クヌギタケ属

Mycena (Pers.) Roussel, Fl. Calvados, Edn 2: 64 ('46') (1806)

 基準種:M. galericulata (Scop.) Gray (1821).


 Singer (1986) による分類概念 (高橋の見解を加えて一部修正した)

子実体は一般にクヌギタケ型 (mycenoid: 傘は円錐形~釣鐘形, 縁部は幼時内側に巻かず, 柄は一般に細長いが糸状ではなく, 軟骨質 [しなやかで強靱, 内部は繊維質] であるがやや脆い) またはヒダサカズキ型 (後者の場合, 傘の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる), 時にモリノカレバタケ型 (但し傘の縁部は幼時内側に巻かない), まれにウラベニガサ型; 傘は通常肉が薄く, 湿時周縁部に半透明の条線を表し (吸水性), 幼時粉状のち平滑になるものが多い; 傘の上表皮層は一般に短指状分岐物に被われた糸状菌糸が平行菌糸被を形成するが, 時に毛状の皮嚢体に被われる; 傘の上表皮層が平滑な菌糸からなる場合, 次の 1)~5) の内, 少なくとも何れか一つの性質を示す: 1) 担子胞子が濃いアミロイドまたは実質が偽アミロイド, 2) 多数の乳液菌糸が存在する, 3) 傘及び柄が著しい粘液に被われる, 4) 柄の基部が無毛, 5) 上表皮下層が明瞭なミセナ構造 (偽柔組織状で, 偽アミロイドに染まる短形の肥大細胞が平列した構造) になり, この構造は通常平列型の子実層托実質及びヒダの真上の層 (supralamellar layer: immediately above the lamellae) にも見られる; 子実層托は通常ヒダ状, まれに管孔状; ヒダは離生~垂生; 子実層托実質は平列型またはやや細胞状 (subcellular), 一般に濃い偽アミロイド, 稀に非アミロイド; 柄の基部はしばしば剛毛状の毛に被われ, 時に盤状~台状, または偽根を持つ; 柄の表皮組織の菌糸は平滑または短指状分岐物に被われ, 時に様々な形状の柄シスチジアが存在し, まれに毛状皮嚢体を有する; 胞子紋は白色~淡クリ-ム色; 胞子壁は無色, 等質, 平滑,薄壁, 非 コットンブルー染色性; 通常縁シスチジアが存在し, 側シスチジアもしばしば存在する; 柄は中心生, 時に傷を受けると乳液を出し (多数の乳液菌糸を持つ場合), 通常非常に細長く, 脆い~やや軟骨質, 中空; 一般に被膜を欠く; 吸水復元性はない; 柄の菌糸は一般に偽アミロイド; 菌糸はクランプを持つかまたは欠く; 黒色根状菌糸束はない; しばしば発光性が見られる.

生態: 樹皮, 材, シダ類(Pteridophyta), 苔, 落ち葉, 腐植上, 砂上,地上, 毬果などの様々な基質から発生し, Sect..Citricoloresに見られる繁殖体として機能する不稔性の子実体様構造 (stilboid generation)はコーヒーの葉の生体に寄生する病原菌として知られている.

分布及び既知種: ほぼ世界的に分布; 世界に約 500種知られている.



クヌギタケ属に関する主なモノグラフ


1) Corner EJH. 1994. Agarics in Malesia. II. Mycenoid. Beiheft Nova Hedwig. 109:165-271.


2) Desjardin, 1995. A Preliminary Accounting of the worldwide members of Mycena sect. Sacchariferae. In Taxonomic Monographs of Agaricales. Bibl. Mycol. 159: 1-89.


3) Grgurinovic, C.A. 2002. The genus Mycena in South-Eastern Australia. Fungal Diversity Press. 329pp.


4) Kuhner, R. 1938. Le Genre Mycena. Paul Lechevalier, paris. 710pp.


5) Lisiewska, M. 1987. Grzyby (Mycota) Tom XVII. Warszawa-Krakow. 130pp.


6) Maas Geesteranus, R.A. 1992. Mycenas of the Northern Hemisphere. Ⅰ. Studies in Mycenas and other papers. Royal Netherlands Academy of Arts and Sciences, Amsterdam. 391pp.


7) Maas Geesteranus, R.A. 1992. Mycenas of the Northern Hemisphere. Ⅱ. Conspectus of the Mycenas of the Northern Hemisphere. Royal Netherlands Academy of Arts and Sciences, Amsterdam. 493pp.


8) Maas Geesteranus, R.A. & Meijer, A.A.R. 1997. Mycenas Paranaenses. Royal Netherlands Academy of Arts and Sciences, Amsterdam. 164pp.


9) Metrod, G. 1949. Ⅲ. Les Mycenes de Madagascar (Mycena, Corrugaria, Pterospora). Paris. 146pp.


10) Rexer, K.-H. 1994. Die Gattung Mycena s.l., Studien zu Ihrer Anatomie, Morphologie und Systematik. Eberhard-Karls-Universitat, Tubingen. 1-305pp.


11) Robich, G. 2003. Mycena D'Europa. AMB, Trento. 728pp.


12) Smith, A.H. 1947. North American Species of Mycena. University of Michigan Press, Ann Arbor. 521pp.



クヌギタケ属の節迄の検索表


1. 繁殖体として機能する不稔性の子実体様構造(stilboid generation)が基質(コーヒーの葉)上 にしばしば子実体と同時発生する. 新熱帯産........Sect.Citricolores

1. 上記の様な子実体様構造を伴わない. 2

2. 傘の上表皮層を構成する菌糸の末端細胞は球形~嚢状に膨大し, 子実層状被を形成する. 3

2. 傘の上表皮層の菌糸は円柱形で平行菌糸被を成し, 平滑または短指状分岐物に被われる. 5

3. 柄の表皮は剥離しやすい厚い粘液の層に被われる. ............................... ..........ヌナワタケ属 Roridomyces

3. 柄の表皮は粘性を欠く. 4

4. 傘の上表皮層はアカントシスト様細胞からなる. 傘の表面は小鱗片状, 微突起状, 綿毛状, または粒状の被膜に被われる. ......シロコナカブリ節 Sect.Sacchariferae

4. 傘表皮は円柱形~類小のう状細胞が不連続な子実層状被を成す. 傘の表面は被膜を欠く. ............................ Sect. Kermesinae

5. 傘は実質から剥がしやすいゼラチン質の表皮を持つ. 6

5. 傘は上記と異なる. 18

6. 柄の基部は急激に広がり, 盤状になる. 7

6. 柄の基部は上記と異なる. 10

7. 担子胞子は球形~類球形. ........................................................Sect. Clavulares

7. 担子胞子は楕円形, 長楕円形または類円柱形. 8

8. 担子胞子は非アミロイド. ........................................................Sect. Bulbosae

8. 担子胞子はアミロイド. 9

9. 傘の上表皮層の菌糸は針形の分岐物に被われ, 微突起に被われたこん棒形の傘シスチジアが存在する.................ヤコウタケ節 Sect. Exornatae

9. 傘の上表皮層の菌糸は大きさと形状が不規則な短指状分岐物に被われ, 傘シスチジアを欠く....................キュウバンタケ節 Sect.Basipedes

10. 柄の根元は青~灰緑色(caesious green)を帯び, 柄は全体に微毛に被われる. 11

10. 柄の根元は青味を帯びない. 12

11. 傘の中央部は灰色で, 周縁部はクリーム黄色~青緑色を帯びる. 縁シスチジアおよび柄シスチジアは円柱形で平滑. .......アオミノアシナガタケ節 Sect. Amictae

11. 傘は白色, 灰色, 灰褐色. 縁シスチジアおよび柄シスチジアはこん棒形で頂生の付属糸を持つ. .......................Sect.Viscipelles Kuhner

12. ヒダの縁部は剥がしやすいゼラチン化した層を形成する. 16

12. ヒダの縁部はゼラチン化した層を形成しない. 13

13. 縁シスチジアは紡錘形で痩せ型の長い柄を具え, 平滑または少数の短指状付属糸を持つ. 縁シスチジアと同形の側シスチジアが存在する.

........................................Sect. Euspeireae Maas Geest.

13. 縁シスチジアは無柄または短形の柄を持つ. 14

14. 柄は基質上の菌糸マットに接続する. 子実体はヒダサカズキ型. ................................Sect. Calamophilae Maas Geest.

14. 柄は基質に直接着く. 15

15. 縁シスチジアは平滑または1から数個の粗大な指状付属糸を持つ.子実体はヒダサカズキ型またはクヌギタケ型...............Sect. Insignes Maas Geest.

15. 縁シスチジアは多数の短指状付属糸に被われる.子実体はヒダサカズキ型.............................エヌメリタケ節 Sect. Cinerellae

16. 担子胞子は類球形. ......................................................Sect. Exiguae Maas Geest.

16. 担子胞子は楕円形. 17

17. 柄は通常黄色を帯びる. ............................................... ナメアシタケ節 Sect. Hygrocyboideae

17. 柄は灰色, 灰褐色を帯びる. 針葉樹林内に発生. ................................... ハイイロナメアシタケ節 Sect. Fuliginellae

18. 担子胞子は非アミロイド. 19

18. 担子胞子はアミロイド. 23

19. 傘は黄色, 橙色, ピンク色, 赤色. 21

19. 傘は白色, クリ-ム色, 灰色, 黄褐色.20

20. 傘は長形の剛毛体様シスチジアが散生する..........................ケブカキュウバンタケ節 Sect. Longisetae A.H.Sm. ex Maas Geest.

