航空業界をテーマにしたYouTuberの皆さんの動画は時間の許す範囲でよく見ています。同様に旅行をテーマにした動画も時折視聴しており、楽しませてもらっています。これらのYouTubeの動画の素晴らしいところは、ほぼリアルタイムの話題を提供してくれるところで、大変参考になることも多々あります。

航空系YouTuberの皆さんの動画を見ていると、いくつかのタイプに分類できるような気がします。まず航空会社の商品やサービスに着目し、チェックイン→空港ラウンジ→機内サービスの順に見せてくれるタイプ。搭乗クラスも、ファーストクラスやビジネスクラスの上位クラスの商品を中心に紹介してサービスを評価するもの、エコノミークラス中心に搭乗した体験を共有するものなど様々です。いずれの動画でも多くの場合、トイレのレビューは必ず含まれていることに気づきます。座席の機能や広さ、機内食などがテーマになるのは当然ですが、旅客として搭乗する際には、トイレがどの程度清潔に保たれているかも気になるところで、これは日本だけではなく、世界共通の関心事のようです。飛行時間が長くなれば長くなるほどその傾向は強くなります。日本の航空会社はいずこもトイレ掃除が行き届いていることで有名ですが、海外の会社の中には目をそむけたくなるような散らかったトイレが動画に出てくることもあります。座席の間隔や収納スペースに関する評価も多いようです。機内食については意外なほどあっさりしたコメントが多いように感じます。

航空会社の現役乗務員がYouTubeの動画を配信しているものもあります。どちらかというとパイロットより客室乗務員の皆さんが乗務の際の体験を共有してくれるものです。乗務の最中は仕事中ですし、お客様や他の乗務員のプライバシーの問題があるため、機内サービスの風景が動画に登場することはありませんが、出勤風景、途中の休憩時間の過ごし方、乗務終了後の目的地での観光、食事、買い物が素材になっていることが多いようです。乗務員の滞在は短い場合は1泊、長くても2泊のパターンであることがほとんどであるため、短い滞在時間を上手に活用して用事を済ませたり休息をとったりする様子が画面で紹介されます。早朝便の出発風景、夜行便で到着した直後の様子を見るたびに、健康と体力が大切である職業であることを再認識します。天候などの理由により途中で乗務スケジュールが急に変更になった場合の様子も紹介されています。

旅行と組み合わせる形で航空業界を紹介しているYouTuberの動画は長めであることが多いようで、航空会社の商品やサービスに加え、目的地のホテルや観光などが組み合わされていることがあります。このタイプの動画を視聴すると、旅行の疑似体験をしている気分になれるのが面白い点のように思います。動画で見ると行った気になってしまって旅行の意欲促進には逆効果ではないか、という意見もありましたが、私はむしろ旅行意欲を刺激され、次の旅行の参考にしたくなります。

どのYouTube動画もおおしろく興味深くできているものが多いと思いますが、中には非常に手厳しい評価を下されている場合もあります。サービス業の宿命で、サービス品質をいかにして均質で高い水準に保つかが航空業界でも重要な要素ですが、残念ながら行き届かないサービス、期待値を下回る顧客体験、そして場合によっては憤りに近いコメントをされてしまうことがあります。航空会社の顧客体験部門でもこの手の動画には神経を使っており、万が一、低い評価を得てしまった場合には、すぐにリカバリーやサービス改善につなげるケースもあるようです。どのような動画であっても、建設的な品質改善につながるものであって欲しいと思います。

(江の島太郎)