ISO 19133:2005 Geographic information/Geomatics — Location-based services — Tracking and navigation
現行
履歴
対応OGC標準:なし
対応JIS規格:なし
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:iso:19133:ed-1:v1:en
この国際企画は、移動するクライアントの追跡及び誘導のための応用システムを利用可能にするために必要なデータ及びサービスについて規定している。この国際規格のWebサービスとしてのビューは、附属書Cに記載されている。
この国際規格は、追跡及び誘導のサービスの実装のためのデータ型及び、それらの型に関連付けられた操作について規定する。この国際規格は、Web常駐プロキシ アプリケーションを通じて、無線装置で利用できるWeb サービスを仕様化するために設計されているが、その環境に限定されるものではない。
備考1)プロキシ(proxy)とは、インターネット通信において、パソコンやスマートフォンのような無線装置などの代理として、外部ネットワークへアクセスする役割をもつサーバーのことである。プロキシは、一般的には組織内の有線及び無線のLANとインターネットの間に設置される。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 3166-1, Codes for the representation of names of countries and their subdivisions — Part 1: Country codes
ISO 19107, Geographic information — Spatial schema
ISO 19108, Geographic information — Temporal schema
ISO 19109, Geographic information — Rules for application schema
ISO 19111, Geographic information — Spatial referencing by coordinates
ISO 19112, Geographic information -Spatial referencing by geographic identifiers
ISO 19118, Geographic information — Encoding
この規格では、次の用語及び定義が適用される。
4.1
candidate route
候補経路
コスト関数の最適性は例外となる可能性があるが、経路探索要求のすべての制約を満たす、任意の経路
注記1:誘導とは、選択されたコスト関数を最適化する候補経路を発見する処理である。
4.2
cost function
コスト関数
経路に測定値(コスト)を関連付ける関数
注記1:通常のメカニズムでは、経路の各部分にコストを適用し、経路全体のコストを各部分のコストの合計として定義する。これは、最も一般的な誘導アルゴリズムを動作させるために必要である。コスト関数の単位は、金銭的なコスト及び値だけに限定されず、時間、距離、その他の測定値も含まれる。唯一の要件は、関数は加算的で、少なくとも負にはならないことである。この最後の基準は、不当な「最小コスト」経路の存在を防止するためであり、ネットワーク内のどのループにも零又はそれ以下のコストが関連付けられていない限り緩和できる。
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4.3
Dijkstra graph
ダイクストラグラフ
最短経路探索を実行するために適切に構成された正の重み付き有向グラフ
注記1:この用語は、E. Dijkstra の論文 [7] に記載されている、正の重み付きグラフで最短経路を見つけるための最も一般的なアルゴリズムに由来する。このアルゴリズムは使用されている唯一のアルゴリズムではないが、グラフの要件はほとんどのアルゴリズムに共通している。要件の最も一般的な緩和は「正の重み」であり、これは Bellman-Ford アルゴリズム [4]、[8] では必要ない。
備考1)参考文献[4], [7]及び[8]は次のとおりである。
[4] Bellman, R.E., 1958, On a routing problem, Quarterly of Applied Mathematics, Vol. 16, pp. 87-90
[7] Dijkstra, E., 1959, A note on two problems in connection with graphs, Numerische Mathematik, Vol. 1, pp. 269-271
[8] Ford, L.R. Jr., 1956, Network Flow Theory, Paper P-923, RAND Corporation, Santa Monica, California
4.4
geocoding
ジオコーディング
ある形式で表現された場所を別の形式に変換すること
注記1:ジオコーディングは通常、「住所」又は「交差点」を「直接位置」に変換することを指す。多くのサービス提供者は、ジオコーダに「逆ジオコーディング」インタフェースも組み込んでおり、これにより、サービスの定義が、場所の一般的な変換機能として拡張されている。経路探索サービスは通常、他のサービスでは利用できない、内部の場所符号を使用するため、ジオコーダはそのようなサービスの内部において不可欠な部分になる。
