01_クロムの怪魚 00-03

◆INTRODUCTION◆

2017年年度末。GM潮屋の呼びかけに応じた4名のPCが、どどんとふ特設ページに姿を現す——本日は『信者を集めて神を狩るRPG』こと『カルカミ~異神討伐RPG~』体験会の開催日なのだ!

潮屋:……てなわけで、みなさんこんばんは!

PL一同:こんばんは~!

潮屋:本日は『カルカミ~異神討伐RPG~』体験会にご参加いただきありがとうございます! ……ま、ゲームに入る前にざっくりとこのゲームの舞台と設定についてお話しますと——。

——むか~しむかし、宇宙には七つの世界があったそうな。

七つの世界ではそれぞれ神がおって、法則や大地や生命を作って別個に発展しておった。

ところが、あるとき一つの世界が混迷の末崩壊し、その世界の神達が、「このまま世界と一緒に消え去るのは御免こうむる」とばかりに他の世界へ渡って侵略を始めたものだからさあ大変。

仁義なき神と神の戦いによって六つの世界が崩壊し、最後に残った七番目の世界『ディムナース』を我が物にすべく侵略を開始したのじゃった——。

潮屋:——てなワケでして。

プレイヤーA:迷惑!

潮屋:そんなワケで、みなさまは、ディムナース世界の土着の神様となりまして、侵略してきた他の世界の神々『異神』からこの世界を守るべく、戦うことになるのです。

プレイヤーB:PCは神様なんですね。

潮屋:うっすうっす。……で、具体的にどうすりゃいいのかと言いますと、このゲームにおいて神様の力とゆーのは、『人間達の信仰心』がその源なのですね。だから、人間達を騙……信頼を勝ち取ることが当面の目標だと。

プレイヤーC:いま騙すって言った! 言いかけた!

潮屋:まあ似たようなもんです。

プレイヤーD:言い切った!?

潮屋:とにかく! PC達は異神が入り込んで迷惑してる善良な人間を救うとか、異神に憑りつかれてる悪党を懲らしめるとかして、「異神なんか信じるよりウチら信じた方がお得やで~」と思わせれば大体okなのです。

プレイヤーA:PR合戦みたいなもんか。

潮屋:ですです。敵役である異神はどれもちょっと極端な性格に設定してありますし、正義のヒーローよろしく人間達のピンチに駆けつけて助けてあげれば信仰を勝ち取るのは難しくないでしょう。

プレイヤーC:なるほどー。

潮屋:……逆に言うと、ピンチになるまでは助けない方がインパクトは強いよねー? みたいなー?

PL一同:ひどいっ!?

潮屋:まあ、ともあれ。今日はそんな感じの世界を舞台にしたストーリーを楽しんでいただこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

PL一同:はーい!

◆0.若き神、集う!◆

潮屋GM:……てなわけでわけで。早速ですが、みなさんはディムナ族の若い神様です。で、ある日、ディムナ族の主要七神の一柱、冥府の神にして武神である月神ルクの神殿に召喚されます。

プレイヤーC:呼び出されたぞー。

GM:なんでも、「とある辺境の村に異変が起こっているので調査しに行って欲しい」とのことです。

プレイヤーA:むむっ、異神の侵略か!?

GM:さあどうでしょう? ……ともあれ、ルク神は多忙な身なので、月が沈むまではやって来れません。三々五々集まった君達は、神殿の待合室的なところで軽く供物などいただきつつ、自己紹介などして親睦を深めるのでした。……ってことで、みなさん軽く自己紹介していただければと。

