ISO 19109:2015 Geographic information/Geomatics
Methodology for feature cataloguing
現行
履歴
ISO 19110:2005(廃止)
ISO 19110:2005/Amd 1:2011(廃止)
対応OGC標準:なし
対応JIS規格:JIS X 7110:2009 地理情報−地物カタログ化法
このJIS規格はISO 19110:2005に対応する。
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:iso:19110:ed-2:v1:en
地物とは、地球に関係した場所に関連付けられる実世界現象であり、それに関するデータが収集・保守・配布される。地理データにおいて表現される地物の型、操作、属性及び関連を定義する地物カタログは、データを使用可能情報に変換するために不可欠である。このような地物カタログによって、地理データの内容及び意味の十分な理解がもたらされ、地理データの普及、共有及び使用が促進される。地理データの提供者及び使用者が、データによって表現される実世界現象の種類を共通に認識していなければ、使用者は、提供されたデータが自分の目的に適したものであるかどうかを判断できない。
複数回用いることができる標準的地物カタログを入手できれば、データ取得にかかるコストが削減され、地理データ集合の製品仕様書の作成プロセス2)が簡素化される。
この規格は、実世界現象の分類を地理データ集合として組織化し報告するための標準的な枠組みを規定する。地理データ集合というものは、複雑で多様な世界を大幅に単純化・簡素化した抽象概念でしかない。一つの地物カタログによって、地理的現実の豊かさを把握できることは決してない。ただし、そのような地物カタログは、特定の立場からの抽象化の結果で、それを明確、精密3)、かつ、データの使用者が容易に理解しアクセスできる形式のデータ集合として提示することが望ましい。
地物は、インスタンス及び型という二つのレベルで出現する。インスタンスレベルでは、地物は、その地理座標及び時間座標に関連付けられる個別的現象として表し、特定の図形によって描画しても良い。これらの個別地物インスタンスは、共通の特徴をもつクラス、すなわち地物型に分類される。地理情報は主観的に知覚され、地理情報の内容は特定応用の要求に依存すると考えられている。特定応用の要求によって、特定の分類スキームにおいてインスタンスを型に分類する方法が決まる。ISO 19109では、データ要件が似ている応用の特定ニーズを反映するようにデータを体系化する方法を規定している。
注記 地理データ集合の内容と構造のすべての記述は、ISO 19109 に従って作成した応用スキーマとして与えられる。地物カタログは、応用スキーマに含まれる地物型の意味と、地物型に関連する地物属性、地物操作及び地物関連の意味を定義するものである。
この規格は、ISO 19109 に準拠した応用スキーマの多言語記述を可能にする。さらに、応用スキーマ内で何度も発生する特性の単一のグローバル記述と、それらのグローバル特性が対応する地物型への結び付けを可能にする仕組みを示す。
個別の実世界現象を識別し、それをデータ集合における地物インスタンスとして表現するために用いる収集基準は、この規格では規定していない。収集基準は規格に含まないため、収集基準を各データ集合の製品仕様書に個別に含めることが望ましい。
地物カタログ情報を体系化する標準的な方法を用いれば、応用間の調和又は相互運用性が実現されるというわけではない。地物の分類が異なるような状況では、この規格の最低限の役割は、その差異を明らかにすることで、差異を無視した場合に生じる誤りを避けることである。また、この規格を、重複した領域4)をもつ既存の地物カタログを調和させるための標準的枠組みとして使用してもよい。
ISO 19110 のこの改訂版では、地物カタログの多言語管理に関連する問題に対処し、以前の修正版で規格化された変更を適用する。この修正により、概念スキーマの軽微な矛盾を取り除くことに加えて、グローバル特性の管理を保証する仕組みが強化される。この修正では、地物カタログ概念スキーマの XML スキーマ実装と地物カタログレジスターの管理法を提示する。初期の概念スキーマが修正された概念スキーマのサブセットでない場合は、遺されたインスタンスを変換することは可能である。
備考1)この序文は、旧版であるISO 10110:2005を基本的に踏襲しつつ、いくつかの段落を追加したり、部分的な修正を加えたりしているので、翻訳は対応規格であるJIS X 7110:2009を参照するとともに、この版の内容に合わせた調整を行なっている。
備考2)原文は "process" であるが、製品仕様書作成のための処理過程を指すので、「作成プロセス」とした。
備考3)原文は "precisely" であり "accurately" ではないので、JIS X 7110:2009では「正確」としているが、「精密」に変更した。
