シロホウライタケ属

Marasmiellus Murrill, N. Amer. Fl. (New York) 9: 243 (1915) Marasmiaceae


 Syn.: Tetrapyrgos E. Horak, Sydowia 39: 101 (1987) (Marasmiaceae) = Pterospora Metrod (1949) non Nut.(1821, Pyrolaceae);

 基準種:M. juniperinus Murrill (1915).


子実体は小型~微小なものが多く, 一般にホウライタケ型~モリノカレバタケ型, 時にクヌギタケ型, またはしばしばヒラタケ型, 吸水復元性があるかまたは腐敗しやすい. 一部の種類は不稔性の奇形子実体(carpophoroids), 菌核状菌糸塊(protocarpic tuber) を形成する. 傘は無毛平滑, 密綿毛状, 密に細かい綿毛状(flocculose: downy-fibrillose と tomentose の中間), 粘液を被ることはない. 子実層托はヒダ状, 柄に対する付き方は様々, しばしば浅い連絡脈を持つが蜂の巣状 (明瞭な網ヒダ状)にはならず, 一般に小ヒダを交え, 稀にヒダは著しく退化する. 柄は中心生, 偏在生, 側生または無柄, 表面は一般に粉状, 細軟毛状(pubescent), 密に細かい綿毛状, 密綿毛状, のちしばしば平滑になり, 黒色剛毛状ではなく, 一般に基部を被う発達した菌糸体(毛)はない. もし基部に繊維状~密綿毛状菌糸体が存在する場合は, 表皮に明瞭

なラメアレス構造が存在し, しばしば柄が偏在生~側生になる. 実質がゼラチン化する場合は常に 1) ヒダは著しい連絡脈を欠き, 子実層に紡錘形の偽担子器があり (ヒラタケ型の場合), 2) 明瞭なラメアレス構造を有する (モリノカレバタケ型の場合). 一般に特別な臭いはないが, 時にニンニク臭がある. 上表皮層は平行菌糸被で , 一般に *Rameales構造「多分枝菌糸構造」からなり (特にSect. Rameales において典型的), 実質にゼラチン層が存在する場合も表皮は通常ゼラチン化しない. 菌糸は非アミロイド, 一般にクランプを持ち, 鎖状に繋がった肥大細胞はない. 偽担子器は一般に紡錘形~類紡錘形. 側シスチジアが存在する場合は常に縁シスチジアに類似する. 縁シスチジアは通常多生するが, 偽シスチジアはない. 柄の表皮構造は傘に類似するかまたは上皮シスチジア(皮嚢体)を持ち, 時にニセホウライタケ属 Crinipellis に見られる様な剛毛体様の毛(setiform hairs)を有するものがある (但し非アミロイド). 胞子紋は純白または淡クリ-ム色. 担子胞子は小~大型, 薄壁, 等質, 非アミロイド, 非 コットンブルー染色性, 平滑, 時に二型, 稀に四面形または十字形(Sect. Nigripedes), または片側に出っ張りがある(アミヒダタケ属 Campanella にも見られる).

* Rameales構造「多分枝菌糸構造」(Fig. g): 不規則に分岐する多数の樹枝状, 短指状またはこぶ状の突起 (diverticula)に被われた菌糸細胞からなる表皮構造. シロホウライタケ属 (Marasmiellus Sect.Rameales)において典型的であるが, モリノカレバタケ属 (Collybia Sect.Subfumosae) 並びにヒトヨタケ属 ヒメヒトヨタケ亜節(Coprinus Sect.Coprinus Subsect.Alachuani)にも類似の構造が見られる. また Campanella 及び Resupinatus の両属には二叉糸状体と ラメアレス構造の中間型が見られる. 平行菌糸被の特殊型.

傘表皮組織の類型 (Antonĺn and Noordeloos 1997)

a, b: ホウライタケ属における子実層状被, a 箒状細胞, b 平滑細胞;

c: 平行菌糸被; d: 粘性平行菌糸被; e: 珊瑚状菌糸からなる平行菌糸被;

f: モリノカレバタケ型表皮構造(瘤状分岐物を持ち且つ凝着色素に被われた菌糸が絡み合い, 放射状に並列しない構造);

g: Rameales構造「多分枝菌糸構造」

生態: 植物の生体または遺体上, 多くは材上生, 稀に (表面的に) 地上生あるいは腐植上, 少なくとも一種は地衣化し, しばしばバナナ, サトウキビ, ヤシなどの病原菌となる. 多くは好熱性であるが, 両半球の温帯地域にも広く分布する.

