ISO 19101-1:2014 Geographic information/Geomatics
Reference model Part1: Fundamentals
現行
履歴
ISO 19101:2002(廃止)
対応OGC標準:なし
対応JIS規格:なし
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:iso:19101:-1:ed-1:v1:en
デジタル地理情報の従来の応用システムにおけるニーズを超えて、情報技術の利用者は場所によるインデックス付けが、組織とデジタルデータの使用における基本であることを認識している。現在、多種多様な複数の情報源から得られるデジタルデータが位置を参照し、さまざまな応用システムで使用されている。このようなデータは現在、Web上で広範囲に配布および共用に付されている。実際、Webは地理情報が重要な役割を果たす、重要な知識の源である。したがって、地理情報の分野における標準化は、さまざまな情報源の地理情報の共用と使用、つまり相互運用性を確保するとともに簡素化するために不可欠である。
地理情報の標準化は、地理情報の相互運用性の定義、空間情報や時間情報などの基本的なデータ型、モデリング規則、現実世界の現象のセマンティクス1)、メタデータ、サービスなどを含む複数の側面に取り組む複雑な作業である。したがって、この作業を統合的かつ首尾一貫した方法で達成するには、参照モデルが必要である。地理情報の参照モデルは、地理情報領域の一部となる可能性のある要素と、それらの相互関係の抽象的な説明を提供する包括的なビュー2)で構成される。この参照モデルの主な目的の1つは、地理情報、住所体系3)、構文レベル・構造レベル・意味レベルの相互運用性を定義して示すことである。地理情報の相互運用性の定義は地理情報の標準化の基礎としてはたらく。そして、地理情報の標準は、次のようなことに役立つ。
— 地理情報の理解と利用の促進
— 地理情報の可用性、アクセス、統合、共用の向上
— デジタル地理情報および関連するハードウェアおよびソフトウェアシステムの効率的、効果的、経済的な利用の促進
— 地球規模の生態学的および人道的問題に対処するための統一的なアプローチを可能にすること
ISO 19101のこの部では、地理情報を扱うISO参照モデルを定義する。この参照モデルでは、デジタル地理情報の汎用的な使用を可能にする方法で地理情報標準を構築するための指針を定める。これは、記述、管理、サービスを含む地理情報の標準化の基礎と、地理情報領域内および地理情報領域を超えた相互運用性の実現を支援して、他の情報コミュニティとの相互運用性を確保するために、それらがどのように相互に関連するかを定めている。そのため、ISO 19101のこの部では、地理情報を他の種類の情報と統合し、また、その逆を可能にする地理情報の標準化の構想が策定される。
参照モデルの記述は、概念的なフレームワークによって支えられている。概念的フレームワークは、相互運用性の記述に従って地理情報における標準化活動の範囲を組織的に示す仕組みであり、標準化のさまざまな側面と、それらの間に存在する関係を特定する。
この参照モデルは、セマンティクスの役割、Webなどの新しいテクノロジとそれにアクセスする多くの新しい方法、およびセマンティックWebが地理情報の分野での相互運用性をどのように支援できるかを決める。また、新たな地理情報の標準化において、追加の特定の参照モデルが必要となる場合は、この参照モデルのもとで定められる。
参照モデルは5つの箇条で構成されている。箇条5では、通信および電子政府の観点を背景として、地理情報関連の相互運用性について定める。箇条6では、参照モデルの基礎を特定し、ISO地理情報標準化活動の範囲(要件)を設定する。箇条7では、現実世界の抽象化の要件を特定する。地理情報におけるISO標準化の参照モデルは、その特定の要件とともに箇条8で規定される。最後に、ISO地理情報標準に関連するプロファイルが箇条9で示される。
ISO 19101のこの部は、参照モデルの最初の部である。追加の部を開発して、個別の領域の懸念事項、要素、構造に対処することができる。第2部では、画像特有の参照モデルを示す。
ISO地理情報標準における地理情報の標準化は、その目標を達成するために、地理情報の概念と既存の情報技術の概念の統合に基づいて行われる。地理情報の標準の開発では、可能な限り、汎用の情報技術標準の採用または適用を考慮する必要があり、それができない場合にのみ、地理情報標準の開発が必要になる。
ISO 19101のこの部では、ISO地理情報標準を構築するための一般的な取り組み方を規定する。この参照モデルは、ISO/IEC 10746-1およびその他の関連する国際標準および技術レポートで説明される、参照モデル–オープン分散処理(RM - ODP)4)の概念に基づいて記述される。ISO 19101のこの部では、地理情報システムを実装するための特定の製品や技術の使用は前提とはされない。
ISO 19101のこの部は、情報システムアナリスト、プログラムプランナー、ISO地理情報標準に関連する地理情報標準の開発者、そして、地理情報の標準化に関する全体的な要件を理解したい人々などが使用することを、目的としている。
