日本ハム、来季外国人監督招へいへ (2002.10.1)
日本ハムが来季新監督として、元ヤンキース3A監督で現在はレンジャーズの育成部長を務めるトレイ・ヒルマン氏(39)招へいを決めた。30日、東京・六本木の球団事務所で役員会を行い決定したもので、補佐役としてゲーリー・デンボ元ヤンキース打撃コーチ(41)も招へいする。ともに2年契約になる見込みで04年度札幌移転に向け、メジャースタイルを導入して心機一転を図る。 日本ハムが大リーグの名門、ヤンキースの頭脳を注入して再起を図る。ヒルマン氏は、日本ハムが今年6月まで業務提携してきたヤンキースに13年間在籍し、主にマイナーで手腕を発揮した。傘下の3Aコロンバスで監督を務め、99年にリーグ優勝を成し遂げた。最優秀監督賞に選ばれるなどし、その選手育成の実績を買われた。
小嶋武士球団社長兼オーナー代行は「彼とは懇意です。過去に派遣したフロント、コーチ、選手連中はみんな知っています」と話した。04年度の札幌移転を控え、チームを改革するためにはメジャースタイルの導入が必要と判断。まだ39歳とフレッシュな人材でもあり、白羽の矢を立てた。
ヒルマン氏は参謀役として、旧知のデンボ氏をスタッフに加えたい意向。また、ヤンキース留学時代に知り合った白井一幸2軍監督(41)を1軍に呼ぶ見込みだ。95年ロッテを指揮したバレンタイン監督(現メッツ監督)は、コミュニケーション不足からの周囲との確執が表面化したが、メジャー式に理解力のあるスタッフを配置すれば円滑なチーム運営を図れると判断した。白井2軍監督とともに、田中幸雄2軍投手コーチ(43)の昇格も濃厚で、現体制は大幅に刷新されることになった。
日本ハムは今夏、本社の牛肉偽装隠ぺい問題が発覚。消費者の信頼を著しく損ない、生命線でもある企業イメージが失墜し、株価も大幅下落した。大社義規会長(前球団オーナー)が退任に追い込まれるなど危機的状況を迎える中、広告塔的役割を担う球団のイメージ回復は急務だ。また、チームの低迷が続くようだと、札幌移転への盛り上がりも欠く。少しでも早く新体制で出直すために、思い切った選択を行った。
◆トレイ・ヒルマン 1963年1月4日、テキサス州生まれ。テキサス大アーリントン校から84年インディアンス入り。87年までマイナーで4年間プレーし、88年イ軍スカウトに。89年ヤンキース傘下1Aコーチ、翌90年から12年間にわたってヤ軍傘下1A、2A、3Aの監督を務めた。01年11月、レンジャーズ選手育成部長に就任。
◆ゲーリー・デンボ 1960年12月9日、インディアナ州生まれ。83年ドラフト17巡目でレッズ入り。4年間のファーム生活の後、86年レッズのファームコーチに就任。89年1A監督。90年、ヤンキース傘下1A監督。91年から3Aコーチ、巡回コーチなど歴任。00年選手育成部長補佐、01年にヤ軍打撃コーチに就任。しかし、ワールドシリーズの打撃不振から解任され、現在、カブススカウト。
「新監督就任の場合、“予想外”な場合と“予想通り”の場合がある」と(アタリマエのことを)前に書きましたが、日ハムは“意外”でしたねぇ。(“きよし”は外れました)
ニッサン、ですかね。この手法。(笑)
“二世”ならカイザー田中、ウオリー与那嶺。ガイジンならブレイザー(ブラッシンゲーム)の前例。
以上はOBでしたが“広島・ルーツ”の時は驚きましたね。翌年は優勝しましたけどね、古葉新監督で。ただバレンタインもそうですが、ガイジン監督・コーチの場合は途中帰国とか、なんか問題点が残るケースが多いようですね、今までは。
今回はフロントやコーチ陣とは顔見知りということのようですが。
今年、突然“ヨミウリ”が《ヤンキースとの提携》を言い出して周囲を驚かせました。「“松井対策”だろう」、と書かれていますね。
実はその“ヤンキースとの提携”をこの日ハムが(今まで)やっていたんですね。そういう歴史・背景があってのこの人事のようです。
以前スポーツ・ニュースで元日ハムの白井さんがメジャーの(ヤンキースでしたかね)3Aだったか2Aだったか、臨時コーチのようなことをしているのを見たことがありました。要するに“そういうこと”だったんですね。
ということは、二年後の《白井監督》を見据えていて今まで“こういうこと”をしてきて、今回もその流れである、ということなんでしょうか。
