【研究員コラム】 2023.3.29

 観光庁 高付加価値なインバウンド観光地
モデル地域11か所を選定

高付加価値旅行者の誘客に向けて、集中的な支援等を行うモデル観光地」11か所が、観光庁によって選定、発表されました。

 選ばれたか、選ばれなかったかは、当事者には大問題と理解しますが、真に重要なのはここからです。私たち、観光にかかわる人たちが協力、注力しなければならないのは、これらの地域を、日本の観光全体に役立つ本当の意味でのモデル地区に仕上げ、同時にほかの各地をもホスピタリティと魅力に溢れ、人が何度も訪れたくなる地域に育てていくことです。

ここ数年、観光立国の実現・持続のため、消費額増加を目指して地方へのインバウンド誘客促進が重視され、その課題や施策が議論されてきました。新型コロナ感染症、ロシアによるウクライナ侵攻、と想定していなかったことが続いて起き、しかもそれが思いもしなかったほど長引いたことで、突然の訪日客激減。計画は中断。先が見えない様相になっていました。この度、ようやくアクションプランがまとめられ、集中的にその実施を支援する地域をモデル観光地として選んだのが今回の11か所です。

2019年のインバウンド活性TASK FORCEに始まり、毎年の観光戦略にかかわる検討委員会の席に加えていただいてきました。素晴らしい意見が繰り返し交わされるにもかかわらず、感染症の影響ばかりでなく、担当者の交替やイベントの中止、DX事情の変化など、良くも悪くも諸条件が揺れ続け、なかなか着地点が定まらなかったものが、ようやく地に足をつけて歩き始めた感があります。

行きついた結論は、課題は数々あるとしても「そこに行かなくてはできないこと」、つまり「今だけ」「ここだけ」「あなただけ」を相手の興味とスピードに合わせて提供するのが持続的な魅力的地域のポイント。そしてそれを提案できるのは、豊かなホスピタリティ人材と、ひとりや一社ではなく「面での歓迎」あってこそ。結局、30年唱え、訴え、言い続けてきた想いに戻ります。

高付加価値な、お客様がまた帰ってきてくださる地域をつくれるのは“人”の知恵と連携にほかなりません。                   (悠)