20. 傘は剛毛体様シスチジアを欠く. ...........................................ウスズミコジワタケ節 Sect. Hiemales

21. 柄の上表皮層の菌糸は平滑. 22

21. 柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる.傘は橙黄色, オレンジ色で, 中央部は 赤色を呈する. 柄は黄色. ..........ベニカノアシタケ節 Sect. Aciculae

22. ヒダの縁部は黄色の色素を持つ縁シスチジアの存在により黄色く縁取られる...........................クチバタケ節 Sect. Oregonenses

22. ヒダは縁取りを欠く. ..................................コウバイタケ節 Sect. Adonideae (→ コウバイタケ属 Atheniellaを参照)

23. 柄は傷を受けると半透明, 乳白色または濃色(黄, 橙, 赤)の乳液を出す. 24

23. 柄は乳液を出さない. 29

24. 柄は傷を受けると濃色(黄, 橙, 赤)の乳液を出す. 25

24. 柄は傷を受けると半透明または乳白色の乳液を出す.27

25. 縁シスチジアは紡錘形またはフラスコ形,平滑. 26

25. 縁シスチジアはこん棒形で, 円柱形の頂生付属糸に被われる. .................................アカチシオタケ節 Sect. Crocatae

26. 傘および柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる; 柄シスチジアは縁シスチジアと同形. .............. ヒメチシオタケ節 Sect. Sanguinolentae

26. 傘および柄の上表皮層の菌糸は平滑で,柄シスチジアは短指状分岐物に被われ,縁シスチジア(紡錘形, 平滑)と類型が異なる....... チシオタケ節 Sect. Galactopoda

27. 乳液は半透明. 側シスチジアは発達が悪いかまたはこれを欠く.28

27. 乳液は乳白色. 側シスチジアは明瞭に発達する.  .................................... ニセチシオタケ節 Sect. Lactipedes

28. 縁シスチジアはほぼ平滑. .......................................M. abramsii (アクニオイタケ節 Sect. Fragilipedes)

28. 縁シスチジアは短指状付属糸に被われる.......................................Sect. Monticola Singer ex Maas Geest.

29. 担子胞子は球形~類球形. 縁シスチジアはこん棒形または不規則な形状を成し,多数のやや長い短指状付属糸が均等

あるいは不均等に表面を被う..................................................Sect. Supinae Konr. & Maubl.

29. 担子胞子は楕円形~円柱形. 30

30. ヒダは縁取りがある. 31

30. ヒダは縁取りを欠く. 37

31. 縁シスチジアは平滑または1-数個の屈曲した長い頂生の指状付属糸を持つ.32

31. 縁シスチジアは多数の微突起に被われる.35

32. 傘の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる.33

32. 傘の上表皮層の菌糸は平滑. ヒダの縁部は紫褐色~暗紫褐色で, 鋸歯状を成す..........アカバシメジ M. pelianthina (Sect. Calodontes Subsect. Marginatae)

33. ヒダの縁部はオリ-ブ緑色, オリ-ブ褐色, オリ-ブ灰色または黄褐色に縁取られる.傘の上表皮層の菌糸および柄シスチジアは 短指状分岐物を持つ.34

33. ヒダはピンク色, 赤褐色, 紫褐色, 暗紫色に縁取られる...............................フチドリクヌギタケ節 Sect. Rubromarginatae

34. ヒダは黄褐色に縁取られる. 傘は淡褐色または暗黄褐色. 子実体は強い発光性を持つ......シイノトモシビタケ M. lux-coeli (アクニオイタケ節 Sect. Fragilipedes)

34. ヒダはオリ-ブ緑色, オリ-ブ褐色, オリ-ブ灰色に縁取られる. 傘は帯黄色~帯オリ-ブ褐色.子実体は発光性を欠く

.................................. ....キアシクヌギタケ M. viridimarginata (アクニオイタケ節 Sect. Fragilipedes)

35. 側シスチジアが存在する. ......... ......................................36. (Sect. Luculentae Maas Geest.)

35. 側シスチジアを欠く. 子実体は微小で糸状の柄を持つ. 縁シスチジアはこん棒形~類洋梨形で赤色の内容物を有し, 長さ0.5-17μmの指状付属糸に被われる.

......................................Sect. Pterigenae (Maas Geest.) Maas Geest.

36. 傘は鮮やかなピンク色, 帯紫紅色, 帯褐ピンク色. 側シスチジアは平滑. 縁シスチジアは短指状付属糸に被われる.......... Sect. Luculentae Subsect. Rosellae

36. 傘は褐色, 帯褐灰色, 帯黄色, 帯黄色, 橙黄色, 橙赤色. 側シスチジアおよび縁シスチジアは短指状付属糸に被われる

..................ダイダイフチドリクヌギタケ亜節 Sect. Luculentae Subsect. Elegantes

37. 柄の基部はキュウバンタケ型. 新鮮な時青~青緑の色素を持つ................................Sect. Cyanocephalae (Singer) Singer

37. 柄の基部は上記と異なる. 38

38. 子実体はクヌギタケ型またはウラベニガサ型で,傘の表面にヒトヨタケ類の様な扇状の溝線を表し,ヒダは離生. ........... コガネハナガサ節 Sect. Radiatae

38. 子実体の類型は上記と異なる. 39

39. 傘は円柱形で, 成熟しても平開せず, 柄の頂部は急激に膨大する. .................................アリノカサタケ節 Sect. Pictae

39. 子実体の類型は上記と異なる. 40

40. 柄の基部は基質上に発達した類白色の菌糸マットに接続する. 41

40. 柄の基部は基質に直接接続する. 43

41. フラスコ形で平滑な側シスチジアが存在する......................................... Sect. Carolinenses Maas Geest.

41. 側シスチジアはない. 42

42. 傘の上表皮層およびヒダの縁部は粘質物に囲まれる.子実体はヒダサカズキ型...........................Sect. Saetulipedes Maas Geest.

42. 傘の上表皮層およびヒダの縁部は粘性を欠く.子実体は微小(傘の径0.7-2.3mm)で, ヒダは発達が悪く, しばしば脈状に退化し, 柄に到達するヒダは 0-5.

...................................Sect. Rarifoliatae Aronsen & Maas Geest.

43. 傘の上表皮層はゼラチン化し, 菌糸は平滑で輪状に広く隙間の開いたクランプを形成する. ......................Sect. Ingratae Maas Geest.

43. 上記と異なる. 44

44. 側シスチジアは紡錘形で上部が円柱状に長く伸び,頂部または腹部だけが疣状~短指状 付属糸に被われる............ブシクヌギタケ節 Sect. Intermediae

44. 側シスチジアの類型は上記と異なるかまたは側シスチジアを欠く.45

45. 縁シスチジアの形状は様々で, 平滑または 1~数個の粗大な短指状付属糸を持つ.46

45. 縁シスチジアは多数の短指状付属糸に被われる. 48

46. 縁シスチジアは油脂シスチジア型で成熟後無色または±帯黄色の樹脂状分泌物に被われ,樹枝状糸状体(Dendrophyses, Dendrohyphidia)が混在する.傘および柄の上表皮層は油脂シスチジアおよび樹枝状分岐物に被われ た菌糸が散生または密生する. .........................Sect. Pudicae (= Resinomycena)

46. 子実体は油脂シスチジアを欠く.47

47. 子実体はモリノカレバタケ型に類似する. 傘と柄の上表皮層の菌糸および柄シスチジアは平滑. 縁シスチジアは一般に平滑.......アカバシメジ節 Sect. Calodontes

47. 上記と異なる. ....................................................アクニオイタケ節 Sect. Fragilipedes

48. 縁シスチジアはこん棒形~倒洋梨型で,微細な疣状突起またはやや長い不規則な形状の短指状付属糸が等間隔で密生する. 傘および柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に

被われる. 49

48. 縁シスチジアは一般にこん棒形で, やや長い不規則な形状の短指状付属糸が不均等に表面を被う.................... クヌギタケ節 Sect. Mycena

49. 頭部を欠く根状菌糸束 (rhizomorph)形の菌糸束状柄が子実体と同時発生する.縁シスチジアは2型で, 粗面の縁シスチジアと平滑で上部に長い円柱形の嘴状突起を具えた

片脹れ状縁シスチジアが混在する. .................................................. Sect. Maldeae Grgur.

49. 菌糸束状柄は存在しない. 縁シスチジアは粗面のタイプのみ. 50

50. 子実体は微小~小型 (傘の径1-5mm). 側シスチジアを欠く. .............................. Sect. Polyadelphia Singer ex Maas Geest.

50. 子実体は上記より大型. 柄の根元は時に青または赤紫色を帯びる.縁シスチジアと同型の側シスチジアを持つか欠く........ ニオイアシナガタケ節 Sect. Filipedes


節, 亜節の概念


シロコナカブリ節 Sect.Sacchariferae Kuhner (1938) ex Singer (ss. Desjardin, 1995)

基準種:M.tenerrima (Berk.) Sacc. (= Mycena adscendens).

傘は微小~小型, 表面は常に円錐形~ピラミッド形の小突起状, 微綿毛状, または細粒点状の外被膜に被われるが, 消失しやすい; 柄の基部は盤状かまたは異なる; 傘の上表皮層は非ゼラチン質で, 菌糸の末端にアカントシスト様細胞 (疣状微突起が密生した球形~こん棒形の肥大細胞) を持つ平行菌糸被もしくはアカントシスト様細胞からなる類子実層状被を成す; Desjardin (1995)によれば, 本節の全ての所属種は, チェロサイトまたはアカントシスト様細胞からなる外被膜 (emanate type) を形成するとされている; 傘の上表皮下層は濃い偽アミロイドに染まる肥大菌糸からなる; 担子胞子は通常アミロイド.


