ISO 19143:2010 Filter encoding
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対応OGC標準:OGC 09-026r1 OpenGIS Filter Encoding 2.0 Encoding Standard
対応JIS規格:なし
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:42137:en
フィルター符号化法の標準化は、もともとOGC 内で始まった。
データ又は資源の集合に対して実行される基本的な操作は、クエリの基準を満たすと共に、多くの場合は、指定された方法でソートされた特定の必要な情報を含むデータの部分集合を取得するために、クエリを実行することである。
備考1)クエリとは、データベース管理システムに対して、データの検索や更新などの処理要求を指す。一般的に命令文の形をとる。
「射影句」という用語は、クエリへの応答で、どの資源特性の部分集合を提示するかを指定するための符号化法を表すために使用される。
備考2)この規格では、SQLの規格であるJIS X 3005-1:2014 に準拠して、基本的に"clause"は「句」と翻訳する。
「フィルター句(filter clause)又は選択句(selection clause)」という用語は、クエリ操作で通常使用される述語の符号化法を記述するために使用される。述語は、ソース データ集合内のデータ インスタンスをフィルター処理して、結果となる集合を生成する方法を指定する。ソース 集合内の各データ インスタンスは、フィルター式を使用して評価される。フィルター式全体は常に true 又は false に評価される。式が true に評価された場合、データ インスタンスは式を満たし、結果となる集合内にあるとマークされる。フィルター式全体が false に評価された場合、データ インスタンスは結果となる集合内にはない。したがって、フィルター式を評価することの最終的な結果は、式の述語を満たすデータ又は資源識別子の集合である。
「ソート句(sorting clause)」という用語は、応答内のデータが、表示される前にどのように順序付けられるかを指定する符号化法を表すために使用される。
このような符号化法はシステムに依存しないと考えられる。それは、現在利用可能な多数の XML ツールを使用すると、XMLに符号化される射影、選択、及びソートを簡単に検証、解析し、永続オブジェクト ストアに格納されている資源を取得又は変更するために必要なターゲット クエリ言語に変換できるからである。たとえば、射影、選択、及びソートのための句で構成された、XMLに符号化されたクエリは、SQL ベースの関係データベースに格納されているデータを取得するために、SQLの「SELECT … FROM … WHERE … ORDER BY …」ステートメントに変換できる。同様に、同じ XMLに符号化されたクエリ式を XQuery 式に簡単に変換して、XML文書からデータを取得することができる。
この国際規格で提示されている射影、選択、及びソート句の、XML及びKVPによる符号化法は、複数のWeb サービスで、共に、又は個別に使用できる共通コンポーネントである。Web アクセス可能なリポジトリーからオブジェクトをクエリする機能を必要とするサービスはすべて、この国際規格で示されているクエリ式の XML及びKVP符号化法を利用できる。たとえば、ISO 19142 で定義されている GetFeature 操作は、この国際規格の定義から派生した要素を使用してクエリ式を符号化する。
この国際規格は、クエリ式と総称される射影句、選択句、及びソート句を表現するためのシステムに中立な構文の XML及びKVP符号化法を規定する。
備考1)"KVP"はKeyword-value Pairの略語である。
これらのコンポーネントはモジュール化されており、この国際規格を参照する他の標準によって共に、又は個別に使用されることを目的とする。
例 1
ISO 19142では、これらのコンポーネントの一部又はすべてを使用する。
この国際規格では、AbstractQueryExpression という抽象コンポーネントを定義しており、他の仕様では、この抽象コンポーネントから具体的なクエリ要素をサブクラス化することで、クエリ操作を実装できる。
この国際規格では、AbstractQueryExpression から派生した、AbstractAdhocQueryExpresison という追加の抽象クエリ コンポーネントも定義されている。他の仕様では、このコンポーネントから、次に示すクエリ パターンに従う具体的なクエリ要素をサブクラス化できる。
このクエリ要素は、クライアントがリソース タイプのリスト、オプションの射影句、オプションの選択句、及びオプションのソート句を指定して、選択句を満たすリソースのサブセットをクエリできるようにするクエリ操作を実装する、サービス仕様が具体的なクエリ要素をサブクラス化できるための、抽象クエリ要素である。
このパターンは、処理のためにクエリが送信されるまで、サーバーがクエリを認識しないため、アドホック クエリ パターンと呼ばれる。これは、保存されて名前又は識別子で呼び出すことができる保存済みクエリ式とは対照的なものである。
この国際規格では、システムに依存しない選択句の表現の XML及びKVP符号化法についても規定している。XML 表現は簡単に検証、解析でき、永続オブジェクト ストアに格納されているオブジェクト インスタンスを取得または変更するために必要なサーバー固有の言語に変換できる。
例2
XML で符号化されたフィルターは、SQL ベースの関係データベースに格納されているデータを取得するための SQL SELECT ステートメントの WHERE 句に変換できる。同様に、XML で符号化されたフィルター式は、XML文書からデータを取得するための XPath または XPointer 式に変換できる。
この国際規格では、次の述語の XML符号化法を定義する。
a) 論理述語の標準セット: and、or、not。
b) 比較述語の標準セット: equal to、not equal to、less than、less than or equal to、greater than、greater than or equal to、like、is null、between。
