1” />。ここで gml:id は、属性である)として働く。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.3を参照]
3.1.4
boundary
境界
実体の広がりの限界を示す集合。
[ISO 19107:2019 3.6を参照 — 注記1は削除されている][翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.4を引用]
3.1.5
child element
子要素
<XML>要素の直下にある要素(3.1.23)
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.5を参照
3.1.6
closure
閉包
位相オブジェクト(3.1.59)又は幾何オブジェクト(3.1.30)の内部(3.1.39)と境界(3.1.4)との和集合。
[ISO 19107:2019 3.8を引用]
3.1.7
codelist
符号リスト、コードリスト
許容する値のための符号を含む、値の定義域。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.7を参照]
3.1.8
codespace
符号空間
符号、名前、用語又は範ちゅう(疇)を示す規則又は典拠。
例 符号空間の例としては、辞書、典拠、符号リストなどがある。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.8を引用]
3.1.9
composite curve
合成曲線
列の各曲線が(最初のものを除き)直前の曲線の終点から開始するような曲線の列。
注記1: 合成曲線は、直接位置の集合として、曲線の全ての性質をもつ。
[翻訳はJIS X 7107:2005 4.10を引用]
[+]
3.1.10
composite solid
合成立体
共有された境界(3.1.4)曲面に沿って互いに隣接する立体の連結した集合。
注記1:合成立体は、直接位置の集合として、立体の全ての性質をもつ。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.10を引用]
[+]
3.1.11
composite surface
合成曲面
共有された境界(3.1.4)曲線に沿って互いに隣接する曲面(3.1.57)の連結した集合。
注記1:合成曲面は、直接位置の集合として、曲面の全ての性質をもつ。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.11を引用]
[+]
3.1.12
coordinate
座標、座標成分
点の位置を指し示す数の列のうちの一つ
注記1:空間座標参照系では、座標を示す数は単位によって修飾される。
[ISO 19111:2019 3.1.5を引用]
3.1.13
coordinate reference system
座標参照系
原子(3.1.19)によってオブジェクトに関連付けた座標系(3.1.14)。
[ISO 19111:2019 3.1.9を参照 — 注記1は削除されている][翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.13を引用]
3.1.14
coordinate system
座標系
点にどのように座標(3.1.12)を割り当てるかを規定する数学的規則の集合。
[ISO 19111:2019 3.1.11を引用][翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.14を引用]
3.1.15
coordinate tuple
座標組
複数の座標成分(3.1.12)で構成する組(3.1.60)
[ISO 19111:2019 3.1.13 を参照 — 注記1は省略した]
3.1.16
coverage
被覆
空間定義域、時間定義域又は時空間定義域(3.1.21)内の各々の直接位置(3.1.20)に対して、決められた値域(3.1.50)からの値を返す関数(3.1.28)として機能する地物 (3.1.26)。
[ISO 19123:2005 4.1.7を参照 —例と注記は省略した][翻訳はJIS X 7123:2012 4.1.7を参照]
3.1.17
curve
曲線
直線の連続な像を表現する一次元の幾何プリミティブ
注記1:曲線の境界は、その両端の点の集合である。曲線が閉路の場合、二つの端は同一であり、その曲線は(位相的に閉じている場合は)、境界をもたないとみなす。最初の点を始点、最後のものを終点と呼ぶ。“直線の連続的な像”という定義文の語句によって、曲線の連結性が保証される。位相幾何学の定理は、連結している集合の連続な像は連結であることを規定している。
[翻訳はJIS X 7107:2005 4.23を引用]
3.1.18
data type
データ型
その定義域内の値に対して許可される、操作(4.26)を伴う、値の定義域(4.37)の仕様
例 整数、実数、ブール値、文字列、(データを符号の列に変換した)日付
注記1:データ型は、基本的で既定義の型及び使用者が定義した型を含む。データ型のインスタンスは、全て識別性をもたない。
[ISO 19103:2015 4.14を参照 — 例及び注記1に補足情報が追加されている]
[+]
3.1.19
datum
原子
座標系 (3.1.14) の原点の位置、尺度、及び軸の向きを定義するパラメータ又はパラメータの集合
[ISO 19111:2019 3.1.15を引用]
3.1.20
direct position
直接位置
座標参照系 (3.1.13) の中で一つの座標 (3.1.12) によって記述された位置
[翻訳はJIS X 7107:2003 4.26を引用]
3.1.21
domain
領域、定義域
明確に定義された集合
注記1:数学関数は、この集合上で定義する。例えば関数f:A→Bにおいて、Aは、関数fの定義域である。
注記2:“論議領域”(domain of discourse)の場合の“領域”は、主題又は興味の範囲を指している。
[ISO 19109:2015 4.8を参照]
[+]
3.1.22
edge
エッジ
一次元の位相プリミティブ
注記1:エッジの幾何実現は曲線である。エッジの境界は、位相複体の中でこのエッジと関連付けられた一つ又は二つのノードの集合である。
[ISO 19107:2019 3.29を引用]
3.1.23
element
要素
<XML>子要素(3.1.5)、属性(3.1.3)及び文字データを含むXML文書の基本的な情報項目