日本産既知種

 シロコナカブリ M. cf. alphitophora (Berk.) Sacc. (1887) [= M. osmundicola J.E. Lange 1914]: 針葉樹の落ち葉, 枯れ枝上; 日本, 欧州, 北米, 西インド諸島, スリランカ, ハワイ諸島, アフリカに分布.


 ココナカブリ M. cryptomeriicola Imazeki & Toki (1955) (ut M. cryptomeriaecola): 柄の基部は明瞭な盤状, 柄シスチジアは平滑で spinulae を欠き (Stirps Adscendens ss. Desjardin の特徴), 担子胞子は非アミロイド; 本種は欧州産 M. adscendens var.carpophila 及び M.nucicola に最も近いが, 非アミロイドの担子胞子およびクランプを欠く菌糸において異なるとされている. 最近ココナカブリのタイプ標本研究が行われたが (Tanaka and Hongo 2003), 欧州産近縁種との異同については現在も不明確である. 滋賀県大滝村産.


M. cf. adscendens (Lasch) Maas Geest. (1981) var. carpophila (J.E. Lange) Desjardin(1995): 白色で径 1 mm以下の傘を形成し、狭円錐形の柄シスチジアを持ち, スギの落葉上に発生; 分布は欧州, 日本(岩手, 茨城, 群馬, 滋賀, 京都) (Mycoscience 44 (6): 421-424 2003).


ミジンキクメタケ M. cf. arundinarialis Pegler, Kew Bull., Addit. Ser. 6: 225 (1977): 根元に暗紫色の菌糸体が存在する. 分布: 東アフリカ, 日本(?).


 コンルリキュウバンタケ Mycena lazulina Har. Takah., Taneyama, Terashima & Oba (2016)


トサカオチエダタケ M. aff. spinosissima (Singer) Desjardin (1995).


M. cupulicola Issh. Tanaka (2003): 縁シスチジアおよび側シスチジアを欠き, 基部でやや厚壁となるフラスコ形の柄シスチジアを有し、分解中のクリ殻斗上に発生; 日本(茨城)産 (Mycoscience 44 (6): 421-424 2003).


キュウバンタケ節 Sect.Basipedes (Fr.) Kuhner

基準種:M.stylobates (Pers.: Fr.) P. Kumm. (1871).

柄の基部は急激に広がり, 盤状になる (肥大した紡錘形~楕円形の菌糸細胞からなる); 傘表皮は著しくゼラチン化する; 青~青緑の色素を欠く; 担子胞子は楕円形~長楕円形, アミロイド.


日本産既知種

  キュウバンタケ M. cf. stylobates (Pers.: Fr.) P. Kumm. (1871): 基盤の表面には放射状の条線があり, 微毛に被われる.


キュウバンタケモドキ M. pseudostylobates Kobayasi (1951): 原記載には傘表皮のゼラチン層の有無および縁シスチジアに関する記述がないため, 本種の分類学的位置については疑問が残る. 菌糸体に発光性があるとされている. 宮崎県産.

文献:

Kobayasi, Y. 1951. Contributions to the luminous fungi from Japan. Journ. Hattori Bot. Lab. 5: 1-6


ヤコウタケ節 Sect. Exornatae Maas Geest. (1982)

基準種:Hiatula boninensis Berk. & M.A. Curtis (1860) (= M. chlorophos (Berk. & M.A. Curtis) Sacc. 1887.)

傘の表皮はゼラチン化する; 柄の基部は急激に広がり, 盤状になる; 担子胞子は楕円形, アミロイド; 縁シスチジアは紡錘形, 平滑但し傘の周縁部付近に存在するものは頂部に分岐物が見られる; 側シスチジアを欠く; 傘の上表皮層はゼラチン化し, 菌糸は針形の分岐物に被われる; 傘シスチジアはこん棒形で微突起に被われる; 柄の上表皮層はゼラチン化せず, 菌糸は平滑; 柄シスチジアは紡錘形, 平滑.


日本産既知種

  ヤコウタケ (別名: グリーンペペ) M. cf. chlorophos (Berk. & M.A. Curtis) Sacc. (1887.)

Synonymy: Mycena cyanophos (Berk. & M.A. Curtis.) Sacc.; Mycena boninensis (Berk. & M.A. Curtis) Singer, (1973)

著しく粘性; ヒダは強い発光性; 竹, ヤシ等の種々の樹木の枯れ幹, 枯れ枝上; 関東以西の太平洋側, 小笠原諸島, 台湾, ミクロネシア, ポリネシア, ジャワ, セイロン.


Sect. Bulbosae Maas Geest. (1983)

基準種(単型節):Mycena bulbosa (Cejp) Ku"hner, Encyclop. Mycol.: 176 (1938).

子実体は微小~小型(傘の径2-4mm); 傘の表皮はゼラチン質で剥がしやすく, 最初粉状のち平滑, 灰~灰褐色を帯びる; ヒダの縁部はゼラチン化した層を形成する; 柄は最初粉状のち平滑, 粘性を欠き, 類白色; 柄の基部は急激に広がり, 盤状になる; 担子胞子は長楕円形~類円柱形, 非アミロイド; 縁シスチジアは類円柱形~こん棒形で, 一個~数個のやや不規則な形状の短指状付属糸を有する; 側シスチジアはない; ヒダ実質は偽アミロイド; 傘の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われ, ゼラチン化する; 柄シスチジアはこん棒形, 円柱形または類紡錘形で, 平滑.


Sect. Clavulares Maas Geest. (1983)

基準種(単型節):Mycena clavularis (Batsch) Sacc., Syll. fung. (Abellini) 5: 298 (1887).

傘の表皮はゼラチン質で剥がしやすく, 灰~灰褐色を帯びる; 柄の基部は急激に広がり, 盤状になる; 担子胞子は球形~類球形, アミロイド; 縁シスチジアはこん棒形で, 複数の細い糸状の頂生付属糸を有する; 側シスチジアはない; ヒダ実質は偽アミロイド; 傘の上表皮層の菌糸および柄シスチジアは平滑.


Sect.Cyanocephalae (Singer) Singer (1986)

基準種:M.cyanocephala Singer (1969).

傘および柄の表皮はゼラチン化せず, 新鮮な時青~青緑の色素を持つ以外はキュウバンタケ節と同様; 南半球に分布.


Sect.Viscipelles Kuhner (1938) (= Cyanescentes Kuhner)

基準種:M. cyanorrhiza Quel. (1875) (s.Kuhner).

柄の根元は青~灰緑色(caesious green), 柄は全体に微毛をおびる; 傘の表皮はゼラチン質. 傘は白色, 灰色, 灰褐色. 縁シスチジアおよび柄シスチジアはこん棒形で頂生の付属糸を持つ.


アオミノアシナガタケ節 Sect. Amictae (A.H. Sm. ex) Maas Geest. (1984)

基準種:M.amicta (Fr.) Quel. (1872)

前節に似るが,傘の周縁部は青緑色を帯び, 縁シスチジアおよび柄シスチジアは円柱形で平滑.


日本産既知種

 アオミノアシナガタケ M. cf. amicta (Fr.) Quel. (1872) 「= M.iris (Berk.) Quel. (1872)」: 特に傘の周縁部と柄の下部に青みがあり, 柄は微毛に被われ (pubescent), 基部はしばしば根状に伸びる; 針葉樹の腐木, 枯れ葉上; 北半球温帯.

Sect.Citricolores Singer (1961)

基準種:Mycena citricolor (Berk. & M.A. Curtis) Sacc. (1887) = Omphalia flavida Maubl. & Rangel, Bull. Soc. mycol. Fr. 30: 46 (1914)

子実体はヒダサカズキ型; 傘の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる; 樹枝状糸状体型(dendrophysoid type)の縁シスチジアが存在する; 傘実質はゼラチン質で, ゼラチン質の菌糸は非アミロイド, 非ゼラチン質の菌糸は偽アミロイド; 担子胞子は楕円~長楕円形, 微小, ?非アミロイド (Pegler [1983]によればアミロイド); 繁殖体として機能する不稔性の子実体様構造 (stilboid generation) がしばしば基質上に子実体と同時発生する; 菌糸体に発光性がある(Buller 1934); 本節の基準種 M. citricolor はコーヒーの葉の病原菌として知られている; 新熱帯 (グアテマラ~ボリビア) に分布.

文献:

1) Buller, A.H.R. 1934. Omphalia flavida, a gemmiferous and luminous leaf-spot fungus. Resaerches on Fungi 6: 397-443.


2) Pegler, D.N. 1983. Agaric flora of the Lesser Antilles. HMSO, London. 668pp.


コガネハナガサ節 Sect. Radiatae Singer (1961) (= Corrugaria ss.Metrod 1949 ut genus)

基準種:M. radiata (Dennis) Singer ex Maas Geest. (1985).

柄の基部は盤状ではなく, 通常無毛 (基質上に菌糸体は見られない); 子実体は青~緑の色素を欠き, 表面は全体に粉状~微毛状; 傘表皮は平滑な長い毛を持つかまたは短い細胞が鎖状に連なる; 縁シスチジアが存在する場合, アカントシスト様ではなく, 時に毛状; 実質の菌糸は不規則且つ不連続にクランプを持つ; 傘の表面はヒトヨタケ類の様な扇状の溝線を表す(plicate-sulcate) かまたは裂け目を生じる(rimose); ヒダは離生; 子実体の類型はクヌギタケ型またはウラベニガサ型; 担子胞子は(弱)アミロイド, 無色, 楕円形~円柱形, 薄壁; 菌糸は偽アミロイドまたは非アミロイド; 通常材上生; 南米, オセアニア, アフリカなどの熱帯地域に広く分布し, 温帯産種は今のところ日本産コガネハナガサとヒマラヤ産 M. indica Sarwal & Rawla (1983) のみ; 既知種は少なくとも12以上.