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4.5
instantiate
インスタンス化
具体的なインスタンスを作成する、又は、インスタンスを作成する機能を作成することによって(抽象概念を)表すこと
注記1:クラス又はデータ要素定義は、その型によって定義された概念(インスタンス データ及び/又は操作)を表すことができるオブジェクト、又は、データ要素を作成する機能を作成する場合はその型が、インスタンス化される。クラスがオブジェクトの構造と機能を定義する場合は、クラスはオブジェクトとしてインスタンス化される。データスキーマがデータ要素の構造を定義する場合は、データスキーマはデータ要素としてインスタンス化される。
4.6
junction
連結点
ネットワーク内の単一の位相ノード。これに関連付けられたターン及び進入リンク及び進出リンクの集まりが含まれる。
注記1:連結点(junction)はノードの別名である。
4.7
linear referencing system
linear positioning system [ISO 19116]
線形参照系
線形測位システム (ISO 19116)
経路(地物)に沿った基準点からの距離を測定する測位系
注記1:この参照系には、位置参照方法など、線形地物に沿った特定の点の記録を決定及び保持するための完全な手順の集まりと、高速道路上の点及び区間に関する位置情報を保存、維持、及び取得するための手順が含まれる。NCHRP Synthesis 21、1974 [25] を参照のこと。
備考1)注記1にある参考文献[25]は、次の文献を指す。
National Cooperative Highway Research Program, Highway Location Reference Methods: Synthesis of Highway Practice, Transportation Research Board, National Academy of Sciences, Washington, D.C., 1974
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4.8
link
リンク
二つのノード(連結点)間の有向位相接続。エッジと方向で構成される。
注記1:リンクは有向エッジの別名である。
4.9
link position
リンク位置
リンクに関連付けられた厳密に単調な尺度によって定義されるリンク上の、ネットワーク内の位置
注記1:リンク位置は、ネットワークの一部ではない対象地物に関連付けられることがよくある。このために使用される最も一般的なリンク尺度は、開始ノードまたはアドレスからの距離である。リンク位置の最も一般的な用途は、「アドレス」を地理的に特定することである。
4.10
location
場所
識別可能な地理的な所
[ISO 19112を引用][翻訳はJIS X 7112:2005 4.4を引用]
注記1:場所は、位置を記述する一連のデータ型のうちの一つ及び、そのデータに関するメタデータ(座標(座標参照系から)、測定値(線形参照系から)、又は住所(住所システムから)など)によって表される。
備考1)ISO 19112:2019 3.1.3では、次のように定義されている。つまり「特定のところ又は位置」。この場合のところは"place"である。
4.11
location-based service
LBS
位置情報サービス
LBS
サービスを依頼するクライアントソフトやその他の物、オブジェクト、又は人物の所在地に依存した戻り値又はその他の特性を提供するサービス
備考1)"Location-based service"は、直訳すれば場所に基づくサービスなので「場所起因サービス」などと呼ぶべきであろうが、日本では位置情報サービス(英訳すれば"position information service"になる)という用語が広く使われているようなので、ここでは位置情報サービスとした。
4.12
location-dependent service
LDS
場所依存サービス
LDS
クライアントの場所に応じて利用可能かどうかが決まるサービス
4.13
main-road rule
幹線道路規則
ルート指示の代わりにターンで使用される一連の基準。ノードで使用されるデフォルトの指示
注記1:この規則は、使用される進入リンクを前提として、ノード (交差点) で「最も自然な」行為を表す。最も一般的なバージョンは「可能な限りまっすぐ」、または進入車道の最も明白な延長でターンを終了することである。進入車道は通常、進入したのと同じ名前の車道であるが、常にそうとは限らない。経路内のすべてのノードは、指示に関連付けられているか、幹線道路規則によって誘導できる。
4.14
maneuver, manœuvre
マヌーバ
経路で組み合わせて使用される関連リンクとターンの集まり
注記1:マヌーバは、ターンを便利で合法的な組み合わせにまとめるために使用される。マヌーバは、単一のターンのような単純な場合、クイックターンの組み合わせ (アメリカ中西部の「ジョグ」、ターンの直後に反対方向のターンが続く)、入口、出口、接続道路で構成される非常に複雑な組み合わせ (イギリスの「マジック ラウンドアバウト」) などがある。
備考1)原文ではmaneuver(US)及びmanœuver(GB)の両方が示されている。
