シャンティ国際ボランティア会
(SVA)
茅野俊幸理事(副会長) 

第38回 宗援連情報交換会「能登半島地震における宗教者による災害支援」

シャンティ国際ボランティア会(SVA)茅野俊幸理事(副会長)

(門前町避難所よりZoomにて)

SVAは1月9日に七尾市での自主避難所の炊き出し・物資配布、珠洲市に移動し物資配布を行った。その後、輪島市から要請を受けて門前町に入り、曹洞宗総持寺祖院のある門前町で避難所運営にあたった

輪島市門前支所は多くの避難所と自主避難・在宅避難も含めた対応で大変混乱しており、SVAが門前町全体の炊き出し関係の調整を引き受けた。その後、門前町公民館が避難所となりその運営支援にも関わる。朝8時から避難所のトイレ掃除。1月はインフルエンザ、コロナに感染者も多く出たため、JMAT、DMAT、医療チームとも連携した。

いまでも断水が続いている。初期のころは30日ちかくお風呂に入れない方々が多くおられ、私たちは足湯を行った。また七浦(しつら)地区への入浴支援も行っている。近隣の自衛隊風呂へ1月29日から運行サービスを開始。災害対策本部近くある物資のストットクヤード、スーパーマーケットへの移動支援も行う。七浦という地域は高齢化率が72.5%。要支援、要介護、認知症の方々もおられる。自衛隊風呂に一緒にお風呂に入りながら、時には補助もさせて頂いている。「37日ぶりにお風呂に入った。お風呂に入れて本当にありがたい」という言葉を聞いたときに、この活動をやっててよかったと感じた。

炊き出しも、ボランティアが入っていないときは私たちが提供した。現在都立大学、今後は国士館大学・津田塾大学と学生さんを受け入れる。炊き出しの補助や入浴支援のサービス支援をお手伝い頂くことで、この活動を維持していきたい。

門前町には第三セクタで運営されたビューサンセットホテルが3月に閉館予定。そのキッチンをお借りし、避難所、自主避難の方に向けてセントラルキッチンを準備している。門前町の調理師の方々と一緒に運営し、炊き出しの弁当をパッキング配布することを検討している。

たちは、1月から門前町の商工会議所青年部のお世話になっている。ハブ機能である「禅の郷交流館事務局」では、震災前には職員であった女性も雇用。地元の方々にいろいろな知恵を頂く。顔の見える関係での寄り添いを今後とも続けていきたい。 私たち曹洞宗にとって総持寺祖院、福井永平寺羽咋永光寺(ようこうじ)とても重要である。観光振興としての「禅の郷構想」とともに「禅の振興普及」も進めていたところだった。宗教者の方々、私たち仏教の聖地でる総持寺祖院の復興に向けても協力を頂ければありがたい。

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島薗:茅野さん、曹洞宗青年会・全日本仏教青年会はそちらに支援本部を設けておりますか?

茅野:石川県の全日本仏教青年会が曹洞宗の災害対策本部となる。羽咋の永光寺にも拠点を置いている。SVAが各地での炊き出しをコーディネートを担当する。総持寺祖院は江戸時代の鬼瓦や大切な仏具も多くあり、文化庁のアドバイスも頂きながら、がれきの撤去に入っている。かなり時間がかかる修復となる。

三浦賢翁(東北臨床宗教師会):春休み中の学生受け入れで、活動内容と宿泊施設は?高齢者と一緒に入浴しての傾聴も行うか。

茅野:介助という枠になると学生さんには難しいかもしれない。要介護・介助者の入浴支援は特別な時間を設けて他団体と連携し進めている。セントラルキッチンに関しては、門前町地元の調理師と友好な関係もでき、中心になってやって頂いている。調理の経験があっても、炊き出しは大変な作業。いちどお弁当250食を私も二人でつくったことがある。朝4時に起きて、12時配食に間に合うように作った。学生ボランティアは配膳を担当する。区長さんが自治会に配る。住民の方々は1か月2ヶ月と経つと、様々な思いを吐露される。できれば足湯を継続し、傾聴・サロン活動で交流を通して被災された方々の声を聴くことで、あらたなニーズを掘り起こしていく。そのように段階的なことも考えている。