ISO 19123-2:2018 Geographic information/Geomatics — Schema for coverage geometry and functions — Part 2: Coverage implementation schema
現行
履歴
なし
対応OGC標準:OGC 09-146r8:2019 Coverage Implementation Schema with Corrigendum
対応JIS規格:なし
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:70948:en
被覆は、空間/時間によって変化する現象を表すデジタル地理空間情報を表現する。一般的な例としては、1-D 時系列、2-D 画像、3-D x/y/t 画像時系列、x/y/z 地球物理学的ボクセルモデル、並びに、4-D x/y/z/t 気候及び海洋のデータなどがある。
この被覆実装スキーマ(CIS)は、具象的1)で相互運用可能かつ適合性試験が可能な被覆情報スキーマを示す。これは、ISO 19123:2005(OGC Abstract Topic 6 に対応)の抽象概念に基づくものである。ISO 19123:2005 は、それ自体が相互運用性をもつというわけではない、抽象的なモデルを示している。これを言い換えれば、この抽象モデルに基づいて多数の異なる互換性のない実装が可能になる。一方CISは、データ形式の変換法に関わらず、単一の「ピクセル」又は「ボクセル」レベルまで被覆の適合性試験が実行可能になるという意味で相互運用可能である。
備考1)“具象的“は、“抽象的”と対照的な関係という意味で使用されている。[この備考と同様の解説は、原文では注記の1)として現れている]
被覆は、適切な形式(GML、JSON[4]、GeoTIFF[7]、NetCDF[9]、GMLJP22)など)で符号化でき、タイムインターリーブ表現3)などのために分割することができる。被覆はサービス定義から独立しているため、OGC Web Coverage Service(WCS)標準などのさまざまなWebベースのサービスタイプを使ってアクセスできる。この規格はデータモデルであるが、WCSはサービスモデルである。どちらも暫定的に分離されているため、WFS4)、WCS、WCPS5)、WPS6)などのさまざまなサービスで被覆を処理及び配信することができる。WCSとWCPSが優れているのは、最も強力な被覆機能を提供するという点があるからである。
備考2)「GMLJP2」については、
https://www.ogc.org/standard/gmljp2/
を参照のこと。
備考3)「インターリーブ表現」とは、時間や空間などの何らかの物理的な広がりに対してわざと不連続にデータを配置する手法。通信時に、ある時点で集中的に起きるバースト誤りが発生しても、順番を復元した後のデータでは誤り箇所が不連続に散らばるため、誤りの検出や訂正を改善する効果があるとされる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%96
備考4)WFSはOGC Web Feature Service
備考5)WCPSはOGC Web Coverage Processing Service
備考6)WPSはOGC Web Processing Service
被覆はサービス定義から独立しているため、この規格の例で使用されているWeb被覆サービス(WCS)標準[6]など、さまざまな標準化されたサービスタイプを通じてアクセスできる。被覆の構造は、幅広い被覆応用分野に対応できるため、それらの分野間の調和と相互運用性に役立つ。
この規格は、ISO 19123:2005 で示されている被覆型の一部を実装している。それらの被覆型の拡張は、この規格の将来の版に託される。ISO 19123:2005 は現在見直し中であり、改訂版が公開されると ISO 19123-17)に置き換えられる。ISO 19123-1 は、追加の被覆概念を含む ISO 19123:2005 の拡張となるため、この規格内の ISO 19123:2005 への参照は、改訂版の規格への参照と見なすことができる。この規格内の参照が ISO 19123:2005 であるのは、この規格が OGC との共同標準であり、同等の OGC 標準「09-146r2 バージョン 1.0.1 OGC 被覆実装スキーマ (CIS 1.0)」が ISO 19123:2005 を参照する、既存の公開標準になるだからである。
備考7)2024年7月の時点において最新のISO 19123-1は、2023年の版であり、それは、2023年に制定されたOGC 07-01r1バージョン2.0に対応している。
この規格は、OGC標準「被覆実装スキーマ」OGC 09-146r2 を元にしてできた規格である。これらは、各組織で要求される書式に従って記述されているため、一字一句同一というわけではない。ただし、両方の標準は機能的に同等である。特に、ISO規格 (この規格) と OGC 標準 (OGC 09-146r2) の両方の条項 1 から 5 には、各組織で要求される方法で記述された適用範囲、引用規格、用語及び定義 (及び表記法)、並びに適合性試験が含まれている。「被覆」及び「グリッド」の定義などに小さな違いがある場合、この規格ではISO規格で定義されている用語を使用し、その違いを注記で示す。
CIS 1.0を超えるOGC標準の拡張 (CIS 1.1の開発など) は、この規格を超える拡張とされる。ISOとOGCは、これらの標準の将来の同期を確実にするために協力する予定である。
この規格は、2012年5月11日に公開されたOGC ©2012 によって著作権が保護され、許可を得て使用されているOGC 標準 09–146r2 バージョン 1.0.1 OGC 被覆実装スキーマ (CIS 1.0) (別名「OGC® GML応用スキーマ - 被覆」) を元にした規格である。OGC 標準 09–146r2 バージョン 1.0.1 は、2010年10月27日に公開された既存のOGC 標準 09–146r1 バージョン 1.0.0の訂正版である。
この規格では「ISO 19123 被覆の幾何と関数」で定義されている被覆のための抽象スキーマを基礎とした、具象的で、実装可能で、適合性試験が可能な被覆の構造を示す。この規格では多くの符号化形式で符号化を行うに相応しい構造を定義する。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 19103:2015, Geographic information — Conceptual schema language
ISO 19123:2005, Geographic information — Schema for coverage geometry and functions
ISO 19136:2007, Geographic information — Geography Markup Language (GML)
OGC 07-011, Abstract Specification Topic 6: The Coverage Type and its Subtypes, version 7.0 (identical to ISO 19123:2005)