本節は属内において極めて異質な特徴を示す. 本節の子実体の類型はハラタケ科キヌカラカサタケ属 (Leucocoprinus)との類縁を示唆しているが, 担子胞子は (弱)アミロイドで発芽孔を欠く. Singer (1986)は Leucoinocybe Sing., Hiatula Fr., Leptomyces Mont.の諸属が本節の異名である可能性を指摘している.

Maas (1985) は本節の概念を修正し, 基準種以外の所属種を全て本節から除外した.


日本産既知種

 コガネハナガサ M. auricoma Har. Takah. (1999) (青木実: 日本きのこ図版 No.44): スダジイ, オキナワウラジロガシ, コナラなどの広葉樹の枯れ木に発生.分布は本州 (埼玉, 神奈川, 東京, 三重?, 兵庫?), 沖縄 (八重山諸島).

キジムナハナガサ Mycena comata Har. Takah. & Taneyama (2016)

Sect. Kermesinae Singer (1986)

基準種:M. kermesina Singer (1986).

柄の基部は長毛に被われるが, 基質上の菌糸体は発達が悪い; 傘表皮は円柱形~類小のう状細胞が不連続な子実層状被を成し, 非ゼラチン質; ヒダは直生, 縁取りがあるかまたはない; 実質の菌糸は偽アミロイド; 担子胞子は楕円形, アミロイド; 新熱帯及び南半球の種類は明るい色素 (青または赤) を有し, 退色すると灰または黄色になる.


ニオイアシナガタケ節 Sect. Filipedes (Fr.) Quel.

基準種: M. filopes (Bull.) P. Kumm. (1871).

傘の表面は最初粉状のち平滑, 通常粘性を欠き, 色は様々; 肉はしばしば大根臭, 薬品臭, またはヨードホルムの様な特有の臭気を発する; ヒダは縁取りを欠く; 柄の根元は時に青または赤紫色を帯びる; 担子胞子は楕円形, アミロイド; 担子器の基部は一般にクランプを持つ; 縁シスチジアはこん棒形~倒洋梨型で, 微細な疣状突起またはやや長い不規則な形状の短指状付属糸が等間隔で密生する; 縁シスチジアと同形の側シスチジアを有するかまたは欠く; 傘および柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる.


日本産既知種

  ニオイアシナガタケ M. cf. filopes (Bull.) P. Kumm. (1871) [= M. amygdalina (Pers.) Singer (1961).; M. iodiolens S. Lundell (1932)]: ヨードホルムの様な特有の臭気を発する; 秋~初冬, 落ち葉上または枯れ枝上; 北半球温帯.


Sect. Maldeae Grgur. (2002)

基準種:Mycena maldea Grgur., Larger Fungi of South Australia (Adelaide):293 (1997)

子実体は微小~小型 (傘の径5mm以下); 傘は粘性を欠き,淡褐色~白色; 肉に硝酸系の薬品臭(nitric)があるかまたは無臭; ヒダは類白色で縁取りを欠く; 頭部を欠く rhizomorph形の菌糸束状柄 (criniform stipe)が子実体と同時発生する; 担子胞子は楕円形~類円柱形, アミロイド; 縁シスチジアは2型: 1) こん棒形で, 微細な疣状突起またはやや長い不規則な形状の短指状付属糸が等間隔で密生する; 2) 上部に長い円柱形の嘴状突起を具えた片脹れ状で, 平滑; 側シスチジアを欠く; ヒダ実質は偽アミロイド; 傘および柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる. 傘および柄の上皮シスチジアは類円柱形~やや片脹れ状で平滑. オーストラリア南東部に分布する.


Sect. Polyadelphia Singer ex Maas Geest. (1980)

基準種:Mycena polyadelpha (Lasch) Ku"hner, Encyclop.Mycol. 10: 262 (1938)

子実体は小型~微小 (傘の径5mm以下); 傘は粘性を欠き, 淡黄褐色, 淡灰褐色, または淡紅色~赤紫色; 肉に特別な味や臭いはない; ヒダは縁取りを欠く; 担子胞子はアミロイド; 縁シスチジアはこん棒形~倒洋梨型で, 微細な疣状突起またはやや長い不規則な形状の短指状付属糸が等間隔で密生し, 基部にクランプを持つかまたは2胞子性の場合クランプを欠く; 側シスチジアを欠く; 傘および柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる.


クヌギタケ節 Sect. Mycena

基準種: M. galericulata (Scop.) Gray (1821).

柄は通常弾力性がありやや強靱; ヒダは縁取りを欠く; 担子胞子は楕円形, アミロイド; 担子器は2胞子性の場合は基部にクランプを欠き, 4胞子性の場合は基部にクランプを有する; 縁シスチジアは一般にこん棒形で, やや長い不規則な形状の短指状付属糸が不均等に表面を被う; 一般に側シスチジアを欠く; ヒダ実質は偽アミロイド; 傘および柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われるかまたは平滑.


日本産既知種

  クヌギタケ M. cf. galericulata (Scop.) Gray (1821).

  センボンアシナガタケ M. cf. inclinata (Fr.) Quel. (1872)

ケアシオチエダタケ M. multiplicata Har. Takah. (2007).


Sect. Supinae Konr. & Maubl. (1934)

基準種:Mycena supina (Fr.) Que'l.

傘は最初粉状のち平滑, 粘性を欠く; 肉に特別な臭いはない; ヒダの縁部は一般に側面と同色, 稀に縁取りがある; 柄は最初粉状のち平滑, 粘性を欠き, 根元は白色の毛に被われる; 担子胞子は球形~類球形, アミロイド; 縁シスチジアはこん棒形または不規則な形状を成し, 多数のやや長い短指状付属糸が均等あるいは不均等に表面を被う; 一般に側シスチジアを欠く; 傘および柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる.


エヌメリタケ節 Sect. Cinerellae Singer ex Maas Geest.

基準種: M. cinerella (P. Karst.) P. Karst. (1879).

子実体の類型はヒダサカズキ型; 傘は通常湿時粘性があり, 一般に灰褐色~暗褐色を呈する; ヒダは通常垂生; 柄は乾性または湿時粘性; 担子胞子は楕円形~やや円柱形, アミロイド; 担子器の基部はクランプを持つかまたは欠く; 縁シスチジアはこん棒形~不規則な形状をなし, 通常様々な形状の短指状付属糸が不均等に表面を被う; 側シスチジアはないかまたは稀; ヒダ実質は偽アミロイド; 傘および柄の上表皮層の菌糸は一般に短指状分岐物に被われる.


日本産既知種

  エヌメリタケ M. cf. clavicularis (Fr.) Gillet (1874): 欧州, 北米, 北海道 (Mycoscience 39: 337-342, 1998).


Sect. Calamophilae Maas Geest. (1980)

基準種:Mycena belliae (Johnst.) P.D. Orton, Trans. Br. mycol.Soc. 43: 178 (1960)

子実体の類型はヒダサカズキ型; 傘の表皮はゼラチン化する; ヒダは縁取りを欠く; 柄の表面は湿時粘性; 柄の基部は類白色の毛で被われた基質上の菌糸マットに接続する; 担子胞子は長楕円形~類円柱形, アミロイド; ヒダの縁部はゼラチン化せず, 縁シスチジアは紡錘形で, 平滑または1~数個の不規則に屈曲した粗大な指状付属糸を持つ; 傘と柄の上表皮層の菌糸は平滑; 複数の短指状分岐物に不規則に被われた柄シスチジアが存在する.


Sect. Saetulipedes Maas Geest. (1986)

基準種(単型節):Mycena tubarioides (Maire) Ku"hner, (1938).

子実体はヒダサカズキ型; 傘は実質から剥がしにくいゼラチン質の表皮を形成し, 最初ピンク色のち淡紅褐色を帯びる; ヒダは弧状に垂生し, 紅色~淡赤褐色を帯び, 縁取りを欠く; 柄の基部は基質上に発達した類白色の菌糸マットに接続する; 担子胞子長楕円形, アミロイド; 縁シスチジアはゼラチン層に囲まれ, こん棒形, 短指状付属糸に被われる; 側シスチジアはない; 傘の上表皮層はゼラチン化し, 最上層に位置する菌糸のみが短指状分岐物に被われる; 柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる.


Sect. Insignes Maas Geest. (1989)

基準種: Mycena insignis A.H. Sm., (1941)

子実体は中~大型; 傘は湿時粘性, 黒褐色, 灰褐色, 類白色; ヒダは弧状に垂生または上生し, 縁取りを欠く; 柄は湿時粘性, 根元は毛に被われる; 担子胞子は楕円形, アミロイド; 縁シスチジアは粘液の層に埋まらず, 平滑または1~数個の粗

大な指状付属糸を持つ; 傘および柄の上表皮層はゼラチン化し, 菌糸は平滑または短指状分岐物に被われる; 柄シスチジアは平滑またはやや短指状に分岐する.


Sect. Euspeireae Maas Geest. (1989)

基準種:Mycena euspeirea Berk. & M.A. Curtis, J. Linn. Soc., Bot.10(no. 45): 285 [no. 21] (1868)

傘および柄は実質から剥がしやすいゼラチン質の表皮を持つ; 担子胞子は楕円形, アミロイド; 縁シスチジアは紡錘形で痩せ型の長い柄を具え,平滑または少数の短指状付属糸を持つ; 縁シスチジアと同形の側シスチジアが存在する; 傘の上表皮層はゼラチン化し, 菌糸は平滑または短指状分岐物に被われる; 柄の上表皮層はゼラチン化し, 菌糸は平滑; 柄シスチジアは短指状分岐物を持つ; 北米南部から南米北部の熱帯~亜熱帯地域に分布する.


