ホウライタケ属

Marasmius Fr., Fl. Scan.: 339 (1836)

基準種:M.rotula (Scop.) Fr. (1838).

Singer (1986)の分類概念: 子実体の類型はホウライタケ型 (marasmioid: 傘は膜質で, しばしば明瞭な放射状の溝線を表し, ヒダは相対的に疎, 柄は細い糸状で, 時に黒色の針金状または馬の毛状.), モリノカレバタケ型, 時にヒラタケ型, 一般に強靱で吸水復元性がある; 子実層托はヒダ状, 稀に平滑または脈状で老成時のみヒダ状になり, 時にヒダは連絡脈を持つ; 上表皮層は一般に子実層状被を形成し, 基部が有毛の場合は常に子実層状被になる; 上表皮層が平行菌糸被を形成する場合は, 箒状細胞または著しい短指状~瘤状分岐物に被われた(diverticulate-nodulose)菌糸細胞が存在し, 実質全体または少なくとも柄の実質が偽アミロイドに染まり, 柄は光沢のある黒色剛毛状で, 基部は無毛; 傘の実質は一菌糸型, 偽アミロイドまたは非アミロイド, 非ゼラチン質で, 一般にクランプを持つ; しばしば黒色根状菌糸束を有する; 菌糸束状柄(telepods)がしばしば存在する; 担子胞子は非アミロイド.

生態: 外生菌根を形成するものはなく, 一般に材上生または葉上生(foliicolous: on dead leaves) , しばしばイネ科の根や葉に着く.

 分布及び既知種: ほぼ世界的,多くは熱帯~亜熱帯に分布する; 約500種.

 類似属との相違点: ホウライタケ属オチバタケ節 Marasmius Sect. Androsacei は, シロホウライタケ属サトヤマホウライタケ節 Marasmiellus Sect.Rameales と傘表皮の解剖学的構造 (ラメアレス構造からなる平行菌糸被)において共通するが, 1) 柄はしばしば光沢がある平滑な硬い馬の毛状 (黒色針金状) または剛毛状で, しばしば黒色根状菌糸束を持ち, 基部は無毛, 2) 肉は時にニンニク臭があり, 3) 菌糸は通常明瞭な偽アミロイドに染まり (少なくとも柄の外皮), 4) ヒダ縁部及び傘の上表皮層に箒状細胞が存在する.

  非アミロイドの担子胞子を持つクヌギタケ属 Mycena の特徴: 1) 傘の上表皮層は平行菌糸被; 2) 柄の基部は有毛で, 柄は黒色の針金状ではない; 3) 子実体の類型はクヌギタケ型で, 肉質~膜質で腐りやすく, 吸水復元性はない.

  非アミロイドの担子胞子を有するニセアシナガタケ属 Hydropus の実質は, 紡錘形で著しく肥大した(径10-30μm) 骨格菌糸と円柱形の原菌糸が混在した構造 (sarcodimitic)になる.

  モリノカレバタケ属 Gymnopus の柄は馬の毛状 (黒色針金状) にはならず, 基部が発達した菌糸体(毛)に被われ, 傘の上表皮層は円柱形の菌糸細胞からなる平行菌糸被を形成し, しばしば末端細胞に色素が凝着する.

                     


節, 亜節の概念および日本産既知種


オチバタケ節 Sect.1. Androsacei Kuhner → Gymnopus section Androsacei (Kühner) Antonín & Noordel. (Mata et al. 2004; Noordeloos and Antonín 2008; Antonín and Noordeloos 2010) を参照.

子実体は通常小型, 有色または無色; 本節並びに Sect.9. Fusicystides傘の上表皮層は不規則に配列した箒状細胞または短指状突起に被われた菌糸細胞からなる平行菌糸被を形成する; 柄は中心生で, 細い剛毛状 (bristle- like)または黒色で光沢のある馬の毛状をなし, 基部は無毛; クランプを持つかまたは欠く; 傘の実質は一般に非アミロイド, 柄の実質は通常偽アミロイド; 植物遺体上に発生. 基準種:M. androsaceus (L.) Fr. (1838).


