ボーディングブリッジとタラップ

飛行機に乗り降りする時に、ボーディングブリッジとタラップの2つの方法があることをご存知の方は多いと思います。その昔はボーディングブリッジが無かったため、すべてタラップが使用されていましたが、1958年に世界初のボーディングブリッジがシカゴ・オヘア空港に設置され、その後世界の空港に広がって行きました。 

ボーディングブリッジはターミナルビルから伸びる廊下のような形状をしている可動橋で、飛行機のドアに直結します。屋根付きですから全天候型で段差も少ないことから、現在では多くの空港でこの方式が採用されています。

一方、現在でもタラップと呼ばれる階段をつけて乗り降りする方式も使用されています。タラップの語源はオランダ語で階段を意味するtrapという単語だそうです。タラップを使用する場合、お客様は階段の上がり下りをしなければならないことや、屋根付きでは無いタラップの場合には雨などの際に濡れたり滑ったりする問題が出るため、多くのお客様は余り好まないのでは無いかと思います。タラップを使用する場合は、ターミナルビルから飛行機までお客様に徒歩で移動してもらうか、距離がある場合はバスを使用することになります。

空港ターミナルビルの施設には限りがあります。ボーディングブリッジの設置された搭乗口の数が足りない時は、バスや徒歩移動とタラップの使用となるわけです。空港が混雑する朝夕の時間帯はタラップ使用になることもあります。これを航空業界では『沖留め』(おきどめ)と呼んでいます。『沖留め』は海運からの借用語で、船が港の岸壁に停泊できず、沖合に停泊して乗り降りをする場合を指します。

乗り降りに時間がかかり、階段の登り降りを伴う沖留めですが、このタラップ使用が好まれる場合があります。まず世界の国家元首や政治家の到着や出発の際です。タラップの上から手を振りながら飛行機から降りてくる姿はマスコミの写真映えがするため、好まれるようです。

また、ローコスト航空会社(LCC)もタラップを使用することが多いようです。LCCは文字通りLow Cost(低コスト)運営による低運賃が売り物ですから、ボーディングブリッジの使用料に比べるとはるかに安いタラップを使用することになるわけです。航空会社の台所事情が理由なのです。

皆さんはボーディングブリッジ派、それともタラップ派ですか。

(江の島太郎)