ISO 19164:2024 Indoor feature model
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対応OGC標準:なし
対応JIS規格:なし
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:83153:en
屋内ナビゲーション、屋内駐車場、屋内緊急対応など、様々な位置情報に基づく屋内応用システムが、日常生活や公共施設の管理においてますます活用されつつある。これらの応用システムでは、建物内の環境を記述するために、屋内の構成要素(階、部屋、ドア、窓など)とその空間的な関連性に関する情報が求められる。そのため、近年、多くの応用システム及び関連する規格が開発されてきた。
OGC CityGML 3.0[4]は、幅広い応用に役立つオブジェクト型と属性を定義する汎用情報モデルとして設計されている。建築モデルの場合、CityGMLは建築物及びその構成要素(壁、屋根、屋根窓、ドア、窓など)の意味的定義及び、それらの地物間の関係の表現に重点を置いている。ただし、CityGMLは、特定の詳細度レベル(LoD)モデルにどの意味的オブジェクトを含める必要があるかについて厳密なルールを規定してはいない[7]。CityGMLモデルは、特定の応用システム用に新しいオブジェクト型や新しい特性を追加することで、応用領域拡張(ADE)メカニズムによって拡張できるが、異なる情報コミュニティに異なるADEを指定することも可能である。すべてのADEは同じ代替グループに所属できるため、同じCityGML地物型に固有の特性を追加できる[6]。ただし、これらのCityGML地物型は、データ集合の共有と統合において意味的異質性の問題を抱えることもある。
OGC IndoorGML 1.1[4]は、屋内ナビゲーションのネットワークモデルの表現及び交換を規定する。これは、ナビゲーション用ネットワークの構成要素に必要な屋内空間の位相及びセマンティクスをモデル化することにより、屋内ナビゲーション応用システムのための共通スキーマを確立することを目的とする[2]。IndoorGML規格には、CityGMLやIFC(Industry Foundation Classes)などの他のデータ集合で指定された参照オブジェクトへの外部リンクが含まれており、外部データ集合内のオブジェクトには幾何情報が含まれている[2]。
建築情報モデル(BIM)データのオープンな国際標準であるThe Industry Foundation Classes(IFC)(ISO 16739-1)は、建築物の建築部材及びエンジニアリング構造を記述するための詳細な3D幾何と豊富なセマンティクスを提示する。IFCは、600を超える様々なカテゴリーのクラスによって、建物のプロジェクトライフサイクル全体、すなわち「計画」、「設計」、「施工」、「運用」、「保守」の各フェーズをカバーすることを目指している。しかし、IFCには建築情報が多すぎて複雑すぎるため、現在の形式では屋内での緊急事態に使用することはできない[11]。また、屋内ナビゲーションなどの特定の応用システムにこれらのクラスをすべて使用する必要はない[9]。ただし、IFC で定義されている建物の建築部品及びエンジニアリング構造に関する一部の情報は、位置ベースの屋内応用システムで使用される屋内機能の属性を記述するために抽出でき、屋内空間環境を記述して、人々が作業や計画を効率的に実行できるように支援する。
ISO/TS 19166は、BIMを地理情報システム(GIS)にマッピングするための概念フレームワークを提示する。この概念フレームワークは、パースペクティブ定義(B2GPD)、要素マッピング(B2GEM)、およびLODマッピング(B2GLM)という3つのマッピングメカニズムを備えている。この規格は、双方向マッピング手法を用いずに、BIMからGISへの概念マッピング要件及び枠組みの定義、並びに、物理スキーマの定義に重点を置いている。位置情報に基づく屋内応用システムにおいて、BIMから抽出する屋内地物を直接的に決定することはできない。異なる情報コミュニティがBIMからGISへのマッピングについて異なるルールを設定し、同じ建物に対して異なる屋内地物を持つGISデータベースを作成する可能性がある。これにより、データベースの共有と統合が困難になる。
OGC屋内マッピングデータフォーマット(IMDF)[5]は、あらゆる屋内位置を対象とする一般化されながらも包括的なモデルを提供し、方向感覚、ナビゲーション、そして発見のための基盤を提供する(19-089r1)。IMDFは主にナビゲーションに関連する個々の屋内地物の内容に焦点を当てているので、屋内空間や地物間の関係性もカバーする屋内要素の一般的な構造は定義していない。
したがって、屋内ナビゲーション、屋内アドレス指定、屋内駐車場、屋内緊急対応といった位置情報に基づく屋内応用システムに必要な屋内空間環境の地物を記述するためには、比較的独立性が高く簡潔な屋内地物モデルが必要である。このモデルは、屋内空間情報の収集と整理を導く共通の参照を提供し、様々な応用システム間でのデータマッピングと共有のための概念モデルの基盤として機能する可能性がある。
この規格では、ISO 19109 で定義された応用スキーマのための規則に従って、このような屋内地物モデルを規定する。この規格に準拠したデータ集合は、さまざまな位置情報 (LBS) 屋内応用システムの共通の基本データベースとして機能し、異なるプラットフォーム又は応用システム間でのデータの共有と統合を容易にする。この規格は、建物の基本データベース作成における重複作業の削減に役立つだけでなく、共通の基本データベースに基づいて、屋内応用のプラットフォームやシステムを、ある建築物から別の建築物へ、わずかな調整で移行する際にも役立つ。その目的は、屋内データの作成者や位置情報ベースの屋内応用システムの利用者を含む、様々な関係者がこれらの機能について統一的な理解を持ち、情報を明確に検索できるようにすることである。
この規格に基づいて、さまざまな位置ベースの屋内応用システム用に一連のプロファイルを指定できる。たとえば、IndoorGML で指定された幾何的及び位相的な関係にリンクすることによる屋内ナビゲーション又は道案内のプロファイル、または消防緊急ユーティリティに関連する機能を追加することによる火災緊急用のプロファイルなどである。
この規格では、CityGML 3.0 の屋内地物モデル及び 建築モデル、ISO 16739-1 の IFC、及び IndoorGML 間のクラスレベルの参照関係を示す、二つの参考附属書 (informative annex)を提供する。
この規格は、建物の様々な位置情報に基づく屋内応用システムにおいて一般的に求められる屋内環境を記述するための、必須の屋内地物のコアとなるセマンティック分類システムを規定する。対象範囲は以下のとおりである。
— 屋内地物とその属性のセマンティック記述
— 屋内地物間の関連
この規格のセマンティック分類システムは、既存の関連規格で定義されている建築モデルと互換性がある。屋内構造物の幾何的及び位相的な記述は、この規格では考慮されていない。また、この規格はトンネルなど、その他の構造物には適用されない。
備考1)その他の構造物(other architectural structures)とは、建築物の屋内構造物以外の、トンネルや橋梁などの構造物を指す。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 19103, Geographic information — Conceptual schema language
