阿部慎之介、礼賛! (2002.9.25)


 実は“日本の野球”を見なくなって早二年。だから《語る資格》ナシなんですけどね。(といってメジャーもたったの二年ですから、これも語る資格なしです)


 松井の“巨人のユニフォーム”も最後かと思って、このところ食事の時にチラリと見るくらいはしていましたが。


 そしたら《阿部慎之介》が更にスゴイことになってるんで驚きました。


 実は昨年、まだ“巨人ファンをやめていない知り合い”に阿部の凄さを語っていました。


 「左投手に対する左打者」というテーマでいうなら、今まで見た左打ちの打者の中で“ヨシノブ”選手が史上最強と思っていました。入団した頃は特に。


 ワタシも、ほんの“微かな”体験からですが、左打ちなので「(左打者にとって)左投手がいかに打ち難いか」というのは“実感”として分かります。(ワタシは“スイッチ・ヒッター”でもあるので右打者の感覚も分かります。「右 対 右」は何でもないのに「左 対 左」はナゼかムズカシイのです)


 これは単に《慣れの問題》である、とされていますが、“身体的”な問題も根源的にあるのではないでしょうか。


 いくら「左投手は苦ではない」と発言する選手でも、投球の“瞬間”にはちょっと“後ろに動く(腰が引ける)”(ような気配がある)んですよね。(目に見えるというものではないですよ。“感じる”という次元です)


 ところが入団当時の高橋選手は逆に“前に”動くような気配すら感じました。《天才》だなぁ、と思わずにはいられませんでした。(ただ、とにかくヨシノブには各球団が“ぶつけて”くるので段々腰が引けて行きました)


 「左打者 対 左投手」


 昨今では“清水選手”。使われませんでしたねぇ・・・。王選手も左投手では随分苦労しました。松井選手も《プロの第一球》石井一の変化球に腰を引きました。


 これは“メジャー”でも同じで、異常に拘っている監督もいるようです。(全く無視している人は、さすがにいないと思います)


 ということで「左 対 左」は、洋の東西を問わず“永遠の課題”であるワケです。


 例えばボンズ選手。この人の打撃は全く“左投手”を苦にしませんが見事なのは《中心線が微動だにしない》んですね。


 と、ここまでが“阿部の前振り”です。(笑)


 この“中心線がブレない”。これを昨年、知り合いに語っていたことでした。(因みにその“知り合い”は、「阿部を甘く見ちゃダメよ。コワイよ」とコトが起きる前に発言し、今年はかなり“予言”を当てたらしいですよ。(笑))


 阿部の“キャッチャー”としての成長が語られています。しかし、この選手をファーストとか外野手にして“打撃に専念”させたらもっともっと凄い成績を残すでしょうね。《三冠王》も狙える打者ではないでしょうか。(現実的にはホームラン王がキビシイですね。野村さんが三冠王を取った頃のホームラン数だったらイケそうですけど、昨今は本数が異常に伸びましたからねぇ)(ただ“キャッチャー”というポジション故の配球のヨミというのもありますから、守備位置うんぬんは単純には語れませんが)


 ヨシノブや清原のケガによる戦線離脱で“やむなく”《三番》を打ったように見られている阿部ですが、どうしてどうして。確かに起用した原監督&首脳陣の“慧眼”を賞賛すべきでしょうが、もともと三番、あるいは《四番》を打たせてもいいだけの選手なんです。(“重み”のあるバッティングをしますよね、彼は。しかも“確実性”もあります。アウトになった打撃も、巨人選手の中では一番“意味性”を持っている打撃をします)


 彼がカシコイのは、キャッチャーとしてのスタミナ配分を考慮して、どうでもいいような打席では(敢えて)打たないですね。だから“率”は上がらない。(それでも3割をキープしているというのは物凄いことです)


 それと、三番になってから“打ち出した”というのは、それまで“高名な”諸先輩方に《遠慮》してたんでしょうね。清原・江藤らのベテランがいなくなって、阿部を“リーダー”とした時にはもっと彼の成績は上がるでしょう。(“強気”の男ですから、地位を与えてやるともっと働きます)


 しかし今の《巨人打線》は史上最強のラインナップですね。


(一)清水

(二)二岡

(三)高橋由

(四)松井

(五)清原

(六)阿部

(七)江藤(元木)

(八)仁志

(九)桑田


 これが史上“最強”であるのは、それまでのキャッチャーは山倉、その前は森・藤尾(広田・吉原(笑))、彼らよりも阿部が“圧倒的に”打撃が上だからです。それだけでも“史上最強”です。


 (但し、“打線”というのは、名前の羅列ではなく《有機的な繋がり》が効力を発揮するものです。作家陣の“名前”を並べてもヒット・アルバムにはならないケースがこれに似ています。今の巨人打線の“有機パーセンテージ”は60%ぐらいでしょうか。昨今ではいい方です)


 来年は多分“松井”が抜けるでしょうから、この史上最強の打線も今年で見納めですね。