ヌメリニガイグチ属 

Mucilopilus Wolfe  Mycotaxon 10(1): 117 (1979)


   傘は湿時粘性を表し, 上表皮層はゼラチン化した毛状被を形成する; 管孔は断面の長さ 5-10 mmで, 最初類白色のち次第に肉色を帯び, 孔口と同色; 胞子紋は褐色; 担子胞子はイグチ型, 平滑, 非アミロイドまたは偽アミロイド; 柄は痩せ型でほぼ上下同大, 表面は湿時粘性, 無毛平滑でしばしば繊細な網目模様を表す; 肉は(類)白色, 空気に触れても変色せず, 苦みがある; 子実層托実質はヤマドリタケ亜型; 根元の菌糸体は白色. 外生菌根性.

 Wu(Wu et al. 2016) による分子系統解析の結果によれば、ヌメリニガイグチはヤシャイグチ亜科 Austroboletoideae G. Wu & Zhu L. Yang, Fungal Diversity 69: 104 (2014) に属することが示唆されており、系統樹ではヤシャイグチ属に隣接した一属一種の単系統群を成している. 

  Wolfe (1979)の原記載の定義による Mucilopilus 属は形態分類においてFistulinella 属のシノニムとされているが, ヌメリニガイグチは系統的には独立属である可能性が高いため, 新属を設立するか, Mucilopilusに置く場合は基準種 (Mucilopilus viscidus (McNabb) Wolfe) を再検討した上で分類概念を改訂する必要があると思われる.