 1. オチバタケ M. cf. androsaceus (L.) Fr. (1838): 傘は径5-10 mm,中央部はやや凹み, 赤褐色で周縁部は帯褐ピンク色, 放射状の溝線を表す; 柄は黒色, 毛状, 堅く強靱, 黒色の馬の毛状菌糸束がある; 枯れ枝や葉上に発生.


 2. ヒメオチバタケ M. cf. pallidocephalus Gilliam (1975): オチバタケに似るが, 幼菌の傘はより淡色で, 縁シスチジアを欠き, 柄表皮の菌糸に被覆物がある. [Mycoscience 39: 212. 1998]


  3. ケナワタケ M. funalis Har.Takah. (2002): 傘は褐色, 平滑で, 柄は暗褐色~黒色で全体が白色の毛 (偽アミロイドに染まる厚壁シスチジア) に被われ, 短指状付属糸を頂部に具えたこん棒形の縁シスチジアを有し, 菌糸はクランプを欠く. [Mycoscience 43: 344. 2002]


4. シロアシホウライタケ Gymnopus albipes Har. Takah. & Taneyama, in Takahashi, Taneyama, Kobayashi, Oba, Hadano, Hadano, Kurogi & Wada, The fungal flora in southwestern Japan, Agarics and boletes 1: 98 (2016)


5.アシグロカレハタケ Gymnopus phyllogenus Har. Takah., Taneyama & Terashima, in Takahashi, Taneyama, Kobayashi, Oba, Hadano, Hadano, Kurogi & Wada, The fungal flora in southwestern Japan, Agarics and boletes 1: 116 (2016)


アオキオチバタケ節 Sect.2. Hygrometrici Kuhner → Cryptomarasmius属 (Jenkinson et al. 2014) を参照.

子実体は通常小型で有色; 傘の上表皮層は通常シロヒメホウライタケ型(Rotalis-type)の箒状細胞を有し, 子実層状被を形成する; クランプを持つ; 実質は非アミロイド; 柄は細く, 暗色, 中心生, 基部は無毛; 時に黒色根状菌糸束を持つ; 特別な臭いはない; 植物遺体上に発生. 基準種:M. hygrometricus (V. Brig.) Sacc.


  6. アオキオチバタケ M. aucubae Neda (1998): アオキの落ち葉上に発生. 東京, 熊本.


シワホウライタケ節 Sect.3. Leveilleani Singer: 傘は中~やや大型 (径9-39 mm), 通常有色; 傘の上表皮層は子実層状被からなり, 末端細胞は頂部に複数の指状突起を持つハリガネオチバタケ型 (Siccus-type); 菌糸はクランプを持ち, 非アミロイド; 柄は中心生, 基部は無毛; 側シスチジアを欠く; 多くは熱帯に分布する. 基準種:M. leveilleanus (Berk.) Sacc.


 7. シワホウライタケ M. cf. leveilleanus (Berk.) Sacc. 傘は暗赤褐色で放射状の溝線がある; 柄は中空で質堅く, 表面黒褐色, 平滑; ヒダは白~黄色, 疎. 旧熱帯, 日本.


Sect. 4. Scotophysini Singer: 子実体は有色, 小型; 傘の上表皮層は平滑で有柄の球形細胞からなる子実層状被; 上表皮下層の菌糸細胞は細胞壁に色素が凝着する; 側シスチジアはない; 縁シスチジアはトウモロコシの穂軸 (corncob) 状~カリフラワ-状; 菌糸はクランプを持ち, 非アミロイド; 柄は黒色, 中心生, 長形, 剛毛状, 平滑, 基部は無毛; 特別な臭いはない; 落ち葉上に発生. 基準種:M. scotophysinus Singer (1965).