参照モデルを示すこの版は、オントロジーと知識による、地理情報の相互運用性に関連する意味規則的な側面に特に焦点を当てている点で、以前の版とは異なる。そのため、相互運用性の定義がコミュニケーション技術を背景として再検討されている。また、地理情報の相互運用性の3つの基盤5)が特定されている。これらの基盤と通常の4つの抽象化レベル6)に基づいて、参照モデルの構成をサポートする新しい概念フレームワークが導入されている。以前の参照モデルのアーキテクチャの側面については、この参照モデルでは削除されており、ISO 19119:2005の改訂版でより具体的に示される予定である。このバージョンの参照モデルは、ISO地理情報標準群に対して後方互換性の影響は与えない。
備考1)セマンティクスはこの場合「意味を示すための規定」と考えられる。JIS X 4170:2009情報技術−オープン分散処理−統一モデル化言語(UML)の4.5.2.10及び4.5.2.30参照。
備考2)ビュー "view" は、JIS X 4170:2009, JC.215では、次のように定義づけられている。「与えられた観点又は見晴らしの利く位置からのモデルの射影で、この観点に関係しない実体を無視したものになる」。この概説の4.1.38を参照のこと。
備考 3)住所体系(addressing system)については、ISO 19160 - Addressingにおいて標準化が行われている。
備考4)"RM - ODP" は "Reference Model - Open Distributed Processing" の略称である。
備考5)この国際標準では3つの基盤とは、概念定義の構造と意味を扱う意味基盤 (semantic foundation) 、システム間の情報交換のために使われる言語に関する構文基盤 (syntactic foundation) 、地理情報の操作、変換、管理又は表現用の、システム又はミドルウェアの能力に関するサービス基盤 (service foundation) のことであり、 この標準の6.1で示される。
備考6)この国際標準では4つの抽象化レベルとは、この標準を含むISO地理情報規格の一般的な側面をカバーするメタ-メタレベル (meta-meta level) 、応用システムの開発に必要なISO地理情報規格の側面をカバーするメタレベル (meta level) 、直接実装可能な領域に対応するISO地理情報標準の側面をカバーする応用レベル (application level) 、データ・符号化されたデータ・サービス又は応用処理用のデータを含むインスタンスレベル (instance level) であり、同標準の8.2で示される。
ISO 19101-1:2014は、地理情報分野における標準化のための参照モデルを定義する。この参照モデルは、相互運用性の概念を示し、この標準化、つまり、TC211で行われる標準化を行うための基礎を規定する。
ISO 19101-1:2014は情報技術および情報技術標準を背景として作成されているが、個別のアプリケーション開発手法や技術導入アプローチを示すものではない。
この国際標準は、いかなる引用標準も規定しない。この参照モデルのもとで作られた標準それぞれが、その一部として、特定の引用規格を参照する。
4.1.1
application
応用、応用システム
利用者の要求にこたえるために行われるデータの操作及び処理
[翻訳は JIS X 7109:2009 4.1を引用]
備考1)application systemを省略してapplicationと表記しているときは、応用システム。
4.1.2
application schema
応用スキーマ
一つ以上の応用システム(4.1.1)によって要求されるデータのための概念スキーマ(4.1.6)
[翻訳は JIS X 7109:2009 4.2を引用]
4.1.3
base standard
基礎標準
ISO地理情報(4.1.18)標準またはプロファイル(4.1.27)の構築を行うための基になる情報技術標準
[ISO 19106:2004, 4.2を引用]
備考1)基礎標準を基にして構築されたプロファイルを、応用標準ということがある。
4.1.4
conceptual formalism
概念的形式記述
概念モデル(4.1.5)の記述に使われる、モデリングのための概念の集まり
例1:UMLメタモデル
例2:EXPRESSメタモデル
注記1:一つの概念形式記述が複数の概念スキーマ言語(4.1.7)の中で示される可能性がある。
備考1)概念的形式記述は、UMLやEXPRESSなどの概念スキーマ言語の規則(語彙と文法)を指す。UMLは統一モデリング言語(Unified Modeling Language)の略で、システム設計内容を図的にモデル化するための汎用的なグラフィック言語である。EXPRESSは、工業製品データの表現および交換の規格であるISO 10303 STEP (Standard for the Exchange of Product model data)で規定され、主に工業製品、土木及び建築の設計で使われる概念スキーマ言語である。
