06.TRPG作れるかな

私がこれまでに完成にこぎつけたTRPGは、現在2作。

「人災~」が完成すれば今夏で3作めになる予定だ。

私の場合、中学生でTRPGに出会い、オリジナルシステムを作り始めはしたものの、実際に外に出しても良い、と思えるようになったのはン十年経った最近になってから。

それまではひたすらトライ&エラーを繰り返し続けて延々作り終わらない、という状況が続いていた。

なんで最近になって完成させることができるようになったか、をつらつら考えてみるに、以下の2点がかつての自分に比べ改善されたからではないかと思いいたった。

1.本作りの技術。

割とブラック寄りな編集業を8年やって体を壊した私だが、その代償として、企画、原稿、撮影、依頼、編集、レイアウト、進行管理、校正、営業、販促、印刷指定等々、本作りに必要なありとあらゆる作業を手掛け、そのノウハウが身に着いたことはまさに得難い経験だった。 手探りで本作りの技術を身に着けてしまう強者も世の中には数多いるだろうが、私のような意志薄弱な人間は、こうして現場で無理矢理経験しなければ身に着かなかっただろうな、と常々思う。

この「本としての体裁を整える力」がないと、「完成させるために何が必要か」「今何をすれば良いか」が解らず、目標が定まらない。

企画を思いついても延々データ調整や文章校正をし続けてしまっていたのは、大部分、この点が未熟だったからだろう。

この力が身に着けば、あとは良い企画と作り終える根気さえあれば、外に出しても恥ずかしくないものができあがってしまうのである。

2.取捨選択力。

TRPGの辛いところは、「一人では遊べない」ところで、当然「面白いか否か」も、書き上げてみたところで容易に判断できない。

なので、友達集めてテストをしてみるワケだけど、自分の感性にぴったりと合った人間などいるわけもない(いたらいたであまり参考にならなそうだし)。重いのが好きな奴、軽いのが好きな奴、粗が気になる奴、粗が気にならない奴……プレイヤーの好みはとにかく千差万別だ。

こうして出てきた意見を全部鵜呑みにしていたら絶対にシステム作りは終わらない。

自分の中で確固たる「ここを押していきたい!」という部分と「ここはイラネ」という部分をきちんと判断し、取捨選択することがどうしても必要だ。

私の場合、これもまた編集業で〆切に追われ、版元やスポンサーの要求に応える経験を積んだことでこれが身に着いたように思う。

逆に、変わってないところは以下の1点

3.企画力

実は私、あまりネタ出しに困ったことがない。

ン十年間も本の虫、漫画の虫を続けていると、「それなりの企画」はポコポコ湧いてくるものだ(もちろん、それがウケることとは別問題だし、使いきるほどのペースでクリエイトしてないってことなんだけど)。

思えばクリエイターを目指し始めた中学生の頃から、「やりたいこと」はいっぱいあったけど、「作り終える技術」がなかった。

そうしてン十年間棚上げにしてきたたくさんの「やりたいこと」を、「完成する力」が身に着いた今、一つ一つ取り出して形にしている。

で、作っている間にまた新しい「面白いもの」が見つかって、感化されて、新しい「やりたいこと」が見つかる。

……いつまで経っても「やりたいこと」が消化しきれない。

そう考えると、作っては放りだし、作っては放りだししていたかつての自分も、決して無駄ではなかったように思える。

正直私は、クリエイターとしては遅咲き過ぎる。

若い頃は、クリエイターになりたいなあ、と漠然と考えつつも、本気でそうなりたいと思っていなかったし、そうなるための筋道も見えなかった。

若い頃から情熱を持ってバリバリやってきた同世代のクリエイターもいるし、地道に研鑽を重ね、最近になって花開いた同世代のクリエイターもいる。

しかし、私の場合は 社会にもまれ、体を壊し、技術を身に着け、酸いも甘いも噛み分けて、そうなってようやく「クリエイターになるための土台」ができあがったような気がするのである。そういうクリエイターがいたって良いんじゃなかろか?

……ま、大成するかどうかは神ならぬ私には未知数なんだけども。