分布及び既知種: 南極大陸を除きほぼ世界的; 約250 種.

  類似属との相違点: アミヒダタケ属 Campanella は実質がゼラチン化するが, 偽担子器が紡錘形ではなく, 網ヒダ状の子実層托を形成する.

モリノカレバタケ属 Gymnopus (広義の Collybia) Sect.Subfumosae の上表皮層の菌糸はラメアレス構造をなすが, 柄の基部に発達した明瞭な菌糸体 (広範囲に見られる繊維状密綿毛状~硬先毛状の菌糸体の塊) を持つ. 柄の基部が菌糸体(毛)に被われる Marasmiellus 所属

菌は, 子実体がヒラタケ型になり, 側シスチジアを持つ点で Gymnopus 属と容易に区別できる.

ヒナノヒガサ属Gerronema はヒダサカズキ型の子実体を形成し, 柄の根元に発達した菌糸体(毛)を持つ.

Neoclitocybe は 1) ヒダが常に深く垂生するかまたは少なくとも弧状にやや垂生し, 2) 柄は時に偏在するが通常中心生, 3) 胞子は Marasmiellus 属と同様であるがしばしば微小, 4) 実質は非ゼラチン質. 偏在生の柄を持つ Neoclitocybe 属は, 基部に発達した菌糸体があり, 典型的なラメアレス構造を欠く点で, ヒラタケ型の子実体を形成する Sect. Marasmiellus の仲間と異なる. 尚, Singer (1986) はドクササコを Neoclitocybe acromelalga (Ichimura) Sing.として Neoclitocybe 属に編入している.

シラウメタケモドキ属 Hemimycena の柄は通常中心生, ヒダは時に明らかに垂生し, 常に無色~ほぼ無色, 柄の基部は通常明瞭な毛に被われる. Hemimycena 属に類似した Marasmiellus 所属菌 (中心生の柄を持ち, 全体に白色, また Hemimycena 属に見られない

Marasmiellus 属特有の性質 [剛毛状の毛, クランプの欠如, 典型的なRameales構造など] を欠く場合も) は常に柄の基部が無毛で, 紡錘形の偽担子器を持つ. また絹状の被膜またはツボを持つ種類は Marasmiellus 属に所属する. 一般に典型的な Hemimycena 属の実質は多数の肥大菌糸 (Mycena-type) からなるかまたは著しく肥大した骨格菌糸が細い原菌糸の間に混在した構造(sarcodimitic)を成す.

サカズキホウライタケ属 Micromphale の上表皮層は常にRameales構造を欠き, しばしば傘にゼラチン層を形成し, しばしば黒色根状菌糸束を持つ.

アシグロホウライタケ属 Tetrapyrgos = Pterospora Metrod (1949) sensu Horak (1984)は, Sect. Nigripedes の担子胞子の形状を過大に重視した人為的分類群と考えられる.

                   


Marasmiellus属の節までの検索表


A.菌糸及び担子器の基部にクランプを欠く. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Sect.7. Defibulati

A.菌糸及び担子器の基部にクランプがある. → B.

 B.子実体はモリノカレバタケ型またはクヌギタケ型で, 柄は中心生. C.

 B.子実体はヒラタケ型で, 柄は偏在生~やや側生, 稀に側生または無柄, 柄は通常著しく屈曲し, しばしば相対的に短く, 発達が悪い. I.

C.担子胞子は星型~十字型. 柄の基部は灰色, 灰緑色(caesious)または黒色. 実質はしばしばゼラチン化する. 明瞭な

Rameales構造がある. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アシグロホウライタケ節 Sect.10. Nigripedes

C.担子胞子は正常型 (terete). 実質はゼラチン化しないかまたは不明瞭. D.

D.柄の基部は急激に細まる. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Sect.4. Tetrachroi

  D.上記と異なる. E.

E.傘の上表皮層は明瞭な Rameales構造を欠く. F.

E.傘の上表皮層は発達した Rameales構造が存在する. H.

F.傘の表皮に剛毛体様細胞がある. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Sect.3. Stenophylloides

F.傘の表皮に剛毛体様細胞はない. G.

G.柄の基部は灰色を帯びる. 担子胞子は一般に10.4μm以上. 傘は一般に白色. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ シロホウライタケ節 Sect.1. Candidi

G.柄の基部は灰色を帯びない. 担子胞子は一般に10.4μm未満. 傘は無色または有色. ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ハルノキノボリホウライタケ節 Sect.2. Dealbati

H.担子胞子は長さ10μm以上. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ カヤネヒメホウライタケ節 Sect.5. Tricolores

H.担子胞子は長さ10μm未満 (不稔性の奇形子実体を形成するかまたは僅かな被膜が見られる場合は Sect.Tricolores を参照).

