岩田鐵夫氏「福島原発事故による避難者の支援について」

宗教者災害支援連絡会第29回情報交換会

2017年4月2日(日)16:00-19:00

東京大学仏教青年会ホールA・B

報告

岩田鐵夫氏(きらきら星ネット代表)

「福島原発事故による避難者の支援について」

岩田氏の活動紹介

カトリック麹町教会(聖イグナチオ教会)

四谷おにぎり仲間

イグナチオ カレーの会

IMA緊急シェルター

虹の会

きらきら星ネット(東京周辺及び山形県に避難している母子の支援を主に実施)

等々さまざまな活動の中から本日はきらきら星ネットの活動をご紹介

福島の場合、津波の他に原発事故があったため混乱。被災に関しては、国が区分けをしたため、区域外避難者が出てしまった。避難した方、避難したいが事情により避難できない方、避難しないことを選択した方など、様々な立場の方への支援の大変さがある。

主に東京へ避難した方の経路

東京、山形、埼玉への避難が多い

東京の場合はまず親戚宅、つづいて避難所へと避難されていった

→一次避難所(味の素スタジアム・ビッグサイト・東京武道館)

→二次避難所(旧赤坂プリンスホテルに1,000人規模)

→夏頃には住宅(公務員住宅、都営アパート、民間借り上げ住宅)

当時東京都はボランティアをあまり受け入れない方針を持っていたので一次避難所では支援活動が難しかった。しかし、二次避難所となった赤坂プリンスは、教会近くにあったため支援活動を実施することができた。避難者は避難が長期になると思っていない方も多く、衣類もあまり持参していなかった様子。

いわき市の方は東京に避難している方が多く、郡山市辺りの方は山形への避難も多かった。

当時浪江町などは強制避難指示が出ており、津波のあった当時のまま残っている。

聖書の紹介(避難生活者をサポートする上で参照した)

マタイ福音書2章13節

ルカ福音書2章6節

2011東京避難者チャリティデイで実施した活動

・避難者の方々をお誘いし、5、6月頃から食事会、バザーを開催(品物寄付を集め、金券を渡して足りないものを取っていただく…買い物気分を味わって頂く)。

・夏休みには聖心女子大学のチアリーダーが演技を行い、子どもと遊んで過ごす。

・夏休み勉強ひろば(ホテルには子ども達が勉強するスペースがないので、教会に招いて夏休みの勉強のサポートをイグナチオ教会で始めた)。

・鎌倉への遠足(いわき市の方は、いつも見ていた海が見られないので、海にいくととても喜ばれた)なども実施。自主避難している方々は父親が福島で働いている方が多いため、父親役に男子大学生がくると子どもがとても喜んだ。

・白百合学園の母体となる女子修道院地下にて、夏休み勉強ひろばを開催。

・赤坂プリンスホテルから公営住宅に引っ越した際、東京都から洗濯機等は支給されたが、食卓や子どもの勉強机などは支給されなかった。ダンボールをひっくり返して、机としていた。その様子にショックを受け、教会で机を寄付。

2012年は熱川へ遠足。海やワニ園へ。

2013年横浜のアンパンマンミュージアムへ。

2013年夏から、長期のサマープログラム(保養)富士ふもとキャンプを実施。

※毎年継続しており、2017年も開催予定。

保養プログラム

・富士の裾野

・九州博多(3泊4日)

長期のプログラムでは交通費がかかるが、なるべく西でのプログラム開催希望が多い。

交通費は、きらきら星ネットが支え、滞在費を負担していただける教区を探して実施している。交通費はワインを販売して捻出している(きらきら星ネット&CLC被災地支援デスク企画)。

・平和交流プログラム(長崎)

東京でのチャリティデイ

・アロママッサージ

・チェルノブイリからゲストに話をしていただく

・支援してくれたイタリア人の神父様転任へのお礼(机等を買って下さった)

・原町ボランティアベースでの活動

・ピアノ教室

福島でピアノを習い東京ではその機会がない方に、ボランティアで先生を集めて実施

・クリスマス会(しらゆりクリスマス)

白百合学園の高校生が主体となって毎年運営

イベント開催時、聖心女子学園、大学などのから応援をいただいている

・おにぎりの日

おかずのお金をためて、きらきら星ネットに子ども達がメッセージ付きで送ってくれる

・反原発運動

3月17日、前橋判決では国と東電を訴えて勝訴した画期的な判決が出た

・街頭署名活動

住宅問題がとても重い課題となっている

一昨日で無償提供撤廃が言い渡された、街頭署名活動をして内閣府、福島、東京に提出

対立と分断を生む要素となり、帰還政策も出されたが行き場がなく残っている方もいる

・アロマリング

毎月の交流会で、先生の指導のもとに、来場者お互いにアロマでマッサージを実施

山形米沢での支援

カトリック教会の福者(聖人の前)が山形出身であったことから、促されるように支援へ。相談会、交流会、物資支援を実施

米沢は東京避難者に比べると父親が福島へ通っているケースが多い。また震災で避難してからの新生児が多く、おむつの提供が(おむつサポーター)が継続的に行われている

■現在の課題

・住宅問題

・いじめ問題(カトリック新聞参照)

