ISO/TS 19144-3:2024 Classification systems — Part 3: Land Use Meta Language (LUML)
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対応OGC標準:なし
対応JIS規格:なし
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:iso:ts:19144:-3:ed-1:v1:en
陸上や水上に社会基盤施設を建設する方法、あるいは地球の表面を利用する方法は、非常に多岐にわたる。その利用方法の多様性は、土地利用の記述方法にも大きな多様性があることを意味する。土地利用データは (土地被覆データよりもさらに) 国や地域の慣習、法律、経済的要因と密接に関連しているため、必然的に国や地域によって大きく異なる。一つの国や地域内でも、異なる管理目的や運営目的を果たす、さまざまな土地利用分類法が運用されている場合がある。こうした多数の分類法を規格化しようとすることは無意味であるが、システムの比較を助け、システム間の変換を可能にするために、国際組織やその他の組織がさまざまなデータ ソースから、比較可能なデータを抽出する必要があるときに役立つメタ言語を開発することには意味がある。
この規格の目的は、既存の分類システムを置き換えることなく、それらのシステムからの情報を、意味のある方法で比較できるようにすることである。その目的は、特定の国や地域の目的に対して、将来の分類システムが一貫した方法で記述できるようにすることであり、より信頼性の高い収集方法を提供できるように、その開発を補完することである。
このような世界規模の活動を実施する上で重要な要素は、共通の包括的な土地利用分類システム構造が利用可能になることである。これにより、増加する国・地域・世界規模の土地被覆マッピング及びモニタリング活動を変更せずに、信頼できる相互交流の基盤が提供できる。これにより、マッピングの規模、土地被覆の種類、データ収集方法、地理的な場所に関係なく、土地被覆クラスの比較が可能になる。
この規格は、さまざまな土地被覆凡例 (用語体系(nomenclature)) の一部となり得る地物分類(physiognomy)に基づいて、土地被覆の特徴を記述するための、オブジェクト及び規則の集合 (言語) のためのメタ言語を提示する。これは、CORINE、Africover、Anderson (USGS)、Global Map、国別システムなどの、さまざまなシステム及び用語体系を置き換えることなく比較するための枠組みを提供する。これは用語体系の説明でも、特定のクラスの集合の説明でもない。
この規格の設計方針は次のとおりである。
— 分類プロセスは、ユーザー間のコミュニケーションにおける首尾一貫性、安定性、共通理解を生み出すために、具体的な知識領域の構造を取り扱う。したがって、その主な機能は、より大きなユーザー コミュニティにとって有効な参照システムとなる機能ということになる。
— ただし、分類という行為は動的なプロセスである。定義は時間の経過とともに、また他の文化の普及、ユーザーのニーズの変化、新しい科学の進歩に応じて変化する可能性がある。
— いかなる分類システムも、人の世界や自然の世界を完全に正確に反映することはできない。
— 知識を概念化して伝達する方法は常に複数存在するため、どのような分類にも曖昧さが内在する可能性がある。
— この複雑で動的な分野で首尾一貫性を実現するためには、あらゆるユーザーが独自のオントロジーを定義できるための要素、及び、ルールの枠組みを定義するメタ言語を提示することが求められる。
— システムは、グラフィック モデリング言語 (UML クラス図) を使用して説明される生成文法の厳密な定義を通じて文書化される必要がある。
備考1)「生成文法」は原文ではgenerative grammarであるが、UMLを使って記述されたメタモデルに従う概念スキーマのことを指すものと考えられる。
メタ言語は、特定のカテゴリ(またはカテゴリのセット)が生成された「要素、ルール、条件」を、「人間の言語」から「機械表現」へ移行できるようにする必要があります。
ISO 19144 シリーズに追加された部は、土地被覆 (ISO 19144-2) などの環境の別の側面の分類を記述するために定義されている。これらの部は別の規格に記述されているが、この規格で指定されている土地利用メタ言語を使用して記述された分類システムと組み合わせて使用sることができる。
このメタ言語のクラス並びに、このメタ言語のインスタンス化で使用するいくつかの特性及びコード リストを登録する必要がある。また、広く使用されている多くの既存の土地利用分類システムに対応するインスタンス化されたスキーマのセットも登録することが望ましい。登録に関するセクションは、ISO 19144-2:2012 の以前の版に存在していた。その内容は、登録プロセスを一般化するためにシリーズの別の部に分割され、土地利用、土地被覆、及びISO 19144 シリーズで将来審議する部において利用可能にすることができる。さらに、この新しい登録に関する部では、実装の問題にも対応する。
本規格 (ISO/TS 19144-3) は、ISO 19144 シリーズの新しい部である。土地利用に関するこの規格の内容の一部は、もともと ISO 19144-2:2012 に含まれていたが、これらの土地利用要素の説明は、この規格に移動された。さらに、土地被覆及び土地利用の違いを明確にするために、LC_GrowthFormCharacteristic、LC_CultivatedAndManagedVegetation、及び LC_BuiltUpSurfaces クラスに変更を加えた。下位互換性に関する詳細は、付録 C に記載している。