PL一同:ほーい。

プレイヤーA:じゃあ、一番はオレね。「いやー、はじめましてはじめまして? オレは山猫の化身、ピンインだ。獲物はこのでっかい剣。戦いなら任せろよー」

GM:ピンインは祖霊神……山の土地神さんですね。

「カルカミ」のPCは、6種の神統(クラス)から一つを選んでプレイする。

ピンインは土地の守り神である「祖霊神」。山や川や浜などの土地の守り神であり、そこで暮らす人々の信仰を力の源とする、近接戦闘の得意な戦士タイプの神様だ。

プレイヤーAピンイン:「そうそう、山の土地神みたいな事やってる。モットーは公平。たまーにやりすぎみてぇな事言われたりするけどなー。はははっ」

GM:若々しくて元気の良さそうな神様ですね~。

ピンイン:ちなみにイメージカラーは青! 「ま、そんな感じでよろしくたのまあ!」

「カルカミ」のルルブには自分がどんな神様なのかを決める「本性チェート」が用意されている。ピンインの場合は「公平」「青」「山」「猫」などのキーワードから連想してこのようなキャラクターが出来上がったのである。

GM:では次は元素神のBさん。

プレイヤーB:はい。「……私の名を知りたいのか……?」

GM:ややや、高貴そうな感じ。

プレイヤーB:「我が名はファラシ・エウスィ。我が民草の言葉で"黒き馬"の意だという。風に靡く背高き草を司っている」

エウスィは火や水や土といった自然物や自然現象を司る「元素神」。「大地」と「馬」のキーワードから草原を連想したのだ。

プレイヤーD:はわー、ありがたやありがたやー。

GM:性格的には女性なんですね。

プレイヤーBエウスィ:ですね。誇り高い感じの女神です。「みな、よしなに頼む」

プレイヤーC:次は私かな。「川の荒神、ソンだ。……よろしく」

GM:ひゃー、祟り神だー。怖いぞー。

プレイヤーCソン:こわいぞー! 祟るぞー!

エウスィ:ひゃー。

ソンは悪人や不心得者を罰し、自然の脅威や神の偉大さを知らしめる「祟り神」。人間にとっては怖~い神様でも、神様視点だと祟り神は悪人に罰を与えて正道に戻す、という大事な役どころの神様でもあるのだ。

ソン:「水の取り合いばかりしてると、氾濫させる」 ……ちなみに正体は銀の鱒です。

GM:ぎんます。

ピンイン:おさかな! ……おいしそう(←山猫)。

ソン:食べないで―!?

GM:では最後のプレイヤーDさんは……ぱ、パッチン棒?(困惑)

エウスィ:神様なのか……?

プレイヤーD→パッチン棒:ええ。「おいらパッチン棒! ほら、あそこのディムナ様の神像が手にしているナマズの浮彫の入った棒がおいらだよ」

GM:そうなんだ。……っていやいや、なんの神様なんですか? パッチン君は。

パッチン棒:「話せば長くなるんだけど……かつて風呂を愛する人々の間で、肩を濡れタオルで叩く行為が流行したそうだ」

GM:長文設定キタコレ。

パッチン棒:「……それをしないと風呂に入った気がしないとまでいう奴もいたんだが、周りに水が飛び散るってもんでおやじは困っていたんだと。そんなわけで、お風呂でパッチンと良い音発てるために開発されたのがおいら、パッチン棒なのさ!」

GM:ははあ、なるほど。パッチン君は「付喪神」でしたか。

パッチン棒は人の生活に密着したものや、人が愛着を持って接することで神となった「付喪神」。身近な道具から神剣、聖杯といった格の高い道具までバリエーションは千差万別。中にはパッチン棒のような変わった道具の神様もいるかも知れない。

パッチン棒:あのー、さらに設定があるんですけど、アップしてもいいですかね……?(笑)

GM:まだあるんだ(笑)。じゃあ折角だから拝聴しましょう。

パッチン棒:「そんなこんなで開発されたパッチン棒なんだが、いまいち流行らなくて、おやじは策を講じた。我らが太陽神ディムナ様の御威光に縋ろうとこんな話を作ったんだ。

~気さくで世俗の文化にも明るいディムナが、お忍びで温泉街に通うようになり、パッチン棒を知りました。ディムナはパッチン棒の得も言われぬ使い心地に大変気に入りましたが、お忍びで来ている身ゆえ、毎回その場の客のパッチン棒を借りて使っていました。

