写真: 緒方光明氏

ヌナワタケ属 (Roridomyces)の胞子発光菌

大場由美子さんに送っていただいた奥多摩で見つかった謎の発光菌のお写真です。柄が粘液に被われ、柄と基質が発光していたとのこと。

胞子紋は光らなかったとのことですが、濡らした紙の上でないと発光性胞子は光らない場合があり、傘が発光していないこと、柄の粘液に付着した胞子が蓄積して根元付近が強く発光しているように見えること、また子実体周辺の基質表面が均一に発光していることから、宮崎県産アヤヒカリタケ近縁種の可能性が高そうです。


また八丈島でも大場さんがヌナワタケ属の胞子発光菌を発見していますが、子実体が微小で孤生する性質があることから、宮崎県産アヤヒカリタケとは系統が異なると思われます。

今のところ23系統あると思われる日本産の胞子発光菌は東南アジア (ラバウル, マラヤ, スリランカ) およびブラジルに分布する Roridomyces lamprosporus (Corner) Rexer (Corner 1950; Horak 1978; Rexer 1994)近縁種群の仲間と考えられます。

文献

Corner, E.J.H. 1950. Descriptions of two luminous tropical agarics (Dictyopanus and Mycena). Mycologia. 42: 423-431

Horak, E. 1978. Mycena rorida (Fr.) Quel. and related species from the Southern Hemisphere. Berichte der Schweizerischen Botanischen Gesellschaft. 88 (1-2): 20-29

黒木秀一. 2015. 宮崎のきのこ. 鉱脈社.

Rexer, K.-H. 1994. Die Gattung Mycena s.l., Studien zu Ihrer Anatomie, Morphologie und Systematik. Eberhard-Karls-Universitat, Tubingen. 1-305pp.


https://twitter.com/mushroomer008/status/754092330752184320?s=20

八丈島産胞子発光菌。2016/7/16. 写真: 大場由美子氏

https://twitter.com/mushroomer008/status/747128437106565120?s=20

八丈島産胞子発光菌。2016/6/27. 写真: 大場由美子氏