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ サトヤマホウライタケ節 Sect.6. Rameales

I.担子胞子は星型~十字型 (アシグロホウライタケ節 Sect.10. Nigripedesを参照).

I.担子胞子は線対称で, 不規則な突出部を持たない. J.

J.傘実質に明瞭なゼラチン帯が存在する. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Sect.9.Distantifolii

J.傘の実質は非ゼラチン質. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ムラサキヤマンバ節 Sect.8. Marasmiellus

                    


節, 亜節の概念


シロホウライタケ節 Sect.1. Candidi (Bat.) Singer: 上表皮層に発達した Rameales構造はない; 担子胞子は通常長さ10.4μm以上; 子実層にシスチジアがしばしば存在する; 柄の基部は灰色を帯びる; ヒダは一般に浅い連絡脈を持ち, しばしば垂生するが, カヤタケ型にはならない; 傘は一般に白色. 基準種:M. candidus (Bolton) Singer (1948).

 本節は Sect.3. Stenophylloides と Sect.2. Dealbati の中間的な性質を示す.


日本産既知種

シロホウライタケ M. cf. candidus (Bolton) Singer (1948) [= M. albocorticis Secr. ex Singer [as 'albus-corticis'], Lilloa 22: 300 (1951)]


ハルノキノボリホウライタケ節 Sect.2. Dealbati Singer: 上表皮層に発達した Rameales構造はない; 担子胞子は一般に長さ10.4μm未満; 柄の基部は灰色を帯びない; 傘は有色または無色. 基準種:M. dealbatus (Berk. & M.A. Curtis) Singer (1955).


Subsect. Dealbatini Singer: 傘は無色, 稀に中央部が淡色 (淡い肉桂色~クリ-ム色)を帯びる; 柄は一般に無色, 稀にやや肉桂色または黄褐色を帯びる. 基準種:M. dealbatus (Berk. & M.A. Curtis) Singer (1955).

ハルノキノボリホウライタケ亜節 Subsect. Quercini Singer: 傘は有色 (但し周縁部はしばしばやや淡色になる); 柄は成熟すると常に有色になり, 特に下半部において濃い褐色, 肉桂褐色を帯びる. 基準種:M. quercinus Singer (1973).


日本産既知種

ハルノキノボリホウライタケM. vernalis Har. Takah. (2006): 子実体は微小で, 全体に褐色を帯び, 表皮組織に顕著な褐色の凝着色素が存在する. Rameales構造の発達が悪く, 傘と柄の表皮組織が有色で, 成熟時柄の根元が灰色を帯びない点において, Singer (1973, 1986)

の分類概念における sect. Dealbati subsect. Quercini に近縁と思われる. 春季 (4月~5月), クロマツの生木樹皮に群生する.


スナジホウライタケ M. cf. mesosporus Singer apud Singer, L. T Lucas & Warren, Mycologia 65(2): 469. (1973).

Synonymy: Marasmiellus dunensis Robich, G. Moreno & Poder, Mycotaxon 42: 181. (1991).

北海道(石 狩), 宮城, 福島,千葉,神奈川, 静岡,富山,石川,兵庫, 徳島などの日本の海岸砂丘地帯に普通に見られる. 世界的に広く分布し, 海岸砂丘に自生するコウボウムギ(カヤツリグサ科)やハマニンニク(イネ科)などの茎および地下茎に寄生する病原菌 (Marasmius-blight fungus) として知られている. 海外における分布はアメリカ南東部, アジア(中国, パキスタン), ハワイ諸島, 欧州(地中海沿岸地域).

これまで本種の和名とされてきた"カヤネダケ"はニセホウライタケの異名であるため, スナジホウライタケに改名された (Takehashi et al. 2007). 尚, 川村清一氏によるカヤネダケの学名 Crinipellis caulicianalis は, 現在では Crinipellis scabella (Alb. & Schwein.) Murrill のMisapplied name とされており, 一方ニセホウライタケの学名に採用されてきたC. stipitaria (Fr.) Pat. (1889)は C. scabella (Alb. & Schwein.) Murrill (1915) の異名とされている.


