【研究員コラム】 2022.09.15

日本の観光開発ポテンシャル 世界第一位?

少し前(2022年5月)ではありますが、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が毎年発表している「旅行・観光開発ランキング(Travel & Tourism Development Index)」で、日本が117の国と地域の内、総合評価で1位になったことをご存じですか。

以下、アメリカ、スペイン、フランス、ドイツ、と続き、10位以内に入ったアジアの国は9位のシンガポールと日本です。


2007年以来、2年に1度、安全性、観光資源、インフラ整備など、カテゴリー別に指標を定め、国や地域の現状を調査、数値化し、発表されてきた調査です。

今回、テーマは「持続可能で力強い未来に向けた再建」と定められました。前回2019年までは「Travel & Tourism Competitiveness Index」という名称でしたが、COVID-19パンデミックの影響により「観光は社会・経済の回復の原動力になる」という意味を加え、「競争力(Competitiveness)」から「開発(Development)」に変わりました。

調査項目もこれまでは「環境整備」「観光政策と実現条件」「インフラ」「観光の需要喚起」の4カテゴリーでしたが、今回は「観光の持続性」を追加。危機下での回復⼒や、オーバーツーリズムや需要分散への取り組み度合いなどの項⽬も加えられています。

その総合得点で、第1位になったということは、日本は観光で大きく回復、成長できる可能性があると世界で認められたということになります。


けれど、日本の結果を項目別に注意深く見ていくと、国の中で観光が重視されているか、価格競争力、観光サービス力、住む人への配慮、環境管理など、重要な項目において、低い評価しか得られていません。高評価を得ていても、本当にそうだろうかと疑問に思う点も少なくありません。ポテンシャルに安心するのではなく、本当に花開かせられるか、根付かせられるか、この先は私たち次第です。


(悠)

<参考資料>

世界経済フォーラム「2021年旅行・観光開発指数レポート」(2022.05.24)

https://www.weforum.org/reports/travel-and-tourism-development-index-2021

 

世界経済フォーラム「2021年旅行・観光開発指数レポート」(2022.05.24)Overall Ranking

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