Sect.5. Epiphylli Kuhner: 傘は小型, 白~類白色, 時に老成時において淡い帯黄ピンク色; 傘の上表皮層は子実層状被を形成し, 末端細胞は一般に平滑で球形~こん棒形, 皮嚢体 (上皮シスチジア)を持つかまたは欠き, 長い剛毛状の毛 (bristle-like hairs)はない; ヒダはしばしば退化するかまたは脈状になる; 菌糸はクランプを持つかまたは欠き, 偽アミロイドまたは非アミロイド (菌糸が偽アミロイドの場合, 傘の上表皮層の細胞は常に平滑); 柄は粉状または細軟毛に被われ, 中心生または偏在生, 時に根状菌糸束あるいは菌糸束状柄 (telepods) を有し, 基部は無毛; 通常側シスチジアが存在し, 一般に紡錘形~アンプル型, 時に不明瞭でむしろ偽担子器に類似し, 稀に袋状, 通常薄壁, 無色または時に樹脂状色素(pigmented resinous incrustation) が細胞壁に凝着する; 葉上生または稀に材上生; 熱帯~温帯に広く分布する.

基準種:M. epiphyllus (Pers.) Fr. (1838).


Subsect. Epiphyllini Singer: 実質の菌糸は非アミロイド; 子実層托は脈状またはヒダ状, 時に幼菌の子実層托はほぼ平滑 (但し稔性). 基準種:M. epiphyllus (Pers.) Fr. (1838).


8. スギノオチバタケ Marasmius capitatus Har. Takah., Mycoscience 41: 539-543, 2000

Subsect. Eufoliatini Sing.: 実質は少なくとも柄の頂部において明瞭な偽アミロイド; クランプを持つかまたは欠く (新熱帯産はクランプを欠く); 子実層托はヒダ状. 基準種:M. eufoliatus Kuhner (1927). 

Subsect. Epiphylloidei Singer (1973): Subsect. Epiphyllini に似るが, 傘の上表皮層の菌糸

細胞は短指状突起を持つ (diverticulate). 基準種 (単一タイプ): M. epiphylloides (Rea) Sacc.

& Trotter (1925).


ヒメホウライタケ節 Sect.6. Marasmius [Syn.: Marasmius Sect. Rotulae Fr.; Marasmius Sect.Collariati Bataille]: 傘は一般に小型, 白または様々な色を帯び, しばしば中央部が瘤状に突出し, 成菌は中丘の周囲が凹み, 淡色の輪状帯に囲まれ, あるいは中丘の代わりに暗色点が存在する; 傘の上表皮層はシロヒメホウライタケ型 (Rotalis-type) またはハリガネオチバタケ型 (Siccus-type)の箒状細胞からなる子実層状被を形成する; ヒダは通常柄から部分的に遊離した偽襟帯 (subcollarium)または一般に完全な襟帯 (with a free collarium) に付着する; 菌糸はクランプを持ち, 一般に少なくとも柄の頂部において偽アミロイド, 稀に全ての菌糸は非アミロイド; 柄は中心生, 平滑または稀に長軟毛状(pilose), 細い針金状 (剛毛状 setiform), 時に黒色根状菌糸束から発生し, 基部は無毛,; 側シスチジアはないかまたは稀に存在するが不明瞭; 縁シスチジアは通常発達し, 箒状細胞に類似し, 時に有色; 材上生または葉上生 (foliicolous: on dead leaves) . 基準種:M. rotula (Scop.) Fr. (1838).

Subsect. Marasmius (= Subsect. Pararotulae (Singer) Singer (1975). type:M. pararotula Singer (1965)): 上表皮層の箒状細胞はシロヒメホウライタケ型 (Rotalis-type, 細胞の全面または上半分に疣状微突起が密生する.


 9. シロヒメホウライタケ M. cf. rotula (Scop.) Fr. (1838): 傘は径 2-15 mm, 白色で中央部が凹み放射状の条線を表す; ヒダはクリ-ム白色で襟帯に接続する; 柄は黒色針金状, 平滑, 中空, しばしば根元に黒色根状菌糸束を伴う; 材上生.


