真宗大谷派能登教区常福寺[石川県七尾市]副住職
畠山一心さん
真宗大谷派能登教区常福寺[石川県七尾市]副住職
畠山一心さん
第39回 第39回 宗援連情報交換会「能登半島地震における宗教者による支援活動の広がりと現状」
2)畠山一心さん(真宗大谷派能登教区常福寺[石川県七尾市]副住職)
1月1日16時10分、その少し前に弱い揺れがあった。それで安心して台所で家族と休んでいた。最初の揺れで終わりかと思っていたところに、2回目の揺れがあった。ものすごく強く長い。1分ほどだったが、体感ではもっともっと長く、もうすべてが潰れて終わってしまうのではないかと思うような物凄い地震だった。
それで大津波警報も出た。海抜が低いところに住んでいたので、家族みんなで避難した。2日は避難所に滞在し、日中は家で割れた食器などを片付けた。3日からは自宅に戻った。地盤沈下や雨漏りで使える部屋が減ってしまった。いま3ヵ月経過したが、年寄り2人は別に、若い家族は川の字で寝ている状態。
2日間の避難から戻り、すぐにでも奥能登に入り支援をしたいと友人に声をかけた。6日には、二本松の大谷派チームが輪島で炊き出しをしていると聞いて、1600食分の材料を積んで輪島に向かった。七尾から車で5時間かかった。
朝市はもう住宅は跡形もなく残ったのは瓦や車の骨やビルの鉄筋だけだった。ちょうどこの近くに家があっただろう場所に家族連れがその空地をぼーっと眺めているのを見ると何とも言えないような気持になった。その日の夜は公民館で福島の仲間たちと一緒に、そこに避難の100名ほどに炊き出しをさせて頂いた。数日後に東北の奥羽から仲間が来た。炊き出し道具をもってきてもらい、これで七尾市内の公民館で300食分の炊き出しができた。いまはいろんなところで炊き出しをしている。
1月中旬に鐘楼堂の解体を始めた。富山県高岡の青年商工会がボランティアで解体をしてくれた。鐘楼自体は何とか無事だった。築30年で前住職が住職になったときの最初の仕事だったと聞いている。今はすっきりとはしたが、元々あったものがなくなるのは悲しいことだ。
現在、災害支援北陸門徒ネットという任意団体が立ち上がり、炊き出しを中心に活動を行っている。途中、能登教区寺院の有志ボランティアの集まりから能登教区ボランティア委員会、また北陸門徒ネット七尾が設置された。
しかし、寺への支援は後回しになってしまっている。自分たちで何とかするしかない。自分たちで玄関の落ちた屋根を片付け、ブロック塀の解体や撤去も行った。活動の幅を広げながら、継続的に支援をしていければと思っている。
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御手洗:お寺も自宅も被災された直後から、大変な中にご住職が中心となり、これまで東日本大震災等でお互いに助け合ってきたネットワークを活かして1月5日から炊き出しを開始した。その活動も継続し、お寺の修復を進めて、ようやく今ここまでに至っている。そのご様子を報告して頂いた。
島薗:北陸門徒ネットの協力範囲は。
畠山:実動は限られた人数だが、東日本大震災の活動ネットワークを基盤に全国から支援に入っている。中心は大谷派だが、本願寺派の仲間もいる。そこは限定せずにやっている。
島薗:最近の様子ですが、外部からの支援はどのように見ているか。お寺の解体は一般ボランティア支援は入らず、自分たちでしなければならないということですが。家屋の方はどうでしょうか。
畠山:輪島・珠洲では、道路側に倒れているなど危険な家屋は公費で既に始まっている。
罹災証明も七尾市ではとんど出ており、公費解体は徐々に始まっていくのではないかと。奥能登でも少しずつ、でも十分にされているとは言いがたいと思う。
島薗:大変早くから本当に支援活動を続けておられる。敬意をもって聞かせて頂きました。
以上