[New!]Replay3_etc
……と、いうわけで、シナリオ解説コーナーも今回で3回目。
このくらいまでキャンペーンを重ねると、PLの方で勝手に動くようになってマスタリング的には大分楽になってきます。
同時に、各キャラの背景などをもうちょっと突き詰めていきたくなるのもGM心というもの。特に、主人公格の万史については、PLが初心者ということもあって、まだまだ設定が固まっていない&明らかになっていないところがあります。
■コンセプト
そんなわけで、今回のシナリオ作りのコンセプトは「万史とNPCを絡ませて、万史をロールプレイさせる」です。
プレイヤーが初心者でも、日常シーンをロールプレイしてもらうと、案外サクサクと設定は固まっていきますので、大変オススメです。逆に、ベテランプレイヤーは特に振らなくても勝手に日常シーンをロールプレイして自分のキャラクターを固めていくので、GMからわざわざ振らなくても大丈夫ということも多いですね。
それはそれとして、万史以外のPLも楽しめるように、ゲーム的ギミックも一ひねりしたいところ。
……で。気になったのは前回、戦闘がちょっとぬるめだったという事実。
初回はPCのスキル構成が中途半端だったせいで、多少苦戦していましたが、前回は虎元の全力【なぎ払い】一発で壊滅状態になってしまい、拍子抜けも良いところでした。
なので、今回のもう一つのコンセプトは「戦闘を厳しく」。これでいきます・ω・<ムッフー
■お話づくり(動機編)
まずは、骨組みです。万史に絡むキャラクターとして最も適当なのは「同級生」または「依頼人」です。
最初に考えたのは、「事件の調査をしていると、同級生が関わっていることが判明する」……というものだったのですが、この方向でいくと、「サボリ魔の万史が学校の友人を助けるために積極的に動くか?」 ということが疑問に思えてきたのでヤメにしました。初心者プレイヤーに初めてロールプレイ強制するときは、もっとNPCの方から積極的に万史と関わる方向じゃないと。
次に考えたのが、「行方不明の依頼人の兄が、新薬の治験バイトで異能力に目覚めてしまった」というものだったのですが……これ前シリーズに似たよーなネタあったぞ。「ポリトカスΔ」じゃん。ヤメヤメ。
……で、最終的に、↑をちょっと捻り、「行方不明になった依頼人の弟が怪しいセミナーで能力に覚醒してしまう」という今回のストーリーに落ち着きました。
ちなみに、依頼人が舞ちゃんで弟が慶くんなのは、第二案の頃の名残です。「妹」のマイで、「兄」のケイ。
あとは、慶君が家出する原因を「環境が悪い→成績が落ちる→悩んでセミナー」という感じで、無難にまとめて完成です。
■お話づくり(解決編)
事件の背景ができたら、今度は解決方法……「PCがどう動けば慶君を発見できるか」を検討します。
街中でバッタリ出くわす、というのは唐突過ぎますし、それなりの経過を踏ませなければいけません。
また、このときにはもう一つのコンセプトである「戦闘を厳しく」を遂行するため、「『慶君を止める』と『悪徳セミナー業者を倒す』という2つの敵をそれぞれ倒さねばならない」という方針を思いついていたので、うまくそういう流れに持っていけるようにしなければいけません。
そこで登場してもらったのが、公式NPCのサブロウ君。前シリーズでは私のPCの舎弟だったので、愛着のあるキャラクターでもあります。
彼の変わらぬ有能っぷりを演出しつつ、情報が出きったところで戦闘用のエリアにPCを誘導してもらうことにします。
同時に、「セミナー」についての情報を探るため、「学校」を経て「セミナー」へ向かうルートも用意して、ほぼフラグの用意は完了です。
ちなみに「来島家」は、「繁華街」に直接行ってからでも確認できる、出入りしていた"バオバブ"についての情報が手に入る、学校に行ってからでないと選別できない「セミナー」についての情報が手に入る、という、はずれルートだったり。
■お話づくり(ギミック編)
さて、最後にギミックの検討です。
今回は「倒さなければならない敵が2組おり、これらとどういうシチュエーションで戦わせるか」が課題です。
ポイントは、「港湾エリアでの戦闘前に、セミナーの正体が突き止められているかどうか」です。
もし、テレパシストの零ちゃんが「心を覗く」とか「嘘をついてないか調べる」とでも聞いてきた瞬間、こちらの思惑はバレバレになっていました。これは恰好悪い。
そこで、敵をテレパスに設定し、零ちゃんが心を覗いたときには「くっ……! お嬢さん、今私の心を覗きましたね……! この私もテレパスなのですよ!」とでも言って即座に戦闘が始まり、同時にサブロウ君からの連絡も入って、分断戦闘になる予定でした。が、零ちゃんが繁華街方面に行ったのでこちらの準備は無駄になってしまいました。
その他のパターンでは、「セミナーの裏をとる」的な行動をしていれば、彼らが異能力者を要請している会社であることが解り、慶君との関係を追及することができました。
この場合も、「ちっ、そこまで調べがついているとはね。……だが、彼はもう我々の"商品"だ! 邪魔はしないでもらおう!」とかなんとか言ってその場で分断戦闘、となるはずでした。