しかし、ある日返しそびれたパッチン棒を持ち帰ってしまい、無くしてしまいました。

これに森の神ウィルフは大層怒り、懲らしめるために一つのパッチン棒を神に昇格させ、次のディムナのお忍びの際、手に渡るよう細工をしました。

さて、そうとは知らぬディムナがいつものように借りたパッチン棒で肩を叩きました。次いで走る激痛。驚くディムナ。

見ると手に持ったパッチン棒は棘だらけの恐ろしい姿に変わっています。逃げ出すディムナですが、その棘だらけのパッチン棒はどこまでも追いかけてきます。

これに懲りたディムナはマイパッチン棒を購入することになったのでした。どっとはらい。~

……こうして、ディムナ様も使った道具という噂が広まったお蔭で、パッチン棒は温泉街の名物となったというわけ」

ピンイン:長ーっ!(笑)

GM:凄い、ゲームが始まる前に神話が一つできちゃったよ(笑)。

エウスィ:棘だらけのパッチン棒……痛そう。

GM:……てかよくよく聞いてみたらそれただの宣伝用の作り話じゃないですか(笑)。パッチン棒君はどういう経緯で神様になったんですか。

パッチン棒:おいらは温泉宿の親父が広報用に作った棘だらけのパッチン棒なんだ。噂話を流して商売がますます繁盛したから祀られて神様になっちゃったんだね。

GM:なるほど。それは確かに付喪神っぽいので了解です(笑)。――さてさて、それでは本日はこの4名の神々で異神退治の冒険に向かうことになりますので、どうぞよろしくお願いします!

一同:よろしくー!

◆1.任務◆

GM:……てなわけで、ルク神に呼び出されて集まった4人の若神たち。食事なんかも提供されて、ちょっぴり打ち解けつつルク神を待つことしばし。

ソン:もぐもぐ。

ピンイン:もっもっもっ。

パッチン棒:皆が美味しいものを食べれている空気っていいなぁ(笑)。

GM:夜が明け、月が沈むころになってようやくガシャコンガシャコンと鎧の音を立てながら、ルク神がやってきます。

月神ルク(GM):「待たせたな、皆の者」

エウスィ:「はっ」跪きます。

ピンイン:おっと、オレも軽く頭を下げとくよ。

ソン:もぐもぐしながら跪きますー。

パッチン棒:「ま、まってませんよー?」びたああん!と床に。

月神ルクは、PC達の属するディムナ神族の七大神の一人。月=冥府を司る神であり、空から異神の侵略を見張る神族きっての武神でもあります。

月神ルク(GM):「ようやく月が沈み、我の職務も終わった。一日の半分は勤めねばならぬのでな。だがまあ、その間に多少は打ち解けておるようだな。善哉善哉」

パッチン棒:おつかれさまですぅ。

月神ルク(GM):「うむ。苦しゅうないぞ。……さて、此度、諸君らを呼び立てたのは他でもない、辺境の村クロムという土地に、我の代官として赴いて欲しいのだ」

エウスィ:「クロム村、ですか。そこで何をすれば……?」

月神ルク(GM):「うむ。クロム村は、北の辺境ながら豊かな水源を近隣に持ち、慎ましく敬虔な生活を送っていた小村だ。ところが、数か月前から伝染病が流行り、里の命運は風前の灯だという。

……我がディムナ族の勢力圏で、そのような善良な人々が苦しんでいるのは捨ておくことはできん。そこで諸君に彼らを救うべく向かってもらいたいのである」

ピンイン:「なるほどなぁ……そりゃ見捨てられねっすね」

エウスィ:「月神ルク様のお言葉とあらば」

パッチン棒:「わかりましたぁ! 病は気からといいますし、おいらがいい音たてましょう!」

ソン:良い音(笑)。

月神ルク(GM):良い音なのか(笑)。いやまあ、もう少し事前説明あるからちょっと待ってね。「うむ。良い返事だ。……しかし、たかが村一つに諸君らのような神々を送るのには理由がある。我は、ここに異神の陰を疑っているのだ」

パッチン棒:むむむ。

月神ルク(GM):「諸君も知っての通り、今、この世界は邪悪なる異神どもの侵略に脅かされている。……彼奴らめは、人の欲望につけこんだり、罪悪感につけこんだり、恐怖で支配したり、卑怯な手で人々を苦しめ、惑わして我がディムナ族からの離反を促しておる」

エウスィ:「許せませぬな……!」

月神ルク(GM):「故に! 此度の一件も異神どものせいに決まっておるのだ!」(一同笑)

ピンイン:決めつけ(笑)。

GM:ルク様は超タカ派だからね。「卑劣な異神どもなど、我自らギッタンギッタンにしてくれよう! ……とはいかないのが難しいところでな」

ソン:あらら?

