【研究員コラム】 2023.2.16

 コールサイン


航空会社には必ず『コールサイン』というものが設定されています。コールサインは、日本語では『呼出符号』と訳されています。この翻訳は少し古臭い感じがするかもしれませんが、これはもともと、商船と海軍の艦船に、各国の認可機関によってコールサインが割り当てられている歴史を引き継いでいるのです。


民間航空会社のコールサインは国連の下部機構である国際民間航空機関(ICAO– International Civil Aviation Organization)が定めており、航空機運航者の無線の名称(略号)の後ろに数字(定期運航便の場合の便名)またはアルファベットを付加したものが使用されます。

コールサインは管制と航空機の間のコミュニケーションに使用され、無線で呼び出しをする際に呼びかける符号なのです。例えば管制官が日本航空の774便に呼びかけるとしたら「Japan Air Seven Seven Four」となるわけです。


それではどのようなコールサインがあるのでしょうか。一般の皆さんに最もわかりやすいのは、会社の名前の一部を転用したもので、日本航空は『Japan Air』、全日空は『All Nippon』、アメリカン航空は『American』などです。

例外もあります。イギリスのブリティシュ・エアウェイズは『Speedbird』と呼ばれています。これはブリティシュ・エアウェイズの前身のインペリアル・エアウェイズで企業ロゴとして1932年に考案されたエンブレムで、飛行中の鳥をイメージしたデザインに由来しています。台湾のチャイナ・エアライン(中華航空)は『Dynasty(王朝)』というコールサインを使用しており、中国の歴代王朝の歴史を感じさせる名称です。変わったところでは、南アフリカ航空の『Springbok』ではないでしょうか。Springbok(スプリングボック)は南アフリカ共和国などの南アフリカ地方のサバンナや砂漠に生息する鹿に似た動物です。自国の動物がコールサインに使用されているのもお国柄を表している気がします。

 (江の島太郎)