大滝詠一
A LONG VACATION
ナイアガラ 27AH1234
¥2700/歌詞つき
A1.君は天然色
2.Velvet Motel
3.カナリア諸島にて
4.Pap-pi-doo-bi-doo-ba物語
5.我が心のピンボール
B1.雨のウェンズデイ
2.スピーチバルーン
3.恋するカレン
4.Fun×4
5.さらばシベリア鉄道
大滝詠一
A LONG VACATION
ナイアガラ 27AH1234
¥2700/歌詞つき
A1.君は天然色
2.Velvet Motel
3.カナリア諸島にて
4.Pap-pi-doo-bi-doo-ba物語
5.我が心のピンボール
B1.雨のウェンズデイ
2.スピーチバルーン
3.恋するカレン
4.Fun×4
5.さらばシベリア鉄道
ミュージック・マガジン 1981年3月
その昔、フィル・スペクター「というスゴ腕のレコード・プロデューサーがいた。ビートルズ後期、ジョン・レノン、最近ではラモーンズなんかもプロデュースしているので、ご存じさんもいらっしゃると思うけど、今では“ロックン・ロール界伝説の人”。彼は、素晴らしいロックンロールを、自分のお気に入りスタッフを奴隷のようにコキ使いながら、いっぱい、いっぱい創った。彼の作りた音楽は故ジョン・レノンをはじめ多くの人に影響を与え、日本では大滝詠一の頭脳に深くくい込んだ。
さて大滝詠一の新作を聴いてこう思う。これは、大滝詠一にとって、はっぴいえんど以来はじめて、マジに作ったアルバムではなかろうか、と――。生来の内気な性格がそうさせるのか、いつも、いつも、質は高いのだけれど冗談っぽいレコードを作ってきちゃった大滝詠一。しかし今回、はっぴいえんど仲間である松本隆(作詞)と組んだことで、このLP、ビックリするほど良い出来になり、なんだか〈いま蘇る「12月の雨の日」「はいからはくち」〉という雰囲気ありあり。
ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンをはじめとして、いわゆるスペクター・サウンズをコピーしようと試みた、スペクター・フリークはとっても多いけれど、この大滝作品ほど、大胆に取り込んだ人、日本じゃはじめて、世界でも珍しい。
ロック・ビートがオーバー・エコーでぐちゃぐちゃにされ、一見無駄な銭の使い方をしてるのではないかと思わせるスペクター・サウンズ、それに80年代の味をパラパラふりかけ出来上ったのが、このアルバム。
メロディやアレンジのあちこち、「あっ、これ、どこかで聴いた曲だ。なんだっけ?!」と、古いロックン・ロール曲を想い出してみるのだけれど、なかなか想い出せない、昔っからのロック・ファンにとってはいらいらするレコードでもある。
「カナリア諸島にて」「我が心のピンボール」「シベリア鉄道」「君は天然色」「恋するカレン」など、メロディ・ライン、アレンジ美しく、60年代に素材を求めたとはいえ、サウンドは今までになく新鮮だ。
但し、「パッピドゥビドゥバ物語」「ファン×4(これは松本隆作詞だが)」は余り頂けない。大滝詠一は今後あくまでもメロディ・メイカーとして生きるべきで、詞作りは余技とすべきである、が結論。
細野晴臣、鈴木茂、松本隆と、超一流を生み出して釆たはっぴいえんど“最後の巨人”なんていうとオーバーだけど、いつも流行に乗り遅れちゃって、マイナーで終ってしまう大滝詠一の“ロング・ヴァケイション”もやっとあけ、そろそろ桜満開の春がやって来るのではないかしら、と思う、そんな彼の「ヤル気」がビンビン感じられるアルバムだ。
亀渕昭信