どちらにしても、そろそろ“メジャー流”が浸透し始めていますね、日本球界。カブレラの55号。松井・福留の争いなど、去年までとは、明らかに“違い”ますね。どうして“こう”なったんでしょう。青田昇さんが御存命なら怒っていたと思いますよ。“三冠王”なんて一生に一回巡って来るか来ないかのビッグ・タイトルなんだ!タイトルは選手の勲章だ!例え相手へのミエミエの四球でも、チームメイトが取らしてやろうという気になるのはアタリマエや!敬遠合戦は当然だ!と、生前、御発言なされておられました。さぞかし草葉のかげでご立腹なされているでしょうね、この現状を(笑)。
話し変って、今年のシアトルの後半戦は低調でしたね。ニッポン放送は現地に“特派員”を送って連日生のレポートを放送していますが、後半に派遣されたのは栗村智アナ。あの“メジャー通”の彼があまりの残塁の多さに「野村克也を呼んで来たい!」と何度叫んだことか。(笑)
確かに今年のマリナーズの残塁は半端じゃなかったです。でもその“同じ”チームが昨年《114勝》というメジャーのタイ記録を作ったのです。選手の多少の変動はありましたが首脳陣は一切変っていません。
ではなぜ栗村さんは連日“ぼやかなければならなかったか”。(笑)
今年はね、“調子悪かった”んですよ。いや、これ、マジ。(だから勝てなかった)
西武・伊原監督も東スポ紙で「メジャーは大味。レベルも大差ない。イチローの首位打者は予言していた」と語っています。(選手のメジャーへの流出を防ごうという意図も加味しての発言と推察されます)
日本に於る《メジャー批判》の内容は大体こんなものです。“進塁打”のなさが「工夫のなさ」と栗村さんに見えたのも当然です。(ワタシだってそう思わないことはないのです)
がしかし!去年はね、みんな自然にやっていたんですよ!(だから“勝った”)「へぇ、メジャーでもチーム・バッティングをやってるんだぁ」と何度も思いました。送りバントも結構ありました。去年は“やっていた”のに、今年は“やらなかった”。
いや。正確には「去年は“成功”した」が「今年は“失敗”した」というべきでしょう。今年も試みはなされていたんですよ。それがことごとく失敗した。(故に今年はピネラ監督がグランドで暴れて退場になることが多かった。指令通りに選手が“動かない”のではなく、結果が“失敗”に終ったフラストレーションです)
今年は他の2チームが勝ち過ぎました。A’sの20連勝なんて、誰が予想したでしょう。勝負事は自分よりも相手に上回られたら“負け”です。シアトルの今年の《93勝》という数字は中部地区(ツインズ)なら“優勝”している勝ち星ですから、それだけ西地区が“激戦”だったということで、これを「メジャーの作戦が・・・」というのは飛躍のし過ぎですね。応援するあまりの“愚痴”としては分かりますが。
話しは戻って“日ハム”。元は《東映フライヤーズ》。そのチームを日本一にしたのは“水原茂”さん。
水原さんが巨人時代、優勝土産のアメリカ旅行で当時の“ヤンキース監督・ステンゲル”の野球を見て影響を受けてさっそく取り入れたのが《ヒット・エンド・ラン》である、と『自伝』にありました。
55年にそのステンゲルが率いるヤンキースが親善試合で来日。(メンバーにはビリー・マーチン、ヨギ・ベラ、ミッキー・マントル、ドン・ラーセン等)帰国後の各新聞には『ヤンキースが日本に残したもの』という特集を組み、そこに書かれてあったのは「インサイドワーク」「投手起用法」、でした。
日本“のみ”のお家芸のように“喧伝”されている《インサイド・ワーク》も、そして送りバントもバントシフトも(ピックオフ・プレー)、更にヒット・エンド・ラン、あるいはクローザー投手、セットアップ投手。全てメジャーがお手本です。
あるいは伊原監督“お得意”の《クセ盗み》も、メジャーでも得意な監督・コーチはいるそうです。一時期《サイン盗み》も横行して、「みんなでやめようではないか」ということで現在は落ちついているそうです。(でも、中には“やっている”ところもあるそうです。クセやサインの盗みは、元カージナルスのブラッシンゲームの得意ワザで、野村さんはそれを勉強した、ということも聞いたことがあります。また元阪急のスペンサーもクセ盗みの技術は凄かったとも聞きました。コトの真偽は定かではありませんが、どちらにしてもこと“野球”に関してはアメリカは《先進国》ですから、全ては“ある”し“あった”のです)