この規格のユーザーの一部の間では、土地被覆及び土地利用情報を XML で表現すること、並びにXML スキーマ (XSD) が必要であるという要求がある。この規格は、分類システムの説明及び比較のための参照メタモデルについて規定するものであり、メタモデルを使用して説明される分類システムはISO 標準の分類システムではないことを、暗黙的に認めるべきである。この規格の XML 表現はメタモデルの XML 表現であるため、このような XML スキーマはメタスキーマである。土地被覆及び/又は土地利用情報の XML 表現は、応用スキーマ レベルである必要がある。これは、メタスキーマよりも 1 レベル低いインスタンス化であり、特定の分類システムの観点から定義される。メタモデルの使用と、それに続くモデルへのインスタンス化 (データのエンコードに使用できる XML スキーマへのインスタンス化を含む) は、この規格では取り上げない実装の問題である。
外部管理リスト又はISO 19144 シリーズ専用に作成されたリスト項目への適切な参照を登録することができる。さらに、ISO 19144 シリーズの土地被覆又は土地利用の部分を使用して記述された分類システム全体を登録できる。この規格の保守機関の名前及び連絡先情報は、www.iso.org/maintenance_agencies で確認できる。
この規格は国連食糧農業機関(UN FAO)と共同で制作されたものである。UN FAOはISOに対し、UN FAOが開発又は著作権を所有する資料に基づいて派生作品を作成する許可を与えている。EAGLEコンセプトも、この規格の開発プロセスに対して情報を提供した。[21]
この規格ではUML属性名は斜体で表記している。
「ISO/IEC 指令、第2部、2018、国際規格の構成および起草に関する規則」に従うと、国際規格では小数点記号は線上のカンマである。ただし、国際度量衡総会 (Conférence Générale des Poids et Mesures) は 2003 年の会議で満場一致で次の決議を可決した:
「小数点記号は線上の点又は線上のカンマのいずれかとする。」
実際には、これらの選択肢の選択は、関係する言語での慣習的な使用法に依存する。測地学及び地理情報の技術分野では、すべての言語で常に小数点を使用するのが慣例である。この規格全体でこの慣例が採用されている。
この規格では、さまざまな土地利用分類システムを記述できる、UML メタモデルとして表現される土地利用メタ言語 (LUML) を規定する。この規格では、多数の土地利用分類システムが存在することを認めている。この規格は、一般的な土地利用分類システムのデータの比較及び統合のための共通の参照構造を提示するが、それらの分類システムを置き換えるものではない。この規格は、土地被覆メタ言語 (LCML) に関する ISO 19144-2 を補完するものであり、土地利用を記述するために単独で使用することも、ISO 19144-2 と一緒に使用して複合的な土地被覆及び土地利用を記述することもできる。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 19103, Geographic information — Conceptual schema language
ISO 19123-1, Geographic information — Schema for coverage geometry and functions — Part 1: Fundamentals
ISO 19144-1, Geographic information — Classification systems — Part 1: Classification system structure
ISO 19144-2, Geographic information — Classification systems — Part 2: Land Cover Meta Language (LCML)
3.1 用語及び定義
この規格では、ISO 19144-1及びISO 19144-2 に記載されている用語及び定義、並びに、次の用語及び定義が適用される。
ISO and IEC maintain terminology databases for use in standardization at the following addresses:
— ISO Online browsing platform: available at https://www.iso.org/obp
— IEC Electropedia: available at https://www.electropedia.org/
ISO及びIECは、標準化に使用するための用語データベースを次のアドレスで管理している。
— ISO オンライン ブラウジング プラットフォーム: https://www.iso.org/obp で利用可能
— IEC Electropedia: https://www.electropedia.org/ で利用可能
注記:ISO 19144シリーズでは、「クラス」という用語は、分類システム内の構成要素を表すために使用される。ただし、この用語は、UMLモデリング言語を含む他の文脈では複数の意味をもつ。「クラス」という用語のさまざまな使用を区別するために、属性又はその他の識別子が必要になる可能性がある。
3.1.1
class
クラス
<UML> オブジェクトの集合の分類子
注記1:UML 2.5.1 11.8.3.1.[22]を適用
[ISO 19103:—,1 3.14を引用]