注記1:拡張マーク付け言語 (XML) 1.0 (第5版) の第3項では、次の定義が使用されている。「XML文書は、一つ以上の要素を含み、その境界は開始タグ及び終了タグによって、又は空の要素の場合は、空要素タグによって区切る。それぞれの要素は、型をもち、‘一般識別子’(GI)ともいう名前によって識別するとともに、属性仕様の集合をもつことができる。それぞれの属性仕様は、名前及び値をもつ。」
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.23を参照]
3.1.24
exterior
外部
<geometry、 topology> 全体集合と閉包の差
注記1:外部の概念は、位相オブジェクト及び幾何オブジェクトの両方に適用できる。
[ISO 19107:2019 3.37を引用]
3.1.25
face
フェイス
<topology>2次元の位相プリミティブ
注記1:フェイスの幾何実現は曲面である。フェイスの境界は、境界関係をとおしてフェイスに関連付けられる同じ位相複体内の有向エッジの集合である。これらは輪の形にそろ(揃)えることができる。
[ISO 19107:2019 3.38を引用]
3.1.26
feature
地物
実世界の現象の抽象概念
注記1:地物は型として、又はインスタンスとして現れる。型又はインスタンスの一方だけを意味するときには、地物型又は地物インスタンスという用語を使うのが望ましい。
[ISO 19101-1:2014 4.1.11を引用]
3.1.27
feature association
地物関連
ある地物型のインスタンスを同じ又は異なる地物型のインスタンスに結び付ける関係
[ISO 19110:2016 3.3を引用][翻訳はJIS X 7110:2009を参照した。]
[+]
3.1.28
function
関数
<mathematics、 programming> ある領域(3.1.21)(関数の "ソースドメイン" 又は "定義域")の各要素(3.1.23)を別の領域("ターゲット ドメイン"、"終域" 又は "値域"(3.1.50))の一意の要素に関連付ける規則
[ISO 19107:2019 3.41を引用]
3.1.29
geodetic datum
測地原子
二次元又は三次元座標系と地球との関係を記述する原子
[ISO 19111:2007 4.24を引用][翻訳はJIS X 7111:2014 4.24を引用]
3.1.30
geometric object
幾何オブジェクト
<geometry> 幾何集合(3.1.32)を表す空間オブジェクト(3.1.56)
[ISO 19107:2019 3.49 を参照 — 注記1は削除されている]
3.1.31
geometric primitive
幾何プリミティブ
<geometry> 単一の連結で均質(等方的)な空間の要素を表す幾何オブジェクト
[ISO 19107:2019 3.50を参照 — 注記1は削除されている]
3.1.32
geometric set
幾何集合
直接位置(3.1.20)の集合
注記1:この定義は、ISO 19107:2019 ではなく ISO 19107:2003 の定義から採られている。これは、2019年版では「点」という用語がこの規格よりも広い意味で使用されているためである。
備考1)2019年版では次のように定義されている。
「<geometry> 点の集合
注記1:集合が点位置のリストで構成されている場合を除き、ほとんどの場合、この集合は無限集合である。連続な曲線、曲面及び立体は点の無限集合である。一部のシステムでは、実際には複数の点による「退化(degenerate)」曲線が定義される。」
備考2)注記1にある「この規格よりも広い意味」とは、幾何プリミティブが点の無限集合であることを指すと考えられる。この規格では有限の数の点の集合、つまり退化した幾何集合で幾何プリミティブを表現することを指していると考えられる。」
3.1.33
geometry property
幾何特性
<GML> GML 地物(3.1.26) の特性 (3.1.49)。地物の幾何の側面を記述する。
注1:幾何特性名は、地物に対する幾何の役割名である。
3.1.34
GML application schema
GML応用スキーマ
この規格で示す規則に従って、XML Schemaで書く応用スキーマ(3.1.1)。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.34を引用]
3.1.35
GML document
GML文書
GMLスキーマで規定されている AbstractFeature要素、Dictionary要素若しくはTopoComplex要素の内のいずれか、又はこれらの要素のいずれかの代替グループの任意の要素を、根底要素としてもつXML文書。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.35を引用]
3.1.36
GML profile
GMLプロファイル
GMLスキーマの部分集合(3.1.37)
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.36を引用]
3.1.37
GML schema
GMLスキーマ
この規格で示すXML名前空間“http://schemas.opengis.net/gml/3.2/”の中のスキーマ構成部品の集まり。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.37を参照]
[+]
3.1.38
grid
グリッド
複数の曲線からなる集合二つ以上から構成されるネットワークで、各集合の要素となる曲線が、他の集合の要素となる曲線と一定の規則で交差するもの。
注記1:曲線は、空間をグリッドセルに分割する。グリッドはJIS X 7107:2005では“格子”としていたが、一般化しているとの理由で“グリッド”とした。
[ISO 19123:20054.1.23を引用][翻訳はJIS X 7123:2012 4.1.23 を参照]
3.1.39
interior
内部
幾何オブジェクト(3.1.30)上にありその境界(3.1.4)上にはない全ての直接位置(3.1.20)の集合。
[翻訳はJIS X 7107:2005 4.54を参照]
3.1.40
line string
線列
直線分で構成される曲線(3.1.17)
備考1)似たような用語にポリライン(polyline)があるが、始点と終点が一致して多角形を(polygon)を構成することができるなど、より複雑な形状をあらわすことが可能である。一方線列は、常に開いているとされる。