月神ルク(GM):今は各神族が互いの力を探り合っている微妙な時期でもある。……異神どもは一枚岩ではない。少なくとも六の神族が別個にこのディムナースを侵略しており、迂闊に我ら主神クラスが動けば、その隙をついて攻勢をかけて来るやも知れぬ」

エウスィ:「群雄割拠なのですね」

月神ルク(GM):「左様。……そこで、だ。諸君らのような若い神々であればまだ神としての格が低い分、潜入が容易であるし、首尾よく現地で人々を救って信仰を集め、神格を高めてくれれば、やがて来る異神達との決戦に備えることにもつながるというわけだ」

ピンイン:「なるほどなー。流石、ルク様は考える事が違うっすね……、違いますね」

パッチン棒:「まーかせてください!おいらはともかく、ソン様、ピンイン様、エウスィ様がいらっしゃいますゆえ!」

GM:パッチン君はどうゆう経緯で呼ばれたんだろうね?(笑)

パッチン棒:神様の中に温泉好きがいるのさ。

GM:ディムナじゃん(笑)。……まあ、多分付喪神仲間の推薦があったんでしょう。「さて、そのようなわけで、早速にも現地に赴いてもらいたいところなのだが……」

ソン:だが?

パッチン棒:主神を叩いたことなら何度か……。

GM:それ宿屋の親父がでっちあげた宣伝ストーリーだろ!(笑) 「まずは異神との戦い方を、シミュレーションでレクチャーしてやろう」

エウスィ:「ありがたきお言葉……!」

ソン:やさしい。

パッチン棒:やさしい。

ピンイン:やさしい。軍神様なのに。

GM:軍神だからこそですよ。てなわけで、実際の戦闘で軽くゲームの進め方をレクチャーいたします。

PC一同:はーいっ!

◆2.模擬戦!◆

GMはここでトランプカードを4×5列、計20枚を並べ、1段め中央にPCたち、4段目中央に「異神」、「異神」の両脇に「従神」のコマをそれぞれ並べます。

・スタートプレイヤーと行動順

GM:てなわけで模擬戦です。まずはPCとGMが2Dを振って一番高い人がスタートプレイヤーになります。

PC一同:はーい。

エウスィ:(ころころ)あっ、12が出ました!

GM:それは凄い。6ゾロの人、他にいませんね? ではスタートプレイヤーはエウスィ。行動順はエウスィを基準に「エウスィ」→「ピンイン」→「ソン」→「パッチン」→「異神」という順番で行動順がまわってきます。

PC一同:ふむふむ?

GM:で、次のラウンドは「ピンイン」がスタートプレイヤーで最初になって、「エウスィ」は「異神」のあとに並びます。……3Rめは「ソン」が最初で「ピンイン」が最後って感じに、交代していきます。いわゆるザコ敵である「従神」は、常にRの最後に行動します。

・移動とPP(信仰値)

GM:まず、PC達のいるエリアのカードを表向きにします。……[ダイヤの9]。ダイヤを引いたので対応している[文明]のPP(信仰値)が1上がります。

パッチン棒:文明文明っと。

GM:これによって、みなさんは「天撃」で攻撃できるようになりました。現在の攻撃力は「2D+天撃力」です。

ソン:天撃だー! 罰当てるぞー!