4.1.5
conceptual model
概念モデル
論議領域(4.1.38)の概念を定義するモデル
4.1.6
conceptual schema
概念スキーマ
概念モデル(4.1.5)の形式的な記述
4.1.7
conceptual schema language
概念スキーマ言語
概念スキーマ(4.1.6)を表現することを目的とする、概念形式記述(4.1.4)に基づく形式言語
例1:UML
例2:EXPRESS
例3:IDEF1X
注記1:概念スキーマ言語はテキスト、またはグラフィックな表現手段をとることができる。概念スキーマ言語の中には、同じ概念形式記述に基づくものがある。
備考1)IDEF1Xは、アメリカの国立標準技術研究所(NIST)で規格化された、ER(entity relationship)図による概念スキーマ言語であり、データベースの概念設計に使われることが多い。
4.1.8
coverage
被覆
空間定義域、時間定義域又は時空間定義域内の各々の直接位置に対して、決められた値域からの値を返す関数として機能する地物(4.1.11)
例1:ラスタ(4.1.30)画像データ
例2:ポリゴンオーバレイ
例3:数値標高行列
注記1:すなわち、被覆は、各属性型に対して複数の値をもつ地物で、地物の幾何表現における個々の直接位置が各属性型に対して一つの値をもつものである。
[ISO 19123:2005, 4.1.7を引用][翻訳はJIS X 7123:2012,4.1.7を引用]
備考1)ISO 19123:2005,4.1.7に対応する現行のISO 19123-1:2023,3,1,9では、定義は次のように変更されている。「その定義域内の任意の直接位置に対応する値域から取られる値を戻す関数」。なお、例及び注記は消滅している。
4.1.9
dataset
データ集合
他と識別可能なデータの集まり
[ISO 19115‑1:2014, 4.3を引用][翻訳はJIS X 7115:2005, 4.2を引用]
備考1)この標準(ISO 19101-1:2014)にはないが、引用元になっているISO 19115-1:2014には、次の注記が示されている。「注記1:空間範囲又は地物型のような制約によって区切るとしても,データ集合は,より大きいデータ集合の中に位置する,より小さいデータのグループであってもよい。理論的には,データ集合は,より大きなデータ集合に含まれる一つの地物又は地物属性のように小さくてもよい。ハードコピーの地図又は海図は,データ集合と考えてよい。」なお、この注記の翻訳も、JIS X 7115:2005, 4.2を引用している。
4.1.10
e-government
電子政府
政府と市民、政府と企業、そして政府内の組織同士に、電子的な相互関係を持たせる仕組み
備考1)原文には「を持たせる仕組み」という句はないが、「政府」は「関係」ではないと考えられるので、定義をわかりやすくするために付加した。
4.1.11
feature
地物
実世界の現象の抽象概念
注記1:地物は型として、又はインスタンスとして現れる。型又はインスタンスの一方だけを意味するときには、地物型又は地物インスタンスという用語を使うのが望ましい。
備考1)featureは、geographic featureの省略表現として慣用的に使われているので、「地物」と訳している。
備考2)JISX 7108:2002には、日本独自に次の「参考」が示されている。
参考:地物は元来地上の自然物及び人工物の概念を指す用語であるが,この規格では,それ以外の実世界に現れる物事を抽象化した概念も指す。
4.1.12
feature attribute
地物属性
地物(4.1,11)の特徴
例1:「色」という名前の地物属性は「テキスト」をデータ型とする「緑」という属性値をもつことができる。
例2:「長さ」という名前の地物属性は、「実数」をデータ型とする「82.4」という属性値をもつことができる。
注記1:地物属性は名前、データ型及び地物属性に関連する値の定義域をもつ。地物インスタンス(4.1.14)の地物属性にも、値の定義域から与えられた属性値がある。
注記2:地物カタログ(4.1.13)の中では、地物属性の定義域は示されるが、地物インスタンスの属性値が示されることはない。
注記3:UMLにおいては、属性、関連、および操作は、地物表現のための型であり、特徴の型や地物の型として使われることはない。これら3つの型は、地物の同じ特徴を表現することができる。従って、特徴の実装においては、最も適切な型を使用することができ、必要に応じて一つの特徴に対して複数の異なる表現を使用することができる。地物関連と地物操作(4.1.15)は、したがって、地物属性とは異なる型であるがそれらの区別は、意味の違いというよりは、記録とアクセスのメカニズムの違いに基づく。
4.1.13
feature catalogue
地物カタログ
地物型(4.1.16)、地物属性(4.1.12)、1以上の地理データの集合に発生する地物関係及び適用できる任意の地物操作(4.1.15)の定義と記述法を含むカタログ
4.1.14
feature instance
地物インスタンス