c) 空間述語の標準セット: equal、disjoint、touches、within、overlaps、crosses、intersects、contains、within a given distance、beyond a given distance、BBOX。
d) 時間述語の標準セット: after、before、begins、begined by、contains、during、ends、equals、meets、met by、overlaps、overlapped by。
e) オブジェクトの識別子が指定された値と一致するかどうかをテストする述語。
この国際規格では、サービスが利用可能にする適合性クラス、述語、演算子、オペランド、関数を宣言できるようにするメタデータの XML符号化法を定義する。このメタデータは、フィルター機能と呼ばれる。
備考1)c)のBBOXとは"bounding box"、つまり、図形を取り囲む最小の矩形領域を指す。
備考2)オペランドとは、演算子によって演算の対象となる値や変数のことである。計算式「3+4」では、「+」が演算子、演算の対象となるオペランドは「3」及び「4」である。さらに、X=3+4では、「=」という演算子によって、計算結果が変数「X」に代入される。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 19108:2002, Geographic information — Temporal schema
ISO 19125-1:2004, Geographic information — Simple feature access — Part 1: Common architecture
ISO 19136:2007, Geographic information — Geography Markup Language (GML)
IETF RFC 2396, Uniform Resource Identifiers (URN): Generic Syntax (August 1998)
OGC 06-121r3, OGC Web Services Common Specification, OGC® Implementation Specification (9 February 2009)
W3C XML, Extensible Markup Language (XML) 1.0 (Third edition), W3C Recommendation (4 February 2004)
W3C XML, Namespaces, Namespaces in XML, W3C Recommendation (14 January 1999)
W3C XML, Path Language, XML Path Language (XPath) 2.0, W3C Recommendation (23 January 2007)
W3C XML, Schema Part 1, XML Schema Part 1: Structures, W3C Recommendation (2 May 2001)
W3C XML, Schema Part 2, XML Schema Part 2: Datatypes, W3C Recommendation (2 May 2001)
この規格では、次に示す用語と定義が適用される。
4.1
attribute
属性
名前と値の対であって、要素に含まれるもの
注記1:この規格では、特に示さないときは、属性はXML属性を指す。
[ISO 19136:2007 4.1.3を参照][翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.3を参照]
4.2
client
クライアント
サーバーからの操作を起動させることができるソフトウェア部品
[ISO 19128:2005 4.1を引用]
4.3
coordinate
座標
点の位置を指し示す数の列のうちの一つ
[ISO 19111:2007 4.5を引用]
4.4
coordinate reference system
座標参照系
原子によってオブジェクトに関連付けられた座標系
[ISO 19111:2007 4.8を引用]
4.5
coordinate system
座標系
点にどのように座標を割り当てるかを規定する数学的規則の集合
[ISO 19111:2007 4.10を引用]
4.6
element
要素
子要素、属性及び文字データを含むXML文書の基本的な情報項目
[ISO 19136:2007 4.1.23を引用]
4.7
feature
地物
実世界の現象の抽象概念
注記1:地物は型として、又はインスタンスとして現れる。型又はインスタンスの一方だけを意味するときには、地物型又は地物インスタンスという用語を使うのが望ましい。
[ISO 19101:2002 4.11を引用]
4.8
feature identifier
地物識別子
地物インスタンスを一意に指定する識別子
[ISO 19142:2010 4.8を引用]
4.9
feature reference
地物参照
地物を識別する統一資源識別子
4.10
filter capabilities XML
フィルタ機能XML
システムがこの国際規格で定義された述語を実装していることを記述する、XMLで符号化されたメタデータ
[+]
4.11
filter expression
フィルター式
XMLを使って符号化された述語式
[+]
4.12
filter expression processor
フィルター式プロセッサー
フィルター式を処理するシステムコンポーネント
4.13
function
関数
ある領域(関数の "ソースドメイン" 又は "定義域")の各要素を別の領域("ターゲット ドメイン"、"終域" 又は "値域")の一意の要素に関連付ける規則
[ISO 19107:2003 4.41を引用]
4.14
interface
インタフェース
実体の振る舞いを特徴付ける、名前の付いた操作の集まり
[ISO 19119:2005 4.2を参照]
4.15
