ISO/TS 19163-1:2016 Content components and encoding rules for imagery and gridded data — Part 1: Content model
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履歴
対応OGC標準:なし
対応JIS規格:なし
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:32581:en
地理画像及びグリッド化された主題データは、地理空間コミュニティ及び関連分野では広く使用されている。
ISO/TC 211が1999年から2000年にかけて実施した画像及びグリッドデータ構成要素に関する予備作業では、空間特性及び属性特性に基づくグリッドデータの概念的分類の概要が示され、画像及びグリッドデータの五つの基本構成要素が特定されている(ISO/TC 211 N 1017)。ISO/TS 19101-2、ISO 19123、及びISO/TS 19129は、画像、グリッド、被覆の定義域及び値域、並びにそれらの関連関係を規定している。ISO/TS 19129は、メタデータを探索メタデータ、構造メタデータ、取得メタデータ、及び品質メタデータに分類している。しかし、各カテゴリーに関する詳細な説明はなく、ISO 19115:2003、ISO 19115-2、ISO/TS 19130、及びISO/TS 19130-2で定義されているメタデータとの明確な関連性も示されていない。
画像はリモートセンサーによって直接取得されるか、原画像から導出される。付加価値画像処理を用いることで、画像から遠隔オブジェクトの物理的特性を導出することができる(ISO/TS 19101-2)。導出された画像に加え、画像は他のデータソースと統合することで、特定のテーマに関する新たなグリッド化された被覆データ(主題データ)を生成することができ、様々な用途で広く利用に供されている。しかし、主題データの特性は、前述の既存の国際規格及び技術仕様では規定されていない。
ISO/TS 19130は、センサーの測定対象(例えば、光放射、マイクロ波エネルギー、ソナー(音響)エネルギー)によってリモートセンサーの種類を識別する。光学センサーによって取得される画像は、SARデータなどのマイクロ波センサーによって取得される画像とは異なる外観と特徴を持つ。
ISO/TS 19129で定義された枠組みでは、画像、グリッドデータ、被覆データを、抽象レベル、コンテンツモデルレベル、符号化レベルを含む複数のレベルで記述する。最初の二つのレベルは、ISO 19123に準拠した明確に定義されたコンテンツ構造を複数組み合わせ、固定セルサイズ及び可変セルサイズのグリッドを持つ連続四辺形グリッド被覆のコンテンツを定義する。しかし、コンテンツモデルレベルでは、異なる形式で符号化されたデータ集合を統合する際に共通の理解を得るために必要なメタデータは指定されない。符号化レベルでは、ISO/TS 19129は、コンテンツモデルを機械に依存しない符号化構造にマッピングするための明示的な符号化規則を提示しない。しかしこれは、異なる形式の画像を、情報を失うことなくマッピング及び変換するために不可欠である。
本技術仕様は、ISO/TS 19101-2及びISO 19123で定義された枠組みに基づき、画像及びグリッドデータのカテゴリーを規定し、対応する階層型コンテンツモデルを確立する。画像及びグリッドデータのカテゴリーは、テーマ別属性、空間属性、及びセンサーの種類に基づいて定義される。コンテンツモデルは、各カテゴリーに必要なコンテンツ構成要素(空間構造、属性構造、重要なメタデータエントリーを含む)を記述するために定義される。これらのメタデータエントリーは、共通理解を目的として、最低限必要なメタデータ情報として規定される。従来、リモートセンシングデータ製品は、一般的にヘッダー部とデータ部から構成されてきた。本技術仕様は、ヘッダー部の最低限のコンテンツ要件を規定する。
実装を容易にするために、この技術仕様では、ISO 19118 で定義された一般的な符号化規則及び、ISO 19136:2007 の付録 E で定義された UML から GML への応用スキーマの符号化規則に従って、コンテンツモデルを XML ベースの符号にマッピングするための符号化規則を定義する。GMLCOV スキーマ (OGC 09-146r2) は被覆の処理に最適化されているため、スキーマの符号化コンポーネントは GMLCOV に基づくことができる。
利用可能なリモートセンサーの増加に伴い、自然画像及び合成画像の両方を含む画像データ及びグリッドデータがますます大量に生成されている。これらのデータは、ISO/TR 19121で規定されているGeoTIFF、BIIF、HDF-EOS、JPEG 2000、NetCDFなど、多様な形式で符号化されている。これらの符号化形式はそれぞれ異なるデータモデルに従っているため、相互運用性に欠ける。本技術仕様で定義されているコンテンツをこれらのデータ形式に符号化するために、ISO 19163は複数の部に分割され、本技術仕様ではコンテンツの構成要素及び一般的な符号化規則を定義し、後続の部ではコンテンツ及び個々の物理データ形式との関連付け(binding)を定義する。