備考1)UML 2.5.1, 11.8.3.1における定義は次のとおりなので、より具体的な理解を促すとともに、UML規格との整合性を確保するためには、省略しない方がよいのではないか。
A Class classifies a set of objects and specifies the features that characterize the structure and behavior of those objects.
A Class may have an internal structure and Ports.
ISO X 4170:2009 JC.79では、この場合のfeatureは「素性」と訳し、「<UML>分類子の特徴」と定義されており、「地物」ではない。
3.1.2
coverage
被覆
定義域内の任意の位置に対応する値域内の値を返す関数
[ISO 19123-1:2023 3.1.9を引用]
3.1.3
discrete coverage
離散被覆
その定義域内の直接位置に対してのみ値を返す被覆
注記1:離散被覆は直接位置に対してのみ値をもつが、連続被覆は補間ができるため、さらに直接位置間の値も提供される。
[ISO 19123-1:2023 3.1.15を引用]
3.1.4
feature
地物
実世界の現象の抽象概念
注記1:地物は型として、又はインスタンスとして現れる。型又はインスタンスの一方だけを意味するときには、地物型又は地物インスタンスという用語を使うのが望ましい。
[ISO 19101-1:2014 4.1.11を引用]
3.1.5
register
レジスター
関連する項目の記述を含む、項目に割り当てられた識別子(4.1.5)をもつ記録の集合
[ISO 19135-1:2015 4.1.9を引用]
3.2 略語
ATS abstract test suite 抽象試験項目群
IUCN International Union for the Conservation of Nature 国際自然保護連合
LCML Land Cover Meta Language 土地被覆メタ言語
LUML Land Use Meta Language土地利用メタ言語
NLUD UK National Land Use Database英国土地利用データベース
UML unified modelling language 統一モデリング言語
UNEP United Nations Environment Programme 国連環境計画
UN FAO United Nations Food and Agriculture Organization 国連食糧農業機関
UN FCCC United Nations Framework Convention on Climate Change 気候変動に関する国際連合枠組み
XML Extensible Markup Language 拡張マーク付け言語
XSD XML Schema XMLスキーマ
備考1) "unified modelling language"は"Unified Modelling Language "にすべき
[1] ISO 19101-1:2014, Geographic information — Reference model — Part 1: Fundamentals
[2] ISO 19105:2022, Geographic information — Conformance and testing
[3] ISO 19135-1:2015, Geographic information — Procedures for item registration — Part 1: Fundamentals
[4] ISO 19144-4:—,3 Geographic information — Classification systems — Part 4: Registration and Implementation Aspects
[5] ISO 19152-1, Geographic information — Land Administrative Domain Model (LADM) — Part 1: Generic conceptual model
[6] American Planning Association (APA). Land-Based Classification Standards (LBCS), 1999, https://www.planning.org/lbcs/
[7] Department of Agriculture, Fisheries and Forestry, Government of Australia, Australian Land Use and Management (ALUM) Classification, October 2016 (ALUM v.8)
[8] Di Gregorio A., Land Cover Classification System (LCCS v.3) Classification Concepts, FAO. Rome, 2016
[9] European Commission. E.U. D2.8III.4, Inspire data specifications on Land Use – Technical Guideline, 2012,4
[10] European Parliament and Council, Infrastructure for Spatial Information in the European Community (INSPIRE), Official Journal of the European Union, 2007.
