栗田暢之氏「災害支援における市民活動と宗教者・宗教団体との連携に向けて」

宗教者災害支援連絡会5周年シンポジウム「宗教者の実践とその協働」

2016年6月19日(日)14:00-17:40

東京大学情報学環・福武ホール ラーニングシアター

報告2

栗田暢之氏

(東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)代表世話人、NPO法人レスキューストックヤード代表理事)

「災害支援における市民活動と宗教者・宗教団体との連携に向けて」

阪神淡路大震災では、大学事務局に勤めていた私は、のべ1500人の学生ボランティアに大学側の窓口として活動した2ヶ月間で大きな学びを得た。

被災地に関われば関わるほど課題が深刻化する。その課題の探求。

また東海地区の来るべき災害にむけて対策等さまざまな役割を自分に課し、

2000年東海豪雨を経て、大学を辞めNPO法人レスキューストックヤードを設立。

NPOの立場で21年災害ボランティア市民セクターとして携わった。

熊本地震。震度7の地震が2回はありえず、支援者が現場にすぐにいくことに課題。

全壊でも支給は80万のみ。これでは再建ができない。

ブルーシートをかけ、家の応急処置。ボランティアセンターに頼んでも危険な作業。

業者、瓦をなおすのに五年待ち。

これから梅雨・台風の季節が本格化。だが行政ほとんど対策とれていない。

避難所においても、障害者・高齢者など要援護者にも対応しきれない現状。

自分たちに何ができるか?をもう少し皆んなで考えなければならないのではないか。

JVOAD(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク)―ネットワークオブネットワーク。災害救援に関わるNPOは多く存在するが、ではどこでどういう団体がどんな活動をやっているかを俯瞰する情報はほとんどない。

東日本大震災ではJCNを設立しそこに取り組んだが、後からできた組織では難しかった。そこに報告する義務がないから、すべて自分たちで調査しなければならない。

被災地域で漏れや抜けがないように連携が必要。

避難所の対応は行政が行うと災害救助法で定められるが、益城町長からもボランティア・NPOへ依頼が電話・文書で幾度と頂いた。

行政だけではやりきれないのはあきらかで、この状況の深刻さをこの熊本地震で学んだ。

ボランティアセンターのあり方も問われている。

今回は9割以上ががれきの撤去やお掃除。

普段から集落に入り仕事としている社協職員がボランティアセンターの運営にすべて労力を取られ、現場に行きづらい。

避難所で寂しいお年寄りに声かけることもできない。

NPOは、烏合の衆となってはいけない。

熊本地震では地元NPOとJVOADが協力し「火の国会議」を毎晩19時から開催。

219団体が参加し各々の活動を共有した。

いまは地域別・テーマ別分科会に。

また行政(熊本県や熊本市・益城町)との連携会議を継続し、NPOができること、行政が本来することを取捨選択し、できる範囲の事を行う。

こうした仕組みづくりに努めた。

被災された方々の生の声にどう耳を傾けるか。

我々は何をしていくべきか。次の支援策へのいろいろなヒントがそこにある。

仕組みづくりも大切だが、原点を忘れてはいけない。

東日本大震災では、足湯では一万六千のつぶやき。

我々は七ヶ浜を拠点に活動。五年の付き合いで地域では顔が見える関係が築かれ、スタッフは集落に生の声を聞くことができる。

宗教者と肩を張らずに、同じ支援者して連携することで信頼関係も生まれ、宗教者の理念とボランティアの概念が合致すると思う。