ブシクヌギタケ節 Sect. Intermediae Kuhner ex Maas Geest.

基準種: M. latifolia (Peck) A.H. Sm.(1935)

傘と柄は一般に灰色~灰褐色; 柄は軟骨質で, 粘性を欠く; ヒダの縁部は類白色; 担子胞子は楕円形, アミロイド; 担子器の基部はクランプを持つ; 縁シスチジアは紡錘形~フラスコ形またはこん棒形で, 平滑または短指状付属糸に被われる; 側シスチジアは紡錘形で上部が円柱状に長く伸び, 頂部または腹部だけが疣状~短指状付属糸に被われる; ヒダ実質は偽アミロイド; 傘表皮の菌糸はゼラチン化し, 平滑または短指状分岐物に被われる; 柄表皮の菌糸は平滑または短指状分岐物にまばらに被われる.


日本産既知種

  ブシクヌギタケ M. cf. borealis A.H.Sm. (1935)


Sect. Pudicae (= Resinomycena) Maas Geest.: 本節の基準種 M. pudica Hora (1960) [= Resinomycena saccharifera (Berk.& Br.) Kuhner] がザラメタケ属 Resinomycena に編入されたため, Maas (1986)は本節を Mycena 属から除外している.

Sect. Carolinenses Maas Geest. (1986)

基準種(単型節):Mycena carolinensis A.H. Sm. & Hesler, (1941).

傘は湿時やや粘性を帯びるが実質から剥がしやすいゼラチン質の表皮は形成しない; ヒダは縁取りを欠く; 柄の基部は基質上に発達した類白色の菌糸マットに接続する; 担子胞子は楕円形, アミロイド; 縁シスチジアはこん棒形または紡錘形, 一般に多数の短指状付属糸に被われるが, 稀に平滑; 側シスチジアはフラスコ形, やや厚壁, 平滑; 傘の上表皮層の菌糸は平滑~密集した短指状分岐物に被われる; 柄シスチジアは短指状分岐物に被われる.

Maas (1986)によれば, 本節はSect. Polyadelphia とSect. Luculentaeの中間に位置する分類群と考えられている.


Sect. Luculentae Maas Geest. (1980)

基準種:Mycena aurantiomarginata (Fr.) Que'l. (1872).

傘の表皮はゼラチン化しない; 肉に特別な味や臭いはない; ヒダはオレンジ色, 赤色, 紫色などに縁取られる:; 担子胞子はアミロイド; 縁シスチジアは一般にこん棒形で, 有色の内容物を有し, 通常微突起状~短指状付属糸に被われる; 側シスチジアは有色の内容物を有し, 平滑または短指状付属糸に被われる; 傘の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる; 柄の上表皮層の菌糸は平滑または短指状分岐物に被われる.


ダイダイフチドリクヌギタケ亜節 Sect. Luculentae Subsect. Elegantes Singer ex Maas Geest. (1980): 傘は褐色, 帯褐灰色, 帯黄色, 帯黄色, 橙黄色, 橙赤色. 側シスチジアおよび縁シスチジアは短指状付属糸に被われる.


日本産既知種

ダイダイフチドリクヌギタケ Mycena cf. aurantiomarginata (Fr.) Quél., Mém. Soc. Émul. Montbéliard, Sér. 2 5: 240 (1872) : アカエゾマツの落ち葉上に発生. 分布: 欧州, 北米, 北アフリカ, 北海道 (日菌報 51: 22-25. 2010).


Sect. Luculentae Subsect. Rosellae Singer ex Maas Geest. (1980): 傘は鮮やかなピンク色, 帯紫紅色, 帯褐ピンク色. 側シスチジアは平滑. 縁シスチジアは短指状付属糸に被われる.


Sect. Pterigenae (Maas Geest.) Maas Geest. (1986): 前節とは側シスチジアを欠く点で区別される. 基準種:Mycena pterigena (Fr.) P. Kumm., Fu"hr. Pilzk. (Zwickau): 108 (1871)


フチドリクヌギタケ節 Sect. Rubromarginatae Singer ex Maas Geest.

基準種: M.rubromarginata (Fr.) P. Kumm. (1871).

ヒダはピンク色, 赤褐色, 紫褐色, 暗紫色に縁取られ, 通常縁部は側面より濃色, 側面は紫色を帯びない; 柄は切断したとき, 赤色の乳液を出さない; 担子胞子は楕円形, アミロイド; 担子器は2胞子性 (稀) の場合はクランプを欠き, 4胞子性 (普通) の場合はクランプを持つ; 縁シスチジアの形状は様々で, 有色の内容物を有し, 平滑または1~数個の不規則に屈曲した粗大な指状付属糸を持つ; 傘の菌糸は通常微突起に被われる; 側シスチジアはないかまたは稀; ヒダ実質は偽アミロイド; 傘および柄の上表皮層の菌糸は平滑または短指状分岐物に被われる.


日本産既知種

  フチドリクヌギタケ M. neoavenacea Hongo (1977): 縁シスチジアはハリガネオチバタケ型 (Siccus-type); 初夏, 杉, 檜などの樹下; 京都, 滋賀. 近縁種 M. avenacea (Fr.) Quel.は, 側シスチジアが存在し, 胞子がやや小型な点で異なる. [Hongo 1977. MSU 27: 20.]

  ウスベニフチタケ M. roseomarginata Hongo (1957): 本種は欧州産 M. rubromarginata (Fr.) P. Kumm. (1871)に最も近縁と考えられるが, 縁シスチジアの形状の相違を根拠とする両種の区別について Maas (1986) は疑問を提起しており, 両種の異同に関しては今後再検討を要するとされている.


アクニオイタケ節 Sect. Fragilipedes (Fr.) Quel.

基準種: M. alcalina (Fr.) P. Kumm. (1871) (s. Schroter, Kuhner).

ヒダは一般に縁取りを欠くが, まれに緑色または灰褐色を帯びる; 担子胞子は楕円形~やや円柱形, アミロイド; 担子器の基部はクランプを持つかまたは欠く; 縁シスチジアの形状は様々で, 平滑または 1~数個の不規則に屈曲した粗大な指状付属糸を持つ; 縁シスチジアに似た側シスチジアを持つかまたは欠く; ヒダ実質は偽アミロイド; 傘および柄の上表皮層の菌糸は平滑または短指状分岐物に被われる.


日本産既知種

  アクニオイタケ M. cf. stipata Maas Geest. & Schwobel (1987): 従来本種の学名として用いられてきた M. alcalina (Fr.) P. Kumm. (s. Schroter, Kuhner) は misapplied name とされ, Maas and Schwobel (1987)により上記の学名に訂正された.


 ハイイロサクラタケ M. cf. niveipes (Murrill) Murrill (1916).

 ミヤマクヌギタケ M. cf. algeriensis Maire (1938).

センボンクヌギタケ M. cf. laevigata (Lasch: Fr.) Gillet (1876).

アシナガタケ M. cf. polygramma (Bull.: Fr.) Gray (1821) (s. Lange)

シイノトモシビタケ M. lux-coeli Corner (1954): 現在(2003年)までに確実に知られている分布地は, 八丈島, 三重, 和歌山, 兵庫, 大分, 宮崎.

文献:

1) Corner, E.J.H. 1954. Further descriptions of luminous agarics. Trans. Brit. Myc. Soc. 37: 256-271.


2) Kurogi, S., Hattori, M., and Hattori, T 2004. A luminescent mushroom Mycena lux-coeli recorded in Miyazaki Prefecture. 宮崎県総合博物館研究紀要 25: 26-42.


ウスキブナノミタケ Mycena sp.

Misapplied name: Mycena luteopallens sensu A.H. Sm. (= M. crocea Maas Geest., Proc. K. Ned. Akad. Wet., Ser. C, Biol. Med. Sci. 94(3): 390. 1991).

= Mycena luteopallens sensu Yokoyama & Shidei, Trans. Mycol. Soc. Japan 13: 151, 1972.

10月~11月, 埋もれたブナの堅果上; 日本.

これまで本種の学名に使用されてきた Agaricus luteopallens Peck は, Maas (1985) のタイプ標本研究により, クヌギタケ属 (Mycena) ではなく, アカヤマタケ属 (Hygrocybe) の種類であることが判明した. これに伴い, A.H. Smith (1947) によって M. luteopallens (Pk.) Sacc. と同定された種類については Maas (1991)により新種として判定され, 上記の学名が与えられた. 本種は, 従来 コウバイタケ節 (Sect. Adonideae) の仲間と考えられてきたが, 担子胞子がアミロイドであること, ヒダ実質が偽アミロイドであること, 縁シスチジアおよび側シスチジアが平滑なことから, Maas の分類概念 (Maas 1980, 1988a) によるアクニオイタケ節 (Sect. Fragilipedes) に編入するのが妥当と思われる.

北米東部産 M. crocea (Maas 1991)は担子器, 縁シスチジア, 傘および柄の表皮組織にクランプが存在し, 短指状分岐物に被われた柄シスチジアを持つとされている. 一方横山・四手井 (1972) によれば, ウスキブナノミタケは全ての組織においてクランプはないとされ, 傘および柄の表皮組織における菌糸細胞の形態的特徴に関する言及がない.

北米産 M. croceaはクルミ科の堅果上に発生すると言われており, 日本産の標本に比べて担子胞子がやや短く, 子実層のシスチジアの形態に相違が認められる. これらのことから判断すると, 日本産ウスキブナノミタケは未記載種の可能性が高いと思われる.


キアシクヌギタケ M. cf. viridimarginata P. Karst., Hedwigia 31: 218 (1892): トドマツ林内腐木上に発生. 分布: 北海道.