地物属性(4.1.12)の値が指定されている、地物型(4.1.16)に従う個物
4.1.15
feature operation
地物操作
ある地物型(4.1.16)のすべてのインスタンスが実行できる操作
例1:地物型 “せき(堰)” の地物操作は、“せき(堰)”のかさ(嵩)を上げる"である。この操作によって “せき(堰)” の高さが上がり、“貯水池” の水位が上がる。
注記1:地物操作は地物型定義の基礎になることがある。
[ISO 19110:2005, 4.5を引用][翻訳はJIS X 7110:2009, 4.5を引用]
4.1.16
feature type
地物型
共通の特徴をもつ地物(4.1.11)のクラス
備考1)ここでクラスとは、属性や操作が共通し、他のものと区別される部類(カテゴリー)に分類されるものの集合をさす。
4.1.17
functional standard
現行標準
データ生産者やデータ利用者の国際的なコミュニティが現在使用している、既存の地理情報標準
例1:GDF
例2:S-57
例3:DIGEST
備考1)GDFは、Geographic Data Filesの略称で、特にITS(Intelligent Transport Systems)分野で道路ネットワークデータの記述に使用されている。S-57は、国際水路機関(IHO: International Hydrographic Organization)が定めた、デジタル水路データの交換を目的とした規格である。DIGEST(Digital Geographic Information Exchange Standard)は北太平洋条約機構(NATO:North Atlantic Treaty Organization)が定めた地理情報交換規格である。
4.1.18
geographic information
地理情報
地球に関係する場所に暗示的又は明示的に関連づく現象に関する情報
備考1)ここで現象とは、広辞苑第七版によれば「観察されうるあらゆる事実」を指す。
Oxford dictionaryによれば “a fact or an event in nature or society, especially one that is not fully understood”、つまり「完全には理解されない、自然や社会にある事実や事象」と定義されている。地物は属性、操作および他の地物との関係で記述されるが、限られた数の特性のみで、地物を完全に記述することは困難であるということに留意すべきである。我々ができることは、観察や計測によって、地球に関連するものごとを、ある目的のために説明する地理情報を提示することである。
4.1.19
geographic information service
地理情報サービス
利用者に対して、地理情報を変換したり、管理したり、表現するサービス(4.1.36)
4.1.20
geographic information system
地理情報システム
地球における場所に関連する現象に関する情報を扱う情報システム(4.1.23)
4.1.21
graphical language
グラフィック言語
グラフィックな記号を使って説明される構造(シンタックス)が表現される言語
4.1.22
grid
グリッド
アルゴリズミックな方法によって、二つ以上の、互いに交差する曲線で構成されるネットワーク
注記1:曲線は空間をグリッドセルに分割する。
[ISO 19123:2005 4.1.23を引用]
4.1.23
information system
情報システム
情報処理システムと、これに関連する人的資源、技術的資源、財的資源などの組織上の資源からなり、情報を提供し配布するもの
[ISO/IEC 2382‑1:1993 01.01.22を引用][翻訳はJIS X 0001:1994 01.01.22の定義を引用]
備考1)この定義は、ISO/IEC 2382-1:1993の一致規格である[JIS X 0001:1994 情報処理用語 − 基本用語, 01.01.22] を引用している。ちなみに、情報処理システムの定義は同規格の01.01.21に見られる。
4.1.24
lexical language
字句言語
その構文が文字列で定義される記号によって示される言語
4.1.25
module
モジュール
プロファイルを構築するために使うことができる、あらかじめ定義された、基礎標準の要素の集合
[ISO/TR 19120:2001 3.3を引用]
備考1)ISO/TR 19120:2001は廃止されている。
4.1.26
ontology
オントロジー
意図された意味を明示して、現象とその相互関係を説明する、定義や公理を含む基礎となる語彙を伴う、論議領域(4.1.38)中の現象の形式的な表現
備考1)ISO 19101-1 8.3 では、オントロジーの記述言語としてOWLが紹介されている。
4.1.27
profile
プロファイル
特別の働きをするために必要な、一つ以上の基礎標準又は基礎標準のサブセット、及び、もし許容される場合は、それらの基礎標準の中から選ばれる箇条、クラス、オプション及びそれらの基礎標準(4.1.3)のパラメータの特定