 10. ユキヒメホウライタケ M. cf. wettsteinii Sacc. & P. Syd. (1899): シロヒメホウライタケに似るが, ヒダは疎で, マツの落ち葉上に発生する (M. rotulaは主に広葉樹の材上生). [Mycoscience 39: 215. 1998]


Subsect. Penicillati Singer: 上表皮層の箒状細胞はハリガネオチバタケ型 Siccus-type (相対的に長い直立した指状突起が細胞の頂部だけに密生する. 基準種:M. graminum (Lib.) Berk. (1860).


 11. ヒメホウライタケ M. cf. curreyi Berk. & Broome (1879). (= M. graminum (Lib.) Berk. (1860) s.auct. (e.g. Singer) non Libert): 傘は径 2-6 mm, 放射状の溝線を表し, 煉瓦色; 柄は極めて細く, 下半部を中心に暗褐色を帯びる; イネ科の植物体上; 欧州, 北米, アフリカ, 日本.


 12. ウマノケタケ M. cf. crinis-equi F.Muell ex Kalchbr.: 傘は径 6-7 mm, 放射状の溝線を表し, 淡褐色のち黄褐色~オリ-ブ褐色; ヒダは襟帯に付着する; 柄は細長く 14 cmに達し, 黒色, 毛髪状, 馬の毛状の根状菌糸束を多数絡ませた上に発生する (arising from a tangle of a tough mycelium); チャその他の枝上; 欧州, インド, オ-ストラリア, 日本.


13. ササノホウライタケ M. sasicola Har. Takah. (2002): 笹の葉上から発生する. [Mycoscience 43: 349. 2002]


Subsect. Horriduli Singer (1986): 偽アミロイドに染まる剛毛体型の毛が多数存在する点で他亜節と区別され, 特に傘の周縁部において著しく長くなる; 新熱帯産. 基準種 (単一タイプ): M. horridulus Sing.


ハリガネオチバタケ節 Sect.7. Sicci Singer: 子実体は小~大型, 繊維状, 密綿毛状, 剛毛状の毛 (菌糸体) が常に基部を被い, 稀に白色根状菌糸束を持つが黒色根状菌糸束はない; 実質は偽アミロイド, クランプを持つ; 傘の上表皮層は子実層状被でハリガネオチバタケ型 (Siccus-type) の末端細胞からなる; 表皮組織および子実層に剛毛体様シスチジアがしばしば存在する; 側シスチジアを持つかまたは欠く; 縁シスチジアは一般に箒状, 時に有色; グレオシスチジアが時に存在する (Pegler 1983); 一般に腐生, 稀に内生菌根性. 多くは熱帯~亜熱帯産. 基準種:M. siccus (Schwein.) Fr. (1822).


Series Leonini Singer (1976): 剛毛体様シスチジアを欠く; 側シスチジアはないかまたは不明瞭. 基準種:M. leoninus Berk.. (1856).


  14. ハナオチバタケ M. cf. pulcherripes Peck (1871): 担子胞子はこん棒形, 11-15.5×3.5-4μm; 側シスチジアは円柱形~こん棒形, Singer (1964, Sydowia 18: 106-358)によれば側シスチジアを欠くとされている; 北米東部, 日本.


 15. ヒカゲオチエダタケ M. occultatus Har. Takah. (2000): 一般に材上生. 本州中部産.


 16. カエンオチバタケ M. opulentus Har.Takah. (2000): 照葉樹林内落ち葉の堆積上に発生. 本州中部, 沖縄県石垣島.


17. マダラホウライタケ M. maculosus Har.Takah. (2002): 本州中部産.


Series Haematocephali Singer (1976): 側シスチジアが発達する点で Series Leonini と区別される. 基準種:M. haematocephalus (Mont.) Fr. (1856).