虎元が【解析】でファンブル振ったのでこの想定も無駄になりましたが。
ところで、「NPCは嘘をつくもの」と後輩が言っていましたが、全ての事柄について嘘をつくと論理破綻しやすくなります。概ね真実を話しつつ、大事なところだけは話さないことが嘘をつくときのポイントです。
今回も、"脳喰らい"は「裏でやっていることは一切喋らないけど、表でやっていることは包み隠さず話して」います。2話のフロノ夫妻も同じで、正体以外のことはすべて真実を語っていますね。
これは、単に「嘘がバレないようにする」という効果とともに、「隠し事をしていることがバレてもつけいる隙を与えない」という効果があります。
今回なら、会話からは論理破綻を見出せないことは最初から決めていました。裏をとればあっさり解るようにはしていたのですが、虎元が【解析】ファンブルしたし、しょうがないですね(また言うか)。
実際のプレイでは、素直にサブロウ君の連絡を受けて慶→"脳喰らい"の順で各個撃破することになったワケですが、いずれのルートを通っても「分断」または「連戦」となるようになっていました。
イベントの【チェイス】を用意したのも、サブロウからの連絡が来る前=「分断」になるか「連戦」になるかが確定する前にセミナー組と合流してほしくなかったからです。
なので、一応、今回も予想通りの進行ができた感じですね。良かった良かった。
■ちなみに
今回、お話の構造としては物凄く単純で、「繁華街で話を聞く」「学校→セミナーで話を聞く」と、最短でたったの3アクションでラストバトルが始まってしまう構造でした。
会話シーンが多くなること、戦闘も長めになるであろうことが予想できていましたので、こんなもんかな、と思いつつのプレイでしたが、会話パート2時間、戦闘パート2時間半、というところで、ちょうど良い按配だった感ですね。
リプレイではサクサク恰好良い台詞をはいている万史も、実際にはウンウンうなり、周りのプレイヤーの提案を採用しながらのロールプレイでしたので、展開は多分、リプレイの文面よりはゆったりめでした。
このあたりの時間配分は、ほとんど経験則で、無意識にやっている感があるので、コツをうまく言うことができません。すみません。
■バランス編
さて、最後に戦闘バランスです。
これまでは、ルルブの敵役データをちょっと調整した程度でしたが、今回はいよいよ自作です。
……といっても、イチから作るのは面倒なので、敵役の【戦闘員[サイキッカー]】データのHPとSPを倍にしたのを筆頭に、脳力を全体的に底上げして、必要なスキルのレベルと消費をメモした程度です。今回のキモは【ショックアブソーブ】と【リミットブレイク】。
【倉庫街の悪夢】はちょっとやり過ぎたかなとも思いましたが、「今回も2ラウンドめで全力攻撃されて死にかけになるだろうから、大丈夫かな」と目論んでいました。短期決戦でいけよ、というヒントのつもりでもありました。
また、結果を見ればわかるように"脳喰らい"よりも慶君の方が遥かに強かったので、連戦を想定せずに慶君に全力を出してもらって、消耗した状態で戦ってもちょうど良いだろう、というバランスでした。
……ええ、全然そんなことにはなりませんでしたね。
ここはPLの察しの良さが逆に仇になった形で、連戦を疑って能力を温存した結果、慶君の切札によって消耗が拡大してしまった感。
また、本編でも言っている通り、今回はどちらかというとパリさんや零ちゃんの攻撃の方が通る構築だったのですが、ここも気づかれず、さらには、今回に限ってPLのダイスが今一つで、虎元と万史の攻撃はほとんど通りませんでした。
最終的に、万史は4D、零ちゃんが5D、虎元が6Dの露出判定をする惨憺たる有様に。
……まあ、もともと虎元は大量の異能を低レベルで取得している短期決戦型な上、ダメージの軽減をスキルに頼っているという、消耗・露出とも激しい割とピーキーな構築なので、順当と言えば順当な結果なのですが。
判断ミスやダイス運の複合作用ですし、「人災」は《リタイヤ》しても死ぬワケではありません。PL本人は「やっちまったー!」と大笑いしていて、GMの方が焦っているくらいでしたから、今となっては面白い展開になったようにも思えます。《リタイヤ》の実例も紹介できたしーωー;
でもやっぱ露出厳しそうなときはLP1くらいは残しておいた方がいいね!
実は
そんなこんなで、波乱万丈の第3話でしたが、実はこの辺りで一区切りつけて、最終回ってことにしようかな、と思っていたんですよね。ゲームが終わるまでは(ナナバナもやりたいし)。
ところが、ここでうっかり虎元が《リタイヤ》してしまったことで、逆に「《リタイヤ》した後のセッションってどうなるの?」を説明する絶好の機会となってしまったのですーωー;
@ω@;<「あー、こうなると続けざるを得ないなあ」
……と、いうわけで、また少し時間は空くかもしれませんが、凸凹チームのリプレイシリーズはもう少しだけ続きます! どうか引き続き応援よろしくお願いします!