シロスナホウライタケ Marasmiellus arenaceus Har. Takah., Taneyama & S. Wada, in Takahashi, Taneyama, Kobayashi, Oba, Hadano, Hadano, Kurogi & Wada, The fungal flora in southwestern Japan, Agarics and boletes 1: 141 (2016)

Sect.3. Stenophylloides Singer: 担子胞子は大型で長さ10μm以上; 上表皮層はしばしばラメアレス構造を持つ; 傘の表皮に有色の壁を持つ剛毛体様の毛が存在する; 剛毛体様の毛以外の性質は Candidi 及び Tricholores の両節と共通する. 基準種:M. stenophylloides (Dennis) Dennis (1970).


日本産既知種

オオミノアマタケ Collybia macrosperma Har. Takah. (2001)

子実体は類白色で全体に細軟毛に被われる. 剛毛体様の毛は存在しないが, 傘と柄が明瞭な無色薄壁の毛状皮嚢体に被われ, 長形の担子胞子 (長さ 10-15μm) を有し, 根本に発達した菌糸体を持たない点で, Marasmiellus Sect. Stenophylloides に近縁と思われる. 神奈川県川崎市生田緑地のイヌシデ, シラカシ, コナラを主とする林内の落枝上に発生.


Sect.4. Tetrachroi Singer: 上表皮層はしばしば Rameales構造を持つ; 子実体は著しく有色; 担子胞子は長さ 8.7μm以下; 柄の根元は急激に細まる. 基準種:M. tetrachrous (Singer) Singer (1962).


カヤネヒメホウライタケ節 sect.5. Tricolores Singer: 上表皮層は常に発達した Rameales構造を形成する; 担子胞子は長さ 10.4μm以上; 傘は一般に白, クリ-ム, 灰または帯緑色; 柄の根元は急激に細まることはないがしばしば灰青色(caesious)または灰色を帯びる; 子実層

に明瞭なシスチジアは存在しない. 基準種:M. tricolor (Alb. & Schwein.) Singer (1946).

  

日本産既知種

カヤネヒメホウライタケ M. cf. tricolor (Alb. & Schwein.) Singer (1946) var. graminis (Murrill) Singer (1973): 通常イネ科の枯れた茎(culm), 根, 葉などに発生し, 芝生やイネ科などの植物の病原菌. M. tricolor var. vialis (Peck) Singer (1973). は担子胞子がやや小型 (7.5-10×3-4.8μm).


  フタツミカレバタケ M. brunneocarpus Har. Takah. (2000): 傘と柄は褐色を帯び, 2胞子性. 広葉樹の落ち葉上に発生. 神奈川県大和市.


サトヤマホウライタケ節 Sect.6. Rameales (J.Lange) Singer: 担子胞子は通常長さ 10.5 μm未満; 傘は無色または有色; 上表皮層は明瞭なRameales構造を形成する; 傘の実質は非ゼラチン質. 基準種:M. ramealis (Bull.) Singer (1946).


ヒノキオチバタケ亜節 Subsect. Opacini Singer: 傘は通常白~類白色. 基準種:M.opacus (Berk. & M.A. Curtis) Singer (1951).


日本産既知種

 シモフリアシグロタケ M. atrostipitatus Har. Takah. (2000): 傘は純白色で放射状の溝線を表す. 柄は黒色粉状. 老成時ニンニク臭を発する. 広葉樹の落ち葉上または落枝上に発生. 神奈川県大和市.


ヒノキオチバタケ M.chamaecyparidis (Hongo) Hongo (1975) (Marasmius, Hongo): 全体灰白色, 幼時多少薄い藤色を帯びる; 傘と柄の表面は微粉状 (皮嚢体が存在する); ヒダはきわめて疎; 縁シスチジアは不規則な樹枝状; スギ, ヒノキ, 赤松などの針葉樹の落ち葉, 落枝, 球果などに群生; 日本産.


Subsect. Umbilicatini Singer: 傘は有色; 柄は帯褐色の壁を持つかなり長い (しばしば 100μm以上) 剛毛体様の毛を持つ. 基準種:M. umbilicatus Singer (1973).


Subsect. Pseudoconidiophori (Singer) Singer (Hemimycena sect. Pseudoconidiophori Sing.): 上表皮層およびヒダの縁部に球状分生子形 (globulose-conidia-like)の多分枝突起 (diverticula) を持つシスチジアが存在する; 材上生; アジア産. 基準種 (単一タイプ): M.pseudoconidiophorus (Singer) Singer.