この技術仕様は、画像および等間隔グリッド化された主題データを、属性特性、センサー型、及び空間特性に基づいて型に分類し、各データ型に必要な要素について、符号化に依存しないコンテンツモデルを定義する。また、論理データ構造及び、その構造におけるコンテンツ要素の符号化規則も規定する。
コンテンツ及び特定の符号化形式との結びつきは、ISO 19163 の後続の部で定義される。
この技術仕様は、LiDAR、SONAR データ、及び地理参照されていない (ungeoreferenced) グリッドデータには対応していない。
論理データ構造及びコンテンツ要素を符号化するための規則については、ISO 19163 の後続の部で示す。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 19103:2015, Geographic information — Conceptual schema language
ISO 19111, Geographic information — Spatial referencing by coordinates
ISO 19115-1, Geographic information — Metadata — Part 1: Fundamentals
ISO 19115-21, Geographic information — Metadata — Part 2: Extensions for imagery and gridded data
ISO 19123:2005, Geographic information — Schema for coverage geometry and functions
ISO/TS 19101-2:2008, Geographic information — Reference model — Part 2: Imagery
ISO/TS 19130:2010, Geographic information - Imagery sensor models for geopositioning
ISO/TS 19159-1, Geographic information — Calibration and validation of remote sensing imagery sensors and data — Part 1: Optical sensors
この規格の目的に応じて、次の用語及び定義が適用される。
4.1
attribute
属性
実体の、名前付きの特性
注記1:実体の幾何学的、位相的、主題的又はその他の特性を記述する。
[ISO/IEC 2382:2015, 2121440を参照 — 注記1が追加されている]
4.2
binding
関連付け
コンテンツモデル(4.3)で定義された情報(データ及びメタデータ)から、その情報を伝達するデータ形式へのマッピングを仕様化すること
4.3
content model
コンテンツモデル
応用スキーマの情報ビュー
注記1:この技術仕様では、コンテンツモデルは必要なコンテンツ構成要素と、それらの画像(4.12)及びグリッド化された主題データ(4.14)の相互関係を記述する。
[ISO/TS 19129:2009 4.1.2を参照 — 注記1が追加されている]
備考1)ISO/TS 19129:2009 4.1.2には次に示す注記が付属している。
注記1:「情報ビュー」という用語は、19101-2で規定されているオープン分散処理のためのISO参照モデル(RM-ODP)に由来する。
4.4
conversion rule
変換規則
入力データ構造に従うインスタンスを出力データ構造に従うインスタンスに変換するための規則
[ISO 19118:2011 4.7を引用]
4.5
encoding rule
符号化規則
特定のデータ構造の符号化を定義する変換規則(4.4)の、識別可能な集合
例: XML、ISO 10303-21、ISO/IEC 8211。
注記1:符号化規則は、変換されるデータの型及び結果のデータ構造で使用される構文、構造及び符号を示す。
[ISO 19118:2011 4.14を引用]
4.6
fused image
融合画像
複数のソースからの画像を融合して作成された画像
4.7
geopositioning
地理測位
オブジェクトの地理的位置の決定
[ISO/TS 19130:2010 4.36を参照]
備考1)ISO/TS 19130-1:2018 3.36には、次に示す注記が付属している。
注記1:地理測位には多くの方法があるが、この規格では画像座標からの地理測位に焦点を当てている。
4.8
georectified
地理的偏位修正
地表に対する位置ずれの修正
[ISO 19115‑2:2009 4.12を引用]
4.9
georeferenceable
地理参照可能
グリッド (4.10) 座標値を、原子(datum)によって地球に関連付けられた外部座標参照系に従う座標値に換算するために使われる地理的測位 (4.7) 情報に関連付けられる、という意味