日本“独自”のもの、と、いわれているものがの果たして《独自》なのかどうか、は検証してみる必要があるでしょうね。どうも強い“思い込み”があるように思います。(別に日本にはオリジナリティーがない、などと言っているのではないですよ。野球に関しては歴史の“差”があることは忘れてはならない、と)
殆ど『“演歌”は日本人の心だ』に似てますね。クラシックのメロディーであったり、海外小説からヒントを得た歌詞もありますし、アレンジはジャズです。それを加味して、諸々と混ぜて発展して来た。《日本野球》も“同じ”ではないですか。
ただ日本にも諸事情があって今のようなかたちになっているのと同じように、MLBもその時その時で“いろいろ”あったんですよ。NBAが出来たりNFLが出来たり。客がそちらに取られるわけです。どうしても“対抗策”を取らざるを得ない。その結果が《現在のスタイル》となっているのです。
その歴史も知らずして“今の”(しかも日本から見て“劣る”と思われる点、例えば細かいサイハイ等、だけを取り上げて)メジャーは大したことない、と断じるのは「鬼畜米英、何するものぞ!」の頃と同じ見方です。
マクガイヤー・ソーサーの“ホームラン競争”の時代が象徴したように《大型化》の方向はMLBが一時期目指したものでした。(今でもその流れは基本線としてあります)しかし、イチローの登場で《小型化》への再評価も生まれた。勝っているチームを見れば分かりますが、しっかりと進塁打を決めてますし、(日本型、と日本で言われている)野球をしているチームもあります。(一部を見て“全体”とするのは愚であると『群盲象』の例えが教えています)
私も“全部”を見ているわけではないのですが、この二年間で受けた印象としては、“送りバント”が増えていること。それから“縦の大きな変化球”も増えている印象を受けます。そして《敬遠》も増えているそうです。(イチローがグリフィーjrの敬遠記録を破ったというのも凄いハナシです。一番打者ですからね)ボンズなどは、日本野球のお得意と思われている、無死走者ナシでも敬遠されたそうです。(メジャーにも、明徳監督のような人はいるようです(笑))
これは「メジャーが日本から“学んだ”(笑)」のではなく試行錯誤を常に行なっている結果ですね。歴史も長いですが、チーム数も多いし、試合数も多い。そして《プレーオフ制度》ですからね。日本とメジャーとの“違い”を語る上でここれは“大きな”ポイントです。日本がこの制度を取り入れたら(そうするにはチーム数が少な過ぎますが)間違いなく野球の“質”は変ります。
どうしても日本の場合はトーナメント的な“勝負に拘る”戦法を取らざるを得ない。(よって細かくなる。ワタシは日本の野球もその“現状”に応じてこうなっているので、例えばガイジンさんが「日本野球のここがヘンだ」とかいう“言いがかり”にはハラが立ちます。よーく日本野球の歴史を調べてものを言え!とね。お互いさま、ではありますけど)
メジャーでは“プレーオフ”がありますから、最低でもワイルド・カードに入っていればいい。となると必然的に“長期戦略”を取ることになります。
みな、“各々・それぞれ”の理由があって、こうなっているんです。(その《中味・理由》の吟味なしに、現象面・表面だけを捉えてのアーダコーダは時間のムダです)
ということで。この日ハムの今回の“決断”がどのような結果になるのか。非常に注目しております。(そして札幌に移転した後、サッカーのような“地元意識”が生まれるのかどうか。あるいはそれをどう作って行くのか。ロッテ仙台のようなケースに終らないように願っております。蛇足ですがベガルタ仙台は定着してますね。地元のお寿司屋さんに入った時に、その定着度を“実感”しました。ただぼんやりと旅行しているワケじゃないですからね、アタクシ(笑))
P.S.
でも、ここまで来ると、LFの栗村アナではありませんが、そろそろ《日本監督》も輸出する時期ではないでしょうか。
となると、どう考えても(日本の現状から)“野村克也”。彼しかいないでしょう!ムスコさんもメジャーの代理人をしていますし。
メジャーの監督になって、ワールドシリーズを制覇して、そして「メジャーの“ここ”がアカンのや!日本野球はここが優秀なんだ!」と言ってください。(野村さんじゃなくても森さんでもいいです。誰かやってください。もう“遠吠え”を聞くのは飽きました。“実証例”を作ってください)(でもね、「選手がサッパリ言うことをきかんのヤ」って、帰ってきそうな気がしますけどね・・・)