【研究員コラム】 2023.5.2

 航空機と航空燃料

 航空機の動力に使用される燃料は石油から精製されます。ジェット機に使用されるジェット燃料は純度の高い精製によって生産され、灯油やガソリンに近い成分で構成されています。主成分は、ジェット・ケロシンと呼ばれる灯油に近い石油製品です。ジェット燃料は上空1万メートルの高度でも凍結しないように水分が除去してあります。


 新世代の機材(ボーイング787型機、エアバス350型機など)は燃料効率が格段に向上しており、すでに運航する機材の8割以上が省燃費機材に更新されている日本の会社もあります。しかしながら航空燃料は石油を原料としているため、化石燃料を燃やしていることには変わりありません。

 

 そこで航空業界として取り組んでいるのが持続可能な航空燃料(SAF=Sustainable Aviation Fuel)の開発促進と活用です。

 世界的にCO2排出量削減への対応が急速に求められるなか、SAFは植物・動物油脂や使用済み食用油、木質バイオマス、都市ごみ、排ガス、CO2等から製造されるジェット燃料で、その技術開発・製造・流通および利用を加速させる必要があることから、日本では2022年3月に航空業界、商社、石油業界などの16社が『ACT FOR SKY』という名称の有志団体を形成し、今後の取り組みを加速していくことになったそうです。

 現時点で開発されているSAFは、既存のジェット燃料との混合で使用される仕組みで、混合比率は10%~50%となっています。

(江の島太郎)


*ACT FOR SKYについて : https://actforsky.jp/