literal value
リテラル値
定数として、明示的に指定された値
注記1:これは、置換の連鎖を解決することによって決定される値(変数など)と対比される。
4.16
join predicate
結合述語
二つの異なる実体型の特性を制限する一つ以上の句を含むフィルター式
注記1 :この国際規格では、実体型はリソースの型である。
[+]
4.17
namespace
名前空間
URI参照によって識別される名前の集まり。XML文書で要素 (4.6) 名や属性 (4.1) 名として使用される。
[W3C XML Namespacesを引用]
4.18
operation
オブジェクトが変換や問い合わせを実行できるようにするための仕様
[ISO 19119:2005 4.3を引用]
4.19
predicate
述語
データインスタンスに適用され、真または偽と評価される計算操作の集まり
4.20
predicate expression
述語式
述語を記述するための形式的な構文
4.21
property
特性
名前によって参照されるオブジェクトの様相又は属性
備考1)原文で「様相」は "facet" である。この規格では特性は抽象クラス "PropertyType" として定義され、それは操作、属性又は他の地物との関連を示す具象クラスに継承されるので、様相は操作又は地物関連ということになる。
備考2)JIS X 4170:2009 UML 1.4.2の4.5.2.21にある記述に倣い "property" は特性、"characteristic" は特徴と訳す。
4.22
request
要求
クライアントによって、操作を起動させること
[ISO 19128:2005 4.10を引用]
4.23
resource
資源
要求を満たすための手段又は資産
[ISO 19115:2003 4.10を参照][翻訳はJIS X 7115:2005 4.10を参照]
4.24
response
応答
サーバーからクライアントに返される操作の結果
[ISO 19128:2005 4.11を引用]
4.25
service
サービス
インタフェースを通じて、実体によって提供される機能の個別の部分
[ISO 19119:2005 4.1を引用]
4.26
server
サーバー
サービスをする特定のインスタンス
[ISO 19128:2005 4.12を引用]
備考1)ここで「特定のインスタンス」とは、さまざまな地理情報サービスの中の特定のサービスを実現する機能の実装を指す。ISO 19128:2005 4.13 service の備考2)を参照のこと。
[+]
4.27
tuple
組、タプル
順序をもつ値のリスト
注記1:この国際標準では、順序をもつリストは一般的に資源の有限な配列である。
[ISO 19136:2007 4.1.63を参照][翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.63を参照]
備考1) ISO 19136:2007 4.1.63(JIS X 7136:2012 4.1.63)では、注記は、以下のとおりである。
「注記1: 組の中の値の順番は,変更できない。」
[+]
4.28
Uniform Resource Identifier
URI
統一資源識別子
URI
IETF RFC 2396に適合した構造をもつ、資源の統一的な識別子。
注記1:一般的な構文は、使用するスキーム名(<scheme>)及びスキーム固有部分(<scheme-specific-part>)からなる<scheme>::<scheme-specific-part>である。名前空間付きの階層的な構文は、<scheme>://<authority><path>?<query>である(RFC 2396参照)。
[ISO 19136:2007 4.1.65を引用][翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.65を引用]
[1] ISO 19101:2002, Geographic information — Reference model
[2] ISO/TS 19103:2005, Geographic information — Conceptual schema language
[3] ISO 19107:2003, Geographic information — Spatial schema
[4] ISO 19111:2007, Geographic information — Spatial referencing by coordinates
[5] ISO 19115:2003, Geographic information — Metadata
[6] ISO 19119:2005, Geographic information — Services
[7] ISO 19128:2005, Geographic information — Web map server interface
[8] ISO 19142:2010, Geographic information — Web Feature Service
[9] ISO/IEC 13249-3, Information technology — Database languages — SQL multimedia and application packages — Part 3: Spatial
[10] ISO/IEC 14651, Information technology — International string ordering and comparison — Method for comparing character strings and description of the common template tailorable ordering
[11] ISO/IEC 14977, Information technology — Syntactic metalanguage — Extended BNF
[12] OGC 06-131r3, EO Products Extension Package for ebRIM Profile of CSW 0.1.8
(2025-01-14)