備考2)マヌーバは一般的には、作戦や操作といった訳語が与えられるが、現時点では交通分野での定訳は見つからない。意味については次の文献が参考になるであろう。
本間亮平、若杉貴志、小高賢二、「自動運転車のMinimum Risk Maneuverの違いが後続車へ与える影響」自動車技術会論文集 Vol.51, No.1, 2020
4.15
navigation
誘導、ナビゲーション
経路探索、経路の通過及び追跡の組み合わせ
注記1:これは基本的に一般的な用語「ナビゲーション」であるが、この定義では、この国際規格で定義されているパッケージで使用される用語であり、処理を分解している。
4.16
navigation constraint
constraint
誘導制限
制限
車両が道路のリンク又はターンを通過する方法に関する制約。車両分類、又は物理的制限や時間的制限など。
備考1)ISO 19133:2005 7.1.2に詳しい説明がある。道路は、始点から終点までの経路であり、リンクは交差点から次の交差点までの経路部分、ターンは直前のリンクと直後のリンクをもつ接続点を指す。
備考2)日本では、道路法に基づく、車両制限令によって、特殊な車両の交通制限が決められている。
4.17
network
ネットワーク
連結点と呼ばれる零次元オブジェクトの集合と、連結点を接続するリンクと呼ばれる1次元オブジェクトの集合で構成される抽象構造。各リンクは、開始 (出発、発生)連結点と終了 (終着、消滅)連結点に関連付けられる。
注記1:ネットワークは、本質的にはナビゲーション問題の議論の対象である。ネットワークは、1次元の位相複体の一種である。この観点から、連結点と位相ノードは同義語であり、リンクと有向エッジも同様である。
4.18
position
位置
オブジェクト又は人が占める可能性のある点又は幾何を記述するデータ型
注記1:直接位置は、位置の意味論的な下位型である。記述される直接位置は点のみを定義できるため、すべての位置を直接位置で表せるわけではない。これは、「型である」関係と一致している。ISO 19107の幾何も位置であるが、直接位置ではない。
4.19
route
経路、ルート
通常、ネットワーク内の二つの位置間を通るリンク及び/又は部分リンクの配列
4.20
route instruction
経路指示
ネットワーク内の経路上の地点で、その経路を通過できるために必要な情報
注記1:経路通過を完了するために必要な指示の数を最小限に抑えるために、特に指示が関連付けられていない連結点では、デフォルトの指示が想定される。このデフォルト指示は、主要道路規則と呼ばれる。
4.21
route traversal
経路通過
経路に従う過程
4.22
routing
経路探索
ネットワーク内の場所間の最適な(最小コスト関数)経路を発見すること
4.23
slope
勾配
曲線の長さに対する標高の変化率
4.24
tracking
追跡、トラッキング
車両の所在の監視と報告
[出典: ISO 19133]
注記1:追跡システムは通常、車両を追跡して一連の位置を示すものと考えられているが、何かの所在を1回だけ見つけて示す場合にも同様とされる。したがって、この国際規格では、車両を追跡するプロトコル及び対象者の位置を特定するプロトコルを区別していない。
4.25
traveller
移動者
誘導又は追跡の対象になる人
参照:輸送手段
注記1:歩行者を含む。ISO 14825 を参照のこと。この国際規格では、意図の変更なしに、旅行者を車両に置き換えることができる。
4.26
traversable
通過可能
より詳細な誘導制約とは対照的に、すべての輸送の通過を許可又は制限するリンク又はターンの条件
注記1:通過可能性は通常、物理的、文化的、又は法的条件の関数である。通過可能が偽の場合、オブジェクトは誘導できない。これにより、使用可能なネットワークからリンクが実質的に削除される。ノードの場合、使用可能なネットワークからノードと関連するすべてのリンクが実質的に削除される。ターンの場合、実行可能なルートから単に削除されます。通過不可能な実体は、操作又は経路に含まれない。
4.27
turn
ターン
連結点の場所とその連結点への入口と出口のリンクで構成される経路又はネットワークの一部
4.28
vehicle
輸送手段、車両
誘導又は追跡の対象となる物
参照:移動者
注記1:歩行者を含む。ISO 14825 を参照。この国際規格では、いずれかの用語が使用されている場合は、意図を変更することなく、もう一方の用語に置き換えることができる。
[+]
4.29
vehicle classification
車両分類
車両の構造又は使用目的に基づいた、車両の種類
注記1:構造に基づく分類には、自動車、トラック、バス、自転車などが含まれる。使用目的に基づく分類には、タクシー、緊急車両などが含まれる。車両分類は、誘導における制約事項の適用を決定するために使用できる。
4.30
waypoint
経由地
経路探索要求を満たす可能性のある候補経路を選択する役割を果たすネットワーク上の場所
[1] National Cooperative Highway Research Program (NCHRP), 1974, Highway Location Reference Methods, Synthesis of Highway Practice 21, National Academy of Sciences, Washington, D.C.
