Replay2_etc

■ネタ出し

今回のシナリオは、PCの中にパリラッテという、ちょっぴり頓狂な設定のキャラクターが混じっていたことが発想の発端となっています。

PCに宇宙人がいるのに宇宙人ネタをやらない理由があろうか。いやない(反語)。

前回は幽霊だったし、今回のシリーズは怪奇ネタで統一してみようか、という意識も働いていたりします。

■ネタ固め

僕は異種交感ネタが大好きで、「エウレカセブン」みたいな種を超えた相互理解みたいなテーマが大好物なのです。

そんなワケで、イルカならぬ宇宙人が攻めてきたぞっ!! って感じの展開はハナから考えておらず、「依頼人が実は宇宙人」「最後にネタばらししてUFOで帰っていく」という展開はほとんど苦もなく決定します。

このテの話は、手塚治虫センセイや藤子F不二夫センセイが散々扱っているし、ETやら未知との遭遇やらといった偉大な先駆者もあり、やりつくされてる感がなくもない。

しかし、SFとしてはあまりに王道過ぎるのか、逆に最近は見かけない気がしたので、逆に新鮮な感じになるのではないか、という狙いがなくもなかったり。

「赤ちゃん(というか卵)が盗まれる」

「卵は地球人にとっては別のものに見える」

「卵は中に宇宙人の幼生が入った宝石」

「蝶(実は宇宙人)の入った琥珀」

「PCはただの宝石だと思って回収するが、取り返すと孵ってUFOが迎えに来る」

とゆー感じで、基本的な筋が決定。

※ちなみに私、15年位前に「いにしえの蝶」という謎の言葉の秘密を探ってみたところ、琥珀の中に閉じ込められた堕天使(人間どもくたばれ系で復活して襲ってくる的なー)だった、というシナリオを一度プレイしているので、多分、「琥珀の中の生物が生きている」というネタ自体は過去シナリオの流用ということになります。

一方で琥珀ネタ使ってるどメジャー作品であるところの「ジュラシックパーク」は観たことなかったり。

ともあれ、TRPG始めたばかりのころは、「同じネタは二度と使っちゃいけない」みたいな強迫観念があったものですが、メンバーが流動的になるにつれ、どーでもよくなったり。寧ろ、二度三度と同じシナリオをこなした方が完成度が高くなったりすることも。

まあ、同じメンバーに同じネタをかましたり、リプレイ化して不特定多数の人が見る機会のあったネタについては、なるべくかぶらないよう排除していくべきではありますね。

■ギミック1

卵泥棒を追っかける話ってことで、親宇宙人であるところのフロノ夫妻の設定を固めつつ、事件の経過と解決の手順を同時進行で検討。

最初は、同じ宿の中に犯人がいて、客と話聞きながら特定していく、というオーソドックスなADV形式のギミックを考えていたのだが、客の設定をしていくうちに面倒くさくなってきれいさっぱり忘れることに。

容疑者がたくさんいるタイのシナリオは、真犯人以外のキャラ設定もしっかりしておかないと、ミスリードとして機能しないんで、とにかく面倒。その上、このタイプのシナリオは「話してばかり」になりがちなので、うまく進まないとストレッシブルになりやすい。あ、ストレッシブルはストレスを感じる状況を表す造語です。どうでもいいですね。

なので、発想を切り替えてカードを使うタイプのシナリオに変更したワケなのだけど、このタイプのシナリオについての詳しい話は次項にて。

■ギミック2

さて、twitterでもちょっと語ったのですが、カードを使うシナリオは、非常にミステリ型のシナリオと相性が良いのです。

と、言うのも、ミステリ……つまり、謎を解明していくタイプのシナリオは、GMが「これなら解るだろう」と用意したフックや、「××と話せば良いんだよ」的なフックを非常に高い確率でスルーされ、ならば、とちょっと難易度を下げて解りやすいヒントを置いておくと、今度は一切のミスリードなしに真相にたどり着いてしまったり……PLってのはまったく面倒な連中です。

カードを使用すると、「何を調べれば真相にたどり着くことができるか」が、一目瞭然なので、フックに気づきやすく、さらに言えば、ヒントの意味が良く分かっていなくても、迷うことなくサクサクと進めることができます。

さらに、カードという形でやるべきことが明示されていると、「カードに書かれていないことはできない」と無意識にストップがかかるので、脇道に逸れてしまうこともありません。これも前回使った「プレイヤー心理を使ったギミック」に当たるかも。今回は騙すためじゃなくて、制御するために利用してるワケですが。

ミスリード用のイベントを幾つか混ぜておいてもいいですな。成否がはっきりしているから、「これは外れか」とPCに理解させやすいし、外れの解決方法に固執して話が進まなくなることもないでしょう。

判定を自然に盛り込めるから、ゲーム感が高まるので、PLの興味を引くことも比較的スムーズなはず。

……と、いうわけで、カードを使うと「PLの指向をある程度制御できる」故に楽なのだね。特に、解決のための手順がそう多くはないミステリ型のシナリオには大変適しているというワケです。

ですが、 便利な反面、穴もある

カードを使った進行は、「作業」になる危険性があります。

PLが話や仕掛けをなーんも聞いていなくても、ひたすらダイスを振ったりカードをめくったりするだけで話が進んでしまうからです。

「カードに書かれていることをクリアすれば良い」は、「カードに書かれていないことはやらなくて良い」ととられてしまう可能性もあります。PLが思考すること、対話することを放棄してダイスを振るだけのマシーンになってしまっては、TRPGとは言えません。