備考4)原文は "domain" であり、JIS X 7110:2009 では「定義域」と訳している。定義域は地物属性値の有効範囲を示す用語であるが、この文で述べていることは、地物カタログの応用領域のことなので、ここでは「領域」と訳した。
この規格では、地物型をカタログ化する方法論を定義するとともに、どのように地物型を地物カタログの中で組織化し、地理データ集合の使用者に提示するかを規定する。この規格は、これまでにカタログ化されていない領域における地物型のカタログの作成及び実務に適合するための既存の地物カタログの修正に適用できる。この規格は、ディジタル形式で表す地物型のカタログ化に適用する。この規格の原則は、他の形式の地理データのカタログ化にも拡張適用することができる。地物カタログは、ISO 19126 で定義されている地物概念辞書から独立しており、地物概念辞書を使用または作成しなくても仕様化できる。
この規格は型レベルでの地物の定義に適用できる。この規格は、各型の個別インスタンスの表現には適用できない。この規格ではISO 19117で規定する描画スキーマは適用除外とする。
この規格は、特定の応用においてモデル化される論議領域を定義するための基礎、又は複数の応用においてモデル化される実世界地物の一般的局面を標準化するための基礎として用いても良い。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 19103, Geographic information — Conceptual schema language
ISO 19109, Geographic information — Rules for application schema
ISO 19115-1:2014, Geographic information — Metadata — Part 1: Fundamentals
ISO/TS 19115-3:2016, Geographic information — Metadata — Part 3: XML schema implementation for fundamental concepts
ISO 19135-1:2015, Geographic information — Procedures for item registration — Part 1: Fundamentals
ISO/TS 19139:2007, Geographic information — Metadata — XML schema implementation
この規格では、次に示す用語と定義が適用される。ISOとIECは、規格化に使用する用語データベースを次のアドレスにおいて維持・公開している。
— IEC Electropedia: http://www.electropedia.org/
— ISO オンライン閲覧プラットフォーム: http://www.iso.org/obp
3.1
designation
designator
指示子
概念を、それを示す記号によって表現すること
注記1:用語集の作業では、記号、呼称、用語という三つの型の指定が区別される。
[ISO 1087-1:2000 3.4.1を参照]
備考1)本文での用法に合うようにdesignationとdesignatorには同じ「指示子」という訳語を与えている。designationは言葉による表現をするときは「呼称」とする可能性もあったが、non-verbal designationという用法も見られ、又、注記1でも見られるように、記号による表現も考えられるため、誰かが指示して与えるものという意味で「指示子」とした。
[+]
3.2
feature
地物
実世界の現象の抽象概念
[ISO 19101‑1:2014 4.1.11を参照]
例:“エッフェル塔” という名称の現象は、他の類似の現象とともに地物型 “塔” に分類してもよい。
注記1:地物は型として、又はインスタンスとして現れる。型又はインスタンスの一方だけを意味するときには、地物型又は地物インスタンスという用語を使うのが望ましい。
備考1)この定義及注記はISO 19101-1:2014を引用しているが、例は、ISO 19101-1:2014にはない。
3.3
feature association
地物関連
ある地物型のインスタンスを同じ又は異なる地物型のインスタンスに結び付ける関係
[翻訳はJIS X 7110:2009を参照した。]
備考1)ISO 19110の対応規格であるJIS X 7110:2009では、「結び付ける」ではなく「関連付ける」としている。これでは循環的な定義とみなされる恐れがあり、また原文は"links"であり、"associates"ではないのでここでは「結び付ける」と訳した。
3.4
feature attribute
地物属性
地物(3.2)の特徴
例1:「色」という名前の地物属性は「テキスト」をデータ型とする「緑」という属性値をもつことができる。
例2:「長さ」という名前の地物属性は、「実数」をデータ型とする「82.4」という属性値をもつことができる。
