【研究員コラム】 2023.6.13

 『お客様は神様』?

 昭和の大物歌手が言った「お客様は神様です」を信条としているホテリエが少なくないようですが、果たしてそれは正しいのでしょうか?

 ホテリエとしてお客様のことを第一に考える、という趣旨はその通りではありますが、決して「お客様は神様」ではありません。

 「禁煙」のお部屋でたばこを吸ってはいけないし、アメニティ以外の備品を勝手に持って帰ってはいけない、宿泊約款や社会の基本的ルールは守ってもらう必要があり、お客様だから何をしても良いという訳ではありません。このことをしっかり踏まえ、その上で相手の気持ちも考えて、如何に上手に「NO」を伝えるか、がホテリエの腕の見せ所になります。

 6月7日に改正旅館業法が参院本会議で可決、成立しました。感染症対策の一環としての検温や医療機関の受診については、これまでは「協力要請」の域を出ず、拒まれた場合の対応ができなかったものが、今後厚労省が宿泊拒否や感染対策の目安を示す指針を作成することになりました。

 また、感染症の流行にかかわらず、従業員の業務を妨害する行為を繰り返した場合(いわゆるクレイマー行為)など、「迷惑客」の宿泊を拒めるようにもなりました。

 一般のお客様が快適に過ごせる場所にするよう、また働いている人が気持ちよく働ける場所にするためにも、上手に「NO」を伝えることもまた、ホスピタリティであると考えます。

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