[2] Abadi, M. and Cardelli, L., A Theory of Objects, Springer-Verlag, New York, 1996
[3] Ahuja, R.K., Magnanti, T.L. and Orlin, J.B., Network Flows: Theory, Algorithms and Applications, Englewood Cliffs, NJ: Prentice Hall, 1993
[4] Bellman, R.E., 1958, On a routing problem, Quarterly of Applied Mathematics, Vol. 16, pp. 87-90
[5] Cherkassky, B.V., Goldberg, A.V. and Radzik, T., 1993, Shortest Paths Algorithms: Theory and Experimental Evaluation, Technical Report 93-1480, Computer Science Department, Stanford University
[6] Christensen, E., Curbera, F., Meredith, G. and Weerawarama, S., 15 March 2001, Web services Description Language (WSDL) 1.1, W3C Note, <http://www.w3.org/TR/wsdl>
[7] Dijkstra, E., 1959, A note on two problems in connection with graphs, Numerische Mathematik, Vol. 1, pp. 269-271
[8] Ford, L.R. Jr., 1956, Network Flow Theory, Paper P-923, RAND Corporation, Santa Monica, California
[9] Horowitz, A.J., 1991, Delay-Volume Relations for Travel Forecasting: Based on the 1985 Highway Capacity Manual, Federal Highway Administration, Washington, D.C., March 1991
[10] Scarponcini, P., 2002, Generalized Model for Linear Referencing in Transportation, GeoInformatica, Vol. 6, pp. 35-55
[11] Suh, S., Park, C.H. and Kim, T.J., 1990, A Highway Capacity Function in Korea: Measurement and Calibration, Transportation Research, 24A, pp. 176-186
[12] You, J. and Kim, T.J., 2000, Development and Evaluation of a Hybrid Travel Time Forecasting Model, Transportation Research C. 8, pp. 231-256. [Also published as a chapter in Thill, J.-C., (ed), Geographic Information Systems in Transportation Research, 2000, Elsevier Science Ltd, Oxford, UK.]
[13] Zhan, F.B. and Noon, C.E., 2000, A Comparison Between Label-Setting and Label-Correcting Algorithms for Computing One-to-One Shortest Paths, Journal of Geographic Information and Decision Analysis, Vol. 4, No. 2, pp. 1-13
[14] Zhan, F.B., and Noon, C.E., 1996, Shortest Path Algorithms: An Evaluation Using Real Road Networks. Transportation Science, 32, pp. 65-73
[15] Zhan, F.B., 1997, Three Fastest Shortest Path Algorithms on Real Road Networks: Data Structures and Procedure, Journal of Geographic Information and Decision Analysis, Vol. 1, No. 1, pp. 69-82. Available at <http://publish.uwo.ca/~jmalczew/gida_1/Zhan/Zhan.htm>
[16] ISO/IEC 11404, Information technology — Programming languages, their environments and system software interfaces — Language-independent datatypes
[17] ISO 14825, Intelligent transport systems — Geographic Data Files (GDF) — Overall data specification
ISO 19116, Geographic information — Positioning services
(2024-11-23)