03.厨二病は何処?

私が暗黒面に落ちたのは多分、中1のときに父が手塚治虫全集300巻(後に+100巻)を買ってきたせいだろう。

それまではせいぜいジャンプアニメやファミコンやミニ四駆に熱を上げるフツーの少年時代を送っていた少年が、「奇子」とか「IL」……もとい、「火の鳥」や「ブッダ」を読みふけりはじめたのであるからして、まあ、趣味性向がひねくれるのもやむなしとゆーものである。ちなみに一番好きな手塚漫画は「キャプテンKen」。

この辺りから読む本もポプラ社やら偕成社やら青い鳥やらの児童向け読みものから、角川とか富士見とか朝日ソノラマとかに没頭し始めるワケなのですが、大体好んで読んでいたのは「アニメ化しない方」だったんですねー。神坂一と冴木忍が並んでたら迷わず後者を選ぶようなヤなガキ(まあ、同じ世代の方ならご理解いただけよう)だったわけです。

……そう、言わば私は逆厨二病に罹患してしまったのだ。

リアル厨二~クリエイター予備軍時代は、周囲とのあまりの嗜好の違いに思い悩んだりもしました。「ガ●ダムW」に大ハマりしていた周囲が後番の「ガ●ダムX」が地味だのつまらんだのとボロクソ言ってる中、一人で絶賛してたり。合作的な小説で周囲がやたらと主人公をAGEまくるのに対し、一人で主人公を壁にぶち当たらせて凹ませまくって鼻白まれたり。

そういう世間との嗜好の乖離に思い悩んだ時期が、私のクリエイター人生において物凄く長い停滞期であったな、と思う反面、そういう悩みを経てふっきれたからこそ、今、売れずとも流行らずとも自分の面白いと思うものを制作し続けようと思う覚悟が固まった面もあるように思う。

……しかしまあ、それはそれとしてというか、それがそれだからというか、私は相も変わらず逆厨二病に罹患しっぱなしで、寧ろ悪化している感さえある。「才能」より「努力」、「超然」より「人間味」、「派手さ」より「丁寧さ」を前面に押し出したオハナシが大好きなワケです。

別に前者を前面に押し出していても、後者がおざなりになっているという作品ばかりではないので、ほとんど偏見に過ぎないのだけれど、この歳になるとそういう作品を実際に読みこんで見出すというのは結構大変なのですねー。最初から地味系を全面に出している本から選んだ方が楽ってゆーか……。

まあ、そんなこんなで、今日も今日とてラノベと創元文庫を見比べて創元文庫を買ってきちゃったワケなのですーωー