カリタスジャパン担当司教[新潟教区]
成井大介さん

第39回 宗援連情報交換会「能登半島地震における宗教者による支援活動の広がりと現状」

1)成井大介さん(カリタスジャパン担当司教、新潟教区)

教会は地域に存在し、その共同体に属している。災害に直面するとき、地域の人々もカトリック教徒も共に被災する。一緒に泣き悲しんで、怒りもがいて、立ち上がっていく。そして震災の爪痕がだんだん消えていったあとも、地域で一緒に生きていく。

それを柱としながら、他の地域からも支援に入る。その際にも外部団体が主体ではなく、地元の被災教区・被災した教会が中心となって活動を進める。これが私たちの取り組む姿勢となっている。

能登半島地震で被災した石川富山は、愛知岐阜福井とともに名古屋教区に属する。それに関連して、カトリック中央協議会が東京に復興支援室として事務所を設置している。復興支援室には災害発生時に現地入りする緊急対応サポートチームがあり、東日本大震災でも活動した7名で構成されている。同じくカトリック中央協議会に設置されるカリタスジャパンが募金受付の窓口となる。専門的な経験をもったスタッフが現地のサポートを行う。

1月7日に被災教区である名古屋教区と緊急対応サポートチーム、カリタスジャパンの合同視察を行った。20日に金沢市に設置したサポートセンターでは、活動の計画・実施・調整や自治体との連携、「募金を送りたい」「ボランティアをしたい」等の様々な問い合わせ対応、ブログ・Facebookによる情報発信などを2〜3人が常駐し行っている。

羽咋教会を活用しボランティアベースを立ち上げた。金沢から45分の距離で、ちょうど七尾にいく中間地点に位置し交通の便がよい。カトリック七尾教会司祭館と、隣接の幼稚園で使用していない建物をお借りしてボランティアベースとした(ここでボランティアが宿泊する)。

断水の影響を受けなかったので、水は使用することができた。七尾では断水が長く続き、水を汲こともできなかったので羽咋から水を汲んで、軽トラで七尾まで運んだ。また、七尾市では自力で水のタンクをご自宅まで運ぶことができないご高齢の方が多くおられる。幼稚園や様々な伝手を通じてチラシを配り、お電話を頂いて、生活用水と飲料水をお届けする支援をおこなった。

七尾市社会福祉協議会ががれきの運搬ボランティアを受け付けている。一般ボランティアは県に申込登録をして、金沢からピストンバスでの活動となるが、七尾市の在住者は直接にボランティア活動ができる。私達は七尾に寝泊まりしてるため、社協公認で連日の運転ボランティアを行っている。

活動について

(1)七尾・輪島の幼稚園支援

我々が最初におこなった支援。水、物資の提供。安全対策。震災直後、親は片付けと子どもの世話を両立させることが難しい。子どもを安心して預けることができることで、各家庭が復旧にむけて働くことが可能となり非常に大きな助けとなった。

(2)コミュニティー支援

毎週日曜日にはじんのび食堂(炊き出し)を幼稚園の前で行っている。近隣の信者さんたちが協力して実施。

(3)社会心理的支援

毎月1日の「ついたちの祈り ついとうの祈り」

屋外活動で、誰でも参加可能。幼稚園、近所の子供たちも参加できる。真ん中に茶色い箱があり、ポストにしている。災害時には自分の思いを人に伝えることが難しい。悲しい気持ち、怒りを他人にぶつけることがなかなかできない。大人も子供も、「いま感じているが言えないこと」をお手紙に書いて入れる。

(4)水支援

飲料水と生活用水支援は今も継続(七尾・輪島)。

(5)社会福祉協議会ボランティア

がれきの仮置き場までの運搬

これからの展望

輪島における水支援の開始。輪島の仮設住宅における活動準備。他団体との連携模索など。仮設住宅の運用が始まれば、人々が支え合える関係づくりが大切になると思う。

以上