2018 総会特別講演 久保田絢女

2018年5月17日木曜 総会後

18:45~約1時間

特別講演

「ハンデがあっても輝ける世界 ―当事者が作業療法士になって気づいた輝きの源―」

武蔵野市地域療育相談室ハビット 久保田絢女

座長 加茂純子

略歴

静岡県沼津市出身。先天性難病の当事者であり、作業療法士。

海越しに富士山を望む自然豊かな地域で育ち、疾患によるハンデを持ちながらも地域の通常学級に在籍した。

2010年、聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部作業療法学専攻を卒業。卒業後、療育機関での勤務を経て、2012年より現職。現在は、発達の気になる子どもと保護者の地域生活をサポートする療育相談事業および計画相談事業に従事している。

2018年より聖隷クリストファー大学リハビリテーション科学研究科博士前期課程に在学。

講演内容

私は、先天性疾患を持って生まれ、主に視覚的なハンデがあります。しかし、幼少期はそれがハンデとはまったく感じていませんでした。何故なら、自分にとって、その状態が当たり前でしたから…。他者とは出来ることが少し違うのかもしれない、そう気づいたのは、ある程度大きくなってからでした。

親や馴染みの同級生に守られて過ごし、ハンデが顕在化することが少なかった幼少期。その後、ライフステージの変化の中で自立していくに伴い、自らハンデに対応することが求められた時、“自分の状態像がわからない”という壁に直面しました。また、ハンデの捉えられ方次第で活動参加が変化し、自己肯定感も変化しました。

当事者として育ち、作業療法士になって、臨床で発達の気になるこどもの相談に携わる現在、自分の過去を振り返って気づくことが多々あります。通院時に「頑張っているね」と声をかけてくれる医療スタッフは、ほっとする存在でした。今思えば、それは、環境に適応しようと必死だった私を臨床像から客観的に捉え、認めてくれる存在だったのではないかと思います。

こども自身は何がハンデとなり何を感じて何を必要としたか、保護者の葛藤や対応、作業療法士やこどもに関わる職種として出来ることは何か。ライフステージ、環境、地域性、役割、診断と障害受容、自己肯定感など様々な側面から、当事者および作業療法士としての経験から感じ考えたことを、こどもを輝かせるためのエッセンスとしてお伝えできればと思います。

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