キクモンクヌギタケ M. chrysanthemiformis Har. Takah. (2000): ケヤキ, ムクノキ, メタセコイア等の樹皮または落枝に発生. 本州中部では普通. 青木実氏は本種と同一と思われるものをシロアクニオイタケの和名で日本きのこ図版 (No.1878)に記載している.


イズミノアシナガタケ M. fonticola Har. Takah. (2007).


オリーブアシナガタケ M. intersecta Har. Takah. (2007).


ケアシハイイロタケ M. lanuginosa Har. Takah. (2007). 

  

スミレアシナガタケ(別名: スミレロクロタケ) Mycena mustea Har. Takah.(2007). 


タイシャアシナガタケ M. fuscoaurantiaca Har. Takah. (2007).


シコンサクラタケ M. clariviolacea Har. Takah. (2007).


ホシノヒカリタケ Mycena stellaris Har. Takah., Taneyama & Hadano (2016): 亜熱帯性の発光菌.


ヒュウガヤコウタケ Mycena daisyogunensis Kobayasi, , J. Hattori bot. Lab. 5: 5 (1951): 子実体の外観はMaas (1980)の分類概念によるSect. Polyadelphia に属する欧州産 Mycena capillaris (Schumach.) P. Kumm. (1871) に似るが, 縁シスチジアの類型が異なる. 原記載には担子胞子のアミロイド反応に関する記述がないため, 本種の分類学的位置については疑問が残る. 子実体に発光性があるとされている. 宮崎県産.

文献:

Kobayasi, Y. 1951. Contributions to the luminous fungi from Japan. Journ. Hattori Bot. Lab. 5: 1-6




日本産アクニオイタケ節の種の検索表


1. 側シスチジアを持つ → 2

1. 側シスチジアを欠く 6

2. 傘は淡黄色~淡橙色. 埋もれたブナ科の堅果上に発生 ......................................ウスキブナノミタケ Mycena sp.

2. 上記と異なる 3

3. 柄の表面は根元に向かって長軟毛に被われる. 傘と柄は灰褐色~紫褐色を帯びる ................... ケアシハイイロタケ M. lanuginosa Har. Takah.

3. 柄の表面は平滑, 粉状, 繊維状, 羊毛状を呈する

4. 傘の表皮組織はゼラチン化する. 傘は灰褐色~黒褐色 ...............................ミヤマクヌギタケ Mycena cf. algeriensis Maire

4. 傘の表皮組織はゼラチン化しない 5

5. 傘は最初暗褐色であるが, 間もなく淡灰褐色になる. 子実体は硝酸臭を有する .................ハイイロサクラタケ Mycena cf. niveipes (Murrill) Murrill

5. 傘は褐色~帯褐橙色. 特別な臭いはない ............................... タイシャアシナガタケ Mycena fuscoaurantiaca Har.Takah.

6. 傘の表皮の菌糸はほぼ全体に短指状分岐物に被われる. 7

6. 傘の表皮の菌糸は平滑または部分的に短指状分岐物に被われる 11

7. 傘の表皮組織はゼラチン化する. 傘は淡灰褐色~灰褐色. ヒダは類白色~淡灰色, 成熟するとしばしば赤褐色のしみを生じる

  ......................アシナガタケ Mycena cf. polygramma (Bull.: Fr.) Gray

7. 傘の表皮組織はゼラチン化しない 8

8. ヒダに縁取りがある 9

8. ヒダは縁取りを欠く 10

9. ヒダは黄褐色に縁取られる. 傘は淡褐色または暗黄褐色. 子実体は強い発光性を持つ ..................シイノトモシビタケ Mycena lux-coeli Corner

9. ヒダはオリ-ブ緑色, オリ-ブ褐色, オリ-ブ灰色に縁取られる. 傘は帯黄色~帯オリ-ブ

褐色. 子実体は発光性を欠く .......................................キアシクヌギタケ Mycena cf. viridimarginata P. Karst.

10. 傘は全体に紫褐色を帯びる. 縁シスチジアは紡錘形 ................................イズミノアシナガタケ M. fonticola Har. Takah.

10. 傘はオリーブ褐色~黄褐色. 縁シスチジアは不規則な円柱形 ...........................オリーブアシナガタケ M. intersecta Har. Takah.

11. 傘は少なくとも最初全体に白色~類白色. ヒダは直生~垂生 12

11. 傘は最初から濃色. ヒダは直生~上生 14

12. 子実体はヒダサカズキ型 ................................. ホシノヒカリタケ Mycena stellaris Har. Takah., Taneyama & Hadano

12. 子実体はクヌギタケ型またはモリノカレバタケ型 → 13

13. 柄は短い (7-18 mm). 傘の表面は最初白色粉状, のち平滑になり, 粘性はなく, 錆褐色のしみを生じない

  ...............キクモンクヌギタケ M. chrysanthemiformis Har. Takah.

13. 柄は上記より長く伸びる. 傘の表面は平滑で湿時やや粘性, 時に錆褐色のしみを生じる .......... センボンクヌギタケ Mycena cf. laevigata (Lasch: Fr.) Gillet

14. 縁シスチジアは紡錘形~フラスコ形で平滑. 傘は最初黒褐色のち帯褐ベージュ色.子実体は硝酸臭を有する .........................

アクニオイタケ Mycena cf. stipata Maas Geest. & Schwobel

14. 縁シスチジアはこん棒形で頂部に複数の短指状~瘤状付属糸を具える. 特別な臭気はない → 15

15. 子実体はクヌギタケ型. 傘は淡灰紫色. 柄の表皮組織の菌糸は平滑 .............スミレアシナガタケ(別名: スミレロクロタケ) Mycena mustea Har. Takah.

15. 子実体はモリノカレバタケ型. 傘は暗紫色. 柄の表皮組織の菌糸は平滑または部分的に短指状突起に被われる

 ......................シコンサクラタケ M. clariviolacea Har. Takah.


Sect. Rarifoliatae Aronsen & Maas Geest. (1990)

基準種:Mycena oligophylla Aronsen & Maas Geest., Persoonia 14(2): 183 (1990).

子実体は微小(傘の径0.7-2.3mm); 傘の表面は粘性を欠く; ヒダは発達が悪く, しばしば脈状に退化し, 柄に到達するヒダは0-5; 柄の基部は基質上に発達した類白色の菌糸マットに接続する; 担子胞子は楕円形, アミロイド; 縁シスチジアは類円柱形~類紡錘形, 平滑; 側シスチジアはない; ヒダ実質は偽アミロイド; 傘の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる; 柄の上表皮層の菌糸は平滑または短指状分岐物がまばらに存在する; 柄シスチジアは不規則な形状を成し, 短指状分岐物に被われる.


Sect. Monticola Singer ex Maas Geest. (1980)

基準種:Mycena monticola A.H. Sm., (1939)

傘の表皮はゼラチン化しない; ヒダは縁取りを欠く; 柄は傷を受けると半透明の乳液を出す; 担子胞子は弱アミロイド; 縁シスチジアは一般にこん棒形で, 多数の短指状付属糸に不規則に被われる; 側シスチジアを欠く; 傘の上表皮層の菌糸は多数の短指状分岐物に不規則に被われる; 柄の上表皮層の菌糸は平滑または多数の短指状分岐物に不規則に被われる.


ニセチシオタケ節 Sect. Lactipedes (Fr.) Quel.

基準種: M. galopus (Pers.) P. Kumm. (1871).

傘は灰色, 灰褐色, 暗褐色, ほぼ黒色, まれに白色; 一般に臭いおよび味に特徴は見られないが, M. erubescens Hohn. は苦みを有する; ヒダは白色, 老成すると緑色または褐色を帯び, 時に紅色~赤色の斑点を生じ, 縁部は同色; 柄は切断したり傷つくと乳白色の乳液を出し, 傘と同色; 担子胞子は楕円形~やや円柱形, アミロイド; 担子器は2胞子性の場合はクランプを欠き, 4胞子性の場合 (普通) はクランプを持つ; 縁シスチジアに似た側シスチジアを持つかまたは欠く; ヒダ実質は偽アミロイド; 傘および柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる.


日本産既知種

  ニセチシオタケ M. cf. galopus (Pers.) P. Kumm. (1871).


ヒメチシオタケ節 Sect. Sanguinolentae Maas Geest.

基準種: M. sanguinolenta (Alb. & Schwein.) P. Kumm. (1871).

ヒダは暗赤褐色または紫褐色に縁取られる; 乳液はくすんだ橙色~赤褐色; 縁シスチジアは一般に紡錘形で平滑, まれに付属物に被われ, 赤褐色の内容物を有し, 基部にクランプを持つ; 縁シスチジアと同形の側シスチジアを持つかまたは欠く; 傘と柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる; 柄シスチジアは縁シスチジアと同形.


日本産既知種

  ヒメチシオタケ M. cf. sanguinolenta (Alb. & Schwein.) P. Kumm. (1871).


チシオタケ節 Sect. Galactopoda (Earle) Maas Geest.

基準種: M. haematopus (Pers.) P. Kumm. (1871).

ヒダの縁部は同色かまたは血赤色に縁取られる; 乳液は血赤色; 縁シスチジアは紡錘形, 平滑, 無色または赤褐色の内容物を有し, クランプを持つ; 傘の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる; 柄の表皮組織の菌糸は平滑で, 柄シスチジアは多数の短指状分岐物に被われ, 縁シスチジアと類型が異なる.


日本産既知種

  チシオタケ M. cf. haematopus (Pers.) P. Kumm. (1871).


アカチシオタケ節 Sect. Crocatae Maas Geest.

基準種: M.crocata (Schrad.) Fr. (1871).