GM:ですね。でもぶっちゃけ2Dじゃ大してダメージ出ません。カードをめくってダイヤがバンバン出ると、最終的に「7D+天撃力」まで威力がアップします。

ソン:がっかり。

ピンイン:最初は下積みが大事ってことだな。

GM:ですね。スートによって「闘撃(近接攻撃)」、「霊撃(遠隔攻撃)」、「天撃(万能高コスト攻撃)」の三種があるので、カードの偏り次第で攻撃役も変わってきたりします。

エウスィ:ハートは何です?

GM:ハートはFP……いわゆるマジックポイントですね。これは毎R一定値回復するのですが、その回復量が上がる仕組みです。

パッチン棒:それに、PPが溜まると神業が解放されるよ!

GM:ですです。カードはコマを【移動】させれば裏返すことができるので、どんどんカードをめくってPPを溜めていくのがこのゲームの定石なのです。

ソン:まずは陣地を広げよー!

・AP(行動力)

GM:さてさて、いよいよ実際に手番を処理していきます。PCはAP(行動力)というのを[2]点ずつ持っています。……要するに、自分の手番中に2回アクションを行うことができるってワケですね。

エウスィ:ふむふむ。

GM:主なアクションは【移動】【攻撃】【治療】【布教】の4つ。このうち2つを好きな組み合わせで行えばいいのですが……。

ピンイン:最初は【移動】だったね。

エウスィ:ですね。では2回【移動】して左端へ移動して、カードをそれぞれめくる、と。(ぺりっ)

→エウスィがカードを公開しました。「スペードのA」→信心3

→エウスィがカードを公開しました。「ハートのJ」→繁栄2

GM:ひえっ!?

ピンイン:いきなり絵札2枚!

パッチン棒:なにこれしゅごい。

GM:絵札はPPの蓄積が+2、Aは+3なのです。これは凄い。……で、これでエウスィは2APを使いきったワケです。

エウスィ:なるほどー。

1Rめ、残るPC達も【移動】を行い、カードがめくられていく。

ピンインがカードを公開しました。「ハートの7」→繁栄3

ピンインがカードを公開しました。「ハートの4」→繁栄4

ソンがカードを公開しました。「ハートの10」→繁栄5

ソンがカードを公開しました。「ハートの5」→繁栄6

パッチン棒がカードを公開しました。「ハートの6」→繁栄7

GM:あれー?

ソン:偏りすぎぃ!

GM:うーむ。まぁ、トランプを使う以上こういうこともあります。……ともあれ、今度はこっちの番だけど、まず異神は一歩前に出ておしまい。まだ近接攻撃しかできないので殴れない……。

ピンイン:すぶりぶんぶん。

ソン:異神はそこでお座り!

GM:でもわんこは「2歩移動して1回攻撃」できるのでソンとピンインをがぶがぶだー!

パッチン棒:なにー!?

ソン:さすがわんこ。足速い……。

GM:まずは3D+12と言ってピンインを攻撃! 25点のダメージだ!

ピンイン:おーぅいってえ! 俺の防御力は9点だから、16抜けかあ。2割持ってかれる!

GM:いやいや、ここで【防御】ができるのです。

・【攻撃】と【防御】

GM:「カルカミ」には攻撃に命中判定が存在しません。なので、攻防の処理は単純に「攻撃側はどれだけダメージを出せるか」「防御側はどれだけダメージを軽減できるか」を比べ合うことになります。

……具体的には、「防御側はFP2x点を消費することでxD点ダメージを軽減できる」という仕組みになっています。

エウスィ:むむむ? 難しい……?

GM:まあ単純に「FP消費すればダメージ軽減できる」と思ってもらえば大体ok。ただし、判定は一回で行わなければいけないので、どの程度リソースを消費して、どの程度ダメージを軽減すればいいのかの判断力が問われる仕組みになってます。

ピンイン:ふむふむ。……そうだなぁ。HPはそれなりだから、FP4点位使って[2D]点だけ防御しておこう。

パッチン棒:おっと、だったらそこでおいらが神業【魂の緒】を使いますよ!

ピンイン:おっ? なんだそれ?

パッチン棒:どのエリアからでも味方を【かばう】ことができるスキルですよ!

