亡くなられた方の処置を通して、御礼をさせていただきます。
末期の水の儀式や、湯灌、死装束、死化粧などのケアを通して、故人様に御礼させていただきましょう。
金光教では、必ずしも「これをしなければいけない」という死直後の儀式はありません。
故人様・御遺族様が喜ばれることをさせていただきたい思いです。
儀式をするしないなどで喧嘩になったり、争いごとが起こるのであれば、しない方が良いでしょう。
医師から臨終の宣告を受けた後、死者に縁の深い者から順に行います。
割箸の先に脱脂綿やガーゼなどを白糸で結んだものか、新しい筆に、
神前に供えた水を含ませ、死者の唇を潤します。
由来は、仏教のお釈迦さまが口の渇きを訴えた際に、信心深い鬼神が水を捧げ、
これにより安らかに亡くなられたという逸話だと言われています。
その風習が土地に残っておられる地域もあるかと思います。
仏式ですから、金光教ではしなくても良いという考えもありますが、
死者にとっては、神様の恵みに生かされてきたことを感謝する現世最後の食事であり、
御遺族にとっては、死者への愛情を表現し、別れを告げる儀式でもありますので、
全て、故人様と御遺族様の希望により、判断されれば良いと思います。
故人様をアルコールか湯に浸した脱脂綿やタオルなどで拭き清めます。
湯灌師というお仕事もあるように、ご自宅に浴槽を持ち込んで全身を洗い清め、
洗髪・顔剃り、爪切り、着替えなどを行っていただけるケアサービスがあります。
プロに頼めば、料金は5万円~10万円ほどかかると思います。
一般的には白い装束を着せて襟を左前にするとか、帯を縦結びにするなどの風習がありますが、
これは死を凶事と考えることに由来するものであり、金光教ではこだわらなくて良いです。
「生きても死にても天と地とはわが住みかと思えよ」との教えのごとく、
普段着慣れた服装であったり、好きだった服装でも良いと思います。
死後の処置、死後のケアのことを、エンゼルケアと言われていたりします。
人間は、自分で自分を守るために、セルフケアをしていますが、
死後はそれが出来ないため、出来ないことを看護するということです。
病院や施設で亡くなられた場合や、葬儀社にお世話になる場合は、
そのケアを依頼することが可能な場合もありますが、
家で亡くなられ、家で葬儀をされ、葬儀社にも依頼しない場合は、御遺族で行います。
故人様を清潔に美しく保ち、外観の変化を目立たないようにすること。
故人様の体内の汚物を出来るだけ出し、病原微生物などの飛散を防ぎ、
御遺族様や親しい方々への感染を予防することが目的です。
死後硬直が始まる死後2~3時間までに、処置を終えるようにしましょう。
アイバンク、腎バンク、イヤーバンクの登録など、献体登録をしている場合は然るべき処置をとりましょう。
遺書がある場合は、遺族親族の手続きをもって開封し、故人の意に沿って以後の取り運びをしましょう。
ガウン(使い捨て雨ガッパなど)、マスク、手袋。感染予防品。
絆創膏、膿盆、紙おむつ(2~3枚)、バケツ、タオル数枚
綿棒、歯ブラシ、口腔ケア用のスポンジ、ガーゼ、入れ歯(ある人)
ピンセット、洗面器、ドライシャンプー、爪切り、電気髭剃り
くし、ヘアブラシ、脱脂綿、青梅綿、割りばし
着物又は服(本人希望のもの)、かつら、髪飾りなど
白布(30cm四方)
① ガウン、マスク、手袋を着用し、感染予防をします。
帽子、ゴーグルなど、気になる方は何でもされたら良いと思います。
② 医療器具やチューブなどを取り外します。
心臓ペースメーカーを挿入されている場合は、医師と摘出するかどうかの相談が必要になりますので、
事前に確認しておきます。傷や点滴の傷跡があれば絆創膏を貼ります。
③ 紙おむつをして、体を右側を下に横向けにし、
口元に盆を置き、胸のあたりを押して胃の中の物を出します。
④ 陰部あたりを押して尿を出し、腹部を「の」の字を書くように押して便を出します。
きれいに拭き取り、新しい紙おむつをして、清潔にします。
おむつではなく下着を着せたい場合は、体内の分泌物に注意をはらいましょう。
⑤ 目やにを取り、目のまわりをタオルで拭き、目を閉じます。
鼻くそも取り、綿棒などで鼻の穴も綺麗にします。
⑥ 口の異臭を防ぐため、歯ブラシ、ガーゼ、スポンジなどを使い、
歯・舌・口の中を磨き、水分を全て拭き取り、入れ歯がある場合は入れます。
顎は死後硬直が最初に現れるので忘れないように。
⑦ 顔を剃り、顔を綺麗に拭きます。
頭や全身を洗いたい場合は、洗面器やタオル、ドライシャンプーなどを利用して綺麗にします。
爪を切り、くし・ヘアブラシなどで髪の毛を整えます。
⑧ 体内の分泌物が体外に出ないように脱脂綿などを詰めて栓をし、感染を防ぎます。
鼻、口、耳、膣、肛門に、ピンセットや割り箸を使って、
皮膚や粘膜を傷つけないように注意して綿を入れます。
脱脂綿は水分を吸い、青梅綿は油をはじく性質があるので、脱脂綿、青梅綿の順に詰めます。
詰めすぎて鼻から綿が見えたりしないよう、全体の容姿に注意しましょう。
舌は巻き込まないように指で押さえながら詰めましょう。
痩せすぎている場合は頬に少し詰めてあげましょう。
⑨ 服を着せます。本人が希望したものがあれば、それを着せてあげましょう。
⑩ 自然な形に体を整え、手をお腹の上にのせます。
口が開いてしまう場合は、枕を高めにして、顎の下に丸めたタオルを入れておき、
口が閉まったらタオルをはずしましょう。
⑪ 白布を顔にかぶせます。
亡くなられた場所や状況によって、故人様に対して出来る処置が限られてしまう場合がありますが、
大切なことは、心を尽くし、霊様に喜んでいただく気持ちだと思います。
形にとらわれず、思いを寄せましょう。
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