[ISO 19106:2004 4.5を引用]
備考1)プロファイルは、基礎標準の集まりから、特別な要求に応じる部分を選択的に取り出して再構成した、実用上の標準である。例えばJPGIS(Japan Profile for Geographic Information Standards)は、TC211標準群の中から、日本における地理情報の応用を考慮して、必要な標準とその箇条を抜き出して再構成した、地理情報標準プロファイルである。
4.1.28
quality
品質
対象に本来備わっている特徴の集まりが、要求事項を満たす程度
注記1:「品質」という用語は悪い、良い、優れたなどの形容詞とともに使われることがある。
注記2:“本来備わっている”とは、“付与された”とは異なり、対象の中に存在していることを意味する。
[ISO 9000:2005,3.1.1を引用][翻訳はJIS Q 9000:2015 3.6.2を引用]
4.1.29
quality schema
品質スキーマ
地理データの品質(4.1.28)の側面を定義する概念スキーマ(4.1.6)
4.1.30
raster
ラスター
ディスプレイ装置上の表示パターンであって、並行な走査線から構成され、通常は長方形のもの
注記1:ラスターは、グリッド(4.1.22)の一種である。
[ISO 19123:2005 4.1.30を引用][翻訳はJIS X 7123:2021, 4.1.30を引用]
4.1.31
reference model
参照モデル
一定の環境下にある実体同士の明確な関係を理解するため、また、その環境を支える、首尾一貫した標準や仕様の開発を行うための枠組み
注記1:参照モデルは少数の統一的な概念に基づき、非専門家に標準を説明し教育するための基礎として使用することができる。
[ISO 14721:2012, 1.7.2を引用]
備考1)地理情報標準全体の参照モデルは、地理情報標準を、互いに整合性をもって整備するために、個々の情報の関連性や、各標準が使用する共通の概念を定めた、地理情報標準全体の枠組みを示している。
4.1.32
register
レジスター
関連する項目の記述を含む、項目に割り当てられた識別子をもつ記録の集合
[ISO 19135:2005, 4.1.9を引用]
備考1)一般的にレジスターは、名称や項目の記録の一覧を指す。例えば会員名簿や宿泊者台帳などがこれにあたる。地理情報のレジスターの例としては、住所録や施設一覧などがあるが、個々の記録を見ることによって、同じ識別子をもつ項目が重複定義されるのを避けることができる。
4.1.33
registry
レジストリー
レジスター(4.1.32)を維持するための情報システム(4.1.23)
[ISO 19135:2005 4.1.13を引用]
4.1.34
schema
スキーマ
モデルの形式記述
備考1)例えば「建物は名称と立体で表現される」という自然言語表現は建物を説明するモデルであるが、これをUMLのようなモデル化言語で形式的に記述すると、スキーマと呼ばれる。
4.1.35
Semantic Web
セマンティックWeb
意味を伴うデータのWeb(4.1.40)
注記1:意味を関連付けることによって、人間と同様に、自動化されたツールがデータや情報を理解し、処理できるようになる。
4.1.36
service
サービス
インタフェースを通じて、実体によって提供される機能の個別の部分
[ISO 19119:2005, 4.1]
備考1)ISO 19119:2016 - Serviceでは、利用者がさまざまな情報源にある地理データにアクセス、処理、管理できるようにするサービスを規定している。また、実体(entity)についてはサービス提供者のことであるとしている(ISO 19119:2016, 6.4参照)
備考2)サービスについては「情報を操作、変換、管理又は表現するために提供される能力」とする解説(*)も見られる。つまりサービスは、サービス提供者(実体)が操作、変換、管理又は表現する機能のうち個別の部分を使って、利用者に情報を提供する能力である。
(*) Wolfgang Kresse, Kian Fadaie (2004) ISO Standards for Geographic Information, Springer, p.72
4.1.37
tessellation
モザイク分割
空間の分割のうち、元の空間と同一次元をもち互いに隣接する部分空間の集合への分割
注記1:合同で規則的なポリゴン又は多面体で構成されるモザイク分割は、規則的なモザイク分割、規則的だが、合同でないポリゴン又は多面体で構成されるモザイク分割は、準規則的モザイク分割、その他は不規則なモザイク分割である。
[ISO 19123:2005, 4.1.39を引用][翻訳はJIS X 7123:2012, 4.1.39の定義と注記を引用]
備考1)TIN(Triangulated Irregular Network)は複数の不規則な三角形によるモザイク分割の例である。
4.1.38
universe of discourse
論議領域
関心あるものすべてを含んだ、実世界又は仮想世界のビュー