注記1:地物属性は名前、データ型及び地物属性に関連する値の定義域をもつ。地物インスタンスの地物属性も、値の定義域から与えられた属性値をもつ。
[ISO 19101‑1:2014 4.1.12を参照]
備考1)ISO 19101:2014 4.1.12には、注記2及び3がある。
3.5
feature catalogue
地物カタログ
地物(3.2)型、地物属性(3.4)、1以上の地理データの集合に発生する地物関係及び適用できる任意の地物操作(3.7)の定義と記述法を含むカタログ
注記1:地物関係は地物継承(3.6)及び地物関連(3.3)を含む。
[ISO 19101‑1:2014 4.1.13を参照]
備考1)ISO 19101‑1:2014 4.1.13には注記1はない。
3.6
feature inheritance
地物継承
より具体的な地物に、動作によって関係するより一般的な動作及び構造を組み込む仕組み
3.7
feature operation
地物操作
地物(3.2)型のすべてのインスタンスが実行できる操作
例1:地物型"せき(堰)"の地物操作は、"せき(堰)のかさ(嵩)を上げる"である。この操作によって"せき(堰)"の高さが上がり、"貯水池"の水位が上がる。
注記1:地物操作は地物型定義の基礎になることがある。
3.8
functional language
操作定義言語
地物操作(3.7)を形式的に記述する言語
注記1:地物操作言語では、地物型を抽象データ型で表してもよい。
3.9
signature
呼び出し仕様、シグネチャー
操作を呼び出すために必要な名前及びパラメータを指定するテキスト文字列
注記1:呼び出し仕様は任意の戻り値を含むことがある。この呼び出し仕様は通常、形式的な定義から派生する。これはUMLの呼び出し仕様に相当する。
備考1)JIS X 4170:2009 オープン分散処理−統一モデル化言語(UML)1.4.2版, JC.169では、"signature" を「呼び出し仕様」と訳し、次の定義を示している。「振る舞い素性の名前とパラメータ。呼び出し仕様は、選択可能な返却パラメータを含んでもよい。」
なお、プログラミングでは「シグネチャー」と表記することもる。
参考文献
[1] ISO 19101-1:2014, Geographic information — Reference model — Part 1: Fundamentals
[2] ISO 19107, Geographic information — Spatial schema
[3] ISO 19108, Geographic information — Temporal schema
[4] ISO 19117, Geographic information — Portrayal
[5] ISO 19126, Geographic information — Feature concept dictionaries and registers
[6] ISO 19136, Geographic information — Geography Markup Language (GML)
[7] Defence Geospatial Information Working Group (DGIWG), Digital Geographic Information Exchange Standard, Part 4: Feature and Attribute Coding Catalogue (FACC) Data Dictionary [online]. Ed. 2.1. Washington: DGIWG, 2000. [cited July 5, 2016]. Available at: <https://www.dgiwg.org/digest/html/DIGEST_2-1_Part4.pdf >
[8] Internet Engineering Task Force (IETF), The Internet Society. Uniform Resource Identifiers (URI): Generic Syntax. RFC 2396. Reston (Virginia): IETF, 1998. [cited July 5, 2016]. Available at: <http://www.faqs.org/rfcs/rfc2396.html>.
[9] Rugg, R. D., Egenhofer, M. J. and Kuhn, W., Formalizing Behavior of Geographic Feature Types, Geographical Systems, Vol. 4, No. 2, pp. 159-179, 1997. [cited 13 December 2003]. Available at: <http://www.comp.dit.ie/pbrowne/Information%20Systems%20Research%20Practice/JGS%201997.pdf>.
(2024-09-04)