ヌナワタケ属の胞子発光菌 (Roridomyces sp.)


大場由美子さんが発見した八丈島産胞子発光菌は、子実体が微小でアヤヒカリタケのように群生せず,ヒダがやや垂生する特徴は熱帯産Mycena pruinosoviscidaおよびRoridomyces lamprosporusと共通しています。また八丈島産の標本は葉上性(ようじょうせい)であることから、Roridomyces lamprosporusに近い種類と思われます。


キノコの発光の役割については、トビムシやハエを呼び寄せているという報告があることから,ムシに胞子を運ばせているという説が有名ですが,胞子発光菌の存在はこの仮説を支持する有力な証拠の一つとも考えられます。


写真撮影: 大場由美子さん

緒方光明氏が撮影した奥多摩産発光性ヌナワタケ属菌 (Roridomyces sp.)

胞子紋は光らなかったとのことですが、濡らした紙の上でないと発光性胞子は光らない場合があり、傘が発光していないこと、柄の粘液に付着した胞子が蓄積して根元付近が強く発光しているように見えること、また子実体周辺の基質表面が均一に発光していることから宮崎県産の仮称アヤヒカリタケ(黒木 2015)近縁種群の一つである可能性もあります。

今のところ2~3系統あると思われる日本国内の胞子発光菌は東南アジア (ラバウル, マラヤ, スリランカ) および南米に分布する Roridomyces lamprosporus (Corner) Rexer (Corner 1950; Horak 1978; Rexer 1994)近縁種群の仲間と考えられます。