3.1.41
measure
測定値
<GML> スケール付きの数値又はスカラー参照系を使用して記述された値
注記1:名詞として使用される場合、測定値は物理量の同義語である。
3.1.42
measurand
測定対象量
測定の対象となる特定の量
[VIM:1993 2.6を引用]
備考1)VIM:1993は、ISO Guide 99: 1993 - International vocabulary of basic and general terms in metrology (VIM)のことである。このガイドはISO/IEC Guide 99:2007として改訂されており、その原文は日本規格協会が運営する次のサイトから、ダウンロードすることができる。
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/?bunsyo_id=ISO/IEC%20Guide%2099:2007
[+]
3.1.43
namespace
名前空間
<XML> URI (3.1.62) 参照によって識別される名前の集まり。XML文書で要素名や属性名として使用される(W3C XML Namespaces)
3.1.44
node
ノード
<topology> 零次元の位相プリミティブ
注記1:ノードの境界は空集合である。
[ISO 19107:2019 3.69を引用]
3.1.45
observable type
可観測型
観測の結果として得られる物理量を示すデータ型。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.46を引用]
3.1.46
physical quantity
物理量
物理現象の量的な表記に用いる量。
注記1:GMLでは物理量は、常に、スカラー参照系を使用する、又は尺度付きの数量を使用して記述する値である。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.50を引用]
3.1.47
point
点
位置を表現する零次元の幾何プリミティブ(3.1.31)。
注記1)点の境界は、空集合である。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.47を引用]
備考1)JIS X 7136:2012 4.1.47は、JIS X 7107:2005を引用している。
3.1.48
polygon
ポリゴン
一つの外部(3.1.24)境界(3.1.4)及び零以上の内部(3.1.39)境界(3.1.4)によって定義する平面(3.1.57)。
3.1.49
property
特性、プロパティ
<GML> GMLオブジェクトの子要素
注記1:これは、JIS X 7109で示す地物属性又は地物関連役割と一致する。地物のGML特性が地物を参照するxlink:href属性をもつとき、その特性は、地物関連役割を表現する。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.49を参照]
備考1)この抄録集では "property" は「特性」と訳している。これは「特徴」"characteristic"と区別するためのであるが、JIS X 7136:2012 4.1.49ではプロパティとしているので、それも認める。
3.1.50
range
co-domain
値域
終域
<mathematics>関数の、許容可能な従属変数の範囲
[ISO 19107:2019 3.80を引用]
備考1)"range"は推奨用語、"co-domain"は許容用語とされる。
3.1.51
rectified grid
偏位修正グリッド
グリッド(3.1.38)であって、そのグリッド座標と外部座標参照系(3.1.13)座標(3.1.12)との間にアフィン変換(affine transformation、一次変換)関係が成立しているもの。
[ISO 19123:2005 4.1.32を参照−注記は削除されている][翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.52を引用]
3.1.52
schema
スキーマ
モデルの形式記述
注記1:一般に、スキーマはオブジェクトの特徴及び他のオブジェクトとの関係を抽象的に表現したものである。XMLスキーマは、XMLオブジェクトの属性及び要素の関係を表す。
例: 文書又は文書の一部。
[ISO 19101-1:2014 4.1.34 を参照 — 注記1及び例を追加した]
[+]
3.1.53
schema
スキーマ
<XML> 同じターゲット名前空間 (3.1.43) 内のスキーマ (3.1.52)部品の集まり
例: W3C XML スキーマのスキーマ部品は、型、要素、属性、グループなどである。
[+]
3.1.54
schema document
スキーマ文書
<XML>スキーマ構成部品の定義及び宣言を含むXML文書。
注記1:W3C XML Schemaは、スキーマ情報のためのXML交換形式を示す。単一のスキーマ文書は、単一のXML名前区間に関連する構成部品の記述を示すが、複数の文書によって、同じスキーマ、例えば、同じ対象名前空間中の構成部品を記述してもよい。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.55を引用]
3.1.55
semantic type
意味型
共通の特性を共有するオブジェクトの範ちゅう(疇)。それゆえ、その範ちゅう(疇)には個々の論議領域中の識別子型の名前が与えられる。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.56を引用]
3.1.56
spatial object
空間オブジェクト
地物の空間特性を表現するために用いるオブジェクト。
[ISO 19107:2019 3.87を引用][翻訳はJIS X 7107:2005 4.69を引用]
3.1.57
surface
曲面
局所的に平面領域の連続な像を表す二次元の幾何プリミティブ(3.1.31)
注記1:曲面の境界は、曲面の限界の輪郭を描く向きをもつ閉曲線の集合である。
[翻訳はJIS X 7107:2005 4.75を引用]
3.1.58
tag
タグ
<XML> 要素(3.1.23)の内容を区切るXML文書中のマーク付け
例:<道路>
注記1:スラッシュのないタグ (例: <道路>) は開始タグ (オープニングタグとも呼ばれる) と呼ばれ、前方スラッシュ付きのタグ (例: </道路>) は終了タグ (クロージングタグとも呼ばれる) と呼ばれる。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.61を参照]