・裁判

長く続く裁判。傍聴席を埋めることが支援になるので、多くの方に呼び掛けを実施

・個別のケア

状況が落ち着いていくと全体支援から個別の課題に移行。高齢者、身障者、就労できているかどうかの状況の違いなど。また子どものいじめも問題。いじめられている最中には言わないので、不登校に困り転校した子どもの中には、落ち着いてから、階段の上から落とされて放射能と言われた等のいじめを告白

不登校になる子は学力が追いついていかないので学習支援も必要

・分断と対立には「つながり」を

強制避難、区域外避難(自主避難)の二種類ある

強制避難地域の避難解除が行われても、帰らないと自主避難の方が増えていく現象

夫婦間や親子間の原発に関する考え方の違い

避難したくても経済的にできない場合

避難したが戻ってきた子どもが、いじめの対象となっている

避難者を支援する支援者が囲い込んでいるために帰れないと言われることもある

→自分たちに必ずできることは、「あきらめないこと」

■きらきら星ネットの女性スタッフ(クシハラさん)より

※島薗先生のツイッターをご覧になって急遽来場。岩田さんからご紹介。

「区域外避難者(自主的避難者)のことを知らない方がとても多いので、困っている方々のことを知って頂きたい。その方達こそ漂流して困っている」

---------------------------------

Q)さまざまな形でご支援を行っていることがよくわかりました。2011年当時からの活動は現在も継続しているということでよろしいでしょうか(蓑輪氏)

A)活動は続いている

---------------------------------

Q)キリスト者として支援をする理由を聖書に求めたきっかけは?支援する際の葛藤は?聖書にみつけたことで何か変化したことがあったか。キリスト者としての活動ということで外部の方との連携においての問題、スムーズにいった面があったか。避難者との関係において、信仰があるのが良かったかどうか(稲場氏)

A)聖書の箇所については後付け。元々釜石でのボランティアを行っていた。有明や東京武道館では東京都からボランティアを断られたので、教会近くの赤坂プリンスに避難者が来なければ支援活動はできなかったかもしれない。支えていくようにと促され、運命的に呼ばれている気がした。

活動においては、ミッションスクールの学生が応援してくれたのが大きかったと感じる。しかし6年経過すると若い学生が卒業し、関心のある若い人を集めるのが難しい現状。

また、尊敬する神父が以前語った「傷ついたものには傷ついたもののミッションがある」という言葉を心に刻んで活動している。私自身父親を自死で亡くしているため、それが原因で自死家族の集まりを行っている。5歳頃から母子家庭で過ごしてきたので、その体験が、父を福島において母子家庭で暮らす方々への支援の原動力になっている

---------------------------------

Q)先週からNHKで支援打ち切りについて報道されていた。避難している方の様々なニーズが出てくる中でどのように今後支援を行われるのか(石田氏・浄土宗総合研究所)

A)打ち切りを機会に帰った方も残った方もいる。それぞれの選択を尊重しようと思っている。残った方の大変さもある。今後日頃の付き合いはできなくても、サマープログラムには福島に帰った方にも参加して頂きたい。機会があれば、こちらから会いに行って交流を深め、さまざまな方を支援したい。5月5日には、避難者の今を伝える予定(チラシ参照)。イグナチオ教会にてドキュメンタリー完成披露試写会、報告展示等を行う

---------------------------------

Q)一緒に活動するコアメンバーの人数、キャンプにくる人数の変化等について教えていただきたい(鈴木氏・GLA)

A)コアメンバーは10名程度、教会が違う方もいる。コアの若いメンバーは卒業して就職してしまい補充が難しい状況がある。キャンプに来る方の人数は、福島に帰った方もいるため、減少している

---------------------------------

Q)他の支援グループとの連携があるかどうか(島薗氏)

A)東京教区の下部組織、カトリック東京ボランティアセンター(CTVC)

公のボランティアセンターとは共働している。聖公会の支援グループとは一緒にイベントも実施。東京タワー下の教会では3回ほどイベントを実施している

Q)他宗教との連携は?

A)存じ上げない

---------------------------------