高橋伸実氏「震災後の天理教による継続支援~ボランティア団体「ひのきしん」の活動を通じて~」

宗教者災害支援連絡会第22回情報交換会

2015年1月12日(月・祝)15:00-18:30

東京大学仏教青年会ホールA・B

報告 高橋伸実氏(ボランティア団体「ひのきしん」代表)「震災後の天理教による継続支援~ボランティア団体「ひのきしん」の活動を通じて~」

金子昭世話人(天理大学)による紹介:

高橋氏:昭和53年宮城県生まれ。

宮城県沖地震(生後20日)、阪神淡路大震災(高校1年)を経験

平成23年 東日本大震災 大崎市で被災。

現在:天理教教会長(松山町分教会長))

以下、高橋氏の報告

・少年時代は他の家と違う事にコンプレックスを抱いていた。

・高校時代に天理の仲間を知る。

・阪神淡路大震災→「被災した友人宅に対し、何もできなかった」

→宮城に戻り、東日本大震災。近隣を一晩周り、教会へ戻る。

・震災翌日に石巻へ向かう。テレビもラジオもケータイも繋がらなかったため津波の状況が分からず。

街中が海で石巻になかなか入る事が出来なかった。→道に知り合いを見つけて車に乗せる「目の前で人が流されていく」という話を聞く

・内陸部のボランティアセンター立ち上げに関わり、震災から一週間後に石巻へ入る

・全てが泥だらけの街中。避難所は寒さの中での寝泊り。食べ物着るもの、布団の不足。一つのおにぎりを5人で食べる。柿の種の小袋を10人で分ける。毛布は三人に一枚

・ジャンパー、履物、着れるもの、下着等々、タンスにある衣類を被災者に渡す

・メールで学生時代の仲間に状況を送る→全国へメールが回り、物資が被災地へ届けられる

・集荷センターに物資が届く→ガソリンが無く規則で直送できない→高橋氏名義の荷物ばかり大量に届く→避難所の状況を伝える→内陸部で初めて直送されるように

一日にトラック3~4台分、メール転送で現地の状況を知った見ず知らずの人々から物資が届く。

・救援物資ではなく人々の「真心」を被災地へ運ばせていただく

10年ほど前〈ぼくのこころ〉120種類のチラシを書く→たくさんの繋がりへ

・「ひのきしん」とは:神様へのお礼の態度「させていただくもの」。

※「天理教災害救援ひのきしん隊(災救隊)」は1971年に発足。

(ボランティア団体「ひのきしん」活動写真のスライドショー:10分)

活動内容:

・物資提供、ゴミの片付け、お風呂設置、子どもたちとの遊び、鎮魂の雅楽演奏、写真洗浄、公民館でカラオケ大会、お正月にはお雑煮提供。

・「心と身体ぽかぽか大作戦」メッセージ付のカイロを提供

・バレンタインでのチョコレート提供、折り紙での雛人形・こいのぼり提供

・東松島市・大曲浜で青いこいのぼりプロジェクト

・仙台七夕まつりでの小学生の短冊メッセージ

・駐車場のライン引き、がれき撤去・花壇設置

・各活動後には祈りをささげる

(スライドショー:終)

・救援物資で届いた青いジャンパーを着ながら活動=「ご恩を着ながら被災地に動かしてもらっている」

ボランティアと現地の人々とを繋ぐ役割をする。

・市の給水制限(6L)→ひのきしんにより無制限に「いくらでもどうぞ」→市も制限解除へ→他の人の事を考慮した給水に。「よろこびの涙」

・被災地で祈りを捧げ続ける

宗教家であることが分かると家族が成仏したか、呪っていないか、おばけが見えると相談してくる人々。「こころの相談室」宗派を超えた相談

「祈り」=神に近づくという意味。各教会にて今でも祈りを捧げている

・たこやき交流会

阪神淡路大震災のころより続く。仮設住宅の中でたこ焼き器を囲み、みんなで作る。被災者同士で交流のきっかけになる。

女川ではたこは捕ってくるもの … たこ焼きの器具を置いていけば自分たちで交流できる

・復興支援の為のクラフトワーク:アロマキャンドル、おのくん、布ぞうり、タオル人形

・四つ葉のクローバーは傷付くことで4枚目が生まれる。

本当の幸せに気付けるための神様からのプレゼント

「絆」が神様の見たかったもの

・宗教者として人のこころに灯と潤いをもたらす

目に見えない種=やさしさという種を播くきっかけづくりをする

質疑応答

Q. 活動の場所が石巻、東松島から山元町へと展開した経緯について。

A. 要請を受けた所へ移動。協力者が増え、要請を受けた所に拠点を張り活動を続けてきたうちに輪が広がってきた。

Q. 天理教の教会長として。普段のお勤めと被災地への支援の同時進行はどのように行っているか?

A. 教会長になり4か月。教会長としての務めが全うできているわけではないが、チラシが天理教雑誌に掲載され、それを通じて物資や人が届けられるようになった。青年会を通じてボランティア(ひのきしん)に来る人が多い。教会長としてからは教会の務めを第一としつつ信者さんと励みたい。カラフルな布草履制作のために本部からシャツを何百と送ってもらっている。

Q. ひのきしんは全国各地にあるのか。見直しや議論している点は何か?

A. 地域でボランティアを作っている所もあればNPOを立ち上げている所もある。横(地域)の繋がりと縦(教会)の繋がり、それを超えた繋がりが東日本大震災で生まれた。一般の人々を巻き込んだ活動も行われている(WCRP「復興に向けた宗教者円卓会議」で島薗進・宗援連代表と会ったこと、立正佼成会からキャンドル提供があった等)。