・【かばう】

GM:【かばう】は他人の【防御】を上乗せするアクションですね。「HPまたはFPを3x点消費することで【防御】の効果を+xD」という処理だ。

普通は隣のエリアにいるユニットにしか使うことができないのですが、パッチン棒は、この距離制限を無視するスキルを持っているのでどこからでも【かばう】できます。

パッチン棒:なのです! というわけで、FPを9点消費して【防御】を[+2D]しますよ!

ピンイン:ありがてえ! じゃあ、4D点の軽減で(ころころ)……11。ちょっと低いなあ。

GM:じゃ、元の防御力と合わせて5点抜けですね。

ピンイン:ま、20も軽減できりゃ上等かな。

GM:でもってもう一匹はソンに攻撃……イマイチ。21点。

エウスィ:甘噛みかな?

ソン:かみかみ。……でも地味に痛いので【防御】しよう。

エウスィ:あ、では今度は私が【精霊の盾】を使おう。FP3消費で2Dのダメージ軽減ができるのだ。

GM:しかも、【防御】の前でも後でも使えるし距離もとらない。

ソン:強い!

パッチン棒:えー! おいらの【かばう】の上位互換じゃないか……。

GM:【かばう】はHPを減らしても良いのでリソース管理しやすいのと、上限が能力値基準なので増やせるダイス数も伸び代も大きいのが特長かな。

パッチン棒:なるほど。でも【防御】見てからでも使えるのは嬉しいね。

エウスィ:そろそろ振っていいかな?(笑) (ころころ)……むぅ、少し低めで6。

GM:ソンの防御力6と合わせて12点とめ。残り9抜けだね。

ソン:むむー。じゃあ、[4]FP使って[2D]点分防御しておく。(ころころ)……あっ、クリティカル!

GM:おお、では振り足しが可能ですね。

・クリティカルとファンブル

GM:「カルカミ」では、「振ったダイスの中に[6]の出目があったら、[6]の数と同数のダイスを振り足す」ことができます。これをクリティカルと言います。

一方、振ったダイスが全て[1]の出目だった場合、ファンブルとなって固定値なども加算されず、判定結果は[0]となってしまいます。

この2つのルールがあるため、ダイスはたくさんあればあるほどクリティカルが発生しやすく、ファンブルが発生しにくくなります。

ソン:わかった! (ころころ)6、5に振り足し5で……16!

GM:6と5しか出てないやん! それは完全に止まったね。

ソン:わんわん牙大丈夫? 折れてない?

GM:つるっとすべったのかも知れない。鱒の鱗はつるつるしてた!

ソン:つるーん。

GM:……ともあれ、これで1Rが終了したので、エンドフェイズの処理を行います。

・「エンドフェイズ」

GM:PCと異神の手番が終わって、従神の手番も終わったらR終了し、次のRに移行します。この間、AP、FPの回復やスタートプレイヤーの移行などの処理・確認が行われます。

ピンイン:(処理を済ませて)じゃあ、2Rめは俺からだな。

GM:そう……なのですが、時間が押してるのでちょっぴりはしょります(汗)。

ピンイン:はしょりはしょり。

GM:PPを公開した上で、ピンインが一回攻撃するところまでで終わりとしましょう。……てなわけでぺいっ。ぺいっ。

GMがカードを公開しました。「スペードの9」→信心4

GMがカードを公開しました。「スペードの8」→信心5

GMがカードを公開しました。「スペードの7」→信心6

GMがカードを公開しました。「スペードの5」→信心7

GMがカードを公開しました。「ダイアのK」→理性2

GMがカードを公開しました。「クラブの10」→文明1

パッチン棒:わわわあわわわわ……!

ソン:すごい偏り。

ピンイン:おー、良い具合に俺の得意な闘撃が7までいってる!

パッチン棒:ピンイン様、神業も行っちゃいましょう!

ピンイン:おうよ! まずは一歩移動して、【修羅の舞(闘撃範囲拡大)】と【獣神撃(闘撃威力大幅アップ)】を乗せて【闘撃】! 【野生の力(常時闘撃力アップ】の効果もあって、合計14D+11! うっしゃいっくぜーーー!!

