巨人・原監督が西武・伊原監督をけん制 (2002.10.25)
巨人の原監督は24日、セ・パ両リーグで規定の異なる三塁コーチスボックスから選手への声の伝達について、日本シリーズでの見解を確認するよう審判団に求めた。西武・伊原監督がシリーズで三塁ボックスから声でサインを送ると一部で伝えられたことに対し、けん制した形。セではベースコーチに関する声の規定はないため
既に始ってますねぇ。各マスコミはいつものことで“定番”の《監督》を取り上げています。
よく言われているのが“百戦錬磨・策士”の伊原、コーチ経験はあるというものの新人の原。
そして一番取り上げられているのは伊原監督の《クセ盗み》。
いいよねぇ。投手や打者よりも監督の“クセ盗み”が一番の注目点になるところが・・・。
割合“地味め”に見える伊原さんが、“敢えて”《憎っくき!巨人軍》などと発言して盛り上げようとしていましたが、長嶋巨人の二年目、あの《加藤初》と一緒にライオンズから巨人に移籍していたんですね。(当時は連日のように後楽園に通っていましたが、全く記憶になくて、調べてみるとほんの数試合にしか出場していなかったようです)
「新人監督同士」なんて言われていますが実際は《大ベテラン 対 新人》の戦いです。こういう対決の場合、新人側が「負けてもともと」と臨まれるのが先輩側は一番困る。
既にマスコミがそのお先棒を担いでくれていますが、「伊原は策士。仕掛けて来るぞ!」と相手を畏怖させるのが先輩側の常套手段です。
これは長嶋巨人から《藤田巨人》になった81年、川上の参謀役だった“牧野コーチ”が復帰した時に似たようなことがありました。セ・リーグの各球団は策士・牧野を異常に恐れた。“V9参謀”としての名声は確固たるものになっていましたからね。三塁コーチスボックスで、アゴに手をやったり、後ろに組んだり、いろいろやったそうです。他チームは「何かやってくるぞ!」と警戒した。ところが牧野さんは殆どサインは出していなかった。「僕がなんかやると、相手が勝手に何かやると思ってくれてね、助かったよ」と笑って語っていました。
もちろん、これは全部をそのまま“鵜呑み”には出来ません。当然場面によってはサインは出していたはずですが、しかし相手チームが必要以上に警戒心を抱いたことは事実です。
今回の《巨人・西武》のシリーズ前の“舌戦”も似たようなところがあります。
ましてや巨人側のコーチは鈴木康と西岡。二人とも“伊原”コーチが西武で何をやってきたかを目の前で見ています。
《野茂ー清原》の対決見たさに西武球場に通いましたが、野茂の時に三塁コーチス・ボックスで大声を出している伊原コーチを見たことがあります。(近鉄ファンでしたからいつも三塁側に座っていましたからね)鈴木康・西岡の具申で原監督は上記のようなイチャモンをつけてみたんでしょう。(これとて、実効性うんぬんよりは、事前のジャブの意味合いでしょうけど)
ただ、このようなイチャモンは伊原監督側にとっては「しめしめ。くいついて来やがったナ」てなもんでしょう。
つまり、伊原作戦の最大の眼目は「無闇に恐れてもらいたい」。
このところの『ナイアガラ野球館』で取り上げている“松井の五敬遠”“ボンズ対策”の一番のテーマは、五敬遠の“是非”でもなく、「勝負 対 逃げ」でもありません。
《無闇に恐れる》
これが“どこ”から来るものなのか。なぜ“最初から”“全部を”敬遠する(逃げる)のか、ということなのです。
そして、それをした“後”、一体どのようになったのか。(だから小川勝さんの『松井五敬遠』のテーマが面白かったのです。あれは“その後”について取材されている。『NUMBER』で書かれたことはほんの一部で、実際はもっと面白い話が沢山あったようです。私は少し教えて頂きましたが)
事実、相手は“大きい”ものかもしれない。しかし、“闇雲に”恐れることは更にそのイメージを大きくします。実力“以上の”イメージを持ってしまうという、自分側のマイナス面に気づかない場合が多い。(“飛躍”ですけど、《北鮮》にも同じ事がいえます)
作新時代の“江川”の時もそうだった。そして松井の時も。“SUPER”なことが起こると、
《事前の過剰反応》
結構“得意業”じゃないですか、この国の。
Wシリーズの最後の結末は分かりませんが、エンジェルズ・ソーシア監督の《対ボンズ》の攻めは、基本的に敬遠、やむを得ないところでは勝負、という作戦です。
“SUPER”が今までにも沢山いたし、今もかなり“いる”というメジャーでは《SUPERへの対処法》というのが出来ているんですね。「ただ恐れおののく」というのではない。
ここで思い出した笑い話があります。(実際のハナシです)
「ネッシーが現れたらあなたはどうするか?」という質問を各国の人に聞いた。アメリカ人は「FBIに通報」とかいうのがあって、いかにも“らしい”と思ったのが「テレビ局に売る」。更に“らしい”と思ったのが「精神科医のところに行く」でした。(これは“ツクリ”かもしれませんが、秀逸ですね)
日本人で、本当に“こう”答えた人がいたんです。
「死んだふりをする」
これには笑いましたね。(クマかよ!by ミムラ)
(これ《五敬遠》ちゃいまっか)
かなりハナシが逸れました。
つまりですね、原監督は今回のシリーズは“勝つ”とか具体的な目標を持たず、相手は超ベテランなのだから《勉強しに行く》とした方がいいんですよ。先達の“てくにぃーく”を目の前で見せて頂く。“経験”では勝てないんですから同じ事で対抗しようとしないこと。
何をされても「なるほどねぇ」と感心していればいい。で、負けて「勉強になりました」とアタマを下げればいい。
原さんが、“虚心坦懐”に、本当に、心底!“こう”、思ったとしたら。
こっちの方が伊原さんはイヤなはずです。
(先に「相手のオカブを奪う」という戦法もないことはないですけどね。でも失敗に終ると全部が相手の“思うツボ”にはまってしまう危険性が大ですから、やはりここは虚心坦懐。スベテを“選手”に任せる!やるのは選手ですから“大きく”やりましょう!)