今回のシナリオでは途中に「要ロールプレイ」などの仕掛けを混ぜてますが、それでもPLの自由度が高いとは言えませんでした。

で、その逆は「自由度が高すぎてPLの動きをコントロールできない」→「話がしっちゃかめっちゃかになる」となって堂々巡りするわけですが。

ゲームちっくに進めれるシナリオと、自由度の高いシナリオ、どっちも良いとこ悪いところがあるので、どっちかばっかりやってたら飽きられるし、繰り返すうちに悪いところばかり目立ってくるもの。

何事もバランスで、適度に双方を入れ替えながらプレイしていくのが良いシナリオメイキングなーのです。

■カードシナリオの作り方

カードシナリオについての総括がやたら長くなってしまいましたが、ともあれ、カードを使ったシナリオの作り方についてちょっと語ってみましょう。

基本的には表に状況と挑戦可能な場所、判定内容を記載し、裏に判定成功時の結果と、次に開示されるカードを書き込んでいきます。

で、肝心の「どうやって差し込むイベントを決定するか」だが、これは大体泥縄式。ミッション開始時点で調査できそうな項目を適当に5個くらい考えておき、それぞれについて枝葉を伸ばしていきます。

最終的な解決に辿りつくルートは1本でいいので、後のは本筋を補足(難易度を軽くする)類いか、途中で打ち切るなどして、全ての項目について枝葉を埋めきったら完成って感じ。

今回で言えば、本筋は「購入者の調査」で、「フルヤノブヒコ(会う)」→「フルヤノブヒコ'(値段交渉)」の3つをクリアすれば任務完了。

ちょっと少なく見えますが、カードが並んでいるととりあえず全部めくりたくなるのがゲーマー心理なので、「正答ルートだけ通ってあっさりクリア」という展開はそんなに心配ないでしょう。

もし、どうしても心配なら、正答ルートの難易度を高めにして後回しにしよう、と思わせるのが得策。正答以外のルートに何らかのボーナス(後の判定が楽になる、予定外の報酬をget、最後の戦闘で支援が入る、など)が入るようにしておくとよいでしょう。

今回は「フルヤノブヒコ'(値段交渉)」をすっげー難しくして、他のイベントをこなして難易度を下げる、というギミックも仕込んであるので、案の定全部のイベントをめくってくれました。

……まあ、まさかここでリソース全部突っ込んで買い取り金0まで持っていかれるとは思いませんでしたが。あそこはもちょっと難易度高い方が緊張感が出たかもなー。

■先読みされちゃったらどうしよう?

と、ゆーわけでプレイ中の進行は掌の上って感じ。

PLを完全に制御しているのでほとんどの事態は予測済み。

……なのですが、一点、予想していても対応しきれないのが「シナリオの先読み」をされちゃったときにどうするかってこと。

先読みとネタバレはGMにとってけっこー頭の痛い問題で、意外性がキモ、という今回のようなシナリオでは致命傷になりえます。

リプレイでは、ほぼ正解に辿りついていた零のPLが空気を読んで最後までぶっちゃけずにいてくれたので、さほど滞りなく進みましたが、これ、ぶっちゃけられていたら結構しょんぼりな展開になっていたかもしれません。

でも、察しの良いプレイヤーには読まれるときは読まれるので、コアなネタは最後まで隠し通さなければいけない。

GMが鋼の心を持って「何のことやら」と最後まで言い続けることができれば良いのですが、そううまくいくとは限らないので、幾つか対応策を事前に考えておくべきだったなあ、と、終わってみてから省みたりするわけです。

とりとめない感じになってきましたが、先読みされたとき用アイディアその1。

敢えてPCにバラす。「シノビガミ」の秘密のよーに、誰か一人、カンの良さそうなプレイヤーに「実はフロノさんは宇宙人で、琥珀は彼らの卵である。無用の混乱を避けるため、この情報は事件が無事解決するまで他のPCに明かしてはならない」とでも書いたカードを渡しておけば、他のPCによる真相追及の負担をPCに分担させることができます。バラしちゃったときのペナルティも書き加えておくとなおよろし。

その2。解りやすいエサを用意しておく。

今回とったのはこっちの方法。「琥珀が割れて中から生物が出て来る」というネタ自体は割と予想しやすいネタなので、ここまでは予想される覚悟で進め、最後はあの脱力系自筆イラストでゲンナリさせる自信がありました。

なので、ある程度までバレるのは覚悟していたのですが、やっぱり結構顔や声に出ていたようで、その辺りも零のプレイヤーに見透かされていた模様。

その3。読まれた時用に別の真相を用意しておく方法。

これはほとんど力技とゆーかペテンとゆーか、って感じなんですが。それこそフロノ夫妻が真の黒幕、とゆーか、混乱の中で未熟なまま孵化したことに怒って強盗団もPCも皆殺しにせんとする、という展開(今適当に考えたので前半の行動と矛盾してるとかそーゆーツッコミはなしで><)も想定しておいても良かったかも知れない。想定してなかったけど。

んー……ぱっと思いつくままに書いてみましたが、まさにコレ! とゆー方法はありませんね。やっぱり心を鍛えて先読みされても平気の平左でいられるようになるのが望ましいのかしらん。

■終わりに

……てな感じで書き連ねてみたものの、やっぱり今回もとりとめのない感じですね。

なんとなくシナリオのキモの部分はちゃんと語れてると思うので、まあ良しってことにしときましょうか。

加●ヒロノリみたいなオモシロい発想法をしてなくてごめんなさい。