ヒダの縁部は白色; 乳液は橙色; 縁シスチジアはこん棒形で, 頂部は円柱形の付属物に被われ, クランプを持つ; 側シスチジアはこん棒形, 平滑または短指状付属糸を持つ; 傘および柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる.


日本産既知種

  アカチシオタケ M. cf. crocata (Schrad.) Fr. (1871).


Sect. Exiguae Maas Geest. (1983)

基準種(単型節):Mycena marocana Maas Geest., Proc. K. Ned. Akad. Wet., Ser. C, Biol. Med. Sci. 86(3): 418 (1983).

傘の表皮はゼラチン化する(? 実質から剥がしやすい); ヒダの縁部はゼラチン化した層を形成する; 柄は上部粉状, 下部は微毛に被われ, 根元は膨大する; 担子胞子は類球形, アミロイド.


ナメアシタケ節 Sect. Hygrocyboideae (Fr.) Singer

基準種: M.epipterygia (Scop.) Gray (1821).

傘の表皮はゼラチン質で実質から剥がしやすい; ヒダの縁部はゼラチン化した層を形成する; 柄は粘性があり, 通常黄色; 担子胞子は楕円形, アミロイド; 縁シスチジアは一般にこん棒形で, 様々な形状の付属物に被われる; 側シスチジアはない; 傘の表皮組織はゼラチン化し, 菌糸は短指状分岐物に被われる; 柄の表皮組織はゼラチン化し, 菌糸は平滑, 柄シスチジアは短指状分岐物に被われる.


日本産既知種

キナメアシタケ M. cf. epipterygia (Scop.: Fr.) S.F.Gray var. epipterygia [= M. citrinella

(Pers.) P. Kumm. (1871)]: 子実体の色や顕微鏡的特徴に基づき, 10種以上の変種に分けられている. 日本産は欧州産に比べて担子胞子がやや小型である.

文献:

①原色日本新菌類図鑑(Ⅰ)

②青木実: 日本きのこ図版 №2136

③Maas Geest. RA. 1989. Conspectus of the Mycenas of the Northern Hemisphere 11.

Section Hygrocybiodeae. Proc K Ned Akad Wet [Ser. C] 92:89-108

④Robich G 2003. Mycena D’Europa. AMB, Trento


 アカハナメアシタケ M. cf. epipterygia var.viscosa (Secr. ex Maire) Ricken (1915).


ナメアシタケ M. aff. epipterygia: 本種の学名については再検討を要する.


ハイイロナメアシタケ節 Sect. Fuliginellae (A.H.Smith ex Sing.) Maas Geest.

基準種: M. vulgaris (Pers.) P. Kumm. (1871).

傘の表皮はゼラチン質で実質から剥がしやすく, 灰色, 灰褐色, または白色; ヒダの縁部はゼラチン化した層を形成する; 柄は粘性または著しい粘液を被り, 灰色, 灰褐色, または白色; M. vulgaris 以外は側シスチジアを有する; 針葉樹林内に発生.


日本産既知種

  ハイイロナメアシタケ M. cf. vulgaris (Pers.) P. Kumm. (1871).


コガネヌメリタケ節 Sect. Caespitosae (A.H.Smith ex Sing.) Maas Geest.

基準種: M. texensis A.H. Sm.(1937).

子実体は叢生する; 傘の表皮はゼラチン質で実質から剥がしやすく, 白色~橙色; ヒダは橙色; 柄は粘性があり, 橙色; 縁シスチジアは紡錘形~こん棒形またはやや円柱形で, 平滑または頂部に1~数個の付属糸がある.


日本産既知種

  コガネヌメリタケ M. cf. leaiana (Berk.) Sacc. (1891).


Sect. Ingratae Maas Geest. (1989)

基準種:Mycena chlorinosma Singer, (1937).

傘は明瞭な溝線を表し, 湿時粘性, 平滑, 灰褐色; ヒダは離生し, 縁取りはない; 柄は粘性を欠き, 上部白色, 下部赤褐色; 担子胞子は楕円形, アミロイド; 縁シスチジアは平滑; 側シスチジアはない; 傘の上表皮層はゼラチン化し, 菌糸は平滑で輪状に広く隙間の開いたクランプを形成する; 柄の上表皮層はゼラチン化せず, 菌糸は平滑;柄シスチジアはこん棒形~紡錘形で, 平滑.


アカバシメジ節 Sect. Calodontes (Fr. ex Berk.) Quel.

基準種: M. pelianthina (Fr.) Quel. (1872).

子実体は中~大型で, モリノカレバタケ型に近い (但し傘の縁部は幼時内側に巻かない); 担子胞子は楕円形~やや長楕円形, アミロイドまたは非アミロイド; 縁シスチジアは一般に平滑; 傘と柄の表皮組織の菌糸および柄シスチジアは平滑.


アカバシメジ亜節 Sect. Calodontes Subsect. Marginatae J.E.Lange

基準種: M. pelianthina (Fr.) Quel. (1872).

ヒダの縁部は側部より濃色; 担子胞子はアミロイド; 縁- および側シスチジアは紫褐色の内容物を有する.


日本産既知種

アカバシメジ M. cf. pelianthina (Fr.) Quel. (1872): 傘は湿時条線を表す; ヒダは暗灰紫色で縁部はギザギザ状, 連絡脈がある; 肉はダイコン臭がある; 縁及び側シスチジアは紡錘形で帯紫褐色の液を持つ; 特にブナ林の落ち葉上; 北半球温帯 (本州, 北海道).サクラタケと同様の有毒成分(epimuscarine)を含有.


サクラタケ亜節 Sect. Calodontes Subsect. Purae (Konr.& Maubl.) Maas Geest. Persoonia 11 (1): 112. 1980

基準種: M. pura (Pers.) P. Kumm. (1871).

ヒダはしばしば著しい側脈(intervenose) を有し, 時に管孔状になり, 縁部は同色; 担子胞子はアミロイド; 縁- 及び側シスチジアの内容物は無色.

熱帯産 Poromycena 属およびアミヒカリタケ Mycena cf. manipularis (Berk.) Sacc. (1887)は, モリノカレバタケ型に似た子実体の類型および管孔状の子実層托を形成する性質において本亜節と共通するが, 傘の色は一般に褐色~灰褐色または白色で, 傘および柄の表皮組織に短指状分岐物に被われた上皮シスチジアが存在する点で異なる.


日本産既知種

サクラタケ M. cf. pura (Pers.) P. Kumm. (1871): ヒダは白色~類白色; 傘はバラ色, 紅紫色, 藤色, 白色など; ヒダは上生~直生, 連絡脈がある; 縁及び側シスチジアは紡錘形, 嚢状, こん棒形など; 担子胞子は6.5-7.5×3-4μm; 落ち葉上; 世界的.


シロサクラタケ M. cf. pura f.alba (Gillet) Arnolds (1982) (= M. subaquosa A.H.Sm.): 北米産 M. subaquosa [A.H.Smith 1947: 186] は担子胞子がサクラタケより小型とされているが, Maas (1989) のタイプ標本研究では有意差が認められなかったため, M. pura f.alba の異名とされている.


Mycena diosma Krieglst. & Schwöbel, Z. Mykol. 48(1): 32 (1982)

Species Fungorum Current Name: Prunulus diosmus (Krieglst. & Schwöbel) C. Hahn, in Guthmann & Hahn, Die Pilze Deutschlands: 188 (2020): ヒダは暗紫色を帯びる.

アミサクラタケ M. aff. holoporphyra (Berk. & M.A. Curtis) Singer (1962): 子実体は全体に紫灰色を帯びた赤紫色(vinaceous lilac) ~濃青紫色. 子実層托は管孔状. 側シスチジアはない. 担子胞子は濃アミロイド. 材上生または地上生; 青木実氏によって記載されたアミサクラタケ (日本きのこ図版 No.1203, 所沢市横宿, 赤松林内)は, 縁シスチジアの大きさと形状 (アミサクラ: 40-65×6-12.5μm, fusoid-lanceolate; M. holoporphyra: 25-40×4-9μm, cylindric to ventricose-lanceolate) を除けば, Pegler (1977, 1983) の同定による東アフリカ (ケニア)および中米 (キューバ, マルチニク島, トリニダード島)産 M. holoporphyra と一致する.


Sect. Calodontes Subsect. Violacellae Sing. ex Maas Geest.: 担子胞子は非アミロイド; 側シスチジアを欠く.

基準種: M. violacella (Speg.) Singer (1955) ≡ Poromycena violacella (Speg.) Singer, Lilloa 23: 200 (1952) [1950]

本亜節および M. pearsonianaの担子胞子のアミロイド反応は種内変異にすぎないことが報告されており(Harder et al. 2011)、クヌギタケ属における担子胞子のアミロイド反応に関して分類形質としての信頼性が疑問視されている。

https://www.researchgate.net/publication/257694759_Amyloidity_is_not_diagnostic_for_species_in_the_Mycena_pearsoniana_complex_Mycena_sectio_Calodontes



アリノカサタケ節 Sect. Pictae (A.H.Smith) Maas Geest.

基準種(Monotype)M. picta (Fr.) Harmaja (1979).

傘は円柱形で, 成熟しても平開しない; ヒダは直性~やや垂生し, 横方向の長さより垂直方向の幅が広くなる; 柄は頂部において急激に太くなり, 軟骨質; 担子胞子はアミロイド; 縁シスチジアは複数の短形細胞が鎖状に連なり, 末端細胞は短指状分岐物に被われる; 側シスチジアはない; ヒダ実質は偽アミロイド; 傘および柄の表皮組織は平滑な菌糸からなる; 柄シスチジアはない.


日本産既知種

  アリノカサタケ M. cf. picta (Fr.) Harmaja (1979): 発生はやや稀; 欧州, 北米, 北海道 (Mycescience 37: 463-466, 1996).