  18. シワオチバタケ M. cf. glabellus Peck: [Mycoscience 39: 211. 1998]


19.ハリガネオチバタケ M. cf. siccus (Schwein.) Fr. (1822): 胞子は 17-22×3-5μm.


  20. オノエホウライタケ M. shideiae Singer [1989. Fieldiana (N.S.) 21: 61.]: 傘は径 27 mm以下, 平滑, 淡黄褐色, 乾けば中央部から退色しほぼ白色, 湿時周縁部に溝線を表す; 柄は 26-80×1-2 mm, セピア色, 微粉状; ヒダの縁部及び側部に傘表皮と同じ箒状細胞を持つ; 柄の表面に長さ20μmに達する叉状に分岐した突起のある細胞が多数存在; ハチク, モウソウチクの林内に束生または孤生. 京都市で採集された標本をもとに Singer が新種記載した.


  21. クロチャオチバタケ M. nocturnus Har. Takah. (2000): やや稀. 本州中部産.


Series Actinopodes Singer (1976): 剛毛体様上皮シスチジアが傘且つ/又は柄の表皮に存在し, 肉眼的に上皮シスチジアは顕著な微毛状, 粉状または長毛状. 基準種:M. actinopus Mont.

  22. ミヤマオチバタケ M. cf. cohaerens (Alb. & Schwein.) Cooke & Quel. (1878): 傘は径 2-3.5 cm, 淡肉桂色, 中央部は濃色, 微毛が密生; 胞子は7-9.5×4-5μm; 上皮シスチジアは紡錘形で先が著しく伸びて尖り, 褐色の色素を有し, 厚壁; 縁及び側シスチジアは上皮シスチジアと同形; 北半球温帯広く分布.


 23. ミヤコホウライタケ M. cf. echinatulus Singer (1959): 傘は径1-3.5 cm, 朱がかったオレンジ色, 微毛 (上皮シスチジア) が密生する (南米産は傘の周縁部に溝線を表し, 成熟時やや吸水性, 湿時半透明の長い条線を表す); ヒダは直生, 密; 柄は18-36×1-5 mm (Sing. 1976),下部に向かってやや太まり, 時に偏圧され, 傘とほぼ同色, 微毛 (上皮シスチジア) が密生する; 上皮シスチジアは厚壁で上部にオレンジ色の色素を持つ; 担子胞子は 7-8×3-3.5μm; しばしば落ち葉上に束生 (南米産のものは束生しない); ボリビア (ユンガス地方), ブラジル南部, アルゼンチン北西部, 日本.


Sect.8. Inaequales (Singer) Singer (1986) (ut Sect.Sicci Subsect. Inaequales Singer 1959): 実質が非アミロイドに染まる以外はハリガネオチバタケ節 Sect.7.Sicci の特徴と共通する; 菌糸はクランプを持つかまたは欠く; 本節はハリガネオチバタケ節 Sect.7. Sicci とシロカレハタケ節 Sect.11. Alliacei の中間的な性質を示す. 基準種:M. inaequalis Berk. & M.A. Curtis (1868).


ムニンヒメヒラタケ節 Sect.9. Fusicystides Singer in Singer & Digilio: 傘は老成時有色; 傘の上表皮層はラメアレス構造を成す(Marasmiellus Sect. Rameales と共通) かまたは不規則に錯綜した菌糸から成り, 子実層状被を形成しない; 側シスチジアは明瞭で, M. alopecius 以外は樹脂状物に被覆される; 担子胞子は大型, 長楕円形, Fusarium 属型またはこん棒形~紡錘形; 柄は偏在生~側生または退化して小型のヒラタケ型の類型をなす; 黒色根状菌糸束を欠く; 菌糸は少なくとも部分的に偽アミロイドで, クランプを持つ; 無臭; 材上生. 基準種:M. fusicystis Singer (1952).


24. ムニンヒメヒラタケ M. cf. alopecius (Berk. & M.A. Curtis) Neda: 傘は淡色で, 側シスチジアは凝着物を欠く; 小笠原諸島産. (Neda 2004. Mycescience 45:181-187).