4.10
grid
グリッド
アルゴリズミックな方法によって、二つ以上の、互いに交差する曲線で構成されるネットワーク
[ISO 19123:2005 4.1.23を参照]
備考1)ISO 19123:2005 4.1.23には、次に示す注記が付属している。
「注記1:曲線は空間をグリッドセルに分割する」
[+]
4.11
gridded data
グリッドデータ
属性(4.1)値がグリッド(4.10)座標系上の位置に関連付けられているデータ
注記1:グリッドデータは被覆データのサブタイプであり、空間グリッドの観点から地物の属性値を表現する。
[ISO 19115-2:2009 4.17を参照 - 注記1が追加された]
4.12
imagery
画像
電子的及び/又は光学的な技術によって生成される画像データとしての現象の表現
注記1:「画像」という用語は、文脈によって様々な意味を持つ口語的な表現で用いられることが多い。グリッドデータ、点群データ、あるいはその他の形態で表現可能な被覆データの集合を指すことが多い。
[ISO/TS 19101‑2:2008 4.14を参照 — 注記1を追加した]
備考1)ISO/TS 19101‑2:2018, 3.14には次の注記が付属している。
「注記1:この規格では、現象は、レーダ、カメラ、光度計、並びに近赤外及びマルチスペクトルのセンサーなど、一つ以上の機器によって感知または検出されることを仮定している。」
4.13
looks
ルックス
SARプロセッサにおける信号サンプルのグループ。合成開口全体を複数のサブ開口に分割し、各サブ開口は同一シーンの独立したルックを表す。
注記1:これらのルックスを非コヒーレントに加算することで得られる画像は、スペックルの減少と空間分解能の低下を特徴とする。
備考1)スペックル (speckle)とはSAR画像に特有の「ざらざらとした粒状のノイズのように見える模様」のことである。
4.14
thematic data
主題データ
グリッドデータ(4.11)であって、その属性(4.1)値がグリッド形式におけるグリッド(4.10)被覆地物の特性を表すもの
注記1:グリッド主題データのほとんどは、地球物理学的/大気逆変換アルゴリズムを用いて画像(4.12)データから得られる。グリッド主題データは、地形図シートのデジタル化など、他の情報源から取得されることもある。
4.15
ungeoreferenced grid
地理座標参照なしのグリッド
セルの地理座標値を決定するために使用できる情報が含まれないグリッドデータ(4.11)
例:地理的偏位修正情報が含まれていないデジタル写真。
備考1)"georectified"(地理的偏位修正)については、ISO 19123-1:2023 3.1.25に定義がある。
[1] ISO 10303-21, Industrial automation systems and integration — Product data representation and exchange — Part 21: Implementation methods: Clear text encoding of the exchange structure
[2] ISO 19107, Geographic information — Spatial schema
[3] ISO 19108, Geographic information — Temporal schema
[4] ISO 19115:20033, Geographic information — Metadata
[5] ISO 19118:2011, Geographic information — Encoding
[6] ISO 19136:2007, Geographic information — Geography Markup Language (GML)
[7] ISO 19144-1, Geographic information — Classification systems — Part 1: Classification system structure
[8] ISO/IEC 2382:2015, Information technology — Vocabulary
[9] ISO/IEC 8211, Information technology — Specification for a data descriptive file for information interchange
[10] ISO/TS 19129:2009, Geographic information — Imagery, gridded and coverage data framework
[11] ISO/TR 19121, Geographic information — Imagery and gridded data
[12] OGC 09-146r2 OGC® GML Application Schema — Coverages, 2012-05-11
(2025-08-30)