コウバイタケ節 Sect. Adonideae (Fr.) Quel.( コウバイタケ属 Atheniella を参照)

基準種: M. adonis (Bull.) Gray (1821).

傘と柄は赤, 橙, ピンク, 黄, 白などの明るい色彩を帯びる; 担子胞子は非アミロイド; 縁シスチジアおよび側シスチジアは一般に紡錘形で, 平滑; ヒダの実質は非アミロイド; 傘の上表皮層の菌糸は短指状分岐物に被われる; 柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物を欠く.


日本産既知種

コウバイタケ M. cf. adonis (Bull.) Gray (1821) (= M. roseocandida Peck): ヒメサクラタケM.roseocandida Peck は現在では本種の異名とされている; 針葉樹に発生.


 オウバイタケ M. cf. aurantiidisca Murrill: 北米, 北海道 (Mycoscience 39: 337-342, 1998).


ベニカノアシタケ節 Sect. Aciculae Kuhner ex Singer

基準種: M.acicula (Schaeff.) P. Kumm. (1871).

担子胞子およびヒダ実質は非アミロイド; 柄の上表皮層の菌糸が短指状分岐物に被われる点で前節と異なる.

 

日本産既知種

ベニカノシアタケ M. cf. acicula (Schaeff.) P. Kumm. (1871): 子実体は微小, 傘は中央部朱赤色, 周縁部は橙黄色, 柄は黄色; 落ち葉, 落枝上.


クチバタケ節 Sect. Oregonenses Maas Geest.: 担子胞子およびヒダ実質は非アミロイド; 柄の上表皮層の菌糸は短指状分岐物を欠く; ヒダは鮮黄色に縁取られる; 柄シスチジアは黄色の内容物を持つ. 基準種:M. oregonensis A.H.Sm. (1936).


日本産既知種

クチバタケ M. cf. oregonensis A.H.Sm. (1936): 北米, 欧州, 北海道 (Mycoscience 39: 337-342, 1998).


ウスズミコジワタケ節 Sect. Hiemales Konr. & Maubl.

基準種: M. hiemalis (Osbeck) Quel. (1872).

傘は明るい色を帯びず, 褐色~灰褐色または黒褐色など; 担子胞子は非アミロイド; ヒダ実質は偽アミロイドまたは非アミロイド.


Sect. Hiemales Subsect. Hiemales Maas Geest.

基準種: M. hiemalis (Osbeck) Quel. (1872).

ヒダは上向性で, 縁部は山型.


日本産既知種

ウブゲオチエダタケ M.brevicapillata Har. Takah. (2000): 褐色の傘と白色の柄は微毛を被り, 2胞子性の担子器を持ち, 子実層にシスチジアを欠く. 褐色の傘と非アミロイドの担子胞子を持つ性質に基づき, 暫定的にウスズミコジワタケ節 Sect. Hiemales に置いたが, 縁シスチジアを欠き, 傘と柄の表皮が毛状の上皮シスチジアに被われる特徴は明らかに本節として異質であり, 将来的に本種を収容するための独立した分類群が設立される可能性がある.


ヤミイロクヌギタケ Mycena nidificata Har. Takah. (2007). 


ウスズミコジワタケ亜節 Sect. Hiemales Subsect. Omphaliariae Kuhner ex Maas Geest.: ヒダは水平または弧状になり, 直性~垂生する. 基準種:M.speirea (Fr.: Fr.) Gillet sensu Kuhner (non Fr.)


日本産既知種

ウスズミコジワタケ M. cf. speirea (Fr.) Gillet (1874) f. camptophylla (Berk.) Kuhner (1938) [A.H.Smith 1947: 359 Pl.86A as M.speirea]; 側シスチジアはない; 縁シスチジアは不規則に歪んだ円柱形; 傘は径5-10 mm,淡灰褐色で中央部は暗色, 扇状の溝線を放射状に表す(widely plicate, radially wrinkled); 柄は下半部淡灰色, 頂部淡色, 時に帯黄色または成熟後全体に黄色を帯び, 基部は長毛に被われる; M. speirea f.typica は柄の頂部が黄色を帯びない. [cf. Maas (1): 104; (2): 467]

   

ケブカキュウバンタケ節 Sect. Longisetae A.H.Sm. ex Maas Geest. (1983)

基準種 (単型節):Mycena longiseta sensu auct. eur.; fide Checklist of Basidiomycota of Great Britain and Ireland (2005)

(= Mycena aciculata (A.H. Sm.) Desjardin & E. Horak, Sydowia 54(2): 148 2002) 

傘は実質から剥がしやすいゼラチン質の表皮を持ち, 長形の剛毛体様シスチジアが散生する; ヒダは上生, 直生, または離生; 柄は細かい剛毛(剛毛体様シスチジア)で被われる(setulose); 担子胞子は楕円形, 非アミロイド; 縁シスチジアは平滑; 側シスチジアはない; 傘の上表皮層はゼラチン化し, 菌糸は短指状分岐物に被われる; 剛毛体様シスチジアはゼラチン層から突出し, 厚壁, 基部は球根状に膨大する; 柄シスチジアは傘の剛毛体様シスチジアと同形; 欧州および北米に分布.       

         

日本産既知種

ケブカちゃん (ケブカキュウバンタケ) Mycena sp.

カレハヤコウタケ Mycena luxfoliata Har. Takah., Taneyama & Terashima (2016)


所属位置未定種 incertae sedis

アミヒカリタケ Mycena cf. manipularis (Berk.) Sacc. (1887)

熱帯産 Poromycena 属およびアミヒカリタケ近縁種群は, モリノカレバタケ型に似た子実体の類型および管孔状の子実層托を形成する性質においてサクラタケ亜節 (Sect. Calodontes Subsect. Purae)と共通するが, 傘の色は一般に褐色~灰褐色または白色で, 傘および柄の表皮組織に短指状分岐物に被われた上皮シスチジアが存在する点で異なる.


モリノアヤシビ (森の怪火) Mycena flammifera Har. Takah. & Taneyama, in Takahashi, Taneyama, Kobayashi, Oba, Hadano, Hadano, Kurogi & Wada, The fungal flora in southwestern Japan, Agarics and boletes 1: 197 (2016)


 

       Singer (1986)による Mycena 属の分類一覧


Sect.1. Sacchariferae Kuhner (1938) ex Sing. (シロコナカブリ節)

Sect.2. Basipedes (Fr.) Kuhner (1938) (キュウバンタケ節) 

Sect.3. Cyanocephalae (Sing.) Sing.(1986)

Sect.4. Viscipelles Kuhner (= Cyanescentes Kuhner) (アオミノアシナガタケ節)

Sect.5. Citricolores Sing.(1961)

Sect.6. Radiatae Sing.(1961) (コガネハナガサ節: 青木 No.44)

Sect.7. Kermesinae Sing.(1986)

Sect.8. Mycena (クヌギタケ節)

Subsect. Corticolae Kuhner (1938) (キクモンクヌギタケ亜節 = Fragilipedes ss. Maas)

Subsect. Mycena (Granulatae (Lange) Sing.1951)

 Stirps Polyadelpha 

 Stirps Elegans 

 Stirps Rosella 

 Stirps Monticola

 Stirps Galericulata

 Stirps Cinerella

 Stirps Latifolia

 Stirps Borealis (ブシクヌギタケ)

Stirps Juaniicola

 Stirps Helminthobasis

Subsect. Ciliatae (Lange) Kuhner (= Fragilipedes ss. Maas)

 Stirps Brownii

 Stirps Carminis

 Stirps Rubromarginata (フチドリクヌギタケ M.neoavenacea)

 Stirps Palmivora

 Stirps Alcalina (アクニオイタケ, ハイイロサクラタケ, アシナガタケ)

Stirps Metuloidifera

 Stirps Austroalcalina

 Stirps Omniumsanctorum (ミヤマクヌギタケ, センボンクヌギタケ)

Sect.9. Lactipedes Fr. (チシオタケ節)

Subsect. Galactopodinae (Earle) Sing.(1986)

 Stirps Calopoda:

 Stirps Haematopoda (チシオタケ) 

 Stirps Erubescens:

Subsect. Pseudocrocatae Sing.(1986) (アカチシオタケ亜節)

Sect.10. Hygrocyboideae (Fr.) Sing. (ナメアシタケ節)

Subsect. Fuliginellae A.H.Smith ut.Sectio. (ハイイロナメアシタケ亜節)

Subsect. Gummosae (Lange) Oort (= Viscosae A.H.Smith) (ナメアシタケ亜節)

Subsect. Caespitosae A.H.Smith ut.Sectio (1947). (コガネヌメリタケ亜節)

Subsect. Lilacifolinae Sing. (1986)

Sect.11. Roridae Kuhner 1931. (ヌナワタケ節)

Sect.12. Purae Konr.& Maubl. (サクラタケ節)

(= Ianthinae Kuhner as Smith ut Subsectio 1947).

Stirps Pelianthina (アカバシメジ: 胞子はアミロイド; ヒダの縁部は暗色)

Stirps Pura (胞子はアミロイド; ヒダの縁部は側部と同色; アミサクラタケ)  

 Stirps Violacella (胞子は非アミロイド: M.pearsoniana)

Sect.13. Adonideae (Fr.) Sing. (コウバイタケ節)

Sect.14. Aciculae (Kuhner) Sing. (ベニカノアシタケ節)

Sect.15. Hiemales Konr.& Maubl. (ウスズミコジワタケ節)

 Subsect. Typicae Kuhner (ウブゲオチエダタケ)

 Subsect. Omphaliariae Kuhn.

 Subsect. Insititiopedes Sing.(1961)