02.@100円ショップ。

8月某日。夏コミの新刊の入稿も終え、ルンルン気分でレンタル屋に向かった私は、

併設してある100円ショップで足を止めた。

「おお、そういや、小銭入れが要るんじゃったのう」

無論こんな一人言を本当に言っているわけではない。いやまあそれはともかく、

100円ショップのアイテムは、耐久性には難があるが、それに目をつむれば案外便利。

1~2回使えればok的なアイテムなら結構使わせてもらっている。

丁度、目的のコインケースが見つかり、良い買い物をしたと満足しかけていた私の目に、

興味深いアイテムが飛び込んできた。

『切り離し自由! 使い方自在!』の煽り文句のついたマグネットシートである。

それを見た瞬間、私の頭に電撃が走った。

「これを使えば、複数のチップを使ったシートが管理できるんじゃね!?」

……それは、もともと今夏発表の予定で制作していたのだが、あまりのプレイアビリティの

悪さにお蔵入りしかけていたシステムに丁度求めていたギミックであった!

私はいつもの2割増しくらいのスピードで車を走らせて家に帰ると、

すぐさまエクセルとインデザインを開いてシステムの制作に取り掛かり――

――半時間後、ほぼゲームの骨格はできあがっていた。

かように、ゲームのアイディアというものはいつどのようにして『降りてくる』か解らないもの。

思えば『人災派遣』もフィールドのギミックが思いついたらほとんどその日のうちに骨格は

できあがっていたからなあ。

……もっとも、できあがったからと言ってそれが「おもしろい」かどうかは別問題。

でもって、「おもしろい」かどうかはできあがってみないと解らないんだなあ、これが。

……さらに言えば、「形にする」「完成させる」にもこれまたスキルが必要となるワケで。

……まったく、ゲームデザインの道は奥が深い。

さて、こいつのテストはいつになったらできるのかにゃー……。