ヌメリアシナガイグチ

Aureoboletus liquidus Har. Takah. & Taneyama, in Takahashi, Taneyama, Kobayashi, Oba, E. Hadano, A. Hadano, Kurogi & Wada, The fungal flora in southwestern Japan, Agarics and boletes 1: 155 (2016)

ヌメリイグチの仲間のような外観を呈しますが、系統的にはヌメリコウジタケ属分岐群に所属します。

アキノアシナガイグチについては、詳細なデータに基づく学術的記載発表がなされていない(詳細なデータを伴わない一般向けの図鑑のみで使用されてきた仮称である)こと、また石垣島のサンプルを基準産地とする新種であり、将来的に地理的種として細分化される可能性も考慮して和名を変更しました。また個人的な独断と偏見ですが、広い分布域を持つ種について特定の地名を和名に用いるのはあまり好ましくないように感じます。

Basidioma of Aureoboletus liquidus on ground in an evergreen broad-leaved forest dominated by Q. miyagii and C. sieboldii (holotype), 11 Aug. 2011, Ishigaki Island. Photo by Takahashi, H.

スダジイ、オキナワウラジロガシを主体とする常緑広葉樹林内に発生したヌメリアシナガイグチの子実体 (正基準標本), 2011年8月11日, 石垣島 

Basidioma of Aureoboletus liquidus, 18 May 2002, Ishigaki Island. Photo by Takahashi, H.

ヌメリアシナガイグチの子実体, 2002年5月18日, 石垣島 

Pileus surface of the mature basidioma of Aureoboletus liquidus, 18 May 2002, Ishigaki Island. Photo by Takahashi, H.

ヌメリアシナガイグチの成菌の傘表面, 2002年5月18日, 石垣島 

Underside view of the mature basidioma of Aureoboletus liquidus, 18 May 2002, Ishigaki Island. Photo by Takahashi, H.

ヌメリアシナガイグチの成菌の孔口, 2002年5月18日, 石垣島 

主な形態的特徴

ア)子実体は全体に粘液に被わる.

イ)傘は赤褐色, 不規則な皺状隆起を表す.

ウ)   柄は長く伸び,  消失性の白色のツバを持つ.

エ)子実層托 (管孔) は黄色.

オ)   担子胞子は楕円形で, 縦に走る畝状隆起を表す.

カ)側シスチジアは類円柱形~狭紡錘形で, やや曲がりくねる.

キ)   傘と柄の 上表皮層の末端細胞はこん棒形またはやや頂部頭状形 .


生態および発生時期: 常緑広葉樹林内地上に孤生または散生, 5月下旬~9月.

分布: 沖縄 (石垣島), 本州 (広島, 山口, 福井, 岐阜).