備考1)「ビュー」 "view" については、JIS X 4170:2009, JC.215では「ビュー」と表記されているので、ここでもビューとする。ただし、JIS X 7109:2009, 4.17の定義では「範囲」としている。
4.1.39
vector
ベクトル
方向及び大きさをもつ量
注記1:もし線分の長さ及び方向がベクトルの大きさと方向に等しいならば、この線分はベクトルを表す。ベクトルデータという用語は、地物の空間的な構成を、方向をもつ線分の集合として表現するデータを指す。
[ISO 19123:2005, 4.1.43を引用][翻訳はJIS X 7123:2012, 4.1.43を引用]
備考1)地理情報分野では、伝統的に"vector data" はベクターデータと表記することもある。
4.1.40
World Wide Web
Web
ワールドワイドウェッブ
Web
ネットワークでアクセス可能な情報およびサービス(4.1.36)の世界
[+]
4.1.41
Web service
Webサービス
Web(4.1.40)を通じて可能になるサービス(4.1.36)
注記1:Webサービスは通常、プログラムとデータの連携を含み、人的資源を含むこともある。
COM Component Object Model
CORBA Common Object Request Broker Architecture
CSMF Conceptual Schema Modelling Facility
DL 記述言語(Description Language)
DXF Drawing eXchange Format
ebXML RIM Electronic Business XML Registry Information Model
ebXML RS Electronic Business XML Registry Services
EIF European Interoperability Framework
FTP ファイル転送プロトコル(File Transfer Protocol)
GeoRSS Geo Really Simple Syndication
GFM 一般地物モデル(General Feature Model)
GIS 地理情報システム(Geographic Information System)
GML 地理マーク付け言語(Geography Markup Language)
HTML ハイパーテキストマーク付け言語(HyperText Markup Language)
HTTP ハイパーテキスト転送プロトコル(HyperText Transfer Protocol)
ICT 情報通信技術(Information and Communication Technology)
IDEF1X Integration DEFinition for Data Modelling
IDL インタフェース記述言語(Interface Definition Language)
IT 情報技術(Information Technology)
JDBC Java Database Connectivity
KML Keyhole Markup Language
MS マイクロソフト株式会社(Microsoft Corporation)
OCL オブジェクト制約言語(Object Constraint Language)
ODBC Open Database Connectivity
ODL オブジェクト定義言語(Object Definition Language)
ODMG Object Data Management Group
ODP オープン分散処理(Open Distributed Processing
OMG Object Management Group
OWL Web Ontology Language
RDF 資源記述の枠組み(Resource Description Framework)
RM-ODP 参照モデル−オープン分散処理(Reference Model – Open Distributed Processing)
RPC 遠隔手続き呼び出し(Remote Procedure Call)
SDAI 標準データアクセスインタフェース(Standard Data Access Interface)
SDI 空間データ基盤(Spatial Data Infrastructure)
SQL Structured Query Language
TCP/IP Transmission Control Protocol/Internet Protocol
UML 統一モデリング言語(Unified Modelling Language)
URI 統一資源識別子(Universal Resource Identifier)
W3C SWEO World Wide Web Consortium Semantic Web Education and Outreach
XML 拡張可能なマーク付け言語(eXtensible Markup Language)
(2024-08-15)
(2025-01-13) 4.1.11 修正