3.1.59
topological object
位相オブジェクト
連続した変換のもとでも変わらない空間的な特徴を表す空間オブジェクト(3.1.56)
[ISO 19107:2019 3.99を参照 — 注記1は削除した] [翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.62を参照]
3.1.60
tuple
組、タプル
順序をもつ値のリスト
注記1:組の中の値の順番は変更できない。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.63を引用]
3.1.61
UML application schema
UML応用スキーマ
ISO 19109に適合してUMLで書かれた応用スキーマ(3.1.1)。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.64を参照]
3.1.62
Uniform Resource Identifier
URI
統一資源識別子
URI
IETF RFC 2396に適合した構造をもつ、資源の統一的な識別子。
注記1:一般的な構文は、使用するスキーム名(<scheme>)及びスキーム固有部分(<scheme-specific-part>)からなる<scheme>::<scheme-specific-part>である。名前空間付きの階層的な構文は、<scheme>://<authority><path>?<query>である(RFC 2396参照)。
[翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.65を引用]
3.2 略語
CRS Coordinate Reference System座標参照系
CS Coordinate System座標系
CSV Comma Separated Values
CT Coordinate Transformation座標変換
DTD Document Type Definition文書型定義
EPSG European Petroleum Survey Group
GIS Geographic Information System地理情報システム
GML Geography Markup Language地理マーク付け言語
注記 これまでISOでは、頭字語GMLを文書記述言語(Generalized Markup Language)に対して使用してきた。文書記述言語は、JIS X 4151では、文書記述言語SGML(Standard Generalized Markup Language)となった。
HTTP Hypertext Transfer Protocolハイパーテキスト転送プロトコル
IETF Internet Engineering Task Forceインターネット技術タスクフォース
ISO International Organization for Standardization国際標準化機構
OGC Open Geospatial Consortium
RDF Resource Description Framework
RFC Request for Comments
SMIL Synchronized Multimedia Integration Language
SOAP Simple Object Access Protocol単純オブジェクトアクセスプロトコル
SVG Scalable Vector Graphicsスケーラブルベクタグラフィックス
UML Unified Modeling Language統一モデリング言語
URI Uniform Resource Identifier統一資源識別子
URL Uniform Resource Locator統一資源位置子
URN Uniform Resource Name統一資源名
W3C World Wide Web Consortium
WFS Web Feature Serviceウェブ地物サービス
XML eXtensible Markup Language拡張マーク付け言語
XSLT eXtensible Stylesheet Language — Transformations XSL変換
0D Zero Dimensional零次元
1D One Dimensional一次元
2D Two Dimensional二次元
3D Three Dimensional三次元
[1] ISO 8879、 Information processing — Text and office systems — Standard Generalized Markup Language (SGML)
[2] ISO/IEC TR 10000-1:1998、 Information technology — Framework and taxonomy of International Standardized Profiles — Part 1: General principles and documentation framework
[3] ISO 19101:2002、 Geographic information — Reference model
[4] ISO 19105、 Geographic information — Conformance and testing
[5] ISO 19106:2004、 Geographic information — Profiles
[6] ISO 19110:2005、 Geographic information — Methodology for feature cataloguing
[7] ISO 19117、 Geographic information — Portrayal
[8] ISO 19133、 Geographic information — Location-based services — Tracking and navigation
[9] ISO 19137:2007、 Geographic information — Core profile of the spatial schema
[10] ISO 19141、 Geographic information — Schema for moving features