[11] Galton M. The Water Falls but the Waterfall does not Fall: New perspectives on Objects, Processes and Events, Applied Ontology 0 (2009) 1–0 1 IOS Press. < http://www.dpi.inpe.br/gilberto/references/galton_waterfall.pdf >
[12] Martirano, G., Toth K., Technical Guidelines on IACS Spatial Data Sharing - Part 2 – LPIS and GSAA data interoperability, Publications Office of the European Union, Luxembourg, 2022
[13] Teillard et al. A novel method for mapping agricultural intensity reveals its spatial aggregation: Implications for conservation policies, Agriculture, Ecosystems and Environment, 2012, https://www.elsevier.com/locate/agee
[14] Toth, K. and Milenov, P., Technical guidelines on IACS spatial data sharing. Part 1 - Data discovery, EUR 30330 EN, Publications Office of the European Union, Luxembourg, 2020, ISBN 978-92-76-21078-8, doi:10.2760/180713, JRC121450. Turner and Doolittle, 1978; Shriar, 2000, 2005; Herzog et al., 2006
[15] Turner and Doolittle, The concept and measure of agricultural intensity, The Professional Geographer, 30:3, 297-301, DOI: 10.1111/j.0033-0124.1978.00297.x,1978;
[16] United National Department of Economic and Social Affairs Statistics Division. Central Product Classification (CPC) Version 2.1, Statistical Papers Series M No. 77, Ver.2.1, ST/ESA/STAT/SER.M/77/Ver.2.1, United Nations, New York, 2015, < https://unstats.un.org/unsd/classifications/unsdclassifications/cpcv21.pdf > United Nations Food and Agricultural Organization “Extracted Material Types”.
[17] Anderson, J.R., Hardy, E.E., Roach, J.T., and Witmer, R.E, 1976. A land use and land cover classification system for use with remote sensor data. U.S. Geological Survey Professional Paper, No. 964. USGS, Washington, D.C.
[18] CEC (Commission of the European Communities). 1993. CORINE Land Cover — Guide technique. Brussels
[19] CORINE, Updated CLC illustrated nomenclature guidelines, European Union, Copernicus Land Monitoring Service 2017, European Environment Agency (EEA) https://land.copernicus.eu/user-corner/technical-library/corine-land-cover-nomenclature-guidelines/docs/pdf/CLC2018_Nomenclature_illustrated_guide_20190510.pdf
[20] IUCN, International Union for the Conservation of Nature. Definition of National Park, 10th General Assembly of IUCN meeting in New Delhi in November 1969, https://portals.iucn.org/library/sites/library/files/resrecfiles/GA_10_RES_001_Definition_of_National_Parks.pdf
[21] Arnold, S., Kosztra, B., Banko, G., Smith, G., Hazeu, G., Bock, M. and Sanz, N. V., The EAGLE concept – A vision of a future European Land Monitoring Framework, 33rd EARSeL Symposium “Towards Horizon 2020: Earth Observation and Social Perspectives”, Matera, Italy, 3-6 June 2013, http://www.earsel.org/symposia/2013-symposium-Matera/
[22] UML 2.5.1: OBJECT MANAGEMENT GROUP (OMG). Unified Modeling Language (UML) Version 2.5.1. December 2017. https://www.omg.org/spec/UML/2.5.1
1 準備中。本規格発行時の段階: ISO/FDIS 19103:2024。
3 準備中。本規格発行時の段階: ISO/NP TS 19144-4:2024。
4 https://inspire.ec.europa.eu/id/document/tg/lu