DiceBot : (14U6[6]+11) → 4,4,1,1,5,4,4,5,3,2,2,4,3,4+11 → 16/57(最大/合計)

GM:なんと、これだけ振って6が1コも出てないとは。

ピンイン:かなしみ……。

ソン:そんなひもある。

GM:MPを使えば振り直せるけど、やってみる?

ピンイン:する!(即答)

・MP(奇蹟点)

GM:MPは、消費することでダイスを振り直したり振り足したりできるリソースですね。

ピンイン:振り直し振り直し!

DiceBot : (14U6[6]+11) → 2,1,1,11[6,5],9[6,3],1,1,3,3,3,2,3,3,2+11 → 22/56(最大/合計)

ピンイン:あれー!? 合計下がってないか!?

ソン:かなしい……。

GM:まあ、MPは3点あるのでまだ振り直すこともできますが……さすがに長引いちゃうのでここまでにしましょう。

ピンイン:はぁい。

GM:異神は模擬戦用とはいえまだ元気です。が、わんこは二匹とも一撃ですね。

ピンイン:わんこばいばい。

パッチン棒:きゃうんきゃうん。

エウスィ:「なかなかできるな」

GM:その他幾つか処理があるんですが、軽くはしょりまして。「ふむ、まあこんなものだろう」とルク神。

パッチン棒:どうでしたかルク様ー。

月神ルク(GM):「うむ。まずまずの動きだったぞ。……とはいえ、今回の敵は、私の神通力で作り出した影に過ぎん。本物の異神の強さはこの比ではない。みな、心してかかるのだ」

エウスィ:「はっ」

ソン:「はぁい」

ピンイン:「本物相手にはもっとがんばらねーとな……」 後の方で黙々と剣の手入れをしていよう。

月神ルク(GM):……さて、ちょっと変則的ですがみなさん、山札からカードを1枚引いてください。

ピンイン:MAP山札ですか?

GM:そうそう。

ピンインがカードを公開しました。「ハートの2」→領土:森林

エウスィがカードを公開しました。「クラブの8」→領土:学校

ソンがカードを公開しました。「スペードのK」→領土:神殿

パッチン棒がカードを公開しました。「スペードの10」→領土:祭壇

エウスィ:これは……?

月神ルク(GM):「今手にしたのは、お前達の初めての領地だ!」

パッチン棒:しがないパッチン棒のおいらに領地!?

・領土

GM:領土とは、戦闘終了後、その地域の信仰が固まったことで得られるボーナスのことです。経験点による成長とは別に様々なボーナスを得ることができます。中には領土でしか獲得できないボーナスもありますよ。

ソン:(確認して)わぁい。好きな能力値が上げられるー。畏怖かな。ぶんぶん。

ピンイン:森林か。山神のオレにぴったりだ!

エウスィ:FP回復値アップ。これは助かる。

パッチン棒:闘撃力アップかー。おいらは敵より肩を叩きたいんだけど、これも思し召しだな。

GM:まあ、信心が7Dまで溜ったら誰が殴ってもそれなりに通るからね。選択肢が増えたと思えばOK。……そして! 今回はサービスで「人材」も一枚ずつプレゼンとしましょう!

・人材

GM:こちらも領土と同じく、戦闘に勝利する毎に獲得できる、特に優秀な信者。専用カード(トランプに対応)で管理し、1シナリオ限りの使い捨てだが、戦闘中に強力な効果を得ることができます。

ピンイン:おおーっ!

パッチン棒:太っ腹!

エウスィ:ありがたい……!

GM:こちらは他のPCにも何持ってるかは秘密なので、いざという時に使ってびっくりさせてくださいね!

PC一同:は~い!

◆3.神様四カ条◆

GM:さてさて。では信者も獲得して意気揚々と布教の旅に向かおうとしている君達なんですが、出発の前にルク神から最後のちゅーいがありますよ。

パッチン棒:なんでしょうか?