サトヤマホウライタケ亜節 Subsect. Ramealini Singer: 柄の表皮は剛毛体様の毛を欠く; 傘は有色; ヒダは縁取りを欠く. 基準種:M. ramealis (Bull.) Singer (1946). Omphalotaceae


日本産既知種

サトヤマホウライタケ M.gregarius Har. Takah. (2001): 子実体は小型で淡褐色を帯び, 傘の表皮は明瞭な Rameales構造からなり, 相対的に小型の胞子 (長さ 10μm以下) を持つ. 東京都高尾山のテイカカズラ及びタマアジサイの枯枝上に群生.


Subsect. Brunneomarginatini Singer: ヒダは淡黄褐色に縁取られる (pale tawny from cheilocystidia); 担子胞子は幅が狭く, Q = 3 以上 (円柱形~棒形[bacciliform]). 基準種:M.brunneomarginatus Singer (1973).


Sect.7. Defibulati Singer: クランプを欠く点で属内の他の全ての分類群と異なる. 基準種:M.defibulatus Singer (1955).


Subsect. Defibulatini Singer: 傘はほぼ白色. 基準種: M. defibulatus Singer (1955).


Subsect. Subcoracini Singer: 傘は濃色. 基準種:M. subcoracinus (Berk. & M.A. Curtis) Singer (1955).


ムラサキヤマンバ節 Sect.8. Marasmiellus: 子実体はヒラタケ型 (柄は偏在生~やや側生, 稀に側生または無柄, 柄は通常著しく屈曲し, しばしば相対的に短く, 発達が悪い); 傘の実質はゼラチン化しない; 傘の上表皮層は Rameales構造を持つかまたは欠く; 熱帯を中心に分布する. 基準種:M. juniperinus Murrill (1915).

小笠原諸島産ムニンシロホウライタケ M. leiophyllus (Berk. & M.A. Curtis) Neda (Neda 2004. Mycescience 45:181-187) は本節に属するとされているが, 担子胞子に関する記述がないため, 分類学的位置については疑問が残る.


Subsect. Sphaerosporini Singer: 担子胞子は広幅. 基準種:M. sphaerosporus Singer (1973).


ムラサキヤマンバ亜節 Subsect. Inodermini Singer: 傘の色素は青紫~紫色またはほぼ無色; ニンニク臭はない. 基準種:M. inoderma (Berk.) Singer (1955).


日本産既知種

  ムラサキヤマンバ M. crassitunicatus Har.Takah. & Degawa (2006)


Subsect. Bolivarianini Singer: ヒダの縁部は変色性がある. 基準種:M. bolivarianus Singer (1973).


Subsect. Marasmiellus (= Subsect. Gilvini Singer. type:M. gilvus (Pat.) Singer (1955)): 傘の表皮は濃色; ヒダは不変色; 時にニンニク臭がある.


Sect.9. Distantifolii Singer: 子実体はヒラタケ型 (柄は偏在生~やや側生, 稀に側生または無柄, 柄は通常著しく屈曲し, しばしば相対的に短く, 発達が悪い); 傘の実質は明瞭にゼラチン化する; 傘の上表皮層は明瞭な Rameales構造を形成する. 基準種:M. distantifolius (Murrill) Singer (1962).


アシグロホウライタケ節 Sect.10. Nigripedes Singer: 子実体の類型はモリノカレバタケ型またはヒラタケ型; 傘の実質はゼラチン化する; 担子胞子は星型~十字型; 上表皮層はRameales 構造を形成する; 柄の下部はしばしば灰, 灰緑色(caesious), 緑, 黒, 青色になる. 基準種:M.nigripes (Schwein.) Singer (1946).


日本産既知種

  アシグロホウライタケ M. cf. nigripes (Schwein.) Singer (1946) = Tetrapyrgos nigripes (Schwein.) E. Horak, Sydowia 39: 102 (1987) [1986]: 植物の枯れ葉, 茎, 果実などに発生; 南北アメリカ, アジア, アフリカ, 特に熱帯~亜熱帯地域.


所属位置未定種 incertae sedis


以下の発光菌はワサビタケ属分岐群(panelloid clade)との系統的類縁関係が示唆されている.

ヒメホタルタケ Marasmiellus lucidus Har. Takah., Taneyama & S. Kurogi, in Takahashi, Taneyama, Kobayashi, Oba, E. Hadano, A. Hadano, Kurogi & Wada, The fungal flora in southwestern Japan, Agarics and boletes 1: 155 (2016)

ヒメヒカリタケ Marasmiellus venosus Har. Takah., Taneyama & Hadano, in Takahashi, Taneyama, Kobayashi, Oba, E. Hadano, A. Hadano, Kurogi & Wada, The fungal flora in southwestern Japan, Agarics and boletes 1: 155 (2016)