ISO 19107, Geographic information — Spatial schema
ISO 19108, Geographic information — Temporal schema
ISO 19109, Geographic information — Rules for application schema
ISO 19115-1, Geographic information — Metadata — Part 1: Fundamentals
ISO 16739-1, Industry Foundation Classes (IFC) for data sharing in the construction and facility management industries — Part 1: Data schema
ISO 6707-1, Buildings and civil engineering works — Vocabulary — Part 1: General terms
この規格の目的に応じて、次の用語及び定義が適用される。
ISOとIECは、規格化に使用する用語データベースを次のアドレスにおいて維持・公開している。
— IEC Electropedia: http://www.electropedia.org/
— ISO オンライン閲覧プラットフォーム: http://www.iso.org/obp
3.1
feature
地物
実世界の現象の抽象概念
注記1:地物は型として、又はインスタンスとして現れる。型又はインスタンスの一方だけを意味するときには、地物型又は地物インスタンスという用語を使うのが望ましい。
[ISO 19101-1:2014 4.1.11を引用][翻訳はJIS X 7109:2009 4.8を引用]
3.2
feature attribute
地物属性
地物 (3.1) の特徴
注記1:地物属性は名前、データ型及び地物属性に関連する値の定義域をもつ。地物インスタンス (4.1.14) の地物属性にも、値の定義域から与えられた属性値がある。
[ISO 19101-1:2014 4.1.12を参照 — 例1、2及び注記2、3を削除した]
3.3
feature association
地物関連
ある地物型のインスタンスを同じ又は異なる地物型のインスタンスに結び付ける関係
[ISO 19110:2016 3.3を引用]
[+]
3.4
feature type
地物型
共通の特徴をもつ地物 (3.1) のクラス
[ISO 19156:2023 3.9を引用]
3.5
indoor entity feature
屋内設置物
屋内に設置された建築部品となる地物又は建築内部で特定の用途で使われる地物
3.6
indoor space feature
国内空間地物
屋内設置物(3.5)を含む、又は建築内部の特定の目的のための場所として使用される、あるいはその両方になる地物(3.1)
例:部屋、バルコニー、通路は屋内空間地物である。
3.7
indoor map
屋内写像
屋内設置物(3.5)及び屋内空間地物(3.6)をコンピュータ画面に表示するのに適したデジタル画像又はベクトルファイル形式の描写結果
[+]
[1] ISO 19110:2016, Geographic information — Methodology for feature cataloguing
[2] ISO 19101-1:2014, Geographic information — Reference model — Part 1: Fundamentals
[3] ISO 19156:2023, Geographic information — Observations, measurements and samples
[4] 19-011r4, OGC IndoorGML 1.1
[5] 20-010 OGC City Geography Markup Language (CityGML) Part 1: Conceptual Model Standard 3.0
[6] 20-066 OGC City Geography Markup Language (CityGML) 3.0 Conceptual Model Users Guide
[7] 20-094 Indoor Mapping Data Format (IMDF) 1.0.0, OGC Community Standard
[8] BILJECKI, F., Kumar, K., Nagel, C., CityGML Application Domain Extension (ADE): overview of developments. Open Geospatial Data, Software and Standards, 2018, 3(1), 13.
[9] GRÖGER, G., Plümer, L., CityGML – Interoperable semantic 3D city models. ISPRS Journal of Photogrammetry and Remote Sensing. 2012, 71, 12-33.
[10] JETLUND, K., Onstein, E., Huang, L., IFC Schemas in ISO/TC 211 Compliant UML for Improved Interoperability between BIM and GIS. 2020, 9(4), 278.
[11] LIU, L., Li, B., Zlatanova, S., van Oosterom, P., 2021. Indoor navigation supported by the Industry Foundation Classes (IFC): A survey. Automation in Construction 121.
[12] OpenStreeMap Wiki https://wiki.openstreetmap.org
[13] Tashakkori H., Rajabifard A., Kalantari M., 2015. A new 3D indoor/outdoor spatial model for indoor emergency response facilitation. Building and Environment 89, 170-182.
[14] The Britannica Dictionary https://www.britannica.com/dictionary.
[15] The Collins English Dictionary https://www.collinsdictionary.com/dictionary.
[16] OpenStreetMap Wiki https://wiki.openstreetmap.org.
[17] Merriam-Webster Dictionary https://www.merriam-webster.com/.
[18] ISO/TS 19166, Geographic information — BIM to GIS conceptual mapping (B2GM)
[19] OGC 21-006r2, OGC City Geography Markup Language (CityGML) Part 2: GML Encoding Standard, https://docs.ogc.org/is/21-006r2/21-006r2.html.
(2025-09-08)