Sect.10. Neosessiles Singer: 傘は小型で有色または無色, 上表皮層は頂部に複数の指状突起を持つハリガネオチバタケ型 (Siccus-type)の箒状細胞が子実層状被を形成する; 子実体はヒラタケ型; 柄は通常非常に短く, しばしば痕跡的 (ほぼ無柄), 側生~偏在生, 基部は無毛または有毛; 実質の菌糸は偽アミロイド (少なくとも柄) または非アミロイド; クランプを持つかまたは欠く; 材上または葉上に発生; 熱帯全域に分布.基準種:M. neosessilis Singer.


シロカレハタケ節 Sect.11. Alliacei Kuhner (= Sect.Chordales Fr.): 子実体は一般にモリノカレバタケ型; 傘は有色または無色,上表皮層は平滑な末端細胞が子実層状被を成す; 柄は中心生, 基部は発達した毛に被われ, 一般に表面は微粉状またはビロ-ド状であるが, しばしば平滑; 実質は非アミロイド, クランプを持つ; しばしばニンニク臭がある(alliaceous); 地上生または植物遺体上. 基準種:M. alliaceus (Jacq.) Fr. (1874).


 25. シロカレハタケ M. cf. querceus Britz (1896) ss. Anton.& Noordel. (1993) [M. prasiosmus (Fr.) Fr. (1838) ss.auct. e.g. Singer]: 柄は 20-80×1-2 mm, 赤褐色, 粉状または柔毛状(?); ヒダの縁は全縁; 傘は10-25 mm, 赤褐色~灰褐色, 半透明の条線を表す; 縁シスチジアを欠く; 通常 Quercus 属の枯れ葉上に発生.  


 26. ニオイヒメホウライタケ M. cf. scorodonius (Fr.) Fr. (1836): 傘は径 1-3 cm, 赤褐色~黄褐色のち次第に退色し, 乾性, 平滑, 放射状にやや浅い溝線を表す; ヒダは密; 柄は下部暗褐色, 上部淡色, 乾性, 平滑,時に偏圧される; 玉葱またはニンニク臭がある.


シバフタケ節 Sect.12. Globulares Kuhner: 実質が偽アミロイドに染まる性質以外は前節と同じ. 基準種:M. wynnei Berk. & Broome (1860).


 27. シバフタケ M. cf. oreades (Bolton) Fr. (1836): 北半球一帯, 南半球は人為分布 ?


28. スジオチバタケ M. purpureostriatus Hongo (1958): 本州.


 29. オオホウライタケ M. maximus Hongo (1962): 日本.


 30. カバイロオオホウライタケ M. aurantioferrugineus Hongo (1965): 本州.


 31. アミガサホウライタケ M. brunneospermus Har. Takah. (1999): 日本産 (神奈川).


32. モリノホウライタケ M. cf. silvicola Singer (1953): アミガサホウライタケに似るが, 胞子紋は白色で, 子実体の色はより淡色 (ほぼ白色~ 淡黄褐色) になり, 子実体の類型はオオホウライタケに近い (アミガサホウライタケは通常傘が褐色で, 肉質がもろく, 子実体はナヨタケ型). アルゼンチン, ニューギニア, 日本 (神奈川, 千葉) に分布. 邦産については確実な標本に基づく正確な記載発表はまだなされていない.


33. ユキホウライタケ M. nivicola Har. Takah. (2000): 本州中部産.



所属位置未定種 incertae sedis


スギノハヒメホウライタケ Marasmius cryptomeriae S. Imai


以下のサイトでスギノハヒメホウライタケとして掲載されているサンプルは スギノオチバタケ Marasmius capitatus Har. Takah.と混同されている可能性があります。

http://www.shirakami-database.jp/mushroom/?p=1038

https://staff.fukuoka-edu.ac.jp/fukuhara/seibutsugazou/fungi.html