真如苑SeRV
八本俊之・米川敦史
真如苑SeRV
八本俊之・米川敦史
第40回 宗援連情報交換会 「能登半島地震支援活動の新たな展開」
3)八本俊之、米川敦史(真如苑SeRV)
八本:SeRVの活動のあり方は、社会福祉協議会や他団体と連携していくというスタイルを基本としている。熊本地震では、当苑の支部寺院駐車場を熊本市に提供し、災害ボランティアセンターのサテライトとして1ヶ月半ほど使用して頂いた。また、その運営サポートにSeRVとしても入った。
先般の西日本豪雨、昨年の秋田・久留米の水害などでもボランティアセンターの運営サポートに関わらせて頂いた。穴水町に我々の能登支部寺院があり、いまは職員の宿泊拠点とし、穴水町災害ボランティアセンターの運営ボラに継続で入らせて頂いている。そこに至るまでの状況を写真を中心にご報告をしながら進めていく。
1月は物資支援が中心の頃だった。金沢にある本部寺院の倉庫に物資を集め、穴水町・珠洲市・七尾市・輪島市の社会福祉協議会や活動団体へお届けしてまわっていた。1月の上旬に珠洲まで行って金沢に戻るのに7時間かかった。現在は、穴水の支部寺院を使うようになってきている。同じく水を届けたり、石川だけでなく富山の支部寺院からも信徒も一緒に加わって物資のお届けも実施してきた。
今回は新たな試みというか、金沢の拠点に物資を集めて、これまでの災害支援で知り合った活動団体にも発信した。ピースボート災害支援センター、レスキューストックヤード、シャンティ、大阪大学、生協などに、各々の活動の中に組み入れてご活用を頂いた。これは初動の段階で新しい経験だった。
2月に入って、職員と現地信徒が避難所で足湯をさせて頂いた。この足湯を通して、心のいろいろな思いを吐き出され、終了後に書き取りを行い、実際の適切な支援につなげていくという目的もある。レスキューストックヤードさんと協働しながらやってきた。
その他にも避難所から引っ越しのお手伝いや下着の提供などもさせて頂いた。本業の料理人が信徒の中にいらしたので、協力を頂いていくつかの避難所で炊き出しも実施した。義援金支援金も適宜まわらせて頂くなかで、行政や社協の方にお渡しをさせて頂いた。SeRVの担当者だけではなく、教団として教務長も足を運んで取り組ませて頂いた。
石川県のボランティアにも一般ボランティアとして登録し、金沢から出るので時間はかかるが週末だけだが信徒により参加を継続している。またJVOADからの要請で、穴水町を通して支部寺院にある駐車場を提供し、奥能登地方の訪問事業に拠点としてトレーラーハウスを設置しご活用を頂いた。
立川に本部のある真如苑の隣に青梅市があり、そこに真如苑が森林を所有している。そこで環境保全などに取り組んでおり、実地でベルデというNPOも運営している。東日本大震災でも実施したが、その青梅の杜で切ったヒノキで、1枚もののまな板をつくり、仮設住宅にお届けした。
私達の元々やっている森林ボランティアと、災害時の被災者皆様の生活につながりができたということは、実際に森林ボランティアとして関わっているメンバーが現地に行ったわけではないが、地元にいてできることもあるのだなとひとつの励みや気づきとなっている。
3月からは穴水町災害ボランティアセンターの運営支援で、現在のメインの活動となっている。3人から5人が常時滞在し、マッチングや電話受付・現地調査などにと組んできた。5月中旬からは週末金土日のボランティアに限定と変更となった。終了するという報道もあったようだが、実際には6月末まで継続していく。我々は木曜日から入り翌週月曜日に出るという形で取り組み始めている。他にも、珠洲市に軽トラで移動し、現地ボラセンで一般ボラとしての参加も継続してきた。仮設住宅集会でも足湯の取り組みなど、これからも継続をしていく予定。
カフェデモンクさんにも直接お会いしたようで、そうした現場の様子は米川から説明いたします。
今回4月末に島薗先生とご一緒させて頂き、珠洲市・穴水町への訪問の際に珠洲市社協の塩井事務局長にお話を頂く機会があった。「水に関して本管はほぼ全部来てるが、各戸につながる水道管の衛生面での確認とかが結局まだ10%しかできてない」と。今後本当に長期化していく中に、ますます細かいニーズ把握の必要が出てくると感じている。
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米川:穴水町災害ボランティアセンターに運営サポートとして入らせて頂いた経緯について。
穴水町社協には1月から物資支援や足湯ボランティアで出入りしていた。3月初旬にボラセン運営のお手伝いができないかと打診したことがあった。社協職員からは、「外部社協さんが応援に入って下さり今は間に合っている」との返答だった。その後にこれまでの災害でSeRVとご一緒した支援Pの方が、「ボランティアセンターは社協だけでなく、外部団体の協力を頂いた方がよい」と社協さんにアドバイスをくださり、今回の運営サポートに入らせて頂くことができた。
これまでの災害支援でもそうだが、真如苑、SeRVという宗教団体として、初めましてというところからお話をして、この中に入り込んでのご支援がなかなか難しいということもある。そうした時に、自治体・社協との地元での平時からの協力や、今回のようなかつての災害支援で協働したNPOや社協の方々の助言を頂くことも少なくなかった。
穴水町災害ボランティアセンターは、5月中旬からボランティア活動を金土日に集中する方向に移行している。6月末までの延長は決定しているが、住民にはまだ周知されていない。仮設住宅への引越しも完了し、片付けは終わった。いつか片付けないといけない、処理しなければならない。そうしたニーズが急に増えたりすることもある。
また個人ボラによるSNSの発信で社協の対応を批判し、それを見た社協職員と本人がボラセン内で出くわして少し議論になってしまったこともあった。急場の災害支援から長期的な復興支援に移行する今ちょうど過渡期にいま現場はあるのかと思う。
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島薗:私もプルートで穴水社協を訪問させて頂いた。他の宗教関係者でこうしたボランティアセンターの運営に携わる団体は。
八本:シャンティさんは門前でそうした動きをされているかと。
島薗:穴水ではレスキューストックヤードが常駐しており、その創始者は大谷派の栗田さん。宗教色はまったくなくされている。そこではかなり大きな役割を果たしているようでしたね。
以上