[11] ISO/IEC 19501:2005、 Information technology — Open Distributed Processing — Unified Modeling Language (UML) Version 1.4.2
[12] Cover Pages: Geography Markup Language (GML)、 available at <http://xml.coverpages.org/geographyML.html>
[13] Langran G.、 Time in Geographic Information Systems. London: Taylor & Francis Ltd. 1992
[14] Kaufman M.、 Wagner D.、 Drawing Graphs、 Springer LNCS 2025、 1998
[15] Battista G.、 Eades P.、 Tamassia R.、 Tollis I.、 Graph Drawing、 Prentice Hall 1999
[16] Abstract Specification Topic OGC、 5、 The OpenGIS Feature、 OGC document 99‑105r2
[17] Abstract Specification Topic OGC、 6、 The Coverage Type、 OGC document 00‑106
[18] Abstract Specification Topic OGC、 8、 Relationships between Feature、 OGC document 99‑108r2
[19] Abstract Specification Topic OGC、 10、 Feature Collections、 OGC document 99‑110
[20] Abstract Specification Topic OGC、 20、 Observations and Measurements、 OGC document 10-004r3
[21] UCUM、 Unified Code for Units of Measure、 Schadow、 G.、 and McDonald、 C.J. (eds.)、 available at <https://unitsofmeasure.org/>
[22] W3C XML Base、 XML Base、 W3C Recommendation (27 June 2001)
[23] W3C XPath、 W3C XML Path Language (XPath) Version 1.0、 W3C Recommendation (16 November、 1999)
[24] W3C XPointer Framework、 XPointer Framework、 W3C Recommendation (25 March 2003)
[25] W3C XPointer element() Scheme、 XPointer element()、 W3C Recommendation (25 March 2003)
[26] W3C XPointer xmlns() Scheme、 XPointer xmlns()、 W3C Recommendation (25 March 2003)
[27] W3C XPointer xpointer() Scheme、 XPointer xpointer()、 W3C Working Draft (19 December 2002)
[28] W3C SMIL、 Synchronized Multimedia Integration Language (SMIL 2.0)、 W3C Recommendation (07 August 2001)
[29] W3C SVG、 Scalable Vector Graphics (SVG) 1、 W3C Recommendation (14 January 2003)
[30] ISO 19107:2019、 Geographic information — Spatial schema
[31] ISO 19111:2019、 Geographic information — Referencing by coordinates
[32] ISO 19109:2015、 Geographic information — Rules for application schema
[33] ISO 19103:2015、 Geographic information — Conceptual schema language
[34] ISO 19118:2011、 Geographic information — Encoding
[35] ISO/TS 19139 (all parts)、 Geographic information — XML schema implementation
[36] ISO 2955:198312、 Information processing — Representation of SI and other units in systems with limited character sets
[37] ISO/TS 19103:200513、 Geographic information — Conceptual schema language
[38] ISO 19107:200314、 Geographic information — Spatial schema
[39] ISO 19109:200515、 Geographic information — Rules for application schema
[40] ISO 19111:200716、 Geographic information — Spatial referencing by coordinates
[41] ISO 19115:200317、 Geographic information — Metadata
[42] ISO 19118:200518、 Geographic information — Encoding
12 廃止された標準
13 ISO 19103:2015によって、無効になり置換された。
14 ISO 19107:2019によって、無効になり置換された。
15 ISO 19109:2015によって、無効になり置換された。
16 ISO 19111:2019によって、無効になり置換された。
17 ISO 19115-1:2014によって、無効になり置換された。
18 ISO 19118:2011によって、無効になり置換された。
(2024-12-12)