【研究員コラム】 2023.2.8

 続・東京でイギリスを味わう


普段イギリス人が一日の中で最もガッツリ食べる、メインとする食事が昼食です。夕食はリンゴとクリスプス(日本でいうポテチ。因みに“チップス”は揚げたジャガイモになります)程度で簡単に済ますという人も少なくないようです。


 それでもイギリスはサービスに対する対価が高い(食品には関税・消費税等の税金がかからないので食材自体の 価格は日本より安い反面、店で座って食べる外食価格はかなり割高)ため、外食は「何かの機会に親しい人たちと」共にするスペシャルなもので、日本の定食屋さんやそば・ラーメンといった手軽に食べられる外食文化が存在しないこともあり、普段のサラメシはサンドイッチやジャケットポテト(大きなジャガイモのローストを半分に割って、間にベイクドビーンズ、コールスロー、チーズのいずれか、またはその組み合わせを乗せて食べる)、ケバブや中華料理のテイクアウェイ(持ち帰り)を買ってきて食べるのが一般的です。


唯一とも言える例外が各々の地域、村に在るパブで、夕方以降はドリンク類とつまみのナッツぐらいですが、昼は「パブ飯」と呼ばれるイギリスにしては比較的安価な食事が提供されます。

「パブ飯」の定番メニューは、ご存知のフィッシュ&チップス(イギリス人は塩とモルトビネガーをかけて食べますが、魚のフライにレモンと醤油をかけるとご飯にも合います)や、挽き肉と玉ねぎを炒めてグレービーソースで煮込んだものを下に敷いて上からマッシュポテトをタッブリ載せてパン粉をかけてオーブンで焼いたシェファーズパイ(挽き肉が羊の場合。牛肉だとカッテージパイに名前が変わります)、やはりタッブリのマッシュポテトを盛った皿にごっついイングリッシュソーセージのグリルを添えて、上から玉ねぎのグレービーソースをかけたバンガーズマッシュなど、ジャガイモが主食の国のメニューで、グレービーソースが基本のため、味も似通っていますが、いずれも個人的にはかなり好みです。

また日曜日は特別な日で、家族そろって教会に行った後にみんなで地元のパブに寄って昼食をとる古き良き伝統のための特別メニュー「サンデー・ロースト」があり、牛・羊・鶏をじっくりとローストした料理が、ヨークシャープディング、ほうれん草のマッシュやビーンズなどと共に供されます。何しろその地域の人たちが教会~パブと同じルートをたどるのですから、時間の経過と共に家族のだんらんは形を変え、ビールを片手にした男たちはダーツやビリヤードに向かい、子供たちは外を駆け回り、女性陣は井戸端会議に花を咲かせる地域交流の場に移っていきます。

そんなイギリスのパブ飯を(おそらく本場よりも美味しく)東京で味わえるお店が最近増えているようで、飯田橋のザロイヤルスコッツマンや渋谷のTHE ALDGATE、イングリッシュパブのチェーンHUB各店、調布のケニーズなど、食べログでも検索できるようです。詳細ご確認の上、試してみられては如何でしょうか?   

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