OGC 07-036, Geography Markup Language (GML) Encoding Standard, version 3.2.1
OGC 08-094, OGC® SWE Common Data Model Encoding Standard, version 2.0
3.1 用語及び定義
この規格では、次に示す用語と定義が適用される。ISOとIECは、規格化に使用する用語データベースを次のアドレスにおいて維持・公開している。
— ISO オンライン閲覧プラットフォーム: http://www.iso.org/obp
— IEC Electropedia: http://www.electropedia.org/
3.1.1
abstract test suite
抽象試験項目群
適合性を満足するための全ての要件を示す抽象試験モジュール
[ISO 19105:2000 3.4を引用]
3.1.2
coverage
被覆
定義域内の任意の位置に対応する値域内の値を返す関数
注記1:OGC CIS 1.0では、被覆の定義は「時空間定義域内の任意の直接位置に対してその範囲内の値を返す関数として機能する地物」としている[13]。
[ISO 19123:2005 4.1.7を参照—注記1は上記の注記に置換し、例は省略されている]
3.1.3
grid
グリッド
アルゴリズミックな方法によって互いに交差する、二つ以上の曲線集合で構成されるネットワーク
注記1: OGC Abstract Topic 6には、次に示すグリッドの定義がある。「各集合のメンバーが他の集合のメンバーとアルゴリズム的に交差する一つ以上の曲線集合で構成されるネットワーク」。これにより、1次元の場合の統合が実現され、一般的なn次元グリッドを可能にする。
[19123:2005 4.1.23を参照—注記1は置換されている]
[+]
3.1.4
implementation coverage
実装被覆
この規格で定義されている被覆の下位型(特化)になる地物型
注記1 :実装被覆は、GeoTIFFファイル形式などの具象的な符号化法で記述される具象型の説明である。
注記2:この標準の実装被覆の定義は、OGC被覆実装スキーマ[OGC 09-146r2]で定義されているGML被覆と機能的に一致する。
備考1)定義の原文では「地物(feature)」であるが、下位型とされているので「地物型(feature type)」のことであると判断できる。
3.2 略語
CIS Coverage Implementation Schema 被覆実装スキーマ
GeoTIFF Geo Tagged Image File Format
GML Geography Markup Language 地理マーク付け言語
GMLCOV GML Application Schema for Coverages 被覆用GML応用スキーマ
JSON JavaScript Object Notation
netCDF network Common Data Format
OGC Open Geospatial Consortium
SWE Sensor Web Enablement
TIN Triangulated Irregular Network 不規則三角網
UoM Unit of Measure 計測単位
UML Unified Modeling Language 統一モデリング言語
WCS Web Coverage Service Web被覆サービス
[1] IETF RFC 2183, Communicating Presentation Information in Internet Messages: The Content-Disposition Header Field, Internet Engineering Task Force, August 1997
[2] IETF RFC 2387, MIME Multipart/Related Content-type, Internet Engineering Task Force, August 1998
[3] IETF RFC 2392, Content-ID and Message-ID Uniform Resource Locators, Internet Engineering Task Force, August 1998
[4] IETF RFC 7159, JSON (JavaScript Object Notation), March 2014
[5] OGC 09-146r2, Coverage Implementation Schema, version 1.0.1
[6] OGC 09-110r4, Web Coverage Service (WCS) Core Interface Standard, version 2.0.1
[7] OGC 12-100r1, OGC® GML Application Schema — Coverages — GeoTIFF Coverage Encoding Profile, version 1.0.1
[8] OGC 13-102r2, Name type specification — Time and index coordinate reference system definitions (OGC Policy Document), version 1.0
[9] OGC 14-100r2, CF-NetCDF 3.0 encoding using GML Coverage Application Schema version 2.0, version 2.0.0
[10] W3C Recommendation, XML Path Language (XPath), version 2.0.1, 2007 (www.w3.org/xpath20)
[11] INSPIRE data specification on orthoimagery. Available at <http://inspire.jrc.ec.europa.eu/documents/Data_Specifications/INSPIRE_DataSpecification_OI_v3.0.pdf>
[12] INSPIRE data specification on elevation. Available at <http://inspire.jrc.ec.europa.eu/documents/Data_Specifications/INSPIRE_DataSpecification_EL_v3.0.pdf>
[13] OGC 07-011, Abstract Specification Topic 6: The Coverage Type and its Subtypes, version 7.0 (equivalent to ISO 19123:2005)
[14] OGC 07-036, Geography Markup Language (GML) Encoding Standard, version 3.2.1
[15] ISO/IEC 19757-3:2016, Information technology — Document Schema Definition Languages (DSDL) — Part 3: Rule-based validation — Schematron
(2024-09-07)