月神ルク(GM):「人間界に降りるにあたって四つ注意がある。まず一つ。お前達は小神とはいえ神だ。およそ人や現地の動物ができうることはなんでもできる。人間とケンカをしたら絶対に勝つし、鳥になって空を飛ぶも、魚になって海を自在に泳ぐも自在だぞ」……ま、無茶な事しようとしたら能力値判定を要求されることもありますが。

ソン:絶対勝つ……!

ピンイン:さすが神様だなぁ。

月神ルク(GM):「だが、いかに神とはいえ、人間の『心』をのぞいたり、操ったりすることだけはできん。民草の心を開くためには、同じ立場に立って対話する必要があるだろう」

エウスィ:なるほど。

GM:ぶっちゃけ心を読んだり操ったりされるとシナリオ作りにくいからね。

PL一同:ですよねー(笑)。

月神ルク(GM):「二つ。異神の正体が明らかになるまでは、お前達の正体を人間に知られてはならん」

ソン:なぜなぜ?

月神ルク(GM):「街中で急に『俺様は神だ! 超能力も使えるぞ! だから信者になれ!』などと言っても、イタイ奴と思われるだけだ。故に、異神が正体を現すか、異神の正体を突き止めるか、人間が異神に襲われて命を落としそうになるか、とにかく『異神と戦う善き神である』ことだということが明白になるまでは、山を動かすだとか雷を落とすだとか、そういう人智を超えた能力を使うところを人に見られてはならんぞ」

パッチン棒:ふむふむ。

GM:先程も言った通り、姿を隠したり人間に変身したりするのは自由自在なので、よっぽど無茶なことをしなければ見逃しますけどね。明らかに状況的にマズいと思われるアクションはGMからストップがかかることがあります。

ピンイン:了解です。

月神ルク(GM):「三つ。人間相手でも異神相手でも、嘘をついてはいかん。嘘は神の信頼を失墜させる最も許されざる行為だ」

ソン:嘘だめ……。

エウスィ:身を隠すのは嘘に含まれないのですか?

月神ルク(GM):「ああ、厳密には『悪意を持って人や神を陥れるための嘘』だ。守るつもりのない約束をしたり、相手が不幸になるのを解っていて偽の情報を流したりな。人間を守るためだったり、救うため、怖がらせないため、楽しませるためといった所謂『嘘も方便』は問題ない」

エウスィ:なるほど。了解しました。

月神ルク(GM):「四つ。異神の手下でもなんでもない人間を殺したり傷つけたりするのは禁止だ。そんなことをすればわしらも異神と同じ、人に仇なす神と見られてしまうからな。……ただし、異神に憑りつかれて隣人に害をなすような人間に罰を当てる分には一向に構わん」

ソン:「わかりましたー」

パッチン棒:「おまかせを!」

GM:……ま、この辺りは神様らしいロールプレイをするための指針みたいなものなので、フツーにプレイしていれば大丈夫です。多分。パッチン棒の姿のまま喋り出したりすると「なんだこれ!? こわっ!?」みたいに思われるかも知れないのでご注意を。

パッチン棒:ご心配なく。普通のパッチン棒になって誰か素敵な神様に運んでもらいまする(ちらっちら)。

ソン:じゃあピンインさんの背中にでもさしておこう(ぐいぐい)。

ピンイン:さされる。紐で括っとこう。

パッチン棒:わわ、ピンイン様ありがとうございます!(便乗)

ピンイン:(きゅっ)

月神ルク(GM):剣と間違えられちゃう定期。

エウスィ:「……………」無言で見ています。

パッチン棒:冷ややかな目線も素敵です

エウスィ:でも、内心ちょっと可愛いと思ってます(笑)。

ソン:可愛いんだ(笑)。

エウスィ:「ふっ、ふん可愛いなどとは思っておらん」

GM:誇り高さアピールですね(笑)。

ピンイン:「よっし、これで準備は整ったかな?。まー張り切っていくかー!」(わくわく)

パッチン棒:精一杯、いい音たてるぞ!

月神ルク(GM):ではでは。ぺかー、っとルク神の力で月光の道がひらき、君達はクロム村の近隣に